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オリジナルの価値

皆さん、こんばんは。

今日は月イチの地元FM番組収録日。

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「ようこそ!オーディオルーム」はオールアナログ(LP)オンリーの構成なので、事前準備が結構大変。CDであればパパッと選んで構成を考えていけば良い訳ですし、番組によっては現場についてから局のCDラックを眺めて「今日はこの辺でいきますか・・・」的なことも十分可能だったりするのですが、私の番組は音楽的にもオーディオ的にも拘って聴いていただける皆さんのレベルに相応しいものにしないといかん・・・ということで準備にも毎回気合いが入ります。

今回は「ヴォーカル・ジャズ特集」。敢えて「ジャズ・ヴォーカル」としなかったところに少し拘りが・・・。ヴォーカリトがコンボ(オケ)を従えて歌う感覚よりも、ヴォーカリストが他のメンバーと一体感をもって・・・言い換えれば主従の関係ではなく、ヴォーカルとピアノ,ベース,ドラムが同列の感覚で曲を演っている雰囲気を大切にして選曲してみました。

今回からディレクターが替わって、そういう面でも少しいつもより緊張したかなあ・・・という部分はありましたが、まあ10/4(土)22時~の本放送(ネットでも聴けます)を楽しみにしたいと思っています。

今回用意したLPも大半がいわゆる「オリジナル盤」=”ファーストプレス”の音源。勿論そんな貴重品を私が網羅できる筈も
なく、今回もジャズ喫茶「グッドベイト」の神谷マスターにお願いして、ご本人曰く「非常持ち出し盤」=何かあったら真っ先に持って出るお宝を貸して頂きました。感謝!!

今回の機材関係は

アナログプレーヤー : SV-A2
カートリッジ : Ortofon SPU
フォノEQ : SV-310EQ(All WE仕様)
プリアンプ(A/Dコンバータ) :SV-192A/D(192kHz/24bit環境)

という布陣です。

ところで皆さんはオリジナル盤というとどんなイメージをもたれるでしょうか。その筋のプロから爆裂弾が飛んでくるといけないので知ったかぶりをするつもりは毛頭ありませんし、実際のところ私の感覚では3万円のオリジナル盤一枚よりも中古で良いから1000円のペラ盤でもいいので30枚買った方が幸せ・・・的な人間ですので、そんな私にオリジナル盤を語る資格はないのですが、オーディオ屋の立場で言うと、自分の一番お気に入りのアンプはヴィンテージに拘ってオールWestern Electricの球で聴きたい・・・という感覚と似ているように思います。では何故そう思うのか・・・やはり「音」の違いが歴然としてあるから。

オリジナル盤を聴いてから国内盤の再発モノを聴き較べると明らかに音の勢い,情報量が損なわれてしまっている音源があることに気づきます。これは或る意味仕方のないことで、マスターテープに一番近い状態であるオリジナル盤に対してセカンド,サード,リマスター・・・と人の手を介するごとに色々と触られて(加工されて)本来の音から少しづつ、でも確実に乖離していくことは避けられません。それぞれの過程で関わったエンジニアは勿論音を良くしよう、ノイズを少しでも取っておこう、コンプレッションを掛けてダイナミックレンジを調整しよう・・・良かれと思ってやったことが、別の人の手に渡って、また別の調整を加えられる・・・こういう事の積み重ねが本来の音の質感を損ねてしまうだろうことは想像に難くありません。元々数も少ないオリジナル盤の価格が高騰するのは仕方ないことかもしれませんね。

我が業界もご多分に漏れず、今やヴォンテージ球(NOS球)の在庫は全世界的に半枯渇状態にあって、特に出力管,整流管についてNOS(New Old Stock)がロット(バルク)で入ってくることはまずありません。僅かに欧州系の電圧増幅管は辛うじて何とか手に入る状況ですが、相場の上がり方は半端ではありません。

つい2,3日前のことですが、ある方から「MullardのCV4004(ECC83)が3本欲しいんだけど」と言われて早速調べてみると何と今や一本250ドル~300ドル!数年前の倍の値段に跳ね上がっています。そう返事すると「Mullard ECC83が7000円で売ってるサイトがあるよ」と言われたので「それは同じMullardでも別モノで、現行生産品(Russia製)は一本35ドルなんだけど本チャンのヴィンテージMullardは1960年代~70年代に作られたもので特にCVナンバー(Mナンバー)がついてるのは貴重品なんです」と言うと「そうなんだ・・・Mullardなら全部同じかと思ってました」と言われていましたが、そういう事は他の球でも実は沢山あって、案外知らずに使っておられる方も多いかもしれません。勿論いずれも正規品であることには違いはない訳で、そういう意味ではオリジナル盤とサードパーティによるリマスターの関係に似ているかもしれませんね。

今日の収録に使った音源はそういう意味でもかなり貴重なものばかりですが、そんな中でも私が特に聴いて頂きたいなあと思っているのが最後に掛けたPolly Bergenの「The Party's Over」です。ハイパーリンクは再発のモノ盤ですが、収録に使ったオリジナルの音の良さには私もちょっと驚きまして、これが半世紀以上前の録音とはとても思えない鮮度感が本放送ではどんな風に聴こえるか・・・今から楽しみです。


by audiokaleidoscope | 2014-09-20 05:28 | オーディオ

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