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(12/30)やっと新装開店!

延べ四日間に亘って格闘してきた第二の改装が終わったのが埼玉のMさん到着の30分前…ギリギリでした(笑)。今回の最大のテーマはオートグラフを長手方向に配置し直すこと。いま腰痛がひどくてタイヘンですが、結果的には本当にやってよかったと思っています。自分のなかでずっとチャレンジしたかったテーマでしたから。
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潔く映像系とオーディオ系を分けました。スピーカー(ユニット)の距離が従来の倍近くなって響きが解れ、拡がり感が格段に向上しました。細かい追い込みはこれからですが以前の配置の時のように何年もかけてチューニングする必要はなさそうです。きわめて自然に、きわめて普通に良い音で鳴ってくれています。

実はMさんがいらっしゃるにあたって少々イタズラを仕掛けていたのです。我が家ではメインはすっと三極管。300B,PX25,845…その豊かな響きとオートグラフのマリアージュに対して或る確信のようなものがずっとあったからです。今回レイアウト変更をした結果、意外なほど屈託なく鳴るので試しに先日マニュアルチェック用に作ったSV-S1616D(多極感仕様)で鳴らしながらMさんをお待ちしたのです。

Mさんが到着されて暫く音を聴いていただいたあと”実は1616で鳴らしているんです”とカミングアウトすると”えっ?”という感じが伝わってきました。高級アンプ=三極管という刷り込みが真空管アンプファンには結構あるんじゃないかと思いますが、この逆説的愉悦は今のレイアウトが与えてくれた最初の"教え”だったかもしれません。いやぁ、やってよかった!という感じです。
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ゲーム&麻雀エリアは残留。ビジュアルシステムは5.2chから3.1chにダウンサイジングしましたがAVアンプのアウトは本線系(真空管)に接続できるようになっているのでフロントスピーカー(Royd Sintra II)を使ったブックシェルフシステムに早変わり可能です。
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エレクトロニクス系は思い切ってシンプルに。今までいろいろ繋がっていてもあまり使うことのない機器は思い切ってすべて除去。電源系と信号系,デジタル系とアナログ系のケーブルの引き回しもセパレートし、200V:100Vのダウントランス経由の電源と商用100Vダイレクトもキッチリ分けて万全を期しました。心なしかノイズも減ってクリーンな音になった気がします。プラセボかもしれませんが苦労した結果出た音ですから自然と良い音に聴こえるのかもしれませんね。
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途中から合流されたNさんと記念撮影。新装開店して第二でこれからも沢山の方と楽しいひと時を共有したいものです。今年最後の大仕事が終わってちょっとホッとした12月30日でした。



by audiokaleidoscope | 2015-12-31 10:01 | オーディオ | Comments(0)

(12/29)不安と感動の共有

今日は会社で3人の方とお会いして楽しいひと時を過ごさせて頂きました。”では良いお年を!”というご挨拶が自然と出てくる、そんな12月29日。

メールや電話では次々にアンプ完成のご連絡を頂戴しています。”出来た!”という快哉を伺う嬉しさは格別なもの。この仕事をやっていて一番苦労が報われる瞬間といいますか…。

SV-501SEをご注文下さったKさんからは

2か月ほどで順調に完成しました。初めてのアンプ製作だったので不安でしたが、電圧チェックも一発でクリアしました。スピーカーはタンノイ INPULSE12。30歳近くになります。最初の印象は、中低域のパワーと 奥行き感があり、特に中低域のしっかりした音は予測を越えた満足感があります。
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という嬉しいレポートを頂きました。

またSV-S1616D(300B仕様)を見事完成されたMさんからは

ぶ厚い組立説明書を最初見たときは、自分に出来るのか、と不安にかられましたが、やってみると少しづつ形になっていくことが嬉しくて大橋さんがブログに書いていらっしゃったとおり寝る時間も惜しんで一気に作ってしまいました。その昔に6BQ5シングルのキットを制作したことはありますが憧れの300Bはもちろんこれが初めてでしたし、本格的な手配線モデルは今までやったことがなかったのですが、分かりやすい説明書のおかげで無事完成させることが出来ました。この説明書は300Bだけでなく2A3やKT88などの回路の勉強にもなるので、今後も大切に保管しようと思っています。

大変だったのがシールド線の処理でした。被膜をむくときに何度も失敗しました。あとは電源部のハンダ作業がシャーシに直接だったのでところどころケーブルの被膜を溶かしてしまいました。でも組立説明書と大橋さんの製作記を同時に見ながら進めることが出来たのでまあまあ奇麗に出来た思います。

プスバン300Bは噂通り作りもよく、音も気品があるというか良い音ですね。憧れの300Bアンプを自分で作ることが出来て今は充実感でいっぱいです。ありがとうございました。

というご連絡を頂きました。Mさんにはすぐにお礼の電話を申し上げていろいろとお話を伺ったのですが、これは一つ皆さんと共有しておいた方がいいかな、と思うことがありましたので書いておきましょう。他のお客さまからも同様のお問い合わせを頂いておりましたので…。

何かというと”電源を入れた時、一瞬パッとタマが明るく光るんだよね。これって大丈夫なのかなあ…”というもの。全部光るならともかく特定の真空管(それもMT管だけ)に発生する現象なので、心配も無理からぬこと。余りに日常的な現象的なのでマニュアルにも書き漏らしましたが、これは”フラッシング”と呼ぶ現象で真空管の異常ではありません。旧店主日記でこれについて言及していますので抜粋して再掲しておきます。

2007,11,01, Thursday
「フラッシング」って何?

「コールドスタート」時(真空管が冷えた状態で電源を投入した時)に一瞬、真空管内部がパッと明滅する現象です。これはフィリップス系の球だけでなくドイツの球でもロシアの球でも、割合は低くなりますがチェコ球,中国球でもMT双三極管でしばしば認められる共通した現象なのです。

原理的には冷えた状態で内部抵抗の低いヒータに一瞬突入的に電流が流れヒータがコンマ何秒か明るく光るというものですが、直ぐにヒータの温度が上昇しヒータの内部抵抗も上がって電流値が適正化するという現象です。ヒータの内部抵抗のばらつきから起こる現象である訳ですが、割合としてはメーカによりさまざまですが一時期のSIEMENS球では大半がフラッシングを起こしましたし、MullardやEiの球も半分以上は光ります。勿論これは異常ではありませんので心配ありませんが確かに最初はドキッとするかもしれません。「あ、球切れか!」という心配された方もおられる筈です。

出力管や整流管でヒータ電流が1A以上の球ではフラッシングが起こることはありません(少なくとも私は見たことがない)。つまり小電流のMT管では普通に見られる現象で何の心配もないという事だけ覚えておいて下さい。勿論全数チェック済で出荷されますが、フラッシングの有無は選別項目に入っておりませんので例えば2本お求めの場合、片方は光るが片方は何とも無い、という場合もありますことを予めご了承頂ければ幸いです。こういう事も知っているのと知らないのでは大きな違いですから、ご存じなかった方は是非これを機会に「フラッシング」、覚えて下さいね。

…今となっては当たり前の事でも私も初めてフラッシュ体験したときはビビリました(笑)。もし他のことでも何かお気づきのことがあればお気軽にメールでご連絡下さい。おそらく今日も津々浦々で沢山の方がハンダごてを握っておられる筈。皆さんのご健闘を心よりお祈りしています!!




by audiokaleidoscope | 2015-12-30 07:40 | オーディオ | Comments(0)

(12/27)模様替え_2

その後も作業は続き、やっと音が出るようになりました。
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こう見ると相当仕上がっているように見えますが裏側はトンでもないことになっています(笑)。
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下手(しもて)側から機器を見たところ。左からWE7A+陣笠(540-AW)。下はALTEC 342Bミキサーアンプ(ランドセル用)。SV-192S,SV-192A/D,TL-51X,LM86B,SV-310EQ,SV-S1616D(6L6GC)等…。

まだ音について云々出来るレベルではありません。ただスピーカーの間隔が広がり、いままでよりもスピーカーとの距離が近くなって鋭角だった二等辺三角形の裾野が大きくなったことで再生音のスケール感が圧倒的に向上したことは間違いありません。気が付くと交響曲の音源に手が伸びる…今まで曲単位(音の良さ)でチョイスしていた音楽との間合いまで近くなって一枚難なく聴き通せる嬉しさでいっぱいです。

あとは本棚の移動(これ大変!)とワークベンチ(組立,測定などを行う作業台)周辺の整理が残っているので、まだ2日位はかかりそう。年末年始の来客までには何とか恰好をつけないといけません。そういう意味ではこれからが本番、というところ。28日,29日は会社でいろいろとやることがあるので時間も限られますが、何とか頑張りたいものです。



by audiokaleidoscope | 2015-12-28 09:32 | オーディオ | Comments(0)

(12/26)模様替え_1

自宅待機が始まったら”今年こそやろう”と思っていたこと。今のレイアウトになってから約12年。時々”オートグラフの間隔を広げたらどんな音になるんだろう?”と思いながらも、接続のやりなおしと移動の大変さを思うと逡巡してしまって、どうも手が出なかったのです。

それが今日…何となく音楽を聴いていたら久しぶりに同じ衝動が湧き上がってきて、”いっそケーブルを全部外してしまえば後戻りできなくなるな…しばらくやろう!とやめよう!が行きつ戻りつしたあと、思い切ってラックを手前に引き出して電源ケーブル,スピーカーケーブルとラインケーブル合わせて100本弱を一気に外しました。これで覚悟が決まりました。

構想は極めてシンプル。部屋(7.2m×3.6m)の長手方向にオートグラフを再配置する。これまで何度か二間半(4.5m)あるいはそれ以上の間口にオートグラフをセッティングして広々とした音を何度か聴かせて頂いて”いいなぁ”とずっと思っていたのです。どうせやるなら思い切り…側/側で5.4mをイメージしてとりかかることに。もし結果が悪かったら元通りに…出来ないだろうなぁ、と思いながら。
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一人でスピーカーを動かすのはタイヘン。なんだかソワソワして落ち着きません。折角ここまで追い込んだ音をご破算にする訳ですから。
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一旦外した機器類は母屋に退避させて設置イメージが見えたところで今日は終了。引き抜いたケーブルが手前で山になってます(笑)。こんな模様替え初日でした。目標は28日完成…出来るかな?




by audiokaleidoscope | 2015-12-27 09:14 | オーディオ | Comments(2)

(12/25)Type618Bエージング中!

会社は今日で仕事納め…私は休み中も会社と自宅の間をゴソゴソと動いていますので、今回も旅行とかの予定はありません。この仕事を始めてからずっとそんな生活ですので、まあこれが普通かと(笑)。なかなか日頃会えない仲間や遠方の友人達との再会を楽しむ…そんな年末年始になりそうです。

今日はショールームで暮れにお引渡しを予定している特注スピーカーのエージングをしています。Type618Cをベースとした12インチ(30㎝)仕様。支給いただいたユニットはJENSENのフルレンジです。1930年初期、Western Electric社のスピーカーはJensen社が製造しWE社にOEM供給されていたこともあり、このユニットも当時のWEユニット同様、かなり絞りが深く指向性もシャープです。
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これがユニット背面。恐らくオリジナルコーンで40年代の品物ではないかと思います。当初お客さまからはオリジナル箱の設計依頼を頂いていたのですが、ユニット単体で鳴らしたところ非常に張りのある明るい音色が非常に印象的でしたので、618Cの12インチ仕様である618Bにしましょうよ、とお奨めした次第です。
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早速エンクロージャーに入れて鳴らしてみますと…まさにヴィンテージサウンド!!決してワイドレンジではない、しかし現代スピーカーが失ってしまった音の勢い、鮮度が素晴らしい。50年代のジャズLPなどは、まさにこれしかない!という音で鳴っています。ちょっと広めのジャズバー辺りで聴くと雰囲気満点、という感じ。
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ヘレン・メリル”Dream of You”(1957)。素晴らしい!
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作られて半世紀以上経ったユニットですが、長い眠りから醒めて少しづつ硬さがとれて更に軽やかさが増してくるものです。アンプはSV-501SE。プリはSV-3で円やかさを重視してみました。フォノは真打ちSV-310EQです。

暮れも押し迫ってきていますが、こんな午後のひと時も良いものです…。お互いにもう少し頑張りましょうね!!(笑)



by audiokaleidoscope | 2015-12-25 15:16 | オーディオ | Comments(0)

(12/23)失敗したっていいじゃない!

キット屋の年内稼働は今日を入れてあと3日…今ごろ物流センターでは暮れの出荷でテンヤワンヤに違いありません。私はショールームで受注関係のデータを眺めながらSV-S1616Dを予約されたNさんが書いて下さったコメントにふと目が留まりました。

アンプキットの到着を心待ちにしています。300Bアンプの製作は、学生時代から数えて50年来の夢でした。

なんでこんな仕事をしてるのか…まさにそれは子供の頃から人体の不思議,宇宙の不思議,電気の不思議このどれかを仕事にしたいと思っていた私の夢そのものだからです。その夢を"モノづくり”というキーワードのもと共有できる沢山の仲間がいる幸せを噛みしめながら、何となく旧店主日記(2002/5~2012/3:現在閉鎖)を読み返していて、こんな一文を過去の自分が書いていたことに気づきました。

2008,04,06, Sunday
失敗したっていいじゃない!

私も今まで数え切れない程のアンプを組み立てて来て、やっと完成したのに音が出なかった時のショックというのは本当に言葉に表すことが出来ません。今まで何日も書けて手塩にかけてきた自作のアンプ・・・緊張の電源ONの瞬間・・・さあ、出て来い!と心に念じて・・・アレおかしいぞ片方音が歪っぽい、とか両方とも音が出ないとか、ひどい時には電源ONと同時にFUSEがブロー、なんて事も皆さんの10倍くらいは経験してきたと思います。

暫くは呆然自失,そして突如襲ってくる疲労と倦怠感,遂には自分に対する苛立ち・・・金と時間を掛けてオレは一体ナニやってるんだろうか、という自戒(自責)の思いです。これも味わった者にしか分からないでしょう。暫く時間がたって少し冷静になって改めて見直してみても異常や間違いは見つけられない、というところで私どもにメールや電話を頂戴する、というのは多くのパターンであると思います。不思議なことに以前は「何度も見直した。間違いない」と思っていた自分のシゴトを改めて客観的に見てみると「あれ?ここって・・・」という箇所が見つかるから不思議なものです。気づいてみればホンの些細なことが大半である訳ですが、その芥子粒ほどの不具合で音が出ないというのもアンプ製作の一つの深み,パズル的な面白さなのかもしれません。

キット製作は山登りと同じ。その過程にこそ歓びがあるからです。苦しい時、立ち止まって足元の草木に目を遣りながら再び一歩一歩歩んでいく。早い人も居れば遅い人も居る。早い人が偉い訳では決してなく、ゆっくり登る人ほど景色もゆっくり楽しめるという事も言える訳です。

人生も多分同じ。上手くいくことよりも難儀することの方が遥かに多いですが、それでも皆さん、私もそうですが曲がりなりにも毎日こうやって生きている訳です。どうしても駄目な時には私どもがスタンバイしています。大船に乗ったつもりでトライし続けることが一番大切な事だと思います。そうする事できっと良い結果が出るに違いありませんから。

きっとこの冬休み中も”ここがどうも分からんのだが…”。"音が出ないんですが…”なんてメールを頂くこともあるでしょう。リスクを回避することが何よりも優先されるこの世の中で敢えて自分に挑戦するモノづくり…これをナンセンスと切って捨てることは簡単ですが、でもこの楽しさ,素晴らしさは体験した人にしか分からない…人間が根源的に持っている欲求の一つであるに違いありません。

自分が作ったアンプやスピーカーで音楽を聴く歓び。若年層のクラフト離れが叫ばれて久しいですが、これからも愚直にこの仕事を続けていこう、そう思わせてくれたIさんのひと言…とても心に沁みました。

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懐かしいSV-7(マジックアイ付5球スーパーラジオキット:2001~2005頃)




by audiokaleidoscope | 2015-12-23 17:04 | オーディオ | Comments(0)

(12/18)SV-S1616D_多極管仕様の製作(その3)

いよいよ締切迫る!…という感じでリスタートした製作。前回はサブプレートまで行きましたので、続きはシャーシへの機構部品の取り付けからです。
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電源スイッチの注意事項は2つ。ONが上側。あとは軸が飛び出すとカッコ悪いのでナットで出シロを調整してツライチにすることです。
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続いてスピーカーターミナルの固定です。入出力端子は触る頻度も高いのでボックスドライバーでしっかり固定したいものです。
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これはヒューズホルダーです。時々”ヒューズホルダーを留めるナットが欠品なんですが”とご連絡を下さるお客さんがいるのですが、上の写真のように本体に樹脂ナットがついているので、外してから使って下さい。パッと見、一体に見えるので分かりにくいんですね、これが。
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機構部品が取りつきました。入力はR(右)チャンネルが下側になるようにしましょう。ACインレットは切欠き側を上にすると実体図とマッチングします。
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次は出力トランスのケース。Lアングルをケースに留めるのですが、ここのビスが”特平”という特殊なものですので間違わないように注意します。
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まず出力トランス本体を固定。向きは実体配線図を参考にして逆向きにならないように注意しましょう。
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ケースがつきました。だんだんとアンプを作っている気分が高まってきます!
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トランスケースは継ぎ目がリアパネル側になるようにします。
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そして最も重量のある電源トランスを取り付けるのですが…。
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気を付けたいのが、電源トランスからのリード線を絶対に噛み込んだまま固定しないこと。気づかないうちにやってしまうケースが結構あるのです。最悪の場合ショートによって電源トランスが破壊というパターンもありますので、仮留めしたらリードを引き出してみて各色同じ長さで出ているか確認しましょう。
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いよいよ内部配線スタート。まずは出力トランス周りから…実はこの辺りから”神が下りてきて”、写真の枚数がちょっと減りますがご容赦下さい。”ランナーズハイ”という言葉がありますが、最初苦しかったのがだんだんと無我の境地に入ってきて次第に不思議な昂揚感と極めて高い集中力に支配されて時を忘れる状態です。よく”一旦コテを持つと寝食を忘れちゃう”なんてお話を伺いますが、まさにそれが”降臨モード”に自分が突入したということなんですね。

そういえば先日ドイツの人が”クラフトセラピー”なる言葉を教えてくれました。モノづくりに没頭することで人間が本来持っている自然治癒力が高まる…とか。確かにいろんなことを全部忘れさせてくれる何かがありますね。
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電源部を作ります。これは極めて重要なアースポイント部分。ダイオードモジュール用ソケット脇ですが、アースを盤石にするために”歯付座金(皿型)を入れます。これには裏表があるので注意。ヒトデの足がメインシャーシ側になることでガッチリ食い込んでアースもバッチリです。
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チョークコイルを内側につけてトランス周りの配線がいよいよ始まるところです。
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これは整流管周りですね。配線が混み合う部分は要所要所バインドしながら作業を進めると見た目も綺麗になります。
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配線が終わったら電源πフィルター用のケミコンを配置。抵抗類と接触しないように少し浮かせて実装します。

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全体の配線がひと通り終わったところです。あとはハンダ忘れ箇所がないか、よ~く確認しましょう。恥ずかしながら私も一か所見落としていました!この位出来上がってくると、気が急くというか仕事が雑になるというか、見落とし部分が出てきがちです。こんな時はしっかりインターバルを取って、キチンとチェックすることを励行したいものです。
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そういえば入力に使うシールド線。普通の被覆線と異なり外来のノイズをカットするシールド(網線)が追加されています。パッと見ただけでは見分けがつかずに"どれがシールド線なのかわからない”という方もおられます。線材の断面をよくみると同心円状に芯線とシールドが見えると思いますので、ご注意頂ければと思います。写真はシールド部分を撚ってハンダメッキしたところ。入力RCA→ヴォリューム→初段グリッドまでの配線に使用します。
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という訳で午前5時完成!はぁ~間に合って良かった(笑)。今回マニュアルの文言,図面のチェックをしながらの作業でしたので15時間くらいかかりました。でも手配線キットが如何に創造的で楽しいものであることを再確認しました。
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早速波形確認。ゲインOK!出力OK!
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Svetlana(ウイングドC)6L6GCで鳴らしています。ダイオードモジュールを5AR4に替えるとシットリとして音のグレードが確実に1ランクアップすることを再確認。

毎回、新製品の出荷前組立確認はスタッフが必ずやるのですが、"1616Dはワタシがやるから!”と宣言して、ずっと楽しみにしていました。きっと皆さんにも喜んで頂ける…そんな想いを持てた幸せなひと時でした。




by audiokaleidoscope | 2015-12-18 16:39 | オーディオ | Comments(2)

(12/17)SV-S1616D_多極管仕様の製作(その2)

忙しさに感(かま)けて止まっていたSV-S1616D(多極管仕様)の製作。いよいよお尻に火がついてきたので日付変更線前に再開。前回はサブプレート(B)のCRパーツ取付前まで行った訳ですが、今日はその続きです。

通常キット製作の手順としてはメインシャーシにトランス,機構部品の取り付けを起点としてアース,ヒーター,+B…というように段階的に進めていくのが普通なのですが、SV-S1616Dでは作り易いように最も混み合う真空管周りをサブプレート(脱着式)としただけでなく、製作後の仕様変更(例:2A3→300B仕様)の際もユニット的に交換出来るメリットも考慮しています。
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CRパーツ作業はアンプ製作のなかでも最も楽しい工程の一つ。ある意味いちばん”自分らしさ”の出る部分でもあります。なるべく皆さんの製作時の参考になるように、写真ではパーツのリード線を長めに切っています。

そういえば時々質問をいただくのが”CRパーツのリード線がマニュアルのように綺麗に曲げられずグニャグニャになってしまう”という内容。これはハンダ前にやろうと思うと確かに大変なのですが、とりあえずリードの長さだけメドをつけてハンダ付けしたあとにラジオペンチでパーツ本体をつまんでクイッと動かすと案外綺麗になるものです。なかには周到にピンセットで予めリードを曲げてからハンダ付けする方もいらっしゃいますが、この辺は”慣れ”(経験)の為せるワザという部分もありますので、あまり見た目を気にすることなく”確実にハンダが流れていること”を重視すべきです。
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作業に没頭してしまって気が付いたらコンデンサーまで全部着いてしまっていました。ここまで約1時間半。ジオラマのようなサブプレートが完成です。ここまで終わったら小休止して、そのあとに"引っ張りチェック”をやっておきましょう。

手配線アンプが修理で戻ってくる場合、私に回ってくる修理報告書で一番多く目にするのが"引っ張ったら抜けた”という文言。特に複数の配線が一つのラグにハンダされる場合、"後でやるから”と思いながら忘れちゃうケースやハンダがしっかり染みて(流れて)いないケースが結構あるのです。これは見た目だけでは分からないので、手の入るうちに”引っ張って”確認しておくと非常に有効です。後からチェックするのは大変ですから。是非行って頂きたいと思います。

(追記)マニュアルのカラーコードが違っていることが後で判明。写真ならびに実体図で初段プレート抵抗(2個)が470kになっていますが回路図では47kという齟齬が発見されました。正解が47kであることが分かりましたのでマニュアル修正しました。
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そういえばワンポイントアドバイス。これは必須ではありませんが、私は昔からラグの中央は予め曲げてしまうことが多いです。中央ラグはシャーシに固定する機能を兼ねている訳で、ほとんどの場合シャーシアースに落ちる部分です。ここを活用してアース配線する場合を除き、短絡による無用のトラブルを回避する意味で予め潔く曲げてしまう…一つの安全対策としてご紹介しておきます。

今日はここまで…まだ全体の40%程度の進捗率というところでしょうか。明後日の朝には組みあがった状態にして、最後のマニュアル修正を行わないと来週月曜からの出荷に間に合わないので、多分明日は徹夜でしょう(笑)、でも本当に楽しいキット製作。役得ですね(笑)。



by audiokaleidoscope | 2015-12-17 03:01 | オーディオ | Comments(4)

(12/15) for Studio? / for Hi-Fi?

今年最後のスタジオ入りは地元Pitch FM。長い出張から戻って徹夜明けの2本録りはサスガにきつかったですが、何とか無事終わりました。そんななか、やっと届きました!スピーカーの量産試作(2種)。
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2つ試作してどっちか良い物を発注?…イエイエそうではありません。

まず上の写真ですが、これは小型スタジオモニターとして設計しました。ここ数年、いろいろなスタジオに出入りさせていただくようにやってエンジニアの皆さんがニアフィールド用モニタースピーカーの良いのはないか?…と異口同音に仰るのをずっと聞いていました。余りにモニター的すぎてコンシューマー(民生用)スピーカーとは音が違い過ぎるんだよね…もうこなれた音で且つ正確さも持っている小さいヤツ…そういうリクエストです。ユニットは同軸5インチでリアバスレフにして低域補完をしながら同軸ならではの抜群の定位の良さを引き出しました。

下の写真は皆さんからずっとご要望を頂いていたサンバレー版LS最新モデルです。ポリプロピレンの5インチウーハーの密閉2ウェイで私どもで初の透明振動坂を採用しました。これもずっと前からやってみたかった(笑)。エンクロージャーサイズはいずれもH300×W190×D160(mm)は旧kitLS3/5aとドンズバです。インピーダンスは4オームで能率は同軸は84dB,2ウェイが85dBです。

これらのユニットは既に海外高級スピーカーシステムに採用されているものを私ども用にモディファイしたもの。5月に供給元を訪ね、当社仕様で製造して欲しい旨をオファしていたという訳ですが、やっと皆さんに聴いていただけるところまでレベルアップ出来ました。同軸typeは実際に都内のスタジオで使って頂いてエンジニアの感想や要望を聞いてみたいと思っていますし、下はこれからショールームでエージングしながら本生産に向けて最後のツメを行っていきます。パワーも入る、小音量でもバランスを崩さない…そんなスピーカーがやっと出来そうです。

”New LS”をテーマとして取り組んできた本プロジェクト。来年の春~初夏に発売のスケジュールで進めていきます。少し大袈裟ですが、私どものサウンドポリシーを改めて明確にすべき時がきた…といえるかもしれません。どうぞお楽しみにお待ち頂きたいと思います。



by audiokaleidoscope | 2015-12-16 17:27 | オーディオ | Comments(0)

(12/12~13)神戸から大阪,京都へ

週末は関西へ。大きな目的は二つ。一つは神戸でTさんと会うことでした。Tさんは電子系ものづくりサークルを主宰されており、以前から真空管アンプの組立教室を開催されていらっしゃる方。今回はTU-8100,TU-8200SVを素材として採りあげ、来年早々実施されるということでしたので、その打ち合わせに伺ったという訳です。

待ち合わせ場所はここ。神戸の"SWing Ville”というお店です。
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お店に入るとALTEC A5が鎮座しています。299-8A/515-8Gの組み合わせ。ホーンが311でなくマンタレー(MRII 594A)であることから80年代後半の個体と思われます。
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いわゆるジャズ喫茶と異なり、一般のお客さんを対象とした明るい店内。メニュー構成や音量にも気配りをされていらっしゃって居心地の良いレストランで本格的なジャズが聴ける環境を兼備しているというイメージという感じでした。私がお邪魔した時もご家族連れやチビッコで賑わっていました。薄暗く私語厳禁という昔風ジャズ喫茶とは趣の異なるお店づくり…これは思わず趣味に走りがちなマスターに奥さまが適正なバイアスを掛けたことが勝因かと(笑)。
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ソフトもハードも並みのジャズ喫茶以上に充実していてプリはUESUGI BROS-1,パワーはマッキンMC-225という布陣でした。ランチタイムが終わる15時過ぎ辺りに伺うのがジャズファンにはお奨め…かもしれません。
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Tさんと記念撮影。アンプ製作会のご成功をお祈りしております!ご興味のある方はエレサイくらぶのFacebookページをご覧ください。

神戸を出て大阪へ。ちょっと時間があったので大阪城を散策しました。豪華絢爛!
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そして京都へ。目的地は鴨川沿いのOさん宅です。この週末はとても気温が高く、川べりを散歩する方がたくさんいらっしゃいました。
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早速Oさんのリスニングルームへ。Oさんとは10年近いお付き合いになりますが、私が嘗てそうだったようにハイエンド系の機器と真空管系の機器を併用され、タンノイのカンタベリーで鳴らしながら両方の良さを認めていらっしゃるところにシンパシーを感じて時々お邪魔させていただいています。玄関からリスニングルームまでの廊下のあちこちに名器の数々が無造作に置いてある、まさにオーディオのための夢の空間です。
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現在Oさんがメインで使っているハイエンド系のフロントエンド。何といっても目立つのはdcSのVivaldiフルシステム(右)。上からトランスポート,D/D,D/A,クロックで軽く8ケタオーバー!左側のFM acousticのFM122(フォノ),FM255(プリ),FM711(パワー)を合わせると家が建ちます…ついソロバンを弾いてしまう凡人の性(さが)ですね(笑)。
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一方こちらはヴィンテージ系機器。今もSV-310EQ(フォノ),SV-310(プリ),SV-91B(パワー)をお使いですが、3年ほど前にLM91Aをお納めしてから”LM91Aに合うプリを是非!”とずっとオファを頂戴していたのです。あれから苦節3年…やっと形が見えてきたSV-300LBの二次試作をOさんに聴いて頂きたくて立ち寄った京都でした。
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SV-284Dを直接ドライブできるプリの開発を!という意図と共に私のなかではLM91Aにベストマッチのプリを作るなら300Bでなければなるまい…そうずっと考えていた訳ですが、すでに284Dユーザーの皆さんだけでなく、LM91Aユーザーの方々にも高い評価を頂戴しているSV-300LB。正式発売は2月末ごろになりそうです。
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Oさんのリスニングルームで聴いたネマニャ・ラドゥロヴィチのパガニーニ。或る意味フィドル風なタッチで爽快に弾き飛ばす感覚の演奏ですが、これをdcS+FM acousticで聴くとシュワーンと音が四方八方に飛散するような感じの鳴り方であるのに対し、SV-300LB+LM91Aで聴くと重心が下がり、音の厚みと音楽の体温が上がって別の音源のように感じるから不思議です。Oさんが盛んに"色っぽいねえ”、”艶っぽいねえ"と繰り返しておられたのが印象的でした。
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そしてこちらはリヒター(指揮),ディースカウ(バリトン)のバッハ/カンタータ。恐らく60年代~70年代にかけての録音だと思われますが、dcS+FM acousticでは僅かに時代を感じさせる鳴り方であったのに対し、SV-300LB+LM91Aではドイツオケらしい重厚さが印象的で同音源をCDとLPで聴き較べたような印象の違いを感じました。

元々Oさん宅へは売り込みに伺ったというよりはカンタベリーで聴いた時に最高レベルの現代オーディオ機器と私どもの真空管システムが音楽としてどんな印象の差を出してくるのか…その違いを自分の耳で検証する為、と申し上げた方が良いかもしれません。或る意味、私にとってのリファレンスシステムを構築されていると言っても良いOさんの環境で音を聴かせて頂いただけでも僥倖であったのに、お暇した後に"もっと聴きたい音です”とSV-300LBのご予約を頂けたのはとても光栄なことでした。
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Oさん宅を出てほど近い祇園へ。大勢の観光客で賑わっていました。京都という街の一番の魅力は新旧が見事に調和しているところ。まさにOさんのシステムも同じだな…そう思った次第です。また関西の仲間や先輩と楽しい話をしたい…そんな風に思えた楽しい週末でした。



by audiokaleidoscope | 2015-12-14 13:12 | オーディオ | Comments(0)

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