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(4/10)おばあちゃんの2A3

皆さん、こんにちは。

早速ですが昨日お知らせした開放日(千葉編:5/16土曜開催)ですが、既に20名さま弱のご参加のお申し出を頂戴しております。参加ご希望の方はお早目にご連絡頂ければ幸いです。

ところで昨日試聴にいらっしゃった京都のYさん。事前に電話でお話させて頂いた感じでは60代後半のお客さまかなあ…と想像していたのですが、お会いして年齢を伺うと81歳と伺って驚きました。矍鑠(かくしゃく)というより溌剌とされていて、とても素敵な年齢の重ね方だなあ、と思いました。カメラ片手にウォーキングを欠かさないと仰るYさんに秘訣を伺うと、「良い音楽を聴くことですね」とのこと。

そんなYさんのお目当てはJB-320LM。2A3は持ってるから、それで試聴したいと仰るので、早速拝見すると1960年9月のDate Codeが付いたNOS/NIB(元箱新品)のRCA 2A3。一度も通電せずに55年間眠っていた球が目覚める瞬間に立ち会う緊張は私も一緒で,思わず電源SWを入れる手にも力がこもります。本来はNOS球の場合、整流管を抜いて数十時間通電することでヒーター(フィラメント)のバーンインを行ってから稼働させると一層安心なのですが、今日はそれをやっている時間がないので、素早く確認を行うこととしました。

一瞬逡巡したのち、意を決してON。ノイズ,スパーク,異臭なし。プリの音量を上げていくと紛うことなきRCA 2A3の美音がスピーカーから放たれてきます。出力,左右バランスも全く問題ありません。Yさんの嬉しい気持ちがこちらにも伝わってくるようで、ずっと聴かせてあげたかったのですが、いきなり起こされて「さあ走れ!」と球に言っているような気がして、早々に電源を落しました。今や大量生産,大量消費,大量廃棄のサイクルで10年前の家電などは修理より買い直しが普通といわれる時代。半世紀以上も前のデバイスがそのまま使えるというのは本当に素敵なこと。単なる骨董でなく、一つの文化遺産ですから大切に使わなくてはいけません。

Yさんに「全く問題ないです。良かったですねえ」と2A3をお返しすると、「実はもう1ペア別の2A3があるので、それも検査してくれませんか」と仰います。「もちろん!」と申し上げると、RCA以上に丁寧に包まれている球を渡されました。見るとマツダ(旧東芝)の2A3。これは私も実物を見るのは初めてですが、造りもよく当時の日本の真空管製造技術の高さをうかがわせます。RCA同様慎重にJB-320LMにセットし、徐(おもむろ)に電源を立ち上げたところ、同じようにふわっと音が出始めました。
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それまでソファに座っておられたYさんが思わず立ち上がり、320LMに近寄ってずっと球を見つめていらっしゃいます。そのうちYさんが「この球はね・・・私が15の時におばあちゃんに買ってもらった球なんです。受験勉強を頑張るからって。それで勉強しながら自分で作ったアンプにこの球を挿して聴いてたんです。懐かしいな…今でもちゃんと使えるなんて」と仰るYさんの目には光るものが。

今から65年前の想い出が一対の真空管で甦るのを横で見ていて私もグッときましたが、Yさんは「このアンプを自分で作って、いずれは孫に渡そうと思っているんです」」と仰るのを伺って、是非そうしてあげてください・・・きっとおばあちゃんも喜ばれると思いますと申し上げると、Yさんはとても嬉しそうに笑っていました。

真空管が繋いでゆくYさんの想いと歴史。とても素敵なひと時でした。



by audiokaleidoscope | 2015-04-10 09:51 | オーディオ

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