(4/7_2)いまCDを一番良い音で聴くための幾つかの選択

収録2本目は久々のデジタルコンテンツ。ハイレゾという新しい文化が特殊なものではなくなった現在でも、私たちが一番所有し、これからも最も数多く流通していくに違いないCDというフォーマットに改めて注目し、今こそCDを一番良い音で聴く方法を一緒に考えてみようじゃないか、という企画です。

オーディオは一般に”出口ほど音が変わる”と言われます。オーディオの主役はスピーカーで、これを車のシャーシに例えれば、パワーアンプはエンジン,プリアンプはトランスミッション…という風にチューニングが進められて一つのパッケージとしてのオーディオシステムが完成される訳ですが、例外的にLP再生におけるカートリッジの選択がシステム全体の成否を分けるように、デジタル再生においてはD/Aコンバーターに何を選び、どう使うかが極めて大きな分岐点となります。

今回はスタジオ常設、SV-192PROを使ってCD高音質化の3つのアプローチについて実際OAで音の違いをリアルタイムに体験していただくことにしました。曲の再生中にアサインを変えて音の違いを確認するなんて、今まで誰がやったでしょうか。今まで何度となく比較試聴をやってきた私も少々緊張が走る収録となりました。
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まずはCDスルー(バイパス)と192kHz/24bitのアップサンプル時の音質比較です。今回のリファレンスソースは高音質で知られる”MA recordings"(間レーベル)サンプラーCDをリファレンスに使用しました。まずバイパスでトラック1を再生…再生中もマイクを生かしていただいた状態で曲間で”アップサンプリングします”、”バイパスに戻します”を何回か繰り返します。

この差はSV-192SあるいはSV-192PROをお持ちの方は日々その違いを聴いておられる訳ですが、スタジオのモニターでも明らかな音の違いを確認できました。いや音が変わるというのは正確ではないかもしれません。エアが変化するいうのか、音の拡がる空間の大きさが格段に変化するというか、いわゆる奥行感の再現において誰もがアップサンプル後の再生音の方がオーディオ的に優位であることを理解頂けると思います。これはヘッドフォンでなく、是非スピーカーでチェック頂ければ幸いです。情報量が増えて音量が1dBくらい上がって聴こえるほどの差異をご確認いただけるでしょう。勿論電気的なレベルに変化はありません。
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続いてはマスタークロックジェネレーターが登場します。マスタークロックというとその時点で意味不明と言われそうですが、要はデジタル機器内部で時間軸を制御している水晶発振子には一般に10ppm~数十ppmのゆらぎを持っています。SV-192PROでは数ppm以下の選別水晶を採用していますので、一般のデジタル機器より遥かに有利な訳ですが、今回持ってきたマスタークロックMC-3+(MUTEC)は公称精度0.1ppm以下ですので、この差を大きいと見るかどうかはシステムのトータルレベル如何に掛かってくる筈。カメラに例えると僅かにずれていたフォーカスが完全に決まった時の快感と言いますか、微かな音の曇りや滲みが除去されて一層クリアになる効果はシステムレベルの向上と共に無視出来ないファクターになる筈です。Tさんはスタジオのプレイバックを聴かれて”柔らかくなった”と仰いました。いわゆるデジタル臭さ(尖鋭感)が低減された結果といえるかもしれません。

余談ですがマスタークロックを使う場合のノウハウとしてソースの周波数の整数倍クロックにアサインすることが重要です。MC-3+を使う場合、CDであれば44.1kHzの4倍である176.4kHz。48kHz系の音源(例えばハイレゾ)では192kHzを選ぶことによって最良の結果が得られます。
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そして最後の音質向上策はバッファ段の真空管の交換。元々SV-192PROは完成品でご提供しているものですし、搭載されているECC82/12AU7はノイズ,ゲイン選別された球を使っていますので、中途半端な球であれば替えない方が良いとも言えますが、今回は珠玉のCV4003で聴いて頂くことにしました。

Tさんが選んだのはアリス=紗良・オットのピアノ,私は諏訪内晶子のヴァイオリンで総仕上げの音、つまりマスタークロックあり、アップサンプリングあり、CV4003仕様で聴く極上の音はいわゆるCDの音のキメを整え、音のヘッドルームを上げ、更に奥行き,拡がりを改善した一つの終着点ではなかったかと思います。

デジタルオーディオにおける危うさは音質でなく量子化レート競争が主体になっていること。現在の主流は192kHz/24bitですがR&Dレベルでは768kHz/32bit,11.2MHz/1bitに対応したチップも出始めています。この収録の最後に参考試聴として
CD音源を768kHz/32bit,11.2MHz/1bitまでアップサンプリングした音を聴いて頂きます。では音はどうなんだろう…これは聴いていただく皆さんの判断に委ねたいと思いますが、理論値よりも音楽性の方が遥かに重要であることを開発側の私どもは決して忘れてはいけないということを最後に改めて確認できた収録でした。

オーディオは決して特性だけで語れない…それが今回の結論であったかもしれません。OAは6/10(金)20時~です。是非お聴きください!


by audiokaleidoscope | 2016-04-09 05:23 | オーディオ

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