服とオーディオ
2014年 09月 30日
皆さん、こんばんは。金木犀の薫りがとても気持いい季節になりました。
今日は午後から80年代の終り頃に一緒に夢を追っていた友人と再会し、昔話に華が咲きました。いまの会社にお世話になる前、私が服飾の世界にいたことをご存じの方も多いと思います。その頃の仲間です。
よく「洋服とオーディオなんて正反対の業界で面白いね」と言われますが、実はやっている本人としては服づくりもオーディオづくりも非常に似ているところが多いと感じていて、違和感を感じたことはないのです。
服飾業界ではMD(マーチャンダイザー)という業務をやっていました。単に仕入れ担当を指す言葉として使われる場合もありますが、本来は市場動向を注視して次に何が流行するかを予測しながらいつ、どんなモノを、幾らで投入すべきかを検討し、品揃えを構築する業務をいいます。多店舗展開の場合は主に製品開発がメインとなります。
デザイナーが作家的に製品をゼロから「創る」仕事だとすれば、MDは既に世の中に存在するトレンドを注視しながら次に来るだろう流行を予測して製品を「造る」仕事であると説明すると分かりやすいかもしれません。
当時の私の仕事は半年先を読んで服づくりをする仕事といえば格好良いですが、服飾専門学校を出ている訳でもデザイン画が描ける訳でもありませんので、写真やサンプルを見ながらイメージを協力企業さんのパタンナーに伝え、型紙を起こしてもらい、出来上がったサンプルをチェックし、修正し、素材決定、原価企画、売価設定をして世に出すことでした。
つまり服とオーディオというアイテムの違いはあるものの手法としてはほぼ同じで、モノづくりという点では何も変わらないのです。もっと言えば服とオーディオがそっくりなところはその製品一つだけで評価されるものではないということ。つまり組み合わされて(コーディネイトされて)初めて結果が出るという点も同じなら、服(機器)そのものでなく、着る(使う)人にとって合うモノを提供しなければ失敗に終わるという点も同じです。
MDをやっていた頃、接客が苦手な店舗のスタッフには「服を見ないでヒトを見るんだよ」と年柄年中言っていました。つまり「何が売れて(流行って)ますよ」ではなく常に「あなたにはこの服が合いますよ」という目線でいること。主役は服でなくヒトであるということ・・・これもオーディオの業界へ来てからも全く同じです。これぞ「音は人なり」そのものです。私の家で音楽を聴きながら旧友と昔話に華が咲いていたのですが、彼が「モノづくりという意味でとてもよく似ているし、答え(結果)が相手によって全て異なるという事も同じだね」と言ってくれて嬉しく思いました。
ともするとオーディオ機器は技術的、定量的視点から開発され、自己完結型評価されることが多く「他のモノと組み合わされてどうか」という評価(目線)は少ない訳ですが、服と同じで最終的にはコーディネイトされて、作り手でなく使い手にとってのベストを提案できる能力が求められます。品質重視は結果でなく過程であって、顧客不在の「プロダクトアウト」発想では本当に良いモノは生まれません。お客さんが何を欲しているか=「マーケットイン」が問われているのは、どんなモノ(業界)でも結局は同じなのだと思います。
キット屋も少しづつですが製品の再整備が進んで来て、これからどんなマーケットインを実現していくのか・・・従来の開発手法と異なるプロセスで出来上がったSV-2300LMが世に出てどういう評価を頂けるのかを注視しながら次のMDを考えていきたいと思います。
