行方さんと寺島さん
2015年 02月 10日
MUSIC BIRDの4月番組改編で新たにオーディオファイル向けチャンネルが出来ることは既にお伝えしましたが、チャンネル名はその名もズバリ、「The Audio」と決まったそうです。昨日は私の新番組「大橋慎の真空管・オーディオ大放談」(金曜20時~,翌週リピート)の第一回,第二回(各2時間)の録りでした。
記念すべき第一回(4/3放送)はキャリア50年!レコーディングエンジニア界のレジェンド、行方洋一さんです。
予め伺おうと思っていたのは、何故敢えてデジタル音源を敢えて一旦アナログに変換してから96kHzに刻み直しているのかという点。これは私の知る限り他に類例がありません。行方さんによればアナログ的密度感,なめらかさを出すためにそうしたとのこと。プレイバックを聴かせて頂いた感じでは明らかに元音源よりも厚みや弾力性,しなやかさが増してテープ音源を聴いているような錯覚を覚えました。なんとDACを使わずSTUDER A730を使っていらっしゃるという点も納得。
続いて第二部は行方さんがある種ライフワーク的に手掛けてこられた生録音源。オルゴール,野山でさえずる鳥の声,梵鐘,大太鼓,花火,祭りのお囃子などの音源。これも実に良かったです。
そして第三部は行方さんが手がけられてきた1960年代後半以降の数々の名曲コーナー。坂本九「明日があるさ」はオリジナルとリマスター音源の比較。その他、奥村チヨ「北国の青い空」,ドリフターズ「スンドコ節」,欧陽菲菲「雨の御堂筋」など録音時の秘話なども含め当時の音楽業界の活況を垣間見ることが出来ました。
行方さんには同じ音に関わる仕事をしている大先輩として他にも伺いたいことが沢山ありましたが、2時間ではとても足りませんでした。是非また何らかの機会にご出演頂きたいと思っています。
続いては寺島靖国さんをお迎えしての第二回(4/10放送)です。
寺島さんの放送を聴き、著作を読み始めて20年になる私ですが、今まで何度も顔を合わせながら、今回のように二人で対峙して対談するのは初めてのこと。そこで事前に98年~02年頃の「PCMジャズ喫茶」の音源を聴き直したり、著作を読み直しながら幾つかのキーワードをピックアップして寺島さんのオーディオ観,音楽観を改めて引き出そうと考えていました。
ところが対談開始直後に「過去の事なんてどうでもいい!関心があるのは今、そして先のことだけだ」と最初からドンデン返しを喰らって私の事前準備は全て水の泡。完全フリートーク,「朝まで生ラジオ」とでも改名した方が良いのではないか・・・と思うようなディベートが繰り広げられました。
そんな中で寺島さんが持ってこられた「寺島レコード」の音源からラフミックス,完パケ,アナログラッカー盤の聴き較べは実に痛快無比でした。特にラフミックスと完パケの違いたるや、放送を聴いていただくと驚かれるのではないかと思います。如何にマスタリングという工程が重要あるかということですね。
あとは・・・聴いてのお楽しみ。凄い事になってます(笑)。とても楽しいひと時でした。