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(5/7)PSVANE WE274Bの音や如何に!!

今日は朝早く家を出て関西へ。目的地は再びKさんのリスニングルームです。
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今回お邪魔した目的は球の交換による音の変化の確認のお手伝いでした。LM91A(PSVANE 300B仕様)をお使いのKさんですが、現在の整流管philips ECG 5R4GAからPSVANE WE274Bに替えてどうなるか…からスタート。
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これがPSVANE 274Bです。PSVANE WE300B同様、製造方法も使用部材も従来の中国球と同列に語れないスペシャルチューブ。従来の中国製274BがST17ケースに入っていたのを本家ウエスタンに倣い、ひと回り小振りのST16ケースに入れただけでなく、フィラメントの吊り構造,プレートの表面処理など限りなくオリジナルに近づけた現行球きっての274Bといえるでしょう。外見だけ真似たもの…という穿った見方も一部にあるようですが、前回の”大放談”収録においてPSVANE WE300Bのズ抜けたパフォーマンスを改めて確認しましたので個人的にも整流管の出来はどうか?という点に私も大変興味を持ちました。

一部の中国整流管で見られる突入電流発生時にスパークし易い側面が改善されているかどうかを確認するために、敢えてアンプ側でコンデンサーインプット容量を上げた過酷な耐久テストを実施したところ、危惧された管内放電もなく整流出力電圧も安定していることを確認したので自信を持って今日お持ちした次第です。私どもではPSVANE WEシリーズはこれまで客注扱いだったのですが、近日中に定番に昇格する予定ですのでお楽しみなさって下さい。SV-91B等ハイクラスモデルではPSVANE WE仕様も登場することになるでしょう。

早速試聴を始めます。先ずは元々のPSVANE WE300B-Philips ECG 5R4GA仕様で聴いてみます。この5R4は80年代後半のNOS最後期の整流管ですが、価格の妥当さ、そして堅牢度の点から導入しています。274Bとの互換性に関して申し上げると、ヒーター定格において274B=5V/2A,5R4=5V/3Aですので、5R4使用アンプで274Bに交換するのは基本的にOKですが逆の場合は電源トランスの仕様確認が必要です。私どもの場合LM91A,LM86B,SV-91B,SV-310,SV-310EQは全て整流管ヒーター巻線が5V/3Aで作ってあるので、いずれも使用可能という訳です。

整流管は今で言えばダイオード。つまり電源部の整流用の真空管ですが、これで音が変わるのか?…と訊かれればモチロン!とお答えします。管種が異なれば勿論、同じ管種でもブランド(製造工場)によってレギュレーションが異なり、整流出力電圧が変化するからです。整流出力電圧は全ての真空管のエネルギーの源ですので、ここが変化すれば音が変わるのは或る意味当然という訳です。

5R4GAは或る意味”野太い”とでも表現すべきしっかりした音像を際立たせる音で音楽ジャンルを問わず楽しめる懐の深さと手軽にヴィンテージ的音色を楽しめるところが魅力です。この音を基準としてPSVANE WE274Bに挿し替えるとどうなるか…真空管アンプファンならば誰しもが興味を持つところですね。
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これがPSVANE WE300B/PSVANE WE274B仕様のLM91Aです。1940年代のアンプのイメージにはやはりST管がよく似合います。音はどうかというと5R4と較べて音像がスレンダーに変化。高域が伸び明るさが出ます。本家ウエスタン274Bが力感よりも繊細感だったりニュアンスだったりをよく出す整流管であることは好事家の間では知られたことですが、PSVANE WE274Bもまさにその特徴を引き継いでいます。弦の高域の冴え冴えとした美しさと音場感は格別です。
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これに気を良くしたKさん。次なるご所望はPrime 300B ver.4。上述の大放談収録時のネタバレになりますが300B編ではTさんも私もNo.1がPSVANE,No.2がこのver.4だったのです。ではPSVANEとPrimeの差異は何かというと倍音の集中する帯域の違い。PSVANE/WEと較べPrime/ver.4は中域~中低域の圧倒的な厚み,豊かなヴォリューム感が最大の特徴と言えると思います。300Bという出力管がなぜ不動の四番打者としてずっと人気トップを維持しているのか…その理由が芳醇で滑らか、そして豊かな倍音感に尽きると思うのですが、まさにこのver.4は最も300Bらしい300Bと言えるかもしれません。
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続いて参考出品の本家ウエスタン300B(デートコード0613)が登場します。これはプラセボでも何でもなく或る意味で禁断の音。力感と繊細感、音像と音場の黄金比ともいえる絶妙なバランスのうえに音楽がたゆたう感じ。敢えて言えばPSVANE WE300Bはこれに輝きを加え僅かにスレンダーな傾向の音。Prime 300B ver.4は厚みとリッチさを足した音と言えるかもしれません。今思うとこの両者に対してPrime 300B ver.5はどう鳴るのか試せば良かった!続きは次回のショールーム開放日にでもやりましょう!

続いてデジタル系も色々と弄ってみます。KさんはPC→NAS→LINNのネットワークプレーヤーを経由して増幅系に繋がるシステムを構築されている訳ですが、ネットワークプレーヤーの同軸D出力からSV-192PROに接続。且つMC-3+でクロック精度を上げて音質比較をしてみました。LINNのネットワークプレーヤーは或る意味で非常に端正で清冽な音。前回お邪魔した際に、”この音で少し艶っぽさが出れば言う事はないのですが…”と仰っていたのを覚えていたので少し裏ワザ的な使いこなし方法を伝授しました。

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SV-192PROの出力は固定(LINE)と可変(MONITOR) の両方が装備されています。192PROの後続機器としてプリがある場合はLINE出力,デジタル入力専用のプリアンプとして使う場合はMONITOR出力として使うのが基本的な姿なのですが…
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VUメーターの右下がMONITOR LEVEL。平たく言えばヴォリュームです。よ~く見ると時計の2時辺りに”Unity"というポイントがあるのが分かるでしょうか。ちょうどこの位置がLINE LEVEL相当…つまり固定(LINE)出力と同じゲインになりますよ、というポイントなのですが、ここから上…つまり更にレベルを上げることでゲインと共に更に”球のアジ”をプラスする効果があるのです。これはSV-192S時代から多くの方が指摘され、積極的に”チューブエンハンサー”的使い方をされていらっしゃいますので、Kさんの音を更にリッチにするためにはこの”隠し味”を使わない手はありません。勢い音に実体感が出てKさんも”良いですねえ!”と納得のご様子でした。

実はこれが一番効いたのはCD再生時でした。Kさんがお使いのエソテリック高級トランスポートは極めて明確でソリッドな音が魅力な訳ですが、これにSV-192PRO(VOLフルテンモード)を接続すると、断然温度感があがりフワッと倍音が乗って優雅ともいうべき世界観が出来(しゅったい)します。CECのベルトトランスポートを常用する私にとってエソテリックの音は少々厳格だなあ、という印象を持っていたのですが、今日の音を聴いて考えをすっかり改めました。極めて情報量の多いエソテリックの強みにSV-192PROの芳醇さが加わって素晴らしいバランスで鳴っていたと思います。Kさんも”CDもまだまだこれから!という感じですね”とご満悦の様子でした。

最後にKさんとお話していたのは「オーディオって趣味は”これでいいや、と思ったらお終い…人間が一層の高みを目指して勉学や仕事に励むように、オーディオも自分自身同様高めていきたいですね」ということ。キリがないといえばそれまでですが、出来る範囲で少しでも良い音を目指したいものです。だからこそオーディオは一生出来る素晴らしい趣味の王様…私にもまだまだやることが沢山あります。



by audiokaleidoscope | 2016-05-07 22:22 | オーディオ | Comments(3)

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