(9/24)金木犀の薫りと共に

皆さん、こんばんは。毎年お盆明けから9月下旬までは比較的ゆったりした時間が流れるものですが、突然後ろから蹴っ飛ばされたように忙しくなるのもこの時期。ついに今年もやってきたなあ…という感じです。年末に向けてノンストップで走る覚悟を決める時期でもあります。

そんななか、今日は埼玉からSさんご夫妻が試聴にいらっしゃいました。Sさんとこういう感じで親しくお話するのは今回が初めてですが、メールではずっとやりとりさせて頂いてきて、ハイエンド上がり(私は崩れですが…)という部分で共通点もあり、一度ちゃんと私どものの音を聴いて頂きたいと思っていたのです。

現代スピーカーを真空管で鳴らした時の音の自然さ、小音量時の生々しさに開眼されて数年。SV-310EQに次いでSV-310をお求めになって今回は本丸パワーアンプをどうしよう?というテーマでした。

SV-501SEのマッスの響きの円やかさ,SV-91Bの抜群のソノリティの良さを体験されたあと、SV-284Dに話が移って、”出来れば一番小出力のアンプで284Dを追加するとどうなるかを聴いてみたいんですけど…”とSさんが仰るので出してきたのが往年の名機”エレキットTU-870”。私どもから何台販売したか分からないくらいのウルトラベストヒットでした。2万円でお釣りのくる真空管プリメインアンプとして多くの方がTU-870によって真空管アンプの虜になった忘れられないモデルです。

このアンプ、音は本当に良かった!ただ出力が2W前後しかとれず、低域のドライブ力が充分とはいえなかったのは或る意味仕方のないところでした。このアンプの音を作っているのは6BM8…じゃあ6BM8シングルに300Bブースターを追加したアンプを作ってみよう!と思って作ったのがSV-501SEであるのも何度も申し上げてきた話です。それをSさんは300Bでなく845(SV-284D)でブーストしてみようというのですから、これは面白い実験です。
b0350085_20162861.jpg
TU-870の魅力は6BM8の魅力そのものと言い換えても良いかもしれません。決して彫琢の深い音ではありませんが、何と言うか…私たちが”真空管”という言葉からイメージする解れた倍音をこれほどまで素直に出す球はなかなか他にありません。SV-284Dを追加すると、その6BM8の魅力そのままに低域のドライブ力が爆発的に上がってMIDを楽々制動しています。測定した訳ではありませんが10Wは軽くクリアしているでしょう。まるで6BM8を大きな拡大鏡で覗き込んだような音の景色に思わず息を呑んだ瞬間でした。
b0350085_20570366.jpg


B&WのSilver SignatureをGoldmund(スイス)のアンプで鳴らされていたSさんがひょんなことから真空管の音の良さに目覚め、今日色々と私どものアンプを聴かれて何を感じられたか…それは私にも分かりません。ただ最後に鳴らしたLM91Aの音に”真空管に出会って良かった”というSさんの気持ちを感じたの事実です。

私が真空管の音の良さを知ったきっかけは先日の雑誌取材の時に書いた通りですが、Sさんがそうであったように一人でも多くの方にこの魅力を知って頂きたい…ショールームを発たれる時に外へ出てふっと金木犀の薫りと共に感じた初秋の一日でした。明日から再び東京です。



by audiokaleidoscope | 2015-09-24 21:35 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


by SUNVALLEY audio
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31