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(10/24)クレーメルの薔薇

最近一番多いメールは"SV-S1616D(P.24)はいつから予約受付でいつから出荷開始になるの?"という内容。スケジュール的には今月末までにWEBでの受注環境を整備し、11/2(月)17時~ホームページでの予約受付を開始する予定です。発送は12/20頃を予定しておりますので、お楽しみにお待ちいただきたいと思います。

ところで今日は大阪のMさんと名古屋駅で待ち合わせて愛知県芸術劇場へ。
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元々は所用で行けないと諦めていたギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカの公演を楽しんできました。クレーメル/バルティカの演奏を聴くのはこれで2回目。それまでクレーメルといえば古典派あるいはロマン派のクラシックスタンダードを得意とする硬派の男性ヴァイオリニストというイメージだったのですが、バルティカというフレームの中で時に現代的かつ即興的芳香にあふれた演奏に触れ、当時大変感銘を受けたものです。

そのバルティカの演奏。今回の演目はすべて初めて聴くものばかりで、それはもう楽しみでありましたが所謂サロン的クラシックの悦楽とは一線を画した、リリシズム溢れ五感全体を刺激するようなある種音楽を越えたイリュージョンであったと回想します。極めて絵画的でありイマジナティブ…改めてクレーメルが"鬼才"と云われる所以を見た想いでした。

今日のタイトルは"New Seasons"。四季といえばヴィヴァルディですが、その古典を枕にしながら更に飛躍した"時空と精神の旅"をクレーメルは表現したかったのかもしれません。

最初のラスカトフ「"四季"からのダイジェスト」で満点の星降る北欧の針葉樹林を逍遥するような空間的印象を提示したあと、二曲目フィリップ・グラス「アメリカの四季」で普遍的土着性ともいうべき多様な価値観を肯定してみせ、その後、梅林茂「日本の四季」では日本固有の色彩感と繊細な美意識を遺憾なく昇華させました。其の後、我々の乗った船はアルゼンチンへ。ピアソラ「ブエノスアイレスの四季」では哀愁と諧謔の交錯した世界観を展開。聴衆は2時間余りの世界旅行を満喫したような満足と興奮に包まれました。

クレーメルの演奏を聴いていつも思うのは"深紅の薔薇"のイメージ。極めて脆く、極めて繊細で、限りなく美しい。しかしその美しさは見えない"棘"(とげ)を内包している。全身の知覚が最大に活性化される麻薬的快楽とも言いましょうか。クレーメルのニコラ・アマティ(1641)はストラドのように声量が大きい訳でもなく、時に消え入るような表現の細やかさを漂わせながらも、私たちをして自然に細大漏らさず聴こうとさせる何かを持っている音色でした。

Mさんも大阪から聴きにいらっしゃった甲斐があったと思って下さった筈。会場にはデカチョーさん、第九のIさん、空港のHさんなど、見知った顔もたくさん拝見できてうれしい限りでした。今日はやや暖かく感じられる穏やかな陽気でしたが、会場は凛として透明度の高い秋の空そのものの爽やかさを感じたひと時でありました。素晴らしかったです。



by audiokaleidoscope | 2015-10-25 00:22 | オーディオ

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