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”PLAY”という言葉の意味

皆さん、こんにちは。

昨日、おとといと二夜連続でライブハウスに行ってきました。仕事を通じて知り合ったミュージシャンの名古屋公演です。

この仕事を通じて沢山のオーディオ好きの仲間が出来ましたが、演奏者,音源制作者の方々とも知己を得たのは非常に大きなご褒美でありかけがえのない財産だと感じています。

オーディオを通じて音楽を聴く、という立場はともすると受動的かつ微視的になりがちです。機器のグレードが上がるにつれてその傾向も顕著になり、オーディオという趣味の過程で多くの方が陥りがちなトラップです。

もちろん細かくオーディオを追い込んでこそ得られる世界も確かにある訳ですが、時として自分が理解出来ない事でも本に書いてあったり、人から聞くと「そうなのかな・・」と思ってしまうのは誰にでも起こること。目に見えず蒸気のようにふっと消えていく音は私たちにとって永遠の「青い鳥」なのかもしれません。

この仕事を始めて3年ほど経った頃の事・・・今から12~13年ほど前のことでしょうか。さるヴァイオリニストから或るプリアンプについての音質上のお問い合わせがありました。勿論当時の私にも真空管が最良の音質であるという固い信念はありましたが、特定の機器に対しての音質評価というところまで踏み込めておらず、返信メールで「それぞれの機器の音質についてはお使いいただくお客様の判断に委ねるべきと考えています」というような通り一遍の回答を申し上げたところ、「音を作る仕事をしていてそんなことではダメです。もっと”こういう音を出したい”という強い信念を持って下さい」というお叱りを頂き、電撃にうたれたようなショックを感じたことを昨日の事のように思い出します。

思えばあの時から私の機器づくり、音づくり、音楽との向き合い方が全く変わりました。
オーディオ機器は無色透明な存在ではなく、「こういう音で鳴って欲しい」という作り手の想いを具現化してもいいものなのだ・・・と。それ以降、試聴会のデモンストレーションなどでも胸を張って「このアンプはこういう音です」と申し上げられるようになりました。

そのヴァイオリニストの方とは今でも変わらぬお付き合いをさせて頂いており、時々会っては音楽やオーディオの魅力に関して意見交換させて頂いています。

英語では演奏も再生も”PLAY”です。聴くという行為と演奏するという行為は別のものですが、真空管機器を使うことで両者の距離は限りなく小さく出来る、と感じてこの仕事を今日まで続けることが出来ました。これからも楽器のような個性と魅力をもった真空管機器を開発していきたいと考えています。


by audiokaleidoscope | 2014-09-09 12:51 | オーディオ

SUNVALLEY audio公式ブログです。新製品情報,イベント情報などの新着情報のほか、真空管オーディオ愛好家の皆様に向けた耳寄り情報を発信して参ります。


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