(12/23)失敗したっていいじゃない!

キット屋の年内稼働は今日を入れてあと3日…今ごろ物流センターでは暮れの出荷でテンヤワンヤに違いありません。私はショールームで受注関係のデータを眺めながらSV-S1616Dを予約されたNさんが書いて下さったコメントにふと目が留まりました。

アンプキットの到着を心待ちにしています。300Bアンプの製作は、学生時代から数えて50年来の夢でした。

なんでこんな仕事をしてるのか…まさにそれは子供の頃から人体の不思議,宇宙の不思議,電気の不思議このどれかを仕事にしたいと思っていた私の夢そのものだからです。その夢を"モノづくり”というキーワードのもと共有できる沢山の仲間がいる幸せを噛みしめながら、何となく旧店主日記(2002/5~2012/3:現在閉鎖)を読み返していて、こんな一文を過去の自分が書いていたことに気づきました。

2008,04,06, Sunday
失敗したっていいじゃない!

私も今まで数え切れない程のアンプを組み立てて来て、やっと完成したのに音が出なかった時のショックというのは本当に言葉に表すことが出来ません。今まで何日も書けて手塩にかけてきた自作のアンプ・・・緊張の電源ONの瞬間・・・さあ、出て来い!と心に念じて・・・アレおかしいぞ片方音が歪っぽい、とか両方とも音が出ないとか、ひどい時には電源ONと同時にFUSEがブロー、なんて事も皆さんの10倍くらいは経験してきたと思います。

暫くは呆然自失,そして突如襲ってくる疲労と倦怠感,遂には自分に対する苛立ち・・・金と時間を掛けてオレは一体ナニやってるんだろうか、という自戒(自責)の思いです。これも味わった者にしか分からないでしょう。暫く時間がたって少し冷静になって改めて見直してみても異常や間違いは見つけられない、というところで私どもにメールや電話を頂戴する、というのは多くのパターンであると思います。不思議なことに以前は「何度も見直した。間違いない」と思っていた自分のシゴトを改めて客観的に見てみると「あれ?ここって・・・」という箇所が見つかるから不思議なものです。気づいてみればホンの些細なことが大半である訳ですが、その芥子粒ほどの不具合で音が出ないというのもアンプ製作の一つの深み,パズル的な面白さなのかもしれません。

キット製作は山登りと同じ。その過程にこそ歓びがあるからです。苦しい時、立ち止まって足元の草木に目を遣りながら再び一歩一歩歩んでいく。早い人も居れば遅い人も居る。早い人が偉い訳では決してなく、ゆっくり登る人ほど景色もゆっくり楽しめるという事も言える訳です。

人生も多分同じ。上手くいくことよりも難儀することの方が遥かに多いですが、それでも皆さん、私もそうですが曲がりなりにも毎日こうやって生きている訳です。どうしても駄目な時には私どもがスタンバイしています。大船に乗ったつもりでトライし続けることが一番大切な事だと思います。そうする事できっと良い結果が出るに違いありませんから。

きっとこの冬休み中も”ここがどうも分からんのだが…”。"音が出ないんですが…”なんてメールを頂くこともあるでしょう。リスクを回避することが何よりも優先されるこの世の中で敢えて自分に挑戦するモノづくり…これをナンセンスと切って捨てることは簡単ですが、でもこの楽しさ,素晴らしさは体験した人にしか分からない…人間が根源的に持っている欲求の一つであるに違いありません。

自分が作ったアンプやスピーカーで音楽を聴く歓び。若年層のクラフト離れが叫ばれて久しいですが、これからも愚直にこの仕事を続けていこう、そう思わせてくれたIさんのひと言…とても心に沁みました。

b0350085_16570766.jpg
懐かしいSV-7(マジックアイ付5球スーパーラジオキット:2001~2005頃)




by audiokaleidoscope | 2015-12-23 17:04 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31