<   2017年 07月 ( 12 )   > この月の画像一覧

(7/30)AIには出来ない"過程を楽しむ"モノづくり

今まで第二に色々な方をお迎えしてきましたが、欧州からのお客さまは初。とはいうものの、目的は試聴ではなくてラジオキットの組立ワークショップ。
b0350085_17595724.jpg
高校時代のクラスメイト夫妻がホストファミリーとしてスイスの若者を受け入れていると聞いたのがきっかけで、"もし良かったらニッポン流モノづくりを体験してみない?"と声を掛けたところ、うまくタイミングが合って実現となりました。スイス君だけでなく同級生のご子息も一緒で、二人ともハンダは初体験。

唯一の懸案はスイス君と英語でコミュニケーションがとれるのか…ただそれだけ。言葉さえ伝わればモノづくりのスピリットには国境はありません。実際会ってみると190cmを越える長身でブロンドの好青年。19歳で9月から新学期を迎えるこのタイミングで日本をホームステイ先に選んだそうで、幸い英語も流暢で早速製作を始めることになりました。今回教材に選んだのはエレキットの新製品TK-739
b0350085_17554075.jpg
少し飛躍しますが、最近はAI(artificial intelligence:人工知能)が注目されてdeep learninng(深層学習)により囲碁や将棋でAIが人間を負かすことも少なくありません。人間よりも高速で複雑な判断を行うことは一つの大きなメリットである一方、これから先、何かの判断をAIに任せる時代が来たときに、その思考プロセスがブラックボックス化し"なぜその判断(結論)に導かれたのか?"が軽視されることがあってはなりません。

正しい判断をするためにはその前に試行錯誤や失敗による学習が不可欠であり、その点において自ら手を動かして苦労しながらもモノづくりする意味はとても大きいのでは・・・その過程すべてが自負と他者への感謝につながる…そんなことを考えながらいつも子供たちを見守っています。合理性だけが全てじゃないよ、と思いながら。
b0350085_17335916.jpg
写真は関係各位のご了解のもとアップさせていただきました

幸い二人はとてもクレバーで落ち着きがあり、多少は苦労しながらも立派なモノづくりをしてくれました。二人とも一発完成で静かに見守っていた大人たちも大きな感動を共有することが出来ました。生まれた国や育った環境は違ってもみんな一緒で皆仲間。とても楽しいひと時でした。



by audiokaleidoscope | 2017-07-31 17:50 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_2) KR2A3/300Bの音とは?…不思議な逆転現象

2本目(9/29オンエア)はレギュラー企画でTさんと私の二人で収録。
b0350085_04344818.jpg
2A3と300Bを無調整で差し替え可能な真空管プリメインとしてたくさんの方に使って頂いているJB-320LMSV-2300LMが登場。目的は現行の定番球といっても良いGoldenDragon2A3premiumPrime300Bver.4をベースとしていま密かに注目を集めているKR(チェコ)の高級2A3/300Bを聴き較べてみよう…それもシングル/PPで一気に総まくりテストして評価しよう、というテーマです。

KR真空管は高価格ながら家内制手工業的な丁寧なモノづくりで定評あるところですが、少し注意が必要なのは例えば211/845であれば通常の10V/3.25Aに対して10V/1Aだったり300BXLSのように通常5V/1.2Aであるべきところ5V/1.8Aだったりとフィラメント定格が独自仕様となっているものが散見され、いわゆる通常の211/845アンプや300Bアンプでは使えない(改造が必要な)球が存在することです。今回はそんなKR球から一般的な2A3/300Bと同定格なもの(そのまま差し替え可能な球)を選んで音質比較することにしました。

ずっと聴き慣れているGoldenDragon2A3やPrime300Bに対してKRがどんな音を聴かせるのか、私も非常に興味を持っておりましたが、たいへん面白い結果が出たことを先ずは報告しておきます。個々の音色についてはオンエアでその機微をご確認いただくのが一番ですが、特筆すべきは一般に「シングルは音色(ねいろ)」,「PPは響き」という言われることとは反対の傾向、すなわちシングルではクリーミーな円やかさ、逆にPPではトランジェント(音の立ち上がり)の良さと低域の締りが出たからです。これは長い私の真空管との戯れの中でも殆ど経験がないことでした。
b0350085_04313990.jpg

KR2A3。シングルにおける音の溶け合い方の美しさが際立つ表現。

b0350085_04315134.jpg
b0350085_04332600.jpg
KR300B。大型化されたプレートに合わせて根本が太くなった存在感が際立ちます。私たちが聴き慣れている300Bよりも高精細な表現。
b0350085_04315797.jpg
今回最も注目していたKR300BBalloon。プレートはKR300Bとおそらく同一ですがサポートロッドが4本に増えてリジッドな構造になっています。300Bにしては異例に透明感のある輝かしい音でした。

合計11通りの音を出して比較した訳ですが、KRではどのパターンにおいてもPPの方がシングルよりも音が締まるという逆転現象に対して私もTさんも或る意味首を傾げつつ、球のスペックを見て合点がいった気がします。

KR球は独自の定格を持つ(ものが多い)ことは上記した通りですが、今回取り上げた三種類の直熱三極管は全てプレート損失(車のエンジンでいえば排気量)が全て通常球よりも10~20%程度上がっています。2A3であれば通常15Wに対してKRは20W。300Bであれば通常40Wに対して50W。驚くべきは300Bで何と最大プレート電圧550V,最大プレート電流120mA(!!)という凄さ。845ですら100mAな訳ですから如何にKR300Bがハイレギュレーションであるか分かります。

恐らくは通常設計のPPではKRの最も”美味しいところ”に届いてない…これが私の推論です。結果三極管ならではの解れや厚みがPPでは今一つ来なかった、ということかもしれません。一方シングルではそれぞれの球の良さが出て大変魅力ある存在であることも確認した次第です。裏を返せば”もっと低域を締めたい、更にパワーを出したい”という方には従来の2A3や300Bとは隔絶したパフォーマンスが期待できる訳で、ここがKRの使いこなしの要諦であろうと感じた次第です。

最近のトレンドの一つである「上位互換」球の流れ。KT150のように極めて短期間でスターダムに上った球もあります。2A3シングルで5W,300Bシングルで10数W…これがいつの日か常識になる日がひょっとしたら来るのかもしれませんね。”ところ変われば品変わる”…チェコの音を堪能できる2時間です。



by audiokaleidoscope | 2017-07-29 05:32 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_1)懐疑派の陥落

今回のMUSIC BIRDは9月後半オンエア分の収録(2本録り)。まずは一本目。

告知によれば

「今回はケーブルに対して懐疑的な2人(大橋・高山)が「ケーブルで音が変わる派」と対決。「音が変わる派」代表はオーディオ実験工房でおなじみ、みじんこ荒川さん。みじんこさんが電源ケーブル、ラインケーブル、スピーカーケーブルなど各種ケーブルを持ち込んで音の変化を検証します。ケーブルで真空管アンプの音はどう変わるのか?写真家でベース弾き、オーディオファンで真空管アンプも使用している平間至さんも「変わる派」スペシャル・ゲストで参加。

ということですが、アンプ設計の立場から言えば能動系=アンプの音の変化の方が受動系=ケーブルの変化よりも大きいに決まってる!という刷り込みもあって、今まであまり(というよりも半ば意図的に)ケーブルについては意識しないようにしてきた部分が正直ありました。その一方でオーディオ実験工房のオンエアを聴いたり、今回のスペシャルゲスト平間さんの家や写真館でケーブルによる音のチューニングの様子を見させていただいているうちに”これはひょっとしてひょっとするんじゃないか!?”と思い始めたこの半年ほど。そこで荒川さんと平間さんにオンエアでリスナーの皆さんと一緒にケーブルによる音の変化を共有してみませんか?と提案させていただき、今回の収録が実現しました。

b0350085_03180823.jpg
増幅系は192PRO,192A/D,S1616D/KT150で統一。全ての比較においてゲイン等一切触わない状態で収録しました。

実は収録前日に搬入と前段取りをした後に食事でもと思い、局の近くの中華によったら偶然にもレギュラー収録を終えた荒川さんと炭山さんと遭遇!やあやあ!明日よろしくお願いします!!とお話していたら実験工房のゲストでいらっしゃっていたメーカー「光城精工」のTさんが同席されていて、オーディオ用電源タップをお持ちと伺い、初対面でしたがその場で出演オファ。収録ではまず通常のOAタップとの比較からスタートします。この比較の音の違いは私にとっても鮮烈なもので、オンエアを聴いて頂ければおそらく10人中10人がその音の明白な違いを認識頂けるほどの差。正直私が一番痺れた…かもしれませんが。
b0350085_03181667.jpg
この状態をデフォルトとし、以降はオヤイデ電気の電源ケーブル(パワーアンプに装着),ラインケーブル(プリ/パワー間で装着),スピーカーケーブル(パワーアンプ/ダミーロード間に装着)して比較試聴していくと、受動系と言えないほどの音の個性が明白に現れて懐疑派代表の大橋/高山陣営もタジタジ。電気的,測定的には説明が出来ない伝送系素材と構造による音の変化をも人間の聴覚は認識できることに改めて驚きと感動を覚えました。特に電源プラグのブレードのメッキ無/有りで音質が変わるなんて今までは”ホントかなあ~?”というのが正直なところでしたが、これもオンエアを聴いて頂ければ必ずや分かっていただける筈。たった2時間で懐疑派は白旗を挙げて陥落する結果になったと申し上げておきましょう。

最後の方で平間さんが仰っていたこと。”ケーブルで音を作るというよりも環境によって発生する様々な要因をケーブルで補うんです”…蓋し名言!真空管アンプの魅力をより引き立たせる為の重要なツールであることを教えて頂くことが出来た、個人的にも非常に有意義なひと時でした。




by audiokaleidoscope | 2017-07-29 03:23 | オーディオ | Comments(0)

(7/24)若き挑戦者

今日は午前中試聴のお相手。午後は”FMジャズ喫茶”の収録という一日。
b0350085_02272536.jpg
今日の試聴のお客さまはショールームオープン(2003)以降、最年少では…?と思われるほどの若者。最近の若い人は(という時点で自分が如何に年齢を重ねたか分かりますね)、何か言葉のボールを投げても「…あ、はい」とか「いや、まあ、とりあえず…」的な曖昧で(良くいえば慎ましやかな)ハッキリしない方が多く、もっと自分をストレートに出せばいいのにな…と思うことが少なくない訳ですが、今日いらっしゃったMさんがオーディオが好き!というピュアな気持ちが伝わってきて、とても爽快で嬉しいひと時になりました。

MさんのターゲットはVintage S12。訊けばS12に搭載しているユニット(Sica/Z007360)をすでに所有しておられ、密閉,バスレフでエンクロージャーを自作されたものの満足な低域が出ずに困っておられるとのこと。このユニットは96dB以上/w/mという超高能率と指向性を絞った深鉢仕様のユニットの特性を生かすために、なるべく大きく響きの良い材料でエンクロージャーを作ることが非常に重要であることを説明し、ウチのユニットは高域側のサブコーンは独自のダンピング剤を塗布して高域の荒れを抑えていること、シナ合板ではこの響きは出ないので素材選びには十分気を付けてということも申し上げました。

それでアンプはどんなものを使っているんです?…と伺うとアンプも自作とのこと。この若さにして溢れるクラフトマンシップに感心していたら”アンプ持ってきてます”ということなので、じゃあそれでS12を聴きましょうよ!ということに。
b0350085_22303767.jpg
Mさんの自作アンプ(右)と音質比較用のSV-S1616D/300B。MさんのアンプはクラスD(デジタル)アンプで出力は確か400W(!)。対してS16は8W。試聴ソースはマイルスのKind of Blue。
b0350085_23151052.jpg
言わずとしれたJAZZの名盤中の名盤。おそらくこれまで数えきれないほどのリイシューを重ねてきて正直音質も玉石混交な訳ですが、これは安くて音質もGood!です。

私も球アンプ以外でS12を聴いたことはありませんでしたが、同じオーディオアンプでもクラスDと真空管では音の根っこからの差異をより明確に出す辺りは高能率ユニットならではかもしれませんが、特に高域の質感…独特の粒子感と時に感じる先鋭感がクラスDアンプの音質的特徴と言えるかもしれません。

一つのサンプルをお見せします。上のサイン波が或るクラスDアンプ(Mさんのアンプではありません) 。下がS1616D/300Bです。
b0350085_00204957.jpg
1W出力時(1kHz)の波形です。著しい差異はないと言って差支えありません。
b0350085_00210515.jpg
こちらは同じく1W出力時(10kHz)の波形です。クラスDアンプに僅かな波形の乱れが発生しているのを確認出来ます。もちろん全てのクラスDアンプがこうだとは言いませんし、被検アンプが偶々こうだった可能性もありますが、一般にクラスD増幅ではパルス幅変調(PWM)出力波形からオーディオ信号を抽出するためにローパスフィルタを外付けする必要があり、この設計で音質ならびに特性に大きな差異が出ます(最近のアプリケーションでは外部フィルタリングが不要なもものも多いようです)。

人間の耳はこの僅かな差異も鋭敏に感じる訳ですが、Mさんも”音の質感そのものが全然違うんですね”と仰りながら興味深そうに聴いておられます。最近はクラスDアンプを出力部に持つアンプでも電圧増幅段に真空管を用いるケースがかなり出てきており、Mさんのアンプもこうすることでアナログ的滑らかさを得られる余地が十分にあることをお伝えしました。若者のピュアオーディオ離れが懸念されるなかで、Mさんのような意欲ある若者にはこれからも大いに腕を磨いて頂いて再び道場破りに来ていただきたいものだと思いながら、Mさんには折角同じユニットを持っているんだからS12の寸法を測って自作されては?よかったらまた遊びにいらっしゃって!…と提案してお見送りしました。

収録が終わって会社に戻りメールチェックと共に受注データを確認するとMさんからS12のご注文が…。短い時間でしたが何かを感じて下さったんだな、ととても嬉しい気持ちになった一日でした。




by audiokaleidoscope | 2017-07-25 00:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/21~22)オーディオの快感と音楽の感動と

東京から戻ってほとんど切れ目ない試聴対応。金曜は朝8時~夕方6時前までずっと試聴室に入り放しという状況。当然のことながら全ての方のニーズが異なり、レストランで云えば全てア・ラ・カルトメニュー。一期一会の対話から生まれる音の邂逅を楽しむ時間が続きました。

そんな中で印象深かったのが神奈川のUさんとのひと時。わざわざ前泊されてスピーカー持ち込みでの試聴でした。
b0350085_21140362.jpg
最近スタジオでよく見かける”ムジーク”(独:musikelectronic geithain)のスピーカー。スタジオ関係者のみならずミュージシャンからも”ムジークいいねえ!”とは聞いていたものの、スタジオではほとんどがパワード(アンプ内蔵)モデルであったこと、パッシブ(アンプレス)モデルを実際聴く機会がほとんどなく、その実力については寡聞にして存ぜず、というのが本音でした。

今回Uさんから試聴予約のメールで”ムジークをSV-9TSEで鳴らしているんですが他のモデルでも試聴したい”と伺った時から、この機会を逃してなるものか!と思い楽しみにお待ちしていたという訳です。
b0350085_21141192.jpg
これがUさんの愛機ME25。元々はレコーディング環境での近接モニタリング用途のモデルで音楽鑑賞用というよりも検聴用のスピーカーであることから実際音はどうなのかな?…と思って思いながらUさん標準のSV-9TSEで鳴らしてみると、無機質どころか太々として筋肉質な9Tサウンドそのものでちょっと安堵。ローがモリモリと出てきます。

SV-S1616Dの300B仕様やKT150仕様で鳴らしてみると音の傾向が通常のスピーカー以上に変化。Uさんも”やっぱりモニターですね。全く表現が変わる”と言いながら最後に鳴らしたSV-S1628Dで別世界が現れました。
b0350085_21150975.jpg
左が845,右が211。まずは845で鳴らすと高域のキレとスピード感が今まで鳴らした全てのアンプより増すだけでなく、ローの沈み込みがPP以上で且つ締まって低域の音階が情緒的にならずしっかりと聴こえてきます。少々手前味噌になります昨年暮れにデビューしたばかりの新製品でありながら、「サンバレーのSV-2は初代モデルからNewSV-2,SV-2(2003),SV-2(2007),SV-2(2011),SV-S1628Dまで全て使ってきましたが音は1628が一番良いです(札幌のMさん:原文ママ)」と言って下さる方が実は多く、海外を含めて好調に推移しているのは本当に有難いこと。特徴的なのは国内では7割が845,海外では7割(以上)が211という売れ方の違いです。211に替えるとしなやかな三極管サウンドに変化し温度感が上がります。出力は半分に下がりますがムジークではピークで歪むなどの問題は全く見られず、Uさんは「基本845で鳴らして気分とソースで211を使うことにします」という結論になった次第。硬派で知られるムジークが845/211でこんな風に鳴ることを知って私も大変参考になりました。

金曜最後の来客は翌日の本番を控えて前ノリされたN響のYさん(ヴァイオリン)。SNSのポストをトレースしてみたら試聴室は何と2年半ぶりのご来訪ということでネタには事欠くことなし。話が尽きずに一杯吞みながら大いに盛り上がりました。そして今日…。
b0350085_23375886.jpg
年に一度の地元定期。ベートーヴェン,チャイコスフキ,アンコールのモーツァルトというお手盛りプロながら透明感とアンサンブルのスケール感が最高レベルで同居したサスガ!国内最高峰!!の名演を満喫させて頂きました。この広大なダイナミックレンジは生でしか味わえない…のは事実かもしれない。でも私たちはオーディオならではの快感と音楽の感動の両方を見つめながら、これからも更なる高みを目指す!…そんな気持ちになった今日でした。



by audiokaleidoscope | 2017-07-22 23:20 | オーディオ | Comments(0)

(7/19_2)カッティングの違いを音で知る

昨日の鮮烈な体験を忘れないうちに備忘的に記録しておきたいと思います。
b0350085_22175623.jpg
昨日ミキサーズ・ラボでカッティングの実演を見させて頂いて、実際プレイバックを聴いて思ったことは「カッティングでこんなに音が変わるのか!」ということ。散々いろんなことを質問して帰りがけにいただいたデモLP。左がすでにリリースされているステレオサウンド盤。右が今回ミキサーズ・ラボで新たに切ったサンプル盤(非売品)。音源(マスター)は同一。これを比較しない手はありません。

聴感上はミキサーズ・ラボ盤の方がワイドレンジ。特に高域のキレが良い。一方ステサン盤は中低域がマッシブで音が前に来る感じです。ではこれを定量的(波形的)に較べてみることにしましょう。同じターンテーブル(pro-ject/RPM9.1),同じカートリッジ(DL103),同じフォノEQ(SV-192A/Dのフォノ入力)同じレコーダー(KORG/MR-1000‗44k/16bit),同じ録音レベル…つまりソース以外は全て同じにして頭出しを1/1000秒レベルで完全に合わせて録音。正確に比較するために特定の曲のRchだけを切り出して並べてみたのが下の画像です。
b0350085_22174752.jpg
赤丸部分を注視してみて下さい。ミキサーズ・ラボ盤の方がカッティングレベルが高い(約1.5dB)ことが分かります。単純にレベルを上げるのは難しくありませんが、その分ピークを歪ませないよう細心の注意とノウハウが必要な訳で、この差が両者を比較した時の情報量の違いとして感じられることに大きな意味があると考えます。
b0350085_22175236.jpg
そして何度か録音しているうちに面白いことに気づきました。曲の頭はドンピシャで合わせたにも関わらずタイムスタンプ約55秒のところでミキサーズ・ラボ盤の方が約0.03秒進みが早いようです。あるいはターンテーブル側のワウ・フラッターか?と思い何度かやり直しても結果は変わりませんでした。マスターがデジタルですのでスピードの差は当然ありません。ということはステサン盤のカッティングマシンとミキサーズ・ラボのカッティングマシンの僅かな回転数の違いがこの差になっている…のかもしれません。

その他音場感の違いをオシロのリザージュ波形で比較するとどうなるか?出力の高調波成分の分布はどう違うのか?…等々いろいろと調べてみたいことがあります。音は目に見えないから面白い!測定で取得できるパラメータは本質的な音の良し悪しとは直接的な相関を持たないことは真空管アンプの設計を通じてずっと感じてきていることですが、最近何とかして「音の見える化」が出来ないかと沸々と感じることが多くなってきました。

私たちは音をどこで聴き、何を感じているのでしょう?鼓膜の振動だけでなく皮膚を含めた体全体で私たちは音を感じているという研究も進んでいるそう。真空管アンプの音をどうして私たちは心地よいと感じるのか?…感覚的なだけでなく理論的に証明してその優位性が更に明らかになれば、この業界で頑張っている多くの先輩や仲間にとって大きな力になるのではないか…最近特にそう感じています。







by audiokaleidoscope | 2017-07-19 22:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/19)ホテルのラウンジで聴く真空管アンプ

昨日泊まった都内のホテル。15年ほど前からお付き合いさせて頂いているTさんが館長をされていることを知り、今回初めてご厄介になりました。市ヶ谷駅から徒歩3分ということでロケも抜群。かなりハイクラスなビジネスホテルですが宿泊代金もお値打ちということで非常に人気のあるホテルのようですが、今回のお目当てはバーラウンジ。水~土の20時から営業されているそうですが、今回無理をお願いして中を見せて頂きました。何故かと言うと…
b0350085_18073035.jpg
b0350085_18063904.jpg
b0350085_18071324.jpg
b0350085_18073852.jpg
カウンターとテーブル席のバーの先にある広々としたラウンジ。ここでウチの音が聴けるからです。テレフンケンPCL86仕様のSV-9Tと懐かしいkit LS3/5a(最終バージョン)。D/AはSV-192Sです。ラウンジのエアボリュームの効果も相まって実にたっぷりとスケール感豊かに鳴っています。
b0350085_18170436.jpg
それもそのはず。Tさんは極上の音でDECCA DECOLAを鳴らすオーディオの達人!オーディオの鳴らし方をよく分かっていらっしゃる!
b0350085_18360471.jpg
もう5年も前になりますが仲間うちでTさん宅にお邪魔した時の写真をFさんのブログから拝借しました。またあの妖艶な音を聴かせていただきたいものです。興味のある方は美味しいお酒とともにTさん肝いりの極上サウンドを体験しに市ヶ谷へ足を運んでみて下さい。

そのあとホテルのチャペルへ。年間300組の新郎新婦を送り出されるという人気の場所なんだそうです。
b0350085_18385679.jpg
手を叩くと残響が上に吸い込まれるていくような理想的な音響空間。
b0350085_18390585.jpg
本格的パイプオルガンも!思わずちょっとだけ弾かせて頂いて感動!素晴らしい響きと余韻。なんでも来年ホテルの改装工事が入る予定だそうで、その間隙を縫ってこんな場所で試聴会やコンサートなんてできたら素敵だろうなあ…そんなことを思わず夢想してしまったひと時でした。Tさんどうも有難うございました!
by audiokaleidoscope | 2017-07-19 18:46 | オーディオ | Comments(2)

(7/18)ハイエンドクオリティのカッティングスタジオ

今日は都内スタジオの内覧会。多くの音楽関係者,技術者の方々で熱気ムンムン。
b0350085_05490885.jpg
3月に日本コロムビアのカッティングスタジオを訪問させて頂いて、このタイミングでミキサーズ・ラボがアナログカッティングに新規参入。アナログブームもいよいよ本格的になってきたことを肌で感じました。
b0350085_05492205.jpg

b0350085_05494324.jpg
GEORG NEUMANN VMS 80。 当時82台しか製造されなかった大変希少なカッティングマシンです。 本機は、「ヒット・ファクトリー」,「マスターディスク」,「スターリング・サウンド」等でご活躍されたChris Muth氏によってチューンアップされたグレードの高いマシンだそう。
b0350085_05500658.jpg
コンソールで使用されているアナログ機材の多くはGrorge Marino氏が使用していたものという事。PYRAMIX(DAW)で最高384kHz/32bitまたは11.2MHz/1bitの音源をD/Aしコンソールを経由してカッティングアンプへ信号が流れます。
b0350085_05500173.jpg
そしてカッティングアンプで逆RIAAフィルターをかけてからラッカーを切るという工程になります。実際目の前でラッカーを切る工程を見させて頂いてディエッサー(歯擦音⁻しさつおん、シビランス-だけを狙ってコンプレッサー処理を施すこと)のかけ具合が大きく音質に影響することが分かりました。
b0350085_05495624.jpg
溝の拡大写真。溝のウロコにようにギザギザしている部分が高域成分。PYRAMIX直の音とラッカー盤の音を聴き較べてみると音の質感そのもの、特に中低域の滑らかさと温度感に大きな差異が出ることが一聴瞭然。
b0350085_05494733.jpg
ANTELOPEのA/D,D/A(中)とISOCHRONEのマスタークロック(下)。最新鋭のデジタル環境とヴィンテージアナログマシンが同居しているのはハイレゾを真空管アンプで鳴らす事に通じるものを感じます。ミキサーズ・ラボでは自社レコーディングの音源は勿論、持ち込み音源のカッティングも歓迎ということで、今後アナログの更なる高音質化が大いに期待されるところです。

先月末にはSONYがアナログのプレスに参入のニュースが駆け巡ったばかり。これからますますアナログが熱く燃えそうな予感に満ちた素晴らしい内覧会でした。ハイエンドな音楽制作環境を提供するミキサーズ・ラボがアナログカッティングで更に飛躍することを確信しました。



by audiokaleidoscope | 2017-07-19 06:31 | オーディオ | Comments(0)

(7/13)ハイエンド管球ブランドにみた共通点

今回の収録は私にとっても多くのオーディオファンにとっても特別な意味を持つことになるでしょう。

9/1オンエアの「ハイエンド真空管アンプブランドを聴く(フェーズメーション/オーディオノート)」。カタログや雑誌のレビューで見る(読む)ことは出来てもその音を聴く機会は稀。それが自宅に居ながら、自分のスピーカーで機器の音を体験出来、更には機器の開発者自身が語る音作りやポリシー、また製品の特長や強みなどを理解できるチャンスは今まで、そしてこれからもまずあり得ないからです。私自身にとってもこれほどエキサイティングなことはありませんでした。

スタジオ標準装備のSV-192PRO,SV-192A/Dは一旦撤収し、今回はカートリッジからパワーアンプまで全てゲストメーカー一色の音に染め上げてその”生音”をお届けします。
b0350085_03542416.jpg

フェーズメーション斎藤部長

b0350085_03543931.jpg

オーディオノート芦澤社長、マーケティング担当堀部さん


前半はフェーズメーション。
b0350085_04121509.jpg

カートリッジはPP-2000。フォノEQはEA-1000

b0350085_04121938.jpg

プリはCA-1000

b0350085_04123239.jpg

パワーはMA-2000(300Bパラシングル)。


フォノからパワーまで全てモノラル(×2)構成。更にフォノ,プリは電源別筐体という徹底ぶり。フルセットで約700万。増幅系すべての設計に携われる斎藤さんのポリシーは明快。直熱三極管がベスト。NFBは一切かけない。音のトランジェント(立ち上がり)と鮮度と音場こそが命。

そしてその言葉通り極めてリニアリティの高い音。極めてフラットレスポンスでありながら特に高域の情報量とスピード感は今まで体験したほどのない鮮烈さで、これはもう半導体だ真空管だの議論を全く超越したスーパープレゼンスというべき表現。何曲か聴かせて頂いてフェーズメーションサウンドの鍵を握っているのはCA-1000(プリ)ではないかと思いつつ、この尋常ではないSN比の高さを以てこの価格を妥当だというフェーズメーションファンが多数いらっしゃることが大いに納得できる結果となりました。日本刀でスパッと切ったような切れ味と広大な音場が極めて強い印象をとして残っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後半はオーディオノート。

b0350085_04374285.jpg

カートリッジはIO-M。昇圧トランスはSFz。フォノEQはGE-1

b0350085_04375094.jpg

プリメイン Overture PM-2(EL34 ULプリメイン)。
機器間の接続はLS-41を使用。


オーディオノートの製品はまず市場で見ることがない幻のブランド。ケーブルは勿論、カートリッジからアンプの内部配線材、そして出力トランスの巻き線まで純銀の線材を使用。カップリングコンデンサーにまで銀箔を使用し、それらを全て内製(手作業)で一つ一つ作りあげる、まさに工芸品的モノづくりこそがオーディオノートのオーディオノートたる所以。最もシンプルなこの組み合わせで500数十万。

銀の音…それは今まではイマジネーションの世界。極めて繊細で、でも細身の音…そんな先入観がなかったといえば嘘になります。しかしその出音は意外なほどナチュラル。芦澤さんによれば目指すは”自然”で”響きの美しさ”があり”静かな音”。Overtureから紡ぎ出される音はEL34ppとは思えないほど弱音のニュアンスに富んだ静謐さが極めて印象的です。

Overtureがデビューする迄は全て直熱三極管を使ってきたオーディオノート社がEL34を使って三極管に迫るサウンドを目指した力作です。僅かにNFBを掛けることで音に落ち着きが出て活き活きとした感覚を損なわず安定性を確保したということでした。

続いて登場したのはセパレートシステム。

b0350085_04375500.jpg
プリはG-70。パワーはSOUGA(2A3パラシングル)。

オーディオノート社内では”プリティセット”と呼ばれるそうで、最上機種KAGURAの価格を以てすればプリ+パワーで約600万はプリティな価格と言えるかもしれませんが、その真意は音にあるとのこと。まずリファレンス曲を聴かせて頂いて私も膝を打ちました。


なんとチャーミングで豊かな響き!自然な倍音そして余韻、空気感…聴く側を寛ぎに導く音の魔法。芦澤さんによれば”側にいて欲しい彼女のような存在”なアンプになったとのこと。横で聴いておられたTさんも”これは素晴らしい。三極管の極致”と喜んでいらっしゃいました。因みに高級機で211を専ら採用するのは、そのリニアリティの高さと竹を割ったような鮮度感が欲しいからだそうで、こんどTさんと一緒に会社にお邪魔させて頂いて試聴させて頂こうという話になりました。スピーカーは現代ハイエンドが主流で、多くのオーディオノートユーザーがいわゆる真空管アンプでは鳴らし難いものを使い楽々ドライブしておられるとのこと。その制動力の高さも大きな魅力だろうと思います。

今回日ごろ滅多に聴くことが出来ない超高級セットで音を聴かせて頂いた訳で、フェーズメーションとオーディオノートの音はかなり傾向の異なる音でしたが、両社の音に共通するのは音の静けさ。”極めればSNに至る”というのが私にとっての今回の最大の収穫だったかもしれません。開発者自身の主張も併せて体験できた今回の収録で私にとっても忘れられない体験になりました。斎藤さん、芦澤さん、堀部さん、本当に有難うございました!




by audiokaleidoscope | 2017-07-15 03:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/12_2)MUSIC BIRDから国立劇場へ

今日から三日間東京。収録だったりお客さまサポートだったりその他諸々の案件をこなすタイトなスケジュールですが、今日はまず明日の収録のための機材準備から…。

明日の収録は今までと少し流れが違って今から早くもテンション高め。一本目はレギュラー物でゲストTさんと「ハイグレードアンプ特集」。私どもの製品の中で高価格帯でありながら人気モデルに育てて頂いた3機種(SV-8800SE/KT150,SV-91B/PSVANE WE,SV-284D)を同じ曲で聴き較べながらその個性を徹底研究しようという内容。いまのキット屋ラインナップのなかで最も自分がシンパシーを感じるSV-91B∔SV-284D(ブースターモード)の音も時間があれば聴いて頂きたいなと思っています。

明日のハイライトは何といっても二本目。巷間よく聞く”ハイエンドオーディオ”という言葉。90年代後半以降急激に高級化,高額化の一途を辿ったオーディオ。今や単品で100万,200万は当たり前。中には1000万を楽々超えるようなモデルがリリースされても驚かなくなった昨今。その一方で価格と品質(音質)がどこまでバランスしているのか…やはりウン百万の装置は10万,20万とは全く別モノなのか…そう訝る向きもあるという方もいらっしゃるかもしれません。

実は私もそんな一人。雑誌のカラー記事で麗々しいビジュアルを見ることはあっても実際じっくり聴き込んだ経験は殆どありません。そこで我が国を代表するハイエンド管球ブランド”フェーズメーション”さんと”オーディオノート”さんに無理を承知で「番組でその音を聴かせていただくことはできないでしょうか?」…とお願いしたところ、幸い良いお返事を頂くことが出来たのです。憧れのブランドの音を放送を通じて自分のスピーカーで聴けるなんてこと、今まで誰が予想したでしょうか?私自身もこういう形で収録に参加頂けるとは正直思っていませんでした。MUSIC BIRDでしか実現しない究極のメディアミックスと言えるかもしれません。早く音が聴いてみたい…もっと言えばその音を聴いて心底ノックアウトされたい…今はそんな気持ちでいっぱいです。
b0350085_19381601.jpg
そんな訳で明日の収録はいつものスタジオより少し広め。きっとゴージャズな一日になることでしょう!

搬入が終わって東京FMとなりの国立劇場へ。
b0350085_19394987.jpg

b0350085_19395385.jpg
皆さんは長唄ってご存じでしょうか。唄と三味線,お囃子で構成される日本の伝統芸能の一つで動画サイトでもその素晴らしさを疑似体験することが出来ますが、大学の同級生のお父様が家元で本人も師範(但しそれを知ったのは卒業後25年近く経ってから)というご縁から今日伺った訳です。数年前に名古屋で彼女の舞台を見てとても感動し今回はちょうどタイミングが合ったので二度目のお席にお邪魔しました。

こうやって遺され、伝えられていく文化の奥深さと力強さにしばし陶然と…。楽器の上げ下げ、扇子の上げ下ろしなど一つ一つの所作の美しさを見ていると今の日本人がどこかに忘れてきた何かを思い出させてくれるようです。

清々しい気持ちで今から明日の進行と選曲を考えます。真空管アンプが長唄のように次の時代に受け継がれることを願いつつ…。



by audiokaleidoscope | 2017-07-12 20:28 | オーディオ | Comments(0)

本ブログ掲載内容は私人の見解であり、(株)サンバレー(ザ・キット屋)の立場,戦略,意見を代表するものではありません。


by Ohashi
プロフィールを見る
画像一覧