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(1/21_1)”ORTマスタリング”の神髄に迫る

三日間の出張を終え、ほうほうの体(てい)で帰社。バックデートして報告していきます。

21日(木)は”真空管・オーディオ大放談”の収録。一本目は久々の音源モノで今回は日本コロムビアの新技術”ORT”(Overtone Reconstruction Technology)の大特集。
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ゲストはスタジオ技術部の冬木さん(左)とチーフマスタリングエンジニアの田林さん(右)。ORTは文字通り”倍音再構築テクロジー”な訳で、倍音こそが音楽再生の最重要タームであると信じて真空管アンプ一筋にやってきた私だけでなく全てのオーディオファンにとっても必聴の2時間になりました。オンエアは3/4(金)22時~(再放送は11日同時刻です)。

そもそもORTは何なのか…と言うとCD相当のスペックで録音されたデジタルマスター音源の倍音成分を解析し、その高域倍音成分を再構築することより、本来の楽音がもっていた豊かな音色やなめらかさを復活させ、ハイレゾ音源として蘇らせるマスタリング技術。ハイレゾという言葉こそかなり周知されて来ている訳ですが、その本質がどこまで理解頂けているかがやや曖昧な状況のなかで、今回の収録ではORTの独自性と拘りにフォーカスしたつもりです。

正直なところハイレゾであれば全て高音質だという理解は正しくありません。単にビット深度を上げたりサンプリングレートを上げるだけなら今や誰でもPCさえあれば出来る訳です。単純計算で例えば96kbpsのMP3音源をPC上で9216bps(192k/24bit)に変換すればデータ量としては約100倍。じゃ100倍音が良くなったかというと決してそうではない訳ですし、実際市場にリリースされているもののなかにも”名ばかりハイレゾ”も無いわけではありません。まさに玉石混交,群雄割拠という状況にある訳ですが、今回e-onkyo musicの特集ページを見て興味を持ち、実際聴いてみてその音の良さに痺れて直ぐに取材の申し入れをさせて頂いたという訳です。

ORTはCD相当のデジタルで保存されているマスター音源に可聴帯域外の超高域における倍音補完を行い帯域伸長を図っています。ハイレゾに興味のある方は恐らくVICTOR K2HDとどう違うのかな…と思われたことでしょう。両者の目的は同一ベクトル上にありながら、そのプロセスや出音には大きな違いがあります。ひと言でいうならばORTは元々マスターが持っている領域のデータには殆ど触らず(元々の音楽性を重視し)、量子化の過程で失われた(であろう)超高域を独自の倍音再生成技術によって、”作り直す”のではなく、”補う”技術であるということです。それも一義的なパラメータによるオートマチックな処理でなく、音を聴き込んで、ソースそれぞれに相応しい(原音を損なわない)処理をタイトルごとに緻密に行っているところが特徴。対してK2HDは元音源を一つの素材として最先端テクノロジーと職人芸(エンジニアの匠)によって料理し直す技術と言ってもいいかもしれません。

敢えて言えばK2HDが映画館で見る大画面の迫力だとすればORTは超高精細4Kモニターで見る世界観。真空管アンプにおける”上方リニアリティ”がK2で”下方リニアリティ”がORTであると感じました。昨年12月,そして今月リリースされた音源はCDで大ヒットしたものばかり。
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マーラー5番/インバル※画像転載許可:e-onkyo music

まずは一枚。CDで持っている音源を比較用にダウンロードしてみて下さい。それだけでORTの神髄を十分に理解できる筈。オンエアではなかなか文字には書けないギリギリのところまで突っ込んだ内容に言及していますので是非お聴き頂きたいと思います。2月の試聴会でもORT特集をやろうかな、と思っているところです。乞うご期待!!です。



by audiokaleidoscope | 2016-01-23 06:28 | オーディオ

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