月イチのショールーム開放日…お初の方もいれば毎回必ず顔を見せて下さる方もいる欠かせないマンスリーイベントです。今回ハッピーだったのはいまから10年くらい前、よく交流させて頂いたKさんと久しぶりに再会できたこと。昨年から始まった”原点回帰”プロジェクトもあってか、旧い仲間がたくさん還ってきてくれているようになったと感じる今日このごろ。濃淡はあってもこのように永くお付き合いが出来るのは共通の趣味のお陰…本当に嬉しいことです。
開放日はテーマは事前に決める訳でなく、来られたお客さんが聴きたいアンプや真空管アンプについて質問したいことが、そのままコンテンツ化して試聴室にいる皆で一緒に音を聴きながら議論する…そんなフリースタイル。今回はどちらかいう小物系ネタで盛り上がった感じです。
一つはマスタークロックありとなし。現行の
MC-3+ではフェイルセーフ機構(万一外部リファレンスクロック信号が途切れた場合にも、ノイズ等の混入が回避可能)が追加されたのでクロックのオン/オフを瞬間的に行うことが出来なくなった関係で、敢えて旧モデルMC-3を出してきて音楽再生中に意図的にクロックを入/切して音の変化を実体験して頂きました。
SV-192PROでは水晶発振子を選別し、一般的な民生デジタルオーデイオ機器よりもジッター(時間軸方向での信号波形の揺らぎ)が大幅に低減されています。それを踏まえてもなお、クロック精度が誤差数ppmから1ppm(以下)に向上する効果は或る意味劇的で、MC-3が強制ONされた瞬間に今まで十分だと思っていた音のフォーカスがキリリと引き締まり、音場がパッと拡がるのが誰の耳にも分かるほどの差異が現れます。頭で理解するのと耳で実際に感じるのは大きな違いで立会人の皆さんも音を聴いて十二分に納得されている様子でした。MC-3とMC-3+ではクロック精度も差異があり、MC-3+の公称精度は更に高い0.1ppm(以下)ですから言わずもがなです。いちどクロックを使うともう元へは戻せない事実は”優劣”という言葉の入り込む余地の少ないオーディオという文化の中で、数少ない絶対的優位と言えるのかもしれません。
それともう一つ...Yさんが持ってきて下さったのがこれ。
前回ホンモノが登場したWE618Bに感化されてYさんが購入されたのはレプリカ。今回本家は残念ながら欠席でしたが
SV-310EQの標準MCトランスと比較してみたところ、このレプリカにもしっかりとウエスタントーンが感じられて好感を持ちました。おそらく試聴室のリファレンスカートリッジ(14Ω)よりも更に低いインピーダンスのカートリッジの方が合っているようです。
ネットの書き込みや雑誌の記事からは読み解けない事がたくさんあります。例えば”冷たい音”とか”温かい音”という音のイメージは言葉を超えて人の数だけの意味と拡がりを持つでしょう。短い時間でも実際の音を聴いていただくことで初めて見えてくることがある…こういう体験を共有する(シェアする)場が私どもの試聴会やショールーム開放日の狙いであり、成果と言えるのだろうと思っています。これからも続けていきたいものです。