(10/23)差はローレベルの再現性に現れる
2015年 11月 23日
この284Dというアンプの本質…以前から申し上げている通りですが、再度繰り返します。パワーアンプ(たとえば300Bシングル)単体で5Wで出ていると仮定します。これに284Dを加えて同じ5Wを得たと仮定すると前置されている300Bシングルの出力は1W前後になるでしょう。つまり単体ドライブ時よりも遥かに歪みの低い(=言いかえれば91Bのもっとも美味しい)領域で、三極管シングルの最大の特質である透明感が一層際立った音質で楽しむことが出来るという訳です。
これまでいろいろな前置アンプやスピーカーでSV-284Dの本質をチェックしてきましたが、最近特に痺れたのはTさん宅で聴かせていただいたB&W 800 Diamondの音でした。元々お使いだった半導体アンプで音が薄い、音楽の抑揚が感じられない…ということでSV-91Bをお持ちしたのが2012年。元のアンプの出力と比べて1/30(10W)しかない91Bの方が遥かに躍動感があると仰られていたのですが、先々月、284Dを試してみたいということで持ち込み試聴に臨んだところ、音量そのままでもローレベルの解像度,音場の再現性,気配の表現が全く別物になりました。
アインザッツの瞬間の一瞬の静寂感、僅かな空気の揺らぎ、指揮者が棒を振る瞬間の吸い込む息の緊張感…言い換えれば”気配”の再現性において284Dありと無しでは比較にならない表現力の差異がありました。”差はローレベルの再現性に現れる”…これはハイレゾ音源の最大のメリットであることは番組や試聴会のデモでも何度も繰り返してきたことですが、この”下に効く”感じはまさにSV-284Dの最大のメリットであるといえます。
言い古された言葉ですが”この音源にはこんな情報まで入っていたのか!”という驚きが遠くイタリアまで届く日が来るといいのですが…。