(11/16)気をつけよう!タマの差換え
2015年 11月 16日
今日は最初にちょっとご注意いただきたい話です。最近"真空管差替えブーム”が非常が流行(定着)し、それ自体は非常に結構なことですし大いに楽しんで頂きたいのですが、一部で明らかに定格オーバーのタマを差換えてアンプに異常を来すケースが見受けられることを少し心配しています。
300Bアンプに2A3を挿してタマが壊れることは皆さん知っています。電圧的に×ということまでは分かっていても電流的にどうかということまでは知らずに使ってしまって後で痛い目に遭うことがあるようです。特に最近整流管アンプでトラブルを伺うケースがありますので、具体例を示しながら説明します。
(Q)元々整流管が274Bのアンプに5U4(G)が使えるか?
(A)アンプの設計を確認する必要があります。元々274Bのフィラメント定格は5V/2Aです。対して5U4系は5V/3Aになっています。私どものSV-91BやSV-310のように元々5V/3Aの巻線を持っていて5V/2Aの274Bを使うような設計になっていれば5U4系もOKな訳ですが、電源トランスのヒーター巻線が5V/2Aのアンプに5U4系を使うというのは過負荷となり、最悪の場合、電源トランスの過熱,巻線の焼損を起こします。
(Q)では元々整流管が5U4(G)のアンプに274Bが使えるか?
(A)基本的には×です。上記の逆でヒーター電流的にはOKでも、コンデンサーインプット容量(uF)の不適合が生じ、整流管の寿命が著しく短くなる可能性があります。整流管はフィラメント(ヒーター)が立ち上がった直後、一時的に突入電流が流れます。この電流値に大きく影響しているのが整流出力後、最初に置かれたコンデンサーの容量(uF)なのです。ちなみに274Bは4uF~10uF(前後)、5U4系は30uF~40uF(前後)が目安です。それぞれの整流管の定格インプット容量(uF)よりも大きな値のインプット容量をもつ回路で使用すると、一時的に過大な突入が生じ整流管にとっては極めて大きな負荷となることに注意しなければなりません。
まだ他にも最大尖頭電圧や電源トランスのB巻線抵抗値など注視すべき指標があります。これは音が良いとか悪いとかの次元の前に安全に長くお使いいただくための重要な規範ですので、もし自分なりに考えがあれば事前に設計者に確認する必要があるでしょう。少なくとも"○○は差換えてOKですよ!"と言われていないタマを使うということは何らかの背反事項があると思う方が賢明です。
以前あるメーカーのアンプで頻繁に整流管(5AR4)が憤死するトラブルが起こりました。回路を確認すると適正インプット容量40uF~50uF(前後)のところ220uFが置かれていた事例があります。これでは過大な突入電流が発生し、5AR4が壊れても仕方ありません。訊けば残留ノイズレベルを改善するため、気づかずに設変したとのこと。メーカー製アンプでもこういう事がありますので、中古品や改造品には一層の注意が必要です。確認せずに安易に変更するのは危険であることを改めて申し上げておきたいと思います。
今日はそんななか、安心できるアンプの新発売をお知らせします。先日告知させて頂いたTU-8200の上位モデル、キット屋専売のTU-8200SVが今日からホームページにアップされました!
エレキットさんとは長い付き合いで設計,販売,サポートいずれをとってもサスガ!と唸らせられる素晴らしいメーカー。今回私どもの為に専売モデルでコラボしてくれたことを本当に嬉しく思っています!