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(11/14)TU-8600 vs SV-S1616D/SV-501SE

相当久々のyoutube投稿です。

コメントにも書きましたが、エレキットアンプの音が従来のそれから大きく変化しつつあることを確信したニューモデル”TU-8600”が初登場するこの回の収録時の音をきっかけにオプションとしてJENSEN仕様の設定を決意。この回の収録ではデフォルトのカップリングコンデンサーを使用していますが、僅かにピーキーな感じのあった出音がJENSENによって滑らかに艶やかに変化することをブログでお知らせしたところ全購入者の70%以上がJENSEN仕様にグレードアップされました。まさにその過程を記録した回ともいえます。

また現役SV-S1616D/300B仕様との比較試聴だけでなく、オンエア後すぐ完売となったSV-501SEの最後の音色も一瞬ですがアップロードしました。併せてお楽しみ頂ければ幸いです。
by audiokaleidoscope | 2017-11-15 00:30 | オーディオ | Comments(0)

(4/16)初めての真空管アンプ選び~開放日編

南の地が揺れています。スピーカーが落下した、真空管が割れた、スクリーンが落下した…幾つかの被害報告が仲間から届くも今のところ皆無事のようで、それが何よりもの救い。どうか一日も早く大地が鎮まりますように。そして安らかな日々が一日も早く戻りますように。

そんななか、月一回の開放日。最初は奈良から車でいらっしゃったMさんと会社の先輩。真空管アンプは初めて。ハンダ付けの経験はあまりないが自分で作ってみたいと仰る…まさにこういう方をサポートして仲間を一人でも増やしていくのが私の務め。KT88ppをお使いの先輩のアドバイスのもと試聴が始まりました。試聴に使ったスピーカーは目下沸騰中のReference35

Reference35はVienna Acouctic用に供給されているユニットをベースにモディファイされたものでネットワークとエンクロージャーは完全オリジナル。見かけ上のインピーダンス,能率は決して高くないものの真空管アンプで鳴らすことを前提に組み上げた私どもの文字通りリファレンススピーカーの一つです。2月の試聴会でトラブルが発生したのが不幸中の幸いで問題点発見し対策することが出来、6月の出荷開始に向け目下工場はフル稼働中です。

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今さら... と言われるかもしれませんが、ご存じない方がいらっしゃるかもしれないので改めてご紹介。Reference35のようにバイワイヤリング対応のスピーカーを最も良い音で鳴らす為の方策が”パッシブバイアンプ”です。詳細はリンクのページを参照頂ければと思いますが、元々の音(スピーカーの原設計)を活かしながら高音質化(自分の環境に最適なバランス調整できる)点において理想的な方策な訳ですが、シングルワイヤーで聴く場合は写真のように接続します。これは”たすきがけワイヤリング”と言ったりしますが、よく見る低域側に給電してジャンパープレートを介してツィーターも鳴らす方法よりも音の鮮度感において有意な改善が見られますので、お試しいただくと良いでしょう。

話は戻ってMさんのアンプ探し。まずは製作の再現性(成功率の高さ)からTU-8200SVをお奨めしました。TU-8200SVはベースモデルTU-8200で標準装備されている6L6GCを人気球KT88に最初からアップグレードした別注モデルな訳ですが、シャープなエッジ,コントラストの高い鮮度感を楽しむことが出来るローコスト,ハイパフォーマンスなプリメインアンプです。もちろん真空管の差し替えも出来ますが、KT88から下位の球に差し替えることは少ないでしょうから、これ一台あればノンジャンルで音楽を楽しめ、スピーカーも選ばない自由さがベストセラーたる最大の要因です。一枚基板で製作も容易ですから”はじめの一歩”には最適です。

真空管アンプには三極管/多極管とシングル/プッシュプル,2つの大きな分水嶺があり、これをどう選ぶかで結果が大きく変わります…というお話をさせて頂いて、ではシングルの三極管を…ということになり、登場したのがSV-S1616Dです。これは作るのはTU-8200SVと較べるとはるかに手数が多いですが、真空管アンプづくりの原点と嘗て多くの自作派が必ず通った道であることをお伝えし、いい機会なので…ということで開腹して内蔵を見て頂きました。

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右がS1616D(300B仕様),左がもうじき正式発表予定のP1616D(KT88仕様) 。”出来るのかなあ?”と心配顔のMさんでしたが、昔は基板のキットなんてなかったし、みんな悪戦苦闘しながらやったもんです。昔と違って今は最悪上手く音が出なくてもちゃんと私たちが直せますので…ということをお話しました。あとは”気概”(気合い?)の問題かもしれませんね。昨年12月に出たばっかりのS1616Dですが、ブッチ切りで2015年度最多出荷となりました。如何にこの世界観を待っていた方が多かったかの証左だと思います。

S1616Dで最初聴いたのが300B仕様。立ち上がりの早くキレの良かったKT88から一転、風船が膨らんだような量感と響きが残る豊かな間接音成分が特徴的な300BのアジをMさんはすぐに理解できたようです。よく”叩く音”(ドラムスのアタックなどの表現)向きの多極管と”擦る音”(弦楽器のボウイングなど)向きの三極管なんて言ったりもしますが、内声部の密度感や陰影感(三極管)を重視するか、エッジやクリアな抜け(多極管)を重視するかは優劣や向き,不向きを超えて完全に好みの世界と言っていいでしょう。

300B仕様と2A3仕様をS1616Dで聴いてみて、Mさんは2A3のザックリした音触(音にケバが生えたようなリアリズム)が気になった様子。中域の厚み,リアリズムこそが三極管の妙味である訳ですがキット標準の2A3(Golden Dragon 2A3 premium)を使えば出力的にも十分でReference35も十分ドライブ出来ることが分かり、作り易さを取るか、音を取るかで今後検討されることになりそうです。

昨日第一報をお伝えしたSV-396EQ(予価:球つき完成品で税別16万円)については使用真空管5670がWE396A互換であることからのネーミングであることをお伝えしました。
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5670はMT電圧増幅管のなかで最も厚みのある、言い換えればリッチな音の球。もっと注目されてしかるべきでしょう。更に肝のMCトランスは橋本電気HM-3を標準装備ですのであとは音色のチューニングが決まれば正式発表出来る日も近いと考えています。

そんな訳でいつものメンバーに加えて新しい方も沢山お迎えしながらあっという間の一日だった4月の開放日。真空管アンプってどんな音がするのかな?という方からマニアックなチューンアップの方法まで、どんな内容にもお応えできるように準備していますので、まだ行ったことがない、という方のご来場をお待ちしています。勿論道場破り(自作機器や他社製品との聴き較べ)も大歓迎!次回も是非お待ちしています!!



by audiokaleidoscope | 2016-04-17 12:10 | オーディオ | Comments(0)

(3/13)宗次ホールにて

NAGOYAウィメンズマラソンで賑わう名古屋で楽しみにしていた演奏会。もう一つの目的はホワイエ(ロビー)でのオーディオデモでした。場所は宗次ホール。佐藤勝重さん&根津理恵子さんのコンサートです。ここでデモをさせていただくのは三回目か四回目。今回も沢山のクラシックファンの皆さんと交流できて大変幸せな一日でした。
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開演前、ピアノ調律中に撮影させて頂いた美しい宗次ホール。素晴らしい音響空間です。今回はフルコン2台(スタインウェイD-274/ヤマハCF-IIIS)。コンサートグランドピアノの最高峰をステージ上に2台用意したゴージャスなコンサートになりました。

ホワイエではReference35をSV-S1616D(多極管仕様/300B仕様)2台でドライブする”パッシブバイアンプ”で鳴らします。ウーハー側は多極管(今回は6L6GC)でキッチリした音のエッジを、ツィーター側は300Bで響きと豊かな音場を出そうという狙い。目論見はバッチリ当たって勝重さんのピアノの音色の質感と余韻がかなり良い感じで再現出来たのではないかと…。
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入力系はSWD-CT10で192kHzのアップサンプリングした後、近日発売のニューDACで768kHzに更にサンプリングレートを上げて再生。これも相当効いたと思います。
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これがスピーカー側の結線。パッシブバイアンプ駆動なので当然ツィーター/ウーハー間のショートバーは外します。因みに「パッシブバイアンプってナニ?」という方もいらっしゃると思いますので、旧店主日記から要点のみ再掲しておきます。


2005,10,14, Friday
パッシブバイアンプの効用

バイアンプというと「マルチは憧れるけど調整が大変で・・・」と逡巡される方も多いでしょう。私がやったのはSPの内蔵ネットワークをそのまま使って高音質化を図る「パッシブバイアンプ」です。皆さんのSPが2ウェイ以上で構成されているならチョイと後ろを見てみて下さい。2系統のSPターミナルが装備されている場合が多いんじゃないですか。でその2系統のターミナルがバスバーでショートされている。パッシブバイアンプはこのバスバーを外して低域と高域(ミッド以上)を別々のアンプでドライブしようという試みです。

まずバイアンプのメリットは何でしょう・・・これはエネルギーを一番食う低域を専用アンプでドライブすることによって、より彫りの深い締まった低域を獲得出来ること、また絶えず低域の大入力によって揺さぶられ不安定になる高域に専用アンプをあてがうことで透明感が向上し歪っぽさが取れます。また高域のレベル調整をもう少し細かく追い込みたいなあという場合、それぞれの(或いはどちらか一方の)パワーアンプに入力VOLが装備されていえば自分の思い通りのバランスが得られるのも朗報です。要は必要条件としてはプリ出力が2系統あること,パワーアンプにゲイン調整機能(入力VOL)が少なくとも片方に付いている事くらいでしょう。誰にも簡単に挑戦出来て音質を著しく向上できる極めて合理的なセットアップ法です。

オーディオに全く興味のない女性のお客さんが”良い音ですねえ”と声を掛けて下さったり、目にハンディキャップをお持ちの方が遠くから近づいてこられ、”ホンモノのピアノが鳴ってるかと思いました”なんて仰って下さったり。Reference35は6月発売ながらご予約も好調で喜んでいたのですが、今日更に音に対しての自信を深めることが出来ました。
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これがBGM用に使わせて頂いた勝重さんの新譜販売コーナー。沢山お買い求めいただけて光栄でした!
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終演後の勝重さんのサイン会。大人気!!!イケメンだけあって女性ファンが大多数でしたが、キット屋のお客さんも今回沢山集まって下さってチョットしたオフ会的な雰囲気もありました。

時々はこんな楽しい企画も良いものですね!またお手伝いさせて頂きたい…そんな一日でした。



by audiokaleidoscope | 2016-03-14 15:19 | オーディオ | Comments(0)

(1/27)自分だけの音を所有するということ

音楽を再生するという手段において広義の”オーディオ”は不可欠な存在である訳ですが、この10年でオーディオを取り巻く環境はまさに激変したといえます。

一つは動画配信サイトの台頭。それまで音楽鑑賞は生演奏を除いては物理メディア(形のあるもの)として購入(所有)するものであった訳ですが、PC/インターネットの普遍化によって音楽は”所有するもの”から”消費されるもの”に劇的に変化し、更にスマートフォンの普及によって動く人間に音楽がついてくるようになりました。つまり音楽は”聴く対象物”から”鳴っている環境”に変異しつつあるといってもいいかもしれません。こちらをご覧ください。この10年で失われた40%は何処へ行ってしまったのでしょうか?本来いいな!と思う音楽を購入して自分のものとして聴くという行為がネット等による代替消費あるいは違法ダウンロード等による機会損失が僅かでも影響しているのであればこれは大変なことです。

音楽を作る人がいて、それを演奏する人がいて、それを再生する私たちがいる…そのサイクルが最後のところで脆くなってはいないか…誰かが対価を支払うことでそのお金が誰かを満たし、次なる創造に向かう事が出来る…それを支えているのは私たち消費者であることを何処かで覚えておきたいものです。そのために我々オーディオ屋は”こんな風に聴くとこんなに良い音で楽しめ、歓びもずっと大きなものになりますよ!”ということを愚直に訴え続ける責任があります。

真空管アンプの世界では昔と変わらず、スピーカーをセッティングし、適切なアンプを配して音楽を大切に聴こうという方がまだまだ多いのは本当に有難いことです。アナログレコードの生産実績が急伸していることはトータルに占める割合からすれば決して大きな値ではありませんが、真空管アンプユーザーを含むピュアオーディオ愛好家層が健在であるという証左で大変心強く思います。

今日はそんな真摯な仲間をご紹介します。まずはSV-353キットを完成されたSさん。
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※Sさんのご了解を頂いて掲載させていただきました


B&W Silver Signature30はB&Wの30周年記念モデル(限定)で恐らく97年頃の製品だったと記憶しておりますが、名前の通り内部ワイヤリングを純銀線で行った極めてデリケートでニュアンスに富んだ再生音のスピーカーです。これを真空管システムで鳴らされるSさんが今回選ばれたSV-353によって更に音の万華鏡が展開することでしょう。Sさんからは”結果からすると接点の増加は全く問題が無いことが判りました。今後の展開に対する不安が解消しました”というメッセージを頂戴しています。SV-310EQ,SV-310とともに末永くご愛用頂ければと思います。

そういえば先日SV-S1616D(多極管仕様)のレポートをご紹介したAさんが”これから作る方の参考になれば…”と仰ってまとめ製作記を書いて下さいました。単に聞くのではなく”聴く”…耳だけでなく心を傾注して自分だけの音を所有するだけでなく、同好の士と歓びを共有できるオーディオという趣味は実に素晴らしいものですね!




by audiokaleidoscope | 2016-01-27 11:43 | オーディオ | Comments(0)

(1/7)そろそろ次のこと…

まだお屠蘇気分が抜けず本調子になっていないという方も多いと思います。私の方は会社がお休み中の独りPK戦モードから解放されて少しホッとしているような状況ですが、時間は容赦なく過ぎていくもので2月の東京試聴会(正式発表は後日しますが2/20(土)~21(日)@損保会館です)の準備も進めていかないといけませんし、仮称"S/Sプロジェクト”(これも追々…)の準備も始まっている状況で色々とバタバタしていますが、冬休みの宿題を終えられた皆さんからのメッセージに癒されている…そんな今日このごろです。

キット初挑戦でSV-S1616D(KT150仕様)を見事フィニッシュされたMr.Sからは

For the first time of the audio amplifier kit was completed. I am listening to Jazz by connecting to the speaker by the final check. It is a good sound.

というメッセージと共に写真も頂戴しましたのでご紹介しておきます。
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私はこれから…という方も沢山おられることでしょう。何も急ぐ必要はありません。期限も査定もない自分だけの大切な趣味の時間ですから!ゆっくり時間をかけてモノづくりの歓び,完成の感動を味わって頂ければ幸いです!!



by audiokaleidoscope | 2016-01-07 08:59 | オーディオ | Comments(0)

(12/29)不安と感動の共有

今日は会社で3人の方とお会いして楽しいひと時を過ごさせて頂きました。”では良いお年を!”というご挨拶が自然と出てくる、そんな12月29日。

メールや電話では次々にアンプ完成のご連絡を頂戴しています。”出来た!”という快哉を伺う嬉しさは格別なもの。この仕事をやっていて一番苦労が報われる瞬間といいますか…。

SV-501SEをご注文下さったKさんからは

2か月ほどで順調に完成しました。初めてのアンプ製作だったので不安でしたが、電圧チェックも一発でクリアしました。スピーカーはタンノイ INPULSE12。30歳近くになります。最初の印象は、中低域のパワーと 奥行き感があり、特に中低域のしっかりした音は予測を越えた満足感があります。
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という嬉しいレポートを頂きました。

またSV-S1616D(300B仕様)を見事完成されたMさんからは

ぶ厚い組立説明書を最初見たときは、自分に出来るのか、と不安にかられましたが、やってみると少しづつ形になっていくことが嬉しくて大橋さんがブログに書いていらっしゃったとおり寝る時間も惜しんで一気に作ってしまいました。その昔に6BQ5シングルのキットを制作したことはありますが憧れの300Bはもちろんこれが初めてでしたし、本格的な手配線モデルは今までやったことがなかったのですが、分かりやすい説明書のおかげで無事完成させることが出来ました。この説明書は300Bだけでなく2A3やKT88などの回路の勉強にもなるので、今後も大切に保管しようと思っています。

大変だったのがシールド線の処理でした。被膜をむくときに何度も失敗しました。あとは電源部のハンダ作業がシャーシに直接だったのでところどころケーブルの被膜を溶かしてしまいました。でも組立説明書と大橋さんの製作記を同時に見ながら進めることが出来たのでまあまあ奇麗に出来た思います。

プスバン300Bは噂通り作りもよく、音も気品があるというか良い音ですね。憧れの300Bアンプを自分で作ることが出来て今は充実感でいっぱいです。ありがとうございました。

というご連絡を頂きました。Mさんにはすぐにお礼の電話を申し上げていろいろとお話を伺ったのですが、これは一つ皆さんと共有しておいた方がいいかな、と思うことがありましたので書いておきましょう。他のお客さまからも同様のお問い合わせを頂いておりましたので…。

何かというと”電源を入れた時、一瞬パッとタマが明るく光るんだよね。これって大丈夫なのかなあ…”というもの。全部光るならともかく特定の真空管(それもMT管だけ)に発生する現象なので、心配も無理からぬこと。余りに日常的な現象的なのでマニュアルにも書き漏らしましたが、これは”フラッシング”と呼ぶ現象で真空管の異常ではありません。旧店主日記でこれについて言及していますので抜粋して再掲しておきます。

2007,11,01, Thursday
「フラッシング」って何?

「コールドスタート」時(真空管が冷えた状態で電源を投入した時)に一瞬、真空管内部がパッと明滅する現象です。これはフィリップス系の球だけでなくドイツの球でもロシアの球でも、割合は低くなりますがチェコ球,中国球でもMT双三極管でしばしば認められる共通した現象なのです。

原理的には冷えた状態で内部抵抗の低いヒータに一瞬突入的に電流が流れヒータがコンマ何秒か明るく光るというものですが、直ぐにヒータの温度が上昇しヒータの内部抵抗も上がって電流値が適正化するという現象です。ヒータの内部抵抗のばらつきから起こる現象である訳ですが、割合としてはメーカによりさまざまですが一時期のSIEMENS球では大半がフラッシングを起こしましたし、MullardやEiの球も半分以上は光ります。勿論これは異常ではありませんので心配ありませんが確かに最初はドキッとするかもしれません。「あ、球切れか!」という心配された方もおられる筈です。

出力管や整流管でヒータ電流が1A以上の球ではフラッシングが起こることはありません(少なくとも私は見たことがない)。つまり小電流のMT管では普通に見られる現象で何の心配もないという事だけ覚えておいて下さい。勿論全数チェック済で出荷されますが、フラッシングの有無は選別項目に入っておりませんので例えば2本お求めの場合、片方は光るが片方は何とも無い、という場合もありますことを予めご了承頂ければ幸いです。こういう事も知っているのと知らないのでは大きな違いですから、ご存じなかった方は是非これを機会に「フラッシング」、覚えて下さいね。

…今となっては当たり前の事でも私も初めてフラッシュ体験したときはビビリました(笑)。もし他のことでも何かお気づきのことがあればお気軽にメールでご連絡下さい。おそらく今日も津々浦々で沢山の方がハンダごてを握っておられる筈。皆さんのご健闘を心よりお祈りしています!!




by audiokaleidoscope | 2015-12-30 07:40 | オーディオ | Comments(0)

(12/23)失敗したっていいじゃない!

キット屋の年内稼働は今日を入れてあと3日…今ごろ物流センターでは暮れの出荷でテンヤワンヤに違いありません。私はショールームで受注関係のデータを眺めながらSV-S1616Dを予約されたNさんが書いて下さったコメントにふと目が留まりました。

アンプキットの到着を心待ちにしています。300Bアンプの製作は、学生時代から数えて50年来の夢でした。

なんでこんな仕事をしてるのか…まさにそれは子供の頃から人体の不思議,宇宙の不思議,電気の不思議このどれかを仕事にしたいと思っていた私の夢そのものだからです。その夢を"モノづくり”というキーワードのもと共有できる沢山の仲間がいる幸せを噛みしめながら、何となく旧店主日記(2002/5~2012/3:現在閉鎖)を読み返していて、こんな一文を過去の自分が書いていたことに気づきました。

2008,04,06, Sunday
失敗したっていいじゃない!

私も今まで数え切れない程のアンプを組み立てて来て、やっと完成したのに音が出なかった時のショックというのは本当に言葉に表すことが出来ません。今まで何日も書けて手塩にかけてきた自作のアンプ・・・緊張の電源ONの瞬間・・・さあ、出て来い!と心に念じて・・・アレおかしいぞ片方音が歪っぽい、とか両方とも音が出ないとか、ひどい時には電源ONと同時にFUSEがブロー、なんて事も皆さんの10倍くらいは経験してきたと思います。

暫くは呆然自失,そして突如襲ってくる疲労と倦怠感,遂には自分に対する苛立ち・・・金と時間を掛けてオレは一体ナニやってるんだろうか、という自戒(自責)の思いです。これも味わった者にしか分からないでしょう。暫く時間がたって少し冷静になって改めて見直してみても異常や間違いは見つけられない、というところで私どもにメールや電話を頂戴する、というのは多くのパターンであると思います。不思議なことに以前は「何度も見直した。間違いない」と思っていた自分のシゴトを改めて客観的に見てみると「あれ?ここって・・・」という箇所が見つかるから不思議なものです。気づいてみればホンの些細なことが大半である訳ですが、その芥子粒ほどの不具合で音が出ないというのもアンプ製作の一つの深み,パズル的な面白さなのかもしれません。

キット製作は山登りと同じ。その過程にこそ歓びがあるからです。苦しい時、立ち止まって足元の草木に目を遣りながら再び一歩一歩歩んでいく。早い人も居れば遅い人も居る。早い人が偉い訳では決してなく、ゆっくり登る人ほど景色もゆっくり楽しめるという事も言える訳です。

人生も多分同じ。上手くいくことよりも難儀することの方が遥かに多いですが、それでも皆さん、私もそうですが曲がりなりにも毎日こうやって生きている訳です。どうしても駄目な時には私どもがスタンバイしています。大船に乗ったつもりでトライし続けることが一番大切な事だと思います。そうする事できっと良い結果が出るに違いありませんから。

きっとこの冬休み中も”ここがどうも分からんのだが…”。"音が出ないんですが…”なんてメールを頂くこともあるでしょう。リスクを回避することが何よりも優先されるこの世の中で敢えて自分に挑戦するモノづくり…これをナンセンスと切って捨てることは簡単ですが、でもこの楽しさ,素晴らしさは体験した人にしか分からない…人間が根源的に持っている欲求の一つであるに違いありません。

自分が作ったアンプやスピーカーで音楽を聴く歓び。若年層のクラフト離れが叫ばれて久しいですが、これからも愚直にこの仕事を続けていこう、そう思わせてくれたIさんのひと言…とても心に沁みました。

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懐かしいSV-7(マジックアイ付5球スーパーラジオキット:2001~2005頃)




by audiokaleidoscope | 2015-12-23 17:04 | オーディオ | Comments(0)

(12/18)SV-S1616D_多極管仕様の製作(その3)

いよいよ締切迫る!…という感じでリスタートした製作。前回はサブプレートまで行きましたので、続きはシャーシへの機構部品の取り付けからです。
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電源スイッチの注意事項は2つ。ONが上側。あとは軸が飛び出すとカッコ悪いのでナットで出シロを調整してツライチにすることです。
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続いてスピーカーターミナルの固定です。入出力端子は触る頻度も高いのでボックスドライバーでしっかり固定したいものです。
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これはヒューズホルダーです。時々”ヒューズホルダーを留めるナットが欠品なんですが”とご連絡を下さるお客さんがいるのですが、上の写真のように本体に樹脂ナットがついているので、外してから使って下さい。パッと見、一体に見えるので分かりにくいんですね、これが。
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機構部品が取りつきました。入力はR(右)チャンネルが下側になるようにしましょう。ACインレットは切欠き側を上にすると実体図とマッチングします。
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次は出力トランスのケース。Lアングルをケースに留めるのですが、ここのビスが”特平”という特殊なものですので間違わないように注意します。
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まず出力トランス本体を固定。向きは実体配線図を参考にして逆向きにならないように注意しましょう。
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ケースがつきました。だんだんとアンプを作っている気分が高まってきます!
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トランスケースは継ぎ目がリアパネル側になるようにします。
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そして最も重量のある電源トランスを取り付けるのですが…。
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気を付けたいのが、電源トランスからのリード線を絶対に噛み込んだまま固定しないこと。気づかないうちにやってしまうケースが結構あるのです。最悪の場合ショートによって電源トランスが破壊というパターンもありますので、仮留めしたらリードを引き出してみて各色同じ長さで出ているか確認しましょう。
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いよいよ内部配線スタート。まずは出力トランス周りから…実はこの辺りから”神が下りてきて”、写真の枚数がちょっと減りますがご容赦下さい。”ランナーズハイ”という言葉がありますが、最初苦しかったのがだんだんと無我の境地に入ってきて次第に不思議な昂揚感と極めて高い集中力に支配されて時を忘れる状態です。よく”一旦コテを持つと寝食を忘れちゃう”なんてお話を伺いますが、まさにそれが”降臨モード”に自分が突入したということなんですね。

そういえば先日ドイツの人が”クラフトセラピー”なる言葉を教えてくれました。モノづくりに没頭することで人間が本来持っている自然治癒力が高まる…とか。確かにいろんなことを全部忘れさせてくれる何かがありますね。
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電源部を作ります。これは極めて重要なアースポイント部分。ダイオードモジュール用ソケット脇ですが、アースを盤石にするために”歯付座金(皿型)を入れます。これには裏表があるので注意。ヒトデの足がメインシャーシ側になることでガッチリ食い込んでアースもバッチリです。
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チョークコイルを内側につけてトランス周りの配線がいよいよ始まるところです。
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これは整流管周りですね。配線が混み合う部分は要所要所バインドしながら作業を進めると見た目も綺麗になります。
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配線が終わったら電源πフィルター用のケミコンを配置。抵抗類と接触しないように少し浮かせて実装します。

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全体の配線がひと通り終わったところです。あとはハンダ忘れ箇所がないか、よ~く確認しましょう。恥ずかしながら私も一か所見落としていました!この位出来上がってくると、気が急くというか仕事が雑になるというか、見落とし部分が出てきがちです。こんな時はしっかりインターバルを取って、キチンとチェックすることを励行したいものです。
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そういえば入力に使うシールド線。普通の被覆線と異なり外来のノイズをカットするシールド(網線)が追加されています。パッと見ただけでは見分けがつかずに"どれがシールド線なのかわからない”という方もおられます。線材の断面をよくみると同心円状に芯線とシールドが見えると思いますので、ご注意頂ければと思います。写真はシールド部分を撚ってハンダメッキしたところ。入力RCA→ヴォリューム→初段グリッドまでの配線に使用します。
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という訳で午前5時完成!はぁ~間に合って良かった(笑)。今回マニュアルの文言,図面のチェックをしながらの作業でしたので15時間くらいかかりました。でも手配線キットが如何に創造的で楽しいものであることを再確認しました。
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早速波形確認。ゲインOK!出力OK!
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Svetlana(ウイングドC)6L6GCで鳴らしています。ダイオードモジュールを5AR4に替えるとシットリとして音のグレードが確実に1ランクアップすることを再確認。

毎回、新製品の出荷前組立確認はスタッフが必ずやるのですが、"1616Dはワタシがやるから!”と宣言して、ずっと楽しみにしていました。きっと皆さんにも喜んで頂ける…そんな想いを持てた幸せなひと時でした。




by audiokaleidoscope | 2015-12-18 16:39 | オーディオ | Comments(2)

(12/17)SV-S1616D_多極管仕様の製作(その2)

忙しさに感(かま)けて止まっていたSV-S1616D(多極管仕様)の製作。いよいよお尻に火がついてきたので日付変更線前に再開。前回はサブプレート(B)のCRパーツ取付前まで行った訳ですが、今日はその続きです。

通常キット製作の手順としてはメインシャーシにトランス,機構部品の取り付けを起点としてアース,ヒーター,+B…というように段階的に進めていくのが普通なのですが、SV-S1616Dでは作り易いように最も混み合う真空管周りをサブプレート(脱着式)としただけでなく、製作後の仕様変更(例:2A3→300B仕様)の際もユニット的に交換出来るメリットも考慮しています。
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CRパーツ作業はアンプ製作のなかでも最も楽しい工程の一つ。ある意味いちばん”自分らしさ”の出る部分でもあります。なるべく皆さんの製作時の参考になるように、写真ではパーツのリード線を長めに切っています。

そういえば時々質問をいただくのが”CRパーツのリード線がマニュアルのように綺麗に曲げられずグニャグニャになってしまう”という内容。これはハンダ前にやろうと思うと確かに大変なのですが、とりあえずリードの長さだけメドをつけてハンダ付けしたあとにラジオペンチでパーツ本体をつまんでクイッと動かすと案外綺麗になるものです。なかには周到にピンセットで予めリードを曲げてからハンダ付けする方もいらっしゃいますが、この辺は”慣れ”(経験)の為せるワザという部分もありますので、あまり見た目を気にすることなく”確実にハンダが流れていること”を重視すべきです。
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作業に没頭してしまって気が付いたらコンデンサーまで全部着いてしまっていました。ここまで約1時間半。ジオラマのようなサブプレートが完成です。ここまで終わったら小休止して、そのあとに"引っ張りチェック”をやっておきましょう。

手配線アンプが修理で戻ってくる場合、私に回ってくる修理報告書で一番多く目にするのが"引っ張ったら抜けた”という文言。特に複数の配線が一つのラグにハンダされる場合、"後でやるから”と思いながら忘れちゃうケースやハンダがしっかり染みて(流れて)いないケースが結構あるのです。これは見た目だけでは分からないので、手の入るうちに”引っ張って”確認しておくと非常に有効です。後からチェックするのは大変ですから。是非行って頂きたいと思います。

(追記)マニュアルのカラーコードが違っていることが後で判明。写真ならびに実体図で初段プレート抵抗(2個)が470kになっていますが回路図では47kという齟齬が発見されました。正解が47kであることが分かりましたのでマニュアル修正しました。
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そういえばワンポイントアドバイス。これは必須ではありませんが、私は昔からラグの中央は予め曲げてしまうことが多いです。中央ラグはシャーシに固定する機能を兼ねている訳で、ほとんどの場合シャーシアースに落ちる部分です。ここを活用してアース配線する場合を除き、短絡による無用のトラブルを回避する意味で予め潔く曲げてしまう…一つの安全対策としてご紹介しておきます。

今日はここまで…まだ全体の40%程度の進捗率というところでしょうか。明後日の朝には組みあがった状態にして、最後のマニュアル修正を行わないと来週月曜からの出荷に間に合わないので、多分明日は徹夜でしょう(笑)、でも本当に楽しいキット製作。役得ですね(笑)。



by audiokaleidoscope | 2015-12-17 03:01 | オーディオ | Comments(4)

(12/8)SV-S1616D_多極管仕様の製作(その1)

12月に入って時計の進み方が一気に早まった気がします。そんななか、私はSV-S1616Dの出荷前マニュアルチェックを兼ねて最終組立確認。回路的,動作的には検証済ですが、お客さん目線で改めてマニュアルに記載された手順に基づいて組立を行ってみて、どこが難所なのか、どこが分かりにくいのか…などを最終検証する重要なプロセスです。

今回は敢えて自宅でこの作業を進めることで、皆さんと同じ環境を想定してみようと思いました。これから何回かに分けて組立プロセスをレポートしていきますが、この作業はマニュアルの校正目的も兼ねておりますので、最終的には手順や内容(配線の引き回し,パーツ取付位置)が変わる部分も出てくる可能性があります。その場合はマニュアルを正として頂ければ幸いです。
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さあ!早速始めていきましょう!
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今回はサブプレート(A),サブプレート(B)のCRパーツ取付前までの流れをレポートします。
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どうしても気が急いて直ぐ作業に入ってしまいがちですが、ちょっと待って!先ずはパーツの数量チェックです。特にビス類の種類と数はしっかり確認してください。「たぶんこれだろう」と思って組立が進んでから後で実は違ってた!という早トチリが結構ありますし、M3×6,M3×8,M3×10などちょっと見では区別がつきにくいビスを予め層別することが出来てミスを予防できます。「ビスを笑う者はビスに泣く!」…何事も始めが肝心です。部品皿を使わずにキッチンからコーヒーカップのお皿をパクって雰囲気を出してみました(笑)。
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パーツチェックが終了したら、いよいよ組立に入ります。最初はダイオードモジュールの組立。US8ピンソケットにシリコンダイオードのリードを通してハンダ付けしていきます。最初にケース部分を組み立てておいて、こんな風に作業するとやり易いかもしれません。
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4番ピン,6番ピンにダイオード、8番ピンにジャンパーをハンダ付けします。ダイオードには極性がありますのでご注意を!ジャンパーをしっかり絡げてハンダ付けします。
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ベース部分とケースを付属の接着剤の固定して完成です。
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続いてサブプレート(A)の組立です。通常この部分はメインシャーシに直付けするのが普通ですが、手元で作業できる効率性と、ご購入後に別バージョン(例:多極管仕様→300B仕様など)に変更する際にサブプレートごと入れ替えられる利便性を考慮し個別化しました。機構部品の取り付けはスプリングワッシャー,フランジナットなど細かな部品をマニュアル通りに使う必要があります。

ここで申し上げておきたいのはナットの固定法です。ラジオペンチで締めるぐらいでは全然ダメで、ここは是非ボックスドライバーを使いましょう。M3ナット用は対角5.5㎜,M4ナット用は対角7㎜、最低でもこの2本は用意すると良いと思います。部品をしっかりと固定することは良いモノづくりの第一歩です。
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サブプレート(A)にCRパーツをハンダ付けしていきます。中央のグリーンのパーツがカップリングコンデンサーです。SV-S1616Dは複数パーツ(+リード線)が後から入ってくる部分はハンダ付けせずに、絡げるだけにするよう個別にマニュアルに指示されています。しっかりマニュアルを読んで間違いのないよう進めていきます。
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続いてサブプレート(B)の組立です。ちょっと一息…コーヒーブレイクでも入れましょう。
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サブプレート(A)と同じようにソケット,ラグ類をきちんと固定したあと、リード配線工程に移ります。ここで是非やっておきたいのが「ハンダメッキ」です。私の場合はムキしろ4㎜程度にすることが多いですが。予め先端部のみハンダを流しておきます。ただしハンダの量は僅かで十分。線材のハンダが浸潤する程度でないと後でラグに入りにくいなど面倒なことになります。これをやることでハンダが流れ易くなり見た目も美しく仕上がります。

申し遅れましたが「ワイヤーストリッパー」を是非お使いください。芯線を傷つけずキレイに先端部を加工できます。
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配線が終了しました。本来はもう少しプレートに配線を密着させるように引き回しますが、色別に見易いように作業してみました。

初日の作業はここまで。続いてサブプレート(B)へCRパーツを取り付けていきます。今週末まで東京,兵庫,大阪,京都と回りますが、なるべく早く次の工程を楽しみたいものです!



by audiokaleidoscope | 2015-12-09 09:56 | オーディオ | Comments(0)

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