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上方リニア,下方リニア

皆さん、こんばんは。

先日、オーディオ(特に真空管アンプ)は物性だけで語れない、と申し上げました。
オーディオ機器の特性値は云わばレントゲン写真(あるいは影絵)のようなもの。本当の魅力は自分の目と耳と心で判断することが一番であることは言うまでもない訳ですが、皆さんがあらゆる機器をご自身で直接聴いて評価することは不可能ですから、私たち作り手は常にその音の機微を適切な言葉や文字にすることが求められている訳です。これが実に難しい!

試聴会のデモやショールームの試聴時で常々真空管アンプの良さは「音を上げてもうるさくなく、音を絞っても音が痩せない」ことであることを申し上げています。更には真空管の種類によって生ずるニュアンスの差異をどう伝え、どれが皆さんにとって最適な選択であるかを常に意識して説明に臨んできたつもりです。単にこれがいいですよ!ではなくアンプそれぞれの個性に着目して。

「音は人なり」・・・皆、好きな音が違う訳ですから。AさんにはAさんの、BさんにはBさんのベストチョイスが違って当然なのです。そして、そのどれもが正解であるところがオーディオの素晴らしいところです。

よく「三極管は繊細で柔らかい」或いは「多極管(ビーム管,五極管)はクリアでエネルギッシュ」というような表現を目にします。確かに一理あるなとは思いつつ、それだけではないとも感じます。そこで今日は大きなヒントになり得るキーワードを皆さんと共有したいと思いますそれは「上方リニア」,「下方リニア」という言葉です。

私は三極管(300B,2A3.845など)の一番の特質はローレベルでの表現の美しさであろうと思います。音の立ち上がりが自然で音の減衰時のニュアンスが極めて豊か。空間に音が吸い込まれて消え行くその一瞬までエネルギー感が失われないところが三極管の一番の魅力です。これを「”下方リニア”な音」と呼ぶことにします。

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SV-501SE(近日再受注開始予定)


一方多極管(KT88,EL34など)は大出力時にも腰砕けや混濁感が見られず音のエッジが崩れないところが大きな特徴であると感じます。言うならば「締まってクリアな音」と言い換えることも出来ます。これを「”上方リニア”な音」と呼ぶ事にしましょう。つまり真空管アンプには単にカタログ上の最大出力の大小で括れない音の個性(ニュアンス)があるのです。

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SV-8800SE

もちろん同じ真空管を使ったアンプでもメーカーによって音は千差万別ですし、私どものように例えば300Bシングルでも何機種もラインナップしているのは、それぞれの音、それぞれの表現があるからですが、先ずは皆さんが上方リニア派なのか下方リニア派なのかを知ることが非常に重要な分岐点です。そのうえで私たち作り手の使命は皆さんがどんな音が好きなのかを比較試聴やこの日記のような言葉を通じて理解頂く事であると考えています。

近日開催の真空管オーディオフェアでもこの2つの言葉に注目しながら、真空管それぞれのの表現の違い、アンプそれぞれの音質的特徴に注目した比較デモが出来ればと考えています。

先ずはご自身が「上方」派なのか「下方」派なのかをイメージしてみて下さい。真空管オーディオフェアのデモでその答えをしっかりと受け止めて頂けると思います。


by audiokaleidoscope | 2014-09-11 18:30 | 真空管 | Comments(1)

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