(6/20)Vintage S12来る!
2016年 06月 20日
6月の試聴会に向けて久々に12インチクラスのユニットを使ったスピーカーを作ってみない?と相談し様々机上で検討した結果、出来てきたのがこれ。村瀬さん=針葉樹合板(米松)のイメージが強いですが、今回はパイン集成材でオファさせていただき、響きと共にダンピングの良さも求めました。よく見ると小型のホーンツィーターが載っているのが見えると思います。
ALTECなき今、ユニットを何にするか…これが最大のテーマでありました。Reference35をヨーロッパトーンと呼ぶのであればこの新型モデルは往年のシアターサウンドを指向しつつも、クラシックも鳴らせる繊細さを持たなければならない…そういう意味でいろいろと検討した結果えらんだのがイタリアのSicaというブランドです。イタリアのユニットでシアターサウンド?…そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、Sicaはヴィンテージスピーカーファンなら誰でも知っているJENSENスピーカーの製造元でもあります。元々JENSENはウエスタンにユニット供給していた超筋金入りのブランド。音も往年のヴィンテージサウンドを今に伝える極めて貴重なメーカーなのです。
今回音を追い込む途中までは完全フルレンジ(ユニット一発)で鳴らしこんでいました。レスポンス的にはもちろんこれで問題ない訳ですが、良く言えばザクザクとケバの生えた音である一方、僅かにキメを整える方法がないかな…と思いながら試しに使ってみたのが最初の写真に写っているホーンツィーターです。ツィーターというと高域方向のリニアリティを補完するものと思っておられる方も多いと思いますし、それはそれで間違っている訳ではありませんが、その一方でツィーターを追加することで低域の質感を改善することも極めて大きな効果の一つといえます。裏返せばサブウーハーの追加で高域方向の音場を整えることも古くから使われている改善方策の一つなのです。
そういえば最近、こんなメールを頂きました。Type 618Cをご愛用下さっているKさんからのお便りです。
久しぶりにメールします。発売されてすぐに購入した618Cですが、ほとんど毎日のように聴いて美しい音に感動しています。家にはスピーカーシステムが何組かありどのシステムも聴いていますが、618Cはそのうちの一番新しいセットになります。
618Cの独特な音は、私が好きで良く聴く過去のクラシック名演奏家の古い録音、LP以前の録音やLP初期頃の録音の再生音などには特に新しい命を吹き込んでくれるのです。他のシステムからはけっして聴くことのできない魅力的な音には本当にこころ打たれてしまいます。
今日は朝からプッチーニのオペラ全曲を1930年代~40年代の録音ですが、聴き続けてきました。凄い! という音が次から次へと自宅広間に響き渡って幸福感に浸っています。71歳の音楽好きな老人にとって最高に贅沢な時間を届けてくれるサンバレー618Cに感謝!しています。それで、感謝の気持ちをメールにしてみました。(以上原文のまま)
話は戻ってニューモデル、この変哲のない廉価なホーンツィーターの効果は絶大でした。クロスオーバー周波数,遮断特性,能率整合用抵抗の定数は内緒ですが、このツィーターを追加した瞬間から低域の粒立ちが細やかに変化し、クラシックも何の違和感なく聴くことができるようになりました。村瀬さんも”これは使わない手はないですね”と言ってくれて即採用が決定。当初はオプション設定もありかと考えていましたが、コストアップ分は極力吸収して標準装備とすることにしました。
ファーストロットの発送は7月末頃から。気になる価格はペアで10万円を切れないかと思っています。詳細は試聴会前後にお知らせ出来ると思いますので、是非お楽しみに!品番は”Vintage S12”を予定しています!