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(4/29_1)現行ナンバーワン多極管はこれだ!

今回の”大放談”収録は現行出力管14種類の大競演!SV-P1616Dをテスト機として多極管を7種類,300Bを7種類用意し、私とゲストTさんの独断と偏見で現行球のナンバーワンを決めてしまおうという企画。放送は第一回(多極権編)が6/24(金),第二回(300B編)が7/8(金)の20時~22時です(翌週は再放送)です!
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SV-P1616D(多極管仕様)は6L6GC~KT150まで大半のビーム管,五極管を無調整で差し替え出来る自己バイアスアンプ。出力は6L6GCで25W前後,EL34からKT150で40W前後の出力が取り出せるUL(ウルトラリニア)接続のプッシュプル。定格出力の50%程度まではA級動作で出力よりも音質を重視した手配線のキット専売品です。多極管仕様は真空管別売で88,000円(税別)。6月末の出荷開始予定です。

よくオーディオ雑誌などで同種出力管の聴き較べ特集などが編まれることがありますが、書き方が曖昧だったり音を言語化するプロセスにどうしても無理があったりして、参考にはなっても決め手に欠ける、というお話をよく伺います。その意味でこの番組は実際の音の変化を皆さんのスピーカーでダイレクトに聴けるという点で画期的というか後にも先にも聞いたことがない最もリアルなオーディオガイド。リスナーさんからの感想メールも沢山いただけて出る側としても大いに励みであり、毎回この収録をとても楽しみにしているのです。

では番組を聴きながら一緒にこのブログを読んで頂くことをイメージしながら内容をお知らせしていきましょう。
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まずはTung Sol 6L6GC STR(ロシア製)から。6L6GCはKT88やEL34の陰に隠れて今一つメジャーではありませんが、このTung Solは非常に中庸の美を感じさせる音で高域の尖鋭感がなく、中域の量感も十分で非常に好印象。ジャンルを問わず楽しめる魅力的な球であることが分かりました。
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続いてGolden Dragon 6CA7/EL34 。EL34には太管と細管がありますがオーディオ用途では太管が使われる方が6L6GCと比較して若干モノトーン的な表現で若干音の粒立ちが大きめ。少し旧めのヴォーカル等をフルレンジスピーカーなどで聴くと渋さが出て良い雰囲気になるだろうな…という音でした。
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続いてGolden Dragon KT66 retro。これは英GEC KT66のレプリカバージョンな訳ですが、KT66というとスーパー6L6的な電気的性格を有しながら、その音は繊細にして上品。帯域、高域の開放感とレンジの広さに加え、音の粒立ちの細やかさが出てきました。聴感上のレベル(音量感)は僅かにEL34より下がるのですが、奥行感と繊細感が表に出てTさんがお持ちになってハーンのバッハ/無伴奏がとても良い感じで鳴っていて好印象でした。

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続いてはTung Sol 6550。6550というとKT88互換球という理解されている方が多いと思いますが、実際はKT88よりも最大定格が低く、音質的にも異なることを理解する必要があります。ひとことでいえばKT88よりもしなやかで弾力性のある音です。私どもでは定番化していませんがクラシックコンポーネンツでお借りしてきました。

音を聴いて気づくのはこれまで出てきた球と比較して最も大きな違いは低域の量感。グンと沈み込む感じはオーディオ的快感に満ちています。パワー感を殊更ひけらかすのではなく、スケール感を持ちながらも品位のある表現が印象的でした。ペアで1万円を切るお求め易さも魅力です。
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続いて登場するのはGold Lion KT88。SV-P1616Dの音決めはこの球を使って行ったこともあり、KT88らしさがよく出ました。多極管のなかでダントツの人気球な訳ですが音のエッジがシャープでハイコントラストな表現に人気が集まるのも頷ける音。リファレンス曲”ミスター・ボージャングル”のピアノがグッと前に出るとともにウッドベースのローエンドが曖昧にならずにクッキリと出る快感は他の球にはないものです。陰影感よりもステージの隅々にまで光を当てて細大漏らさず情報を拾い上げるキャラクターが人気の背景にある球です。
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残すところあと二つ。最も多極管らしい音のイメージをもつTung Sol KT120の登場です。スーパーKT88ともいうべき上位互換球です。注意すべきはヒーター定格がKT88よりも20%ほど大きいことで、KT88用に設計されたアンプでは使えない場合がありますから注意が必要です。ヒーター一本あたり2A以上流せるアンプ専用の球です。

音質的にもKT88の特徴を更に推し進めたもので駆動力も抜群。現代の低インピーダンス,低能率なスピーカーを鳴らすのに最適な球です。KT88との比較で言うとベースのボリューム感がグッと増え、余裕綽々という感じで大型スピーカーをスケール感タップリに風圧を感じる低域を楽しんで頂ける球です。
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そしてトリはTung Sol KT150。プレート損失なんと70W!現行多極管のキングです。KT120と同じスーパーKT88的ポジショニングでありながら実際の音はかなり異なります。極めて明晰で近い音を聴かせるKT88/KT120に対してKT150は空気感を含めた音場表現が実に素晴らしい。同じCDを聴いてもホールの天井が高くなって楽器の余韻が非常にリアルに聴こえる快感はKT150ならではのもの。KT150はその意味で他の多極管とは性格の異なる球と理解した方がいいでしょう。トリに相応しい音でした。

…という訳で縷々語って参りました現行多極管の聴き較べ。独断と偏見でナンバーワンはこれだ!と番組のなかで言い切った訳ですがTさんと私は一位が別の球。二位は同じ球という結果になりました。ネタバレになってはいけませんのでここでは触れませんが、OA後にでも改めて書きましょう。

今回SV-P1616D/多極管仕様を使って代表的な現行多極管を総まくりした訳ですが、改めて比較してみると私のなかでも幾つかの大きな発見がありました。番組収録というより試聴室で好き勝手喋っているような楽しさがありました。このあとSV-P1616D/300B仕様で現行300Bの一斉比較試聴になだれ込んでいきます。


by audiokaleidoscope | 2016-05-01 11:26 | オーディオ

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