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(5/22)GPS10MHzクロックのマジック

皆さん、こんにちは。昨日、仕事終わりのショールームでYさんが持ってこられた秘密兵器を評価してみました。
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TL3Nの上に乗っている右側の小箱が昨日の実験対象です。左の三脚に載っているのはGPSアンテナ。さてナンでしょう…?

最近のデジタルオーディオの著しい進化に伴ってPCM音源は近い将来DXD(384k/32bit)までカバーされると思いますし、DSDも11.2MHzが増えていく状況のなかで、昨今スタジオやハイエンドオーディオ界で囁かれているのがクロック精度向上の必要性についてです。

以前からクロック精度の向上で音質が改善することは皆さんにも何度も申し上げてきましたし、MC-3やMC-3+導入のメリットを通じてクロック精度と音質の関係についてお伝えしてきたのもその為です。

少々細かい話になりますが、汎用の音響機器に内蔵されている水晶発振子の精度は50ppmから良いもので20ppm程度です。これを分数に直すと1/20,000~1/50,000の誤差(ゆらぎ)ということになります。SV-192PROでは選別した水晶発振子を使用していて数ppm(1/数十万)程度にまで下がっていますが、クロックジェネレーターを接続することで1ppm以下(1/百万)以下の精度まで改善することで音質上決して無視できない差異を生むのです。

外付けのクロックはスタジオなど音源制作のプロセスで使用されることはあっても、家庭で使われることは稀でした。それがこの10年ほどで様相が変わり、ハイレゾの波が後押しとなって一気にメジャー化してきたことが普及の背景です。MC-3+は工場出荷時の公称精度が0.1ppm(1/一千万)ですから機器内蔵の水晶発振子の精度とは全く比較になりません。音質的にはシャープネスが上がり、解像度が向上します。写真で言えば僅かにずれていたピントがビシッと合う感じといえば分かり易いかもしれません。真空管アンプでは音の滲みが取れ、より粒立ちが細やかになり、真空管の持ち味であるシルキーなニュアンスがより明確に味わえるようになることから外部クロックを使う方が随分増えてきました。

皆さんの中でもクロックジェネレーターをお使いの方がかなりいらっしゃると思いますが、”10MHz入力”を装備したものがあることはご存じでしょうか。これは更にクロック誤差を減らす為に高精度の10MHzの正弦波を受けるための入力で、所謂ルビジウムクロックなどを接続することで更に高音質を楽しむ為のもの。昨日はこの10M入力を試してみようと思った訳です。因みに水晶発振器にも様々なグレードがあります。

SPXO :通信機,産業機器,民生用電子機器など
VCXO :受信機など
TCXO :携帯電話など
OCXO :携帯基地局など

精度的にはSPXO < TCXO < VCXO < OCXO の順で上がっていく訳ですがOCXO単体で一般的に10マイナス8乗~9乗程度の安定度(1/1億~1/10億の誤差精度)を有します。恒温槽によって温度補償を行い、内部の水晶振動子の温度を安定度の良いところで一定に保つことで 極めて高い周波数安定度を維持するというものです。

因みにMC-3+の単体精度は0.1ppm=1/1000万(出荷時公称値)ですが、昨日Yさんが持ち込んだ10MクロックはOCXOグレード+GPSクロック受信機能付き。もちろん単体(GPS非受信)でも10Mを出力できますが、キモは最も信頼性の高い通信衛星のクロックを貰って限界まで精度(音質)を改善できるところです。GPS受信時の公称精度は何と10マイナス11乗。つまり誤差1/1000億!というから凄いです。

注意すべきはインピーダンスマッチングです。測定器,通信機などではは50Ω出しが多く、オーディオ系では75Ω受けがよく見かけます。昨日の実験機も恐らく50Ω出しと思われ、MC-3+の75Ω受けで大丈夫か少々心配したのですが、確認したところ10MHzで使う分には波形的には全くといっていいほど影響なしということでしたので、そのまま使ってみました。

早速試してみましょう。まず単体でGPSを捕捉することを確認(LEDで視認可)。直ぐにMC-3+に繋ぎます。

正直最初は???…なんだ変わらないじゃないか、というのが正直な感想でした。ハイレゾだけでなくCDでも同様の結果だったので、内心2万円だから仕方ないな…と思っていたのです。しかし、通電して20分ほどした頃からでしょうか。PCで聴いていたハイレゾの音がどんどん締まってきて解像度が上がってきたのが分かります。Yさんも明らかに変化してきたことに気づかれている様子。

そうか!…これが恒温槽による温度補償の効果なんだな…最初は温度が上がらずに精度が出ていなかったんだ…ということに気づきました。スタジオではクロックの電源を落とさないというところが多くあるのも、この偏移を嫌ってのことです。MC-3+はマニュアルで10M入力と内部クロックを切り替えられるので、音質の比較も容易です。これが10M入力時の表示です。
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10M入力時は低域方向の解像度が上がり、音場(特に奥行き)感が改善されます。昨日は専らハイレゾを聴いたのですが、YさんによればハイレゾよりもCDなどサンプリングレートが低い音源の方が改善の度合いも大きいとのことでしたので、Yさんが次回開放日にいらっしゃれば皆で確認してみましょう!

次にSWD-CL10でも試してみようということになりました。これにも10M入力端子がついているのです。
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不思議なことに同じ10Mクロックを繋いでもMC-3+とCL10では音の変化の様子が異なります。CL10の場合はよりエッジが立ったように思われるのは、単体でのクロック精度の差異(CL10は公称0.28ppm)が原因かもしれません。何を触っても音が変わるオーディオの深みを見た思いでした。

いずれにしても、これは是非個人的に10Mを導入しないければ!と感じています。ピンキリのオーディオ業界ですが、昨日使った感じではYさんの持ってこられたもので充分満足いく結果が得られました。

クロックで音が変わる…というと何だかオカルトチックに感じられるかもしれません。しかし個人的にはケーブルを替えることによる「変化」とは一線を画す「明らかな改善」ですので、もしチャンスあればクロックジェネレーターの導入、更には10M入力の素晴らしさを是非体験してみて戴きたいと改めて申し上げたいと思います。今までとは別の音空間が皆さんのリスニングルームに出現する筈です!



by audiokaleidoscope | 2015-05-22 12:28 | オーディオ

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