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(11/30_2)「真空管ファンもびっくり!オペアンプ総まくり比較試聴!!」

収録二本目(2/16オンエア)はオペアンプ(OPアンプ)比較試聴。MUSIC BIRD25年の歴史のなかでも初の快挙です。ゲストはJRC(新日本無線)のMさん。テーマは「真空管ファンもびっくり!オペアンプ総まくり比較試聴!!」

オペアンプは小さなモジュールにパッケージ化されたアンプを言い、主に小信号の増幅を目的として使用される汎用ICと申し上げると分かりやすいかもしれません。一般的なオーディオ機器には何らかの形でオペアンプが搭載されていると言っても過言ではなく私たちは日ごろから知らない間にオペアンプの音を聴いている訳ですが、最近流行のポタアン(ポータブルアンプ)やヘッドフォンアンプの音質向上の決め手としてオペアンプの交換ブームが巻き起こり、ここ数年は私たちが真空管を交換したりカップリングコンデンサーをアップグレードするようにオペアンプを換えて音の違いを楽しむ方が非常に増えてきています。

一方で古くから真空管アンプを愛用してきた人たちにとってオペアンプというのはあまり馴染みがありません。ディスクリート(ICのようにパッケージ化されず抵抗やコンデンサーなどのデバイス個別の部品を個別に組合わせて作成された回路)の文化で育ってきたということもありますし、ICのウエーハはシリコン(半導体)で出来ており信号経路もシリコンのため、より純度の高い銅線でシグナルパスが構成されるディスクリートよりも音質的に劣る…という神話めいた刷り込みもあってヘッドフォン回路等で一部オペアンプを使用することはあっても本線系で私どもの製品に搭載したことはありませんでした。

では今回なぜオペアンプの比較試聴をやってみようと思い立ったかというと今年の2月に販売開始されると同時にコラボモデルとして発売したTU-8150SVの初段にオペアンプが搭載されていて、これを交換することでアンプが別物になりますよ!とメーカーから情報が入ったから。12AX7-6V6の構成で不足するゲインを入力部にオペアンプを配置することでカバーするというのはエレキットならではの手法ですし、私自身は意図的にこの領域のお話は見て見ぬ振りをしてきた部分もあったのですが、食べず嫌いは良くないだろうと思いサンプルを入手。試してみたら或る意味、出力管を換えたりカップリングコンデンサーを換えると同じ位の変化が現れて誰よりも自分自身が一番驚いた!というのが本音でした。そこで急遽番組を企画し皆さんに実際の音の変化を聴いて頂こうと思い立った訳です。
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これがTU⁻8150の基板、右下の赤丸が今回のテーマである二回路(ステレオ)のオペアンプです。
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これが拡大した写真。デフォルトではJRC 4580が搭載されています。
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これを小さなピンセットでつまんで抜き差しすることで交換する訳です。ハンダづけ不要で即座に出来るのでオペアンプ交換人口が急激に増えていて特に若い方が多いというのは納得ですね。

今回用意したオペアンプは9種類。

JRC NJM4580DD(B) ¥25(市価)
JRC MUSES8820D(B) ¥400(市価)
TI/BB OPA2604AP(F) ¥450(市価)
JRC MUSES8920D(F) ¥480(市価)
TI/BB OPA2107AP(F) ¥1,450(市価)
JRC MUSES01D(F) ¥3, 500(市価)
JRC MUSES02D(B) ¥3,400(市価)
TI/BB OPA637AP(F) ¥2, 400×2(市価)
JRC MUSES03D(F) ¥2, 500×2(市価)
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JRCとテキサス・インストルメンツ(バーブラウン)の対決という様相になりました。あと覚えておくといいのはオペアンプにはバイポーラ(トランジスタ)と入力部がFETの2タイプに大別でき、音質傾向も異なることでしょう。上記品番の後に(B)と書いてあるのはバイポーラ,(F)はFET入力の略です。極めて大雑把に言うとバイポーラは力感があり音像的、FETは繊細で響き豊かな表現と言えることが今回の総まくりテストで明らかになっていきます。

因みに上の写真の右二つは参考出品でMさんが持ってきてくださったもの。通常2回路のオペアンプを使うところ、アダプターを介して1回路のオペアンプを二個搭載するというJRC VS TI/BBの”頂上決戦”も実施されました。アンプで云えばステレオに対してデュアルモノーラル。①~⑨まで換えるたびにドンドン音が変わり、価格があがるごとに音の品位が向上する様子を是非多くの方に体験して頂きたいと思います。

テストソースは二種類。
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いずれも音質確認に最適なオーディオマニア必携の2枚を用意しました。大きく言うとJRCは極めてリニアリティが高く癖のなさが魅力。バーブラウンは低域の量感があって中域の上(2kHz~5kHzあたり)のレスポンスを僅かに落として高域のニュアンスを際立出せているような意図を感じました。

圧巻はJRCのオーディオ向けシリーズ”MUSES”の01~03。個人的には真空管アンプの本線系にはFET入力の01が大変気に入りました。Tさんは収録後すぐに秋葉原に走ってMUSES03を買いに走ったそう(笑)。実際量産機のハイエンドものでも⑤以降を使っているのは稀で特に⑥以降のオペアンプを使っているのはプレミアムグレードの製品に限られます。それを精々数千円で私たち自身が交換して音を楽しめるというのはある意味極めて痛快なこと。収録中にも三人で”これは間違いなく流行るね!”と言っていましたが、それくらいの変化量のあった実験でした。

今回の収録を通じて私としてはこの音の変化を多くの真空管アンプユーザーとも共有したいという想いに駆られました。数量は限られますがTU-8150SVをご購入のお客様にMUSES01辺りを無料でお付けするようなことが出来ないか…なんて考えています。それほどの気づきを与えてくれたオペアンプ。スペシャルゲストのMさんには心より御礼を申し上げたいと思います。
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by audiokaleidoscope | 2017-11-30 23:59 | オーディオ | Comments(0)

(11/30_1)「これで納得! MMカートリッジ完全制覇!」

駆け足で三日間東京でお仕事。将来の為の種まきあり、仲間との情報交換あり、収録あり…と盛り沢山で現時点ではお知らせ出来ない事もある訳ですが、今回のMUSIC BIRDの収録の内容は是非報告しておきたいと思います。

今回も二本録り。一本目は2/2(金)オンエアの「これで納得! MMカートリッジ完全制覇!」
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オルトフォン,オーディオテクニカの現行モデル各3種,ゲストのTさん愛用のシュア3種の合計9種類のMM(VM)カートリッジを一挙比較試聴です。
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フォノイコライザーはSV-310EQ。リファレンスソースはウイリアムス浩子のMY ROOM the LP vol.1から”Like A Lover”とMIXER’S LAB SOUND SERIES VOL.1から”マンテカ”というオーディオファイル必携のテッパンソースをチョイス。微妙なニュアンスの差までしっかりオンエアで聴き取って頂けるよう、最大限の準備をしました。

聴いたカートリッジは価格順で

SHURE M44-7 オープン ¥7,500前後
オルトフォン 2M Red ¥13,000(税別)
オーディオテクニカ VM520EB \16,000(税別)
SHURE M97xE オープン ¥ 17,000前後
オーディオテクニカ VM530EN \23,000(税別)
オーディオテクニカ VM540ML \32,000(税別)
SHURE v15 type IV \40,000前後(1980年頃の定価)
オルトフォン 2M Bronze ¥45,000(税別)
オルトフォン 2M Black ¥78,000(税別)

非常に興味深かったのはカートリッジにも明らかなブランドの音というか特徴があること。極めて大雑把に言うとSHUREは音像的でガッツある表現、オーディオテクニカは高域に独特の明るさがあり、オルトフォンは低域の量感と繊細な高域が印象的でした。針形状も丸針,楕円針,ラインコンタクト針,シバタ針とバリエーション豊かでそのニュアンスの差もしっかり出たプログラムになりました。

丸針=エントリーモデルに多い。中低域に安定感あり。
楕円針=高域特性がよくハイファイな表現。
ラインコンタクト針=ワイドレンジで摩耗しにくく長寿命。

大きく言うとこういう傾向がある訳ですが、一方でMM=入門者向け=音質的にMCに劣る…という先入観をもっている方もおられるかもしれませんが、価格的にMCと拮抗するクラスになってくると非常に優れた音を聴かせてくれるモデルが続々と出てきました。今回聴いた感じでは中級クラスのモデルの音の良さが非常に印象的でした。具体的にはテクニカ VM530EN,オルトフォン 2M Bronzeは上位モデルに劣らない音で素晴らしかったという印象。Tさんも私もMMカートリッジに対するイメージが大きく変わった2時間になりました。全てのアナログファン必聴のプログラムです!!



by audiokaleidoscope | 2017-11-30 23:15 | オーディオ | Comments(0)

(11/22)Jazz JAPAN Vol.88発刊!

本日発売のJaZZ JAPAN(ジャズジャパン) Vol.88
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先日のミニ対談がどう活字化されているかドキドキワクワクしながら今日を待っていましたが…先ほど届きました。文士としての寺島さんの陣形や戦法は自分なりに理解していて、今回はどこからどう攻め込まれるのか僅かな不安もありましたが、本文を読んで対談当日私が伝えたかったことがストレートに表現されていて、まずはひと安心。
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2ページに亘って書かれている寺島さんの文章を読み返すと当日の試聴室でのやりとりがビビッドに蘇ってきます。中身は読んでのお楽しみ(笑)。寺島さん一流の”甘い毒”もそこかしこに散りばめられていて、いつぞやの”もめごと”(原文ママ)についてもサラッと触れられているところが昔を知る人たちには堪らないかもしれません。
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その発端となったアンプの隣に二人のスナップが…縁起珍妙とはこのことかもしれません。ぜひご一読を!!



by audiokaleidoscope | 2017-11-22 17:38 | オーディオ | Comments(0)

(11/18)D/Aコンバーター新旧聴き較べ

今日はショールーム開放日。様々な音源と機器と人が集い出会う不定期行事です。
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今回はいつものメンバーに加え、兵庫からはKさんご夫妻やカーオーディオマニアの若者たちの参戦もあり、お客さんが入りきれずに大変バタバタしたタイミングもありましたが楽しい一日になりました。面白かったのがHさんがお持ちになったMusical Fidelity TUBALOG(D/Aコンバーター)を使っての新旧真空管D/A比較試聴。
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写真中段がHさんのTUBALOG。1994年頃の製品でDACチップはサンヨーのLC78835Kのようです。バッファ段の真空管は6922/ECC88。ややモノクロ的な表現で聴感上の帯域もナローですが独特の味を感じる音でした。日進月歩のデジタルですが何も新しいものがすべて善ではない…後世に残すべき一つのヒストリカルな逸品の一つであろうと思います。
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続いて登場はmodel2。デビューは1999年頃だったでしょうか。キット化して私どもで販売を開始したのが2003年から。たいへんな数が出たベストセラー機となり、今でもたくさんの方が現用機としてお使いと伺っています。DACチップはバーブラウンPCM1716でバッファ段の真空管はTUBALOGと同じ6922/ECC88でした。TUBALOGとmodel2の間の5年間の時間の隔たりは音質的に大きなもので、同じソースを同じ条件で比較していくと先ず中高域の情報量の差が歴然とするほか、音そのものの色彩感にかなりの差があることに気づきます。TUBALOGの音に対してモノクロ的と評したのは決してネガティブなイメージではないですが、決定的な情報量の差があることは事実で、この期間のデジタルオーディオの進歩が如何に目覚ましかったかが伺われます。
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続いてはSV-192Sです。2008年、まだハイレゾという言葉すらなかった当時にCD(44.1k/16bit)を内部で192k/24bitにアップサンプリングできる真空管DACとしてデビューし私どもの一時代を築いた製品です。DACチップはバーブラウンDSD1796。バッファ段の真空管は12AU7/ECC82を採用しました。この頃から私どもの機器がプロ用途に使用されるようになり、CDの復刻にあたりリマスターを行う際にSV-192Sが使われるようになりました。
LIVE IN JAPAN!! Live オリヴィエ・アントゥネス・トリオ

Blues,Ballads,Bebop And A Blue Girl ダグ・レイニー・トリオ
などが記憶に新しいところです。また標準真空管をMullard CV4003に交換するのも大流行しましたね。

SV-192Sとmodel2の違いをひと言で言うと音場の広さ。同条件でD/Aリプレイスしただけで再生音がスピーカーの外側にまで拡がるさまにTUBALOGを持ち込まれたHさんも驚いておられる様子でした。この音場こそがオーディオ再生のキモ…スピーカーは音の出る映写機のようなものであり、その2つのスピーカーから放射されたエネルギーが空間で合成されて像を結びポッカリと浮かび上がる…どちらか言えば音像リアリズム寄りの再生をする方の方が多い真空管機器ユーザーですが、SV-192Sの登場によって音場再生の面白さをに気付いた方も多かったと伺います。今聴いても全く旧さはありません。

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そして最後に登場したのがSV-192PRO。いまや11.2MHz/1bit,768k/32bitの時代ですが特にプロフィールドにおいて量子化レートよりも本質的な高音質を求める方にとってのバリバリの現役です。192Sとの外観の差異がフロントパネルの色だけですが中身は一新されておりDACチップはPCM1972に変更。その他コンデンサー類のグレードアップ,水晶発振子の選別精度アップ,電源部の強化等によってスタジオ環境やハイエンド環境で更に快適に使用頂けるようになりました。

192PROに替えて何が変わるのか…ずばり奥行感でした。192Sで開いた音場に前後感が現れるところが最大の違いです。これは上から下まですべての帯域に均質に倍音が分布していないと現れない現象でDSD1796とPCM1792の音質差は、この倍音バランスの差と言ってもいいかもしれません。192Sを長くご愛用いただいているKさんも”PROの音を聴いて心動いた”とコメントを下さいました。

色彩感→音場感→奥行き…これだけ変化してきたデジタルオーディオの世界。究極のデジタルはアナログであるというテーマは不変で、これからも様々なブレークスルーが待っていることと思いますが正直現在の一部のハイレゾはその名目通りの音質とはいえず、単純にソフトウェア上でリライトされただけのものも存在します。いくら茶碗だけ大きくしても盛り付けられているご飯の量が変わらなければ満腹感は得られません。ソフトとハードは両輪であることも同時に強く感じたD/A比較試聴でした。



by audiokaleidoscope | 2017-11-19 02:24 | オーディオ | Comments(0)

(11/18_2)薫りの違い

先ほど続きのようなポストになりますが、ショールーム開放日を終えてダッシュで東京へ。目的地は世田谷。内容は新製品発表会…でもオーディオ機器ではありません。
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SINGLE MALT SCOTCH WHISKY
GLENROTHES Distllery
DISTILLED 1997, BOTTLED 2017,...

AGE 19 YEARS
CASK TYPE : SHERRY BUTT


そう、ウイスキー。いわゆるウイスキー的なラベルとは風情が異なる19年モノで、ラベルの写真を撮ったのが平間至さん。このイベントのコンテンツのなかに”ウイスキーと音楽を楽しむ”があって平間さんからウチのアンプを使いたいと連絡があったので何はともあれ現場に駆け付けたという訳です。

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ここが会場。トーク&試飲のイベントでたくさんの方が会場にいらっしゃって盛り上がりました。開場後すぐに満員になってしまって良い写真が撮れませんでしたので、客入れ前の状況を少し…。
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アンプはSV-2(2010)で出力管は845。ドライブはKT88でスピーカーはQacoustic…等のコメントや説明が一切通用しない世界。音そのもので何かを伝えることが必要な空間。

話は戻ってこのシングルモルト。酒には疎い私でも普通のウイスキーでないことは直ぐに分かりました。詳しいことは全く分かりませんが何しろ薫りが素晴らしい!平間さんがラベルの写真を撮った時に”木の薫りがする”ことにインスパイアされてあのラベルになった…的なことを言っておられましたが、まさにそんな感じの素晴らしい芳香です。お酒のことは知らなくてもこの個性が伝わるようにウチのアンプもプレゼンスを発揮出来たようで、皆さんグラスと真空管を重ね合わせてスマホで写真を撮ったり。結構インスタ映えしたかも…しれません(笑)。
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何十という銘柄のなかから自分に合った味わいをみつける過程はまさに真空管アンプとの戯れに似てるなあ…そんな事を感じながら過ごさせて頂いたひと時だった訳ですが、新しいご縁を頂いたり、業界の仲間が会場に訪ねてくれたりしてとても楽しい異業種コラボでした。明日は朝から秋葉で特注パーツ&タマ探しです。





by audiokaleidoscope | 2017-11-18 04:19 | オーディオ | Comments(0)

(11/14)TU-8600 vs SV-S1616D/SV-501SE

相当久々のyoutube投稿です。

コメントにも書きましたが、エレキットアンプの音が従来のそれから大きく変化しつつあることを確信したニューモデル”TU-8600”が初登場するこの回の収録時の音をきっかけにオプションとしてJENSEN仕様の設定を決意。この回の収録ではデフォルトのカップリングコンデンサーを使用していますが、僅かにピーキーな感じのあった出音がJENSENによって滑らかに艶やかに変化することをブログでお知らせしたところ全購入者の70%以上がJENSEN仕様にグレードアップされました。まさにその過程を記録した回ともいえます。

また現役SV-S1616D/300B仕様との比較試聴だけでなく、オンエア後すぐ完売となったSV-501SEの最後の音色も一瞬ですがアップロードしました。併せてお楽しみ頂ければ幸いです。
by audiokaleidoscope | 2017-11-15 00:30 | オーディオ | Comments(0)

(11/13)Iさんの初めての真空管アンプえらび(完結編)

きっかけは一ヶ月ちょっと前。Fさんから”真空管アンプに関心がある知り合いがいるので相談に乗ってくれない?”と言われて初めて会ったのは。

最初だから基板アンプの方がいいかなと思い、TU-8150SVTU-8200SVそしてTU-8600SVから気に入ったものをお奨めしようと考えていた私。自分の中では価格と出力とプリメインという形式からTU-8200SVが最右翼かと思っていたのですが、実際会ってお話を伺ってみると”真空管アンプは初めてで全く経験もないんですが、せっかく作るなら良いものを…”と仰ってTU-8600SVで即決。カップリングをJENSENにアップグレードして初段は現行球ナンバー1の誉れ高いGold LIon ECC83に替えて完成しました!と連絡を頂いたのは直後のことでした。あまりのスピード感に少々びっくりしながらも完成祝いを兼ねてお披露目試聴会を第二でやりましょう!と連絡申し上げ、今日を迎えたという訳です。

Iさんは私より多分ひと回り以上年下の若者。アンプを持って来られてお話を伺うと”もう待ちきれなくて着いたその日に作ってしまいました。初めてでしたけど大丈夫でした!”とのこと。鳴らす前に健康診断しましょうか…ということになり簡易測定をすることにしました。
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これがIさんの初めての真空管えらびのターゲットとなったTU-8600SV(JENSEN銅箔仕様)です。完成の感動と歓びはまさにプライスレス!
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まずは残留ノイズ測定から。3mVレンジで左右とも測定した画像ですが両chとも0.3mV(未満)という素晴らしい結果。
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続いて波形確認。正弦波入力で画像は5W出力時のもの。ほとんど無歪みといえる波形で左右ゲインもピッタリ揃っています。写真を撮り忘れましたが方形波応答も極めて優秀でした。正直いって最初にメーカーサンプルを預かって測定した時以上のデータです。しかしまだ100時間も鳴らしていないということで、これから更に良くなっていくものと思われます。
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第二はどちらかいうと”響き系”の鳴りようですが、Iさんはジャズをアナログで楽しみたいそう。スピーカーはJBLをイメージしているそうですが、早くもターンテーブルやフォノイコの選択にも興味津々で矢継早に質問を頂きました。しかし自分の経験から言うと最初から何十万もアナログ機材に投資するより中古でいいからLPをたくさん聴いて、本当に自分の目指す音や好きな音楽が分かってから装置のグレードアップを検討されてもいいんじゃないですか…と申し上げました。音楽とオーディオは両輪。機器をグレードアップするのは何時でも出来る、その前に音楽を聴く歓びと感動をたっぷり養って欲しいなあ、と思います。私にとってはそれはLPではなくて当時のCS-PCM(いまのMUSIC BIRD)でしたが。

Iさんの初めての真空管アンプえらびはTU-8600SV(JENSEN仕様)で完結し結果的には大成功だったといえます。私どものミッションはIさんのような方が一人でも多く増えるよう頑張ること。残念ですがTU-8600はメーカー在庫も終わりに近いらしく最後の30台を確保させて頂いてこれでお終いのようです。

Iさんのように果敢に挑戦すれば必ず完成出来る真空管アンプ。年内で完売になりそうな勢いですが初めての方からマニアのサブ機まできっと期待に応えてくれる名機の一つだと思います。本当に楽しかったIさんのお披露目試聴会でした。



by audiokaleidoscope | 2017-11-13 23:29 | オーディオ | Comments(0)

(11/11~12)楽しかったウインズ合宿

5日間の巡業の総仕上げは乗鞍のペンションウインズでのモノづくりワークショップ。仲間内では”合宿”と呼ばれ初回の2005年以降、今回がたぶん10回目位の恒例行事。
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紅葉も終わり、時折小雪舞う乗鞍。何度となく仲間同士で集まってモノづくりの楽しさを共有してきた大切な場所です。
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今回のテーマはこれ。桐合板エンクロージャーに8インチユニットを入れたスピーカー。もともと米松材で実績のあるフォルムですが、9月に桐素材で作られた試作の音を聴いて量産は難しいものの、ウインズスピーカーの歴史とカルチャーを知る方には格好の題材になると判断、合宿形式で陽の目を見ることとなりました。たいへんデリケートな素材ということもあり、粗組みは事前に済ませておいて、現場では研磨,塗装,ユニット実装を中心に行うことになりました。
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午後に入り三々五々集まってきた皆さん。早速作業に入ります。まずは表面の磨き上げから。この工程をいかにちゃんとやるかで塗装の美しさが違ってきます。
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研磨が追わりユニット固定用の穴あけ。ここで失敗すると今までの努力が台無しになりますので正確に位置決めを行い、下穴を開けてからドリルで一気に貫通。
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一連の作業が終わったらコンプレッサーで削り粉をきれいに吹き飛ばします。
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次に塗装作業。まず下塗りをして乾燥させてから本番。適宜乾燥しながら念入りに作業します。
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これまでアンプ/スピーカー半々くらいでやってきた合宿。常連さんは勝手知ったる感じで慣れた手つき。順調に作業が進んでいきます。
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手前側が塗装が終わって乾燥待ちのエンクロージャー。今日はここまで…夜の懇親会が始まります。
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Sさんが持ってきて下さった2014年合宿の時の”お出かけセットmini"。
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これはMさん自作のDSPラジオ。
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EL34/ULppも…SV-pre1616Dと一緒に鳴らしたり、皆さん自作アイテム持ち込みで一層合宿気分も盛り上がります。
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参加メンバーの皆さん。みんな楽しそうです。宴たけなわでそのままお開きかと思いきや…
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待ちきれずにユニット実装が始まりました。これは初参加のIさんが持ってこられたエレボイのSP8B(1972年頃)。ほとんど中古市場にも出ない珍品だそうです。堅牢そのものでズッシリと重いユニットです。さてどんな音が出ることでしょう…楽しみです。
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二日目の朝。最低気温はマイナス7度。空気が澄んでとても気持ちの良い一日のスタートです。
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リビングではTさんのWestern Electric 755Aの取り付けが始まりました。
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ほどなく実装完了。サランネットなし仕様で存在感バツグンです。まあ何と言うか中低域の厚みといい、高域の自然さといい、あらゆる言葉の評価が陳腐に思えるほどの表現。一同押し黙ってただ聴き入るのみでした。
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これが昨夜のIさんのエレボイ。これも格好いい!骨格のしっかりしたスケール感のある音。Tさんの755を女性的表現というならこのエレボイはまさに男性的。ウインズ常設の350Bシングルが非常によくマッチしていました。
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これはKさん別注の横幅1/2サイズモデル。ユニットはフォステクスの8㎝をモディファイしたもの。小口径フルレンジのイメージを覆す広大な音場と響きの良さ。まさに桐という素材でしか為しえない美しい音でした。
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同じスピーカーでも多極管シングル,多極管pp,三極管シングルで出音が大きく変化します。写真はPre1616DとSV-91Bのふくよかさと浸透力を足して2で割ったような表現を聞いて頂いている時のスナップです。
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これも恒例となった集合写真。次回はアンプを!というリクエストも頂き再会を約束して散会となりました。久しぶりの人も初めての人も寝食を共にしながら一緒にモノづくりの楽しさを共有するウインズ合宿。来年また乗鞍で集まりましょう!



by audiokaleidoscope | 2017-11-12 21:10 | オーディオ | Comments(0)

(11/9_2)MCトランス比較試聴大会

2本目は永世ゲストTさんのリクエストで各種MCトランスの聴き較べ。オンエアは1/19です。MMカートリッジの2~3mVの出力に対してMCカートリッジは一桁低いコンマ2mV~3Vですので利得を揃えるためには20dB(10倍)程度のステップアップが必要となります。そこで必要なのがMCトランスです。汎用機やプリメインアンプにはMCトランスにかえてヘッドアンプを入れていることが多いのですが、高級機ではMCトランスを内蔵していたり、マニアックな方は外付けのMCトランスを自分で用意して音作りのツールにします。単なるトランスですがそれだけ音づくりに大きな影響を与える世界だからです。

今回現行の廉価帯からヴィンテージまで網羅出来たら、と思っていたのですが探してみると現行品が実に少ないことを再発見。MCカートリッジは作っていてもトランスは製造中止というメーカーもあったりで少々残念ではありましたが、色々なところに声を掛けさせて頂いて中古市場で手軽に入手できるものからスーパーヴィンテージまで8種類のトランスの音を聴くことが出来ました。
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登場したトランスは以下の通り。

1 DENON AU-300LC(ハイファイ堂さんからレンタル)
2 Bayer Dynamics KTR710(スタジオ常設)
3 パートリッジ TK-2220
3 ALTEC(PEERLESS) 4722
4 アントレー ET100
5 オルトフォン STM-72
7 SV-310EQ標準(橋本電気特注)
8 WE618C

という布陣。中古価格で約2万円~80万というダイナミックレンジの広さです。
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MCトランスの出力をSV-310EQのMM入力に入れて試聴します。パワーアンプはSV-91B(PSVANE WE仕様)です。

ところでMCトランスを使いたいけど気になるのはカートリッジとMCトランス一次側のインピーダンスマッチングについてです。アンプとスピーカーのインピーダンスは僅か数Ωの差でも気になるのに、カートリッジは低いもので数Ω、片やトランスは高いもので数百Ωにもなります。これらを普通につないで大丈夫なのか(まともに鳴るのか)に不安を感じる方もおられるのではないでしょうか。

実はこれに関しては”あまり気にしないでも大丈夫”というのが回答になります。カートリッジ/MCトランス間は電圧しか伝送されませんので、仮に差があってもトランス二次側の見かけ上のインピーダンスが変化するだけ。例えば20Ωのカートリッジを200Ω:50kのMCトランスに接続して場合、トランス二次側が見かけ上5kになるだけ…という考え方です。

ではなぜトランスそれぞれに一次:二次の表示がされているのか?これはトランスを設計した際の想定負荷あるいは最も変換効率(周波数特性,利得)が良い値を表示していると考えればよいでしょう。アンプ対スピーカーのように電力を伝送する場合はマッチングは比較的シビアですが、電圧伝送に関してはあまり神経質になることはないのです。ただ注意すべきは、そうはいってもマッチングが取れていることに越したことはないということ。ずれた分だけ特性的にも偏移するでしょうから。それを逆手にとってオルトフォンのSPUをWesternのトランスに繋いで絶品!と仰っている方にお会いしたことがあります。カートリッジ7Ω,トランス500Ωですが良い結果が出る場合もあるということですね。

今回は8種のMCトランスを聴き較べするのにカートリッジは14ΩのDENON DL-103SAを使いました。結果はオンエアを聴いて感じて頂きたい訳ですが、これぞまさに優劣を超えた嗜好の世界。むしろ廉価帯の方がフラットバランスでクリアに鳴る傾向でしたし、一方でヴィンテージ系は個性豊かで好みには合えば無敵!という音が出ることも分かりました。個人的には103系にはパートリッジTK-2220のパワー感は相互補完的で素晴らしかったと思いますし、少々口幅ったいですがSV-310EQ標準トランスの音に自信を深めることが出来ました。

後半はカートリッジをオルトフォンSPUに替えて再試聴。ここで前半の結果とは大きく異なる結果が出始め、私自身も正直戸惑ったというのが本音です。例えばDL-103SAでは僅かに高域のレスポンスが落ちて聴こえたオルトフォンSTM-72がSPUではプリップリの鮮度感とレンジ感。同ブランドの純正組み合わせだから良いに決まってるじゃないかと言われそうですが、私が思ったのはトランス単体での評価ではなく、あくまでカートリッジ+トランスの複合的表現において評価する必要があるな、ということ。必ずしも高いものが音が良いという訳ではないMCトランスの世界。ある意味タマの差し替え以上に奥の深い(逆に言えば難しく深遠な)世界であることがよく分かりました。まさに十人十色、音は人なりを体現するMCトランス比較試聴、とても楽しかったです。


by audiokaleidoscope | 2017-11-10 04:35 | オーディオ | Comments(0)

(11/9_1)無人島レコード

東京~長野の5日間巡業。東京2日めはMUSIC BIRD収録。2018年1月分の2本録りでした。1本目(1/5オンエア)は新春特番。
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ゲストはジャズ・ベーシスト小林真人さん。オーディオにも精通され、特にSPレコードの蒐集家としても知る人ぞ知る方。前回のオンエアが大好評で、やっと再登場いただくことが出来ました。今回もテーマは”無人島レコード”。小林さんが無人島に1枚(タイトル)だけ持っていくとしたら何?…に対する回答としてお持ちになられたのがこれ。
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6枚組のジャズSP盤でタイトルは”the jazz scene"。小林さんから事前に”6枚組のセットがあるので裏表全部12曲ぜんぶ掛けたいんです”と伺っていたのですが、このjazz scene…調べれば調べるほど如何に貴重で価値のあるものであるかが分かってきました。特に注目したのがこのサイト。いきなり”Most important Album You’ve Never Heard”なんて書いてあって読んでいくとヴァーヴとパブロという二つのレコードレーベルを創設し、JATP(Jazz at the Philharmonic)の興行で一世を風靡した稀代のプロデューサー、ノーマングランツが1940年代のジャズのあらゆるエッセンスを網羅すべく編纂したセットもので5000セットの限定品。一番上の写真で小林さんが中を開いてみせてくれていますが、雑誌「Life」の写真家Gjon Milliが撮影した美しい写真32枚と数々のジャズアルバムのジャケットアートワークで知られるデヴィッド・ストーン・マーティンの美しいイラスト。
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全てにシリアルナンバーとノーマン・グランツ直筆のサインが入っています。如何にこのセットものが贅を尽くされ、ノーマン・グランツ自身が意気込んで製作されたものであるかが分かって実際どんな曲が入っているのか、どんな音なのか楽しみにしていたのです。
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今回の再生装置はこんな感じ。前回同様プリはマッキンC8を使い、パワーは前回の2A3から今回は300B(SV-91B)。そして今回は…
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MCトランスにWE618C(オリジナル)を使用。コラムでお世話になっているY下さんからお借りしました。トラックによっては殆ど針が下ろされてないのではないか…SP盤特有のピリパチ音が殆ど感じられない歴史的名盤のオンエアは恐らく空前絶後のことで今後もまずあり得ないことだろうと思います。そして2時間かけて小林さんの解説つきで全曲制覇。これは何が何でもオンエアを聴いて頂いて、出来れば録音もして頂いて永久保存して頂きたいと思います。いずれMUSIC BIRDの番宣で曲目紹介されると思いますが、当時のジャズ・スター達がきら星の如く登場しソロ(アドリブ)からビッグバンドまで当時のジャズの全てを聴かせてくれる2時間になるでしょう。どうぞお楽しみに!!



by audiokaleidoscope | 2017-11-10 02:11 | オーディオ | Comments(0)

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