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(8/21)夏休みレポートと久々のショールーム開放日!

今日から全員そろっての業務再開。考えてみると西や東にこれだけ動いたお休みは久しぶりだったと思います。色々と大変ではありましたが無事終わったなあ、と。残念だったのが自分のモノづくりが殆ど進まなかったことで、組みたいアンプのパーツが3台分も家で待っているので、何とか時間を見つけて早く仕掛かりたいものです。

キットを購入いただいた皆さんからはこのお休みの成果をメールや電話でたくさん頂戴しています。初めてのキット製作で苦労するかと思ったけど意外とスンナリ行ったという方もおられれば、原因不明のノイズに悩まされて散々探した挙句アース配線を一つ忘れてることに気づいたとか、バイアス調整の方法がイマイチわからん!とか何百キロも離れた仲間と一緒にアンプを覗いているようなイリュージョンを味わった日々でありました。

そんな中でMさんから届いた一枚の写真。SV-P1616D/多極管仕様をベースにモディファイされている実例です。
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ざっと着手部分を伺うと…

【シャーシ】

信号伝送系と電圧増幅系シャーシ部に銅箔追加(非磁性化対策)。電圧増幅段が乗っている部分は表と裏全て銅箔で包み込んでみました

【信号伝送】

高性能Audioケーブルで配線(6N系で伝送方向指定ケーブル)

【入力信号処理】

470kシャント抵抗はAudio用リケノーム品に変更。入力抵抗は2.2kに変更の上、金属抵抗(誤差1%品)に変更

【Power段の結合】

0.47μ品のAudio品に変更(耐圧650V)

【カソード抵抗のシャント用コンデンサ】

今回はメタルクラットの代わりに高域改善用フィルム系コンデンサを並列挿入

【電圧増幅段のデカップ処理】

マロリー社製電解コンデンサ50μFを追加

【GNDラインの引き回し】

6N銅+金メッキ+絶縁スリーブ品の単線で処理。SP端子からのリターン線は6N線材を使用

【ヒータ配線系】

電圧増幅段のヒータ配線は非磁性化処理を施し、電力増幅段のヒータ配線は要所に非磁性化処理してシャーシに固定

【シャーシGND】

シャーシGNDポイントの位置を変更してみました。GND点の塗装は剝して菊ワッシャーを介して1点GND処理しました。電源ケーブルのGND端子も、当該GND点に配線してあります。非磁性化処理した銅箔フィルムはシャーシ本体と電気的には多点で接続されております。

【電源トランスの固定】

トランスとシャーシの間に干渉材を挿入し、シャーシ側は銅箔を追加

【出力トランスの固定】

トランスとシャーシの間に銅箔を追加。銅コアーリング材を追加。防振材を内部に追加


…という内容で車でいえばフルチューンに近い改変がなされているようです。フルチューンとはいっても車でエンジンだけチューンナップしても足回りがついてこなければ何の意味もないように、アンプもすべては極めて微妙なバランスの上に成立した適切なヴォイシングあってのもの。Mさんのように基本を押さえながら経験に裏付けられた様々な施策はなかなか出来ることではありません。キットというのは一つの素材であって皆さんそれぞれの「オレ流」を存分に発揮されるのも趣味ならでは。パーツを替えないまでも何年か前の自分の配線を見て、「よし!もう一度やり直してもっと美しく仕上げるぞ!」というのも立派なグレードアップであろうと思います。自分で責任が負えるというのが大前提ですからね。こういうガッツある仲間もいるんだ!という一つの事例としてご紹介させていただきました。たいへん光栄なことです。

ところで久しぶりのショールーム開放日を9/2(土)10時~17時に行うことになりました。たくさんの方から「次はいつ?」とお問い合わせをいただきながら殆ど土日なく動いていた数か月間でした。少し涼しくなって時期的にも良いタイミングですので一日多くの皆さんと交流させて頂きたいと思います。

いつものように道場破り大歓迎!キットの鳴き較べや自作機器の持ち込みも大いに楽しみです。ネタは皆さん次第!楽しくやりましょう!お待ちしています!!



by audiokaleidoscope | 2017-08-21 14:09 | オーディオ | Comments(0)

(8/18)Y邸のJBLとラジオ組立教室(特別編)

収録明けで向かったの都内のY邸。はじめて伺ったのが約1年半前でしたが今回スピーカーをリニュアルされたと聞き、早速お邪魔させていただきました。
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JBL4320のエンクロージャーにウーハーD130,ツィーター075という構成でネットワークも別誂えのオリジナルシステム。ウーハーはスルー(フルレンジドライブ)でツィーターをハイパスフィルタで重ねるというJBLが最もJBL的であった頃の音を彷彿させるサウンド。プリアンプはSV-722(C22)。パワーアンプは2種類で…
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SV-91BとSV-275(SV-8800SEの前身)。Yさんの構想としてはパッシブバイアンプ(Lo:275,Hi:91B)か175DLHをミッドに加えた3ウェイマルチ化も…ということでしたがまずは現状の音を聴かせて頂くことにしました。まずは275。ローがD130であることを忘れさせるような量感。思わず075を2dBくらい上げたくなる音で、確かに275ベースであればミッドにホーンをもってきて更なる厚みと密度感が欲しくなるのも分かる音です。

次に聴いたのが91B。これ凄かった!D130がビシッと締まり、最低域の沈み込みも見事で更に言えば075とD130のシームレスな繋がりが見事で、まさに往年のジャズ喫茶の音。91Bを聴きながらYさんにこの音が出るならバイアンプも3ウェイも不要です。まさにこの音こそがジャズそのものです!と申し上げたらYさんも”91Bでしっかり聴き込んだことがなかったけど確かに上も下もしっかり出て締まった良い音ですね!”と喜んでおられました。
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特にシビれたマイルス。フォノEQは敢えてSV-722内蔵でなくSV-6(販売終了)。ガラード401+SME 3009+オーディオテクニカAT-MONO3/LPとのマッチングも秀逸で直ちにジャズ喫茶が開店できそうな、そんな素晴らしく男気あふれるカッコイイ音でした。

そのあと神奈川へ移動。先日のラジオ組立教室の特別編的な感じでAさん宅へお邪魔してきました。夏休みの自由研究の題材にしたいということで単なるモノづくりだけでなくラジオの仕組みについてお勉強してからハンダづけの練習。
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そして本番という流れです。熱の掛け過ぎでランドが剥離してしまうピンチもあって、もっとよく見ててあげればよかったな、と思いつつ二人ともFM横浜の良い音を自分の作ったラジオで聴けて良かったです。
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完成!よく頑張りました!…そろそろ夏休みもお終いです。私どもも秋に向けて今から色々と準備していく時期。ニューモデル(プリ)の試作も遅れなく進めて10月の真空管オーディオフェアにはしっかり間に合わせないといけません。



by audiokaleidoscope | 2017-08-19 11:21 | オーディオ | Comments(0)

(8/17)エレキット新製品”TU-8600”とカートリッジ大会

今回のMUSIC BIRD収録。一本目(10/10オンエア)ではエレキットから9月末発売の新製品TU-8600(300Bシングル)を取り上げ、その音質と魅力を紹介しています。まずは旧モデルTU-8730とTU-8600の比較試聴。そしてTU-8600とサンバレーSV-S1616D,SV-501SEとの比較試聴という流れ。
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まずTU-8730(写真中央)とTU-8600(左上)との比較では回路的特徴がそのまま音質に反映する形になりました。以前から申し上げている通り”ゲインは音力”…電圧増幅段の利得をしっかりとって出力段をフルスイングすることこそが真空管アンプの魅力を最も表出させる眼目である訳ですが、TU-8600はまさにそのフィロソフィーに副った設計で初段12AX7でゲインを稼ぎ,ドライブ段12AU7(パラ)で強力に300Bをスイングするという、エレキットアンプでは嘗てない”攻めた”設計になっています。

その結果、従来の極めてニュートラルなエレキットサウンドから脱皮。非常にパワフルで音がグッと前に出る音調のアンプになっていることが最大の特徴であり、魅力でしょう。
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TU-8600は真空管レス。これも従来と異なる流れです。そこで最も標準的な300BであるPSVANE 300Bと私どものPrime 300B ver.4, Prime 300B ver.5で聴き較べしてみました。中庸のPSVANEに対し滑らかさと響きを加えるver.4そして明るさと張りを加えたver.5の比較は聴きモノです。

後半はTU-8600とSV-S1616D,SV-501SEの比較試聴。
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ここでは設計というよりもヴォイシングの差が出たような気がします。300Bの最大の魅力といえば豊かな響きと間接音成分。滑らかで聴き疲れのない音色が300B人気の源である訳ですが、サンバレー勢に対してTU-8600は力感を表に出すタイプの音でリファレンスソースに使用したビオラのソロでは音が一本の太い線として感じられるのに対してサンバレーアンプはその線が僅かに細身になり、その中に濃淡を感じる違いが現れました。恐らくこの感じはTU-8600のカップリングコンデンサーの交換でかなり変化することでしょう。そういう意味では出力管の選択、パーツのグレードアップで更に化ける可能性を秘めたアンプであることが想像できる大器であると申し上げて良いでしょう。

価格は108,000円(税別)ということで私どもでの販売形態は未定ですが、基本的にメーカー仕様そのままと球つきのSVバージョンの2種類を展開することになるのではないかと思います。10/8~9の真空管オーディオフェアでもTU-8600の音を聴いて頂く予定で、是非ご期待頂きたいと思います。この限定生産品によってエレキットアンプの音の評価が大きく変わっていくことは間違いない…そう感じた一本目の収録でした。

二本目(10/27オンエア)はディスクユニオン JAZZ Tokyo店長 生島昇さんをお迎えしてのスペシャル企画。いつもの真空管やアンプの音の違いから少し離れてカートリッジと音源の深い関係をジャズとアナログ再生のオーソリティである生島さんのナビゲートでお送りする2時間になりました。
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ヴィンテージから現行品まで数々のカートリッジとそのカートリッジにベストマッチの音源を生島さんがセレクト。それを聴かせて頂いて私とレギュラーゲストのTさんが嘆息を漏らす…図らずもそういう流れになりました。自宅でマッキンMC-275でパラゴンを鳴らす生島さんに敬意を表してこの回のリファレンスアンプはSV-P1616D/KT150仕様。
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SHURE V15 type3/4, GEバリレラ, Goldring 1042, オーディオテクニカ530EN/540ML等のMM/VM勢に加えてデノンDL⁻110(MC)も加え、さながらレコードコンサートのような2時間になりました。私が最も心震えたのがGEバリレラ(MONO)。
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ここでかけたレッドガーランドBirk's Worksの何という熱気,厚み,そしてMONO盤ならではの前後感…アナログでしか味わえない桃源郷に完全にKOされた感じです。更に印象的だったのがテディキングのMONO盤をSV-P1616DとSV-501SEで鳴らし分けた時の差。日ごろ多極管PP一辺倒の生島さんも”300Bで聴く女性ヴォーカルは絶品”と歓喜の声を挙げておられました。

オーディオマニアはMCの方が高級で音も良い…と思っておられる方も多い筈。実際私も常用カートリッジの殆どがMCです。しかし今回の収録を通じてMMならでは良さ、全体のまとめ上げ方の上手さ、そしてステージ全体に光を当てるのでなくソリストだったりヴォーカリストにポッとスポットを当てるような表現力の高さに舌を巻き、自らの考えを改める結果にもなった2時間でした。

この感じをもっと多くの方に伝えたい…そう思いましたので真空管オーディオフェア二日目(10/9)午後、生島さんのレコードコンサートをフェア会場でやりたい!とオファしたところご快諾を頂きました。是非続きは会場で皆で楽しみましょう!



by audiokaleidoscope | 2017-08-18 08:59 | オーディオ | Comments(0)

(8/14)10月からの新番組(仮)

二日間の骨休めが終わり明日から活動再開。この時間を使って色々と内職をやっています。まだ解禁前なので詳細はお知らせできませんが、10月から始まる予定の三つ目の新番組の音源編集をコツコツと進めているところ。「真空管・オーディオ大放談」では真空管アンプを中心としたオーディオ機器にフォーカス、「FMジャズ喫茶」ではジャズの深さをリスナーの皆さんとシェアすることを目的としてきましたが、この新番組では私たちがなかなか耳にする機会がない、でも素晴らしい可能性を秘めたインディーズバンド(アーティスト)をピックアップしていきます。

私たちの周りでは無限ともいえる⾳楽が⽇々⽣まれています。 しかしその多くは⼀度も聴くこともなく通り過ぎていってしまいます。 特に⼤⼿レーベルに頼らないインディーズミュージシャンたちの活動は多くの⾳楽ファンでさえ知らずにいるのが現実。
しかし私たちが知らないところで⽇々ライブハウスでは数多くのミュージシャンが⾃らのメッセージを発信し、たくさんのファンがそのバイブレーションを共有しています。この番組では地元はもちろん全国的に活動している様々なインディーズミュージシャンのなかから次世代のヒーローとなるべき注目アーティストをスタジオに来ていただいて有り体のインタビューと音源を掛けるというスタイルでなく、私自身がライブ会場に足を運び、魅力と可能性を感じたアーティストをピックアップ。ライブ後にインタビューを録ってライブのテンションそのままにアーティストのメッセージを届けようという狙いなのです。

初回は8/11(金)名古屋で行われたライブイベントにお邪魔してきました。いわゆる対バン形式のライブで多くのアーティストが明日のスターダムを目指しライブを展開した訳ですが、そのなかで今回ピックアップしたバンドは三つ。
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DUB 4 REASON

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愛笑む

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ROOKiEZ is PUNK'D

という布陣。いずれも魅力と個性を秘めた素晴らしいバンドです。インディーズバンドならではのストレートなメッセージと音楽性を大いに楽しんで頂ける筈。音質にも勿論こだわってフルアナログプロセッシングでマイクプリもD/A,A/Dに至るまでフルチューブでファイナライズ。
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この番組はスタジオ収録を行わず自前で完パケを作って局に送るスタイルですので準備はとても大変ですが頑張ってやりたいと思っています。是非正式告知をお待ちいただきたいと思います。



by audiokaleidoscope | 2017-08-14 23:35 | オーディオ | Comments(0)

(8/5)子供はみんな天才だ!

夏の恒例行事のひとつ。トヨタ産業技術記念館での”週末ワークショップ”。ラジオキットの組立を通じてモノづくりの感動と科学する心を養って欲しい、という想いと共に今回も参加させていただきました。
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今回も午前午後あわせて32組の親子が参加された訳ですが、記念館自体の来場者が増えていることもあって、今回も申し込みは大変な高倍率の抽選だったようです。それもあって今までで一番ハンダ未経験の方が多かった訳ですが、みんな真剣に取り組んでくれて無事全員がラジオを完成することが出来ました。
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まずはハンダづけの見本を見てもらってから練習基板でリハーサルして早速本番。
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最初は見よう見真似だった子供たちも段々とコツをつかんで脇目もふらず集中して組立に取り組んでいます。
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分からないとき、迷った時は”センセ~!”と声が掛かってサポートに回りながら一緒に作っていく感じ。いつも思うのは子供はみんな天才だ!ということ。海綿が水を吸い込むようにどんどん上手になっていきます。不安げで最初は落ち着かなかった眼差しに段々と自信が漲ってくる様子には毎回心打たれます。
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実にいい顔してますね!こういうことをきっかけにして”やればできる!”という自信を深めてもらえたら一番嬉しいです。

このワークショップは小学生対象な訳ですが、中高生向けの企画も今後検討されていかれるそうで、チャンスがあれば更に高度なキット製作のワークショップもやれたらいいなあ、と思っています。真空管ヘッドフォンアンプなんてどうかな…と思いながら、こういう形で自分の仕事が世の中への恩返しが出来るということに心から感謝した次第です。次回も頑張ります!

※写真は参加者同意のもとワークショップ事務局が撮影したものを転載させていただきました。





by audiokaleidoscope | 2017-08-06 20:39 | オーディオ | Comments(0)

(7/30)AIには出来ない"過程を楽しむ"モノづくり

今まで第二に色々な方をお迎えしてきましたが、欧州からのお客さまは初。とはいうものの、目的は試聴ではなくてラジオキットの組立ワークショップ。
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高校時代のクラスメイト夫妻がホストファミリーとしてスイスの若者を受け入れていると聞いたのがきっかけで、"もし良かったらニッポン流モノづくりを体験してみない?"と声を掛けたところ、うまくタイミングが合って実現となりました。スイス君だけでなく同級生のご子息も一緒で、二人ともハンダは初体験。

唯一の懸案はスイス君と英語でコミュニケーションがとれるのか…ただそれだけ。言葉さえ伝わればモノづくりのスピリットには国境はありません。実際会ってみると190cmを越える長身でブロンドの好青年。19歳で9月から新学期を迎えるこのタイミングで日本をホームステイ先に選んだそうで、幸い英語も流暢で早速製作を始めることになりました。今回教材に選んだのはエレキットの新製品TK-739
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少し飛躍しますが、最近はAI(artificial intelligence:人工知能)が注目されてdeep learninng(深層学習)により囲碁や将棋でAIが人間を負かすことも少なくありません。人間よりも高速で複雑な判断を行うことは一つの大きなメリットである一方、これから先、何かの判断をAIに任せる時代が来たときに、その思考プロセスがブラックボックス化し"なぜその判断(結論)に導かれたのか?"が軽視されることがあってはなりません。

正しい判断をするためにはその前に試行錯誤や失敗による学習が不可欠であり、その点において自ら手を動かして苦労しながらもモノづくりする意味はとても大きいのでは・・・その過程すべてが自負と他者への感謝につながる…そんなことを考えながらいつも子供たちを見守っています。合理性だけが全てじゃないよ、と思いながら。
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写真は関係各位のご了解のもとアップさせていただきました

幸い二人はとてもクレバーで落ち着きがあり、多少は苦労しながらも立派なモノづくりをしてくれました。二人とも一発完成で静かに見守っていた大人たちも大きな感動を共有することが出来ました。生まれた国や育った環境は違ってもみんな一緒で皆仲間。とても楽しいひと時でした。



by audiokaleidoscope | 2017-07-31 17:50 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_2) KR2A3/300Bの音とは?…不思議な逆転現象

2本目(9/29オンエア)はレギュラー企画でTさんと私の二人で収録。
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2A3と300Bを無調整で差し替え可能な真空管プリメインとしてたくさんの方に使って頂いているJB-320LMSV-2300LMが登場。目的は現行の定番球といっても良いGoldenDragon2A3premiumPrime300Bver.4をベースとしていま密かに注目を集めているKR(チェコ)の高級2A3/300Bを聴き較べてみよう…それもシングル/PPで一気に総まくりテストして評価しよう、というテーマです。

KR真空管は高価格ながら家内制手工業的な丁寧なモノづくりで定評あるところですが、少し注意が必要なのは例えば211/845であれば通常の10V/3.25Aに対して10V/1Aだったり300BXLSのように通常5V/1.2Aであるべきところ5V/1.8Aだったりとフィラメント定格が独自仕様となっているものが散見され、いわゆる通常の211/845アンプや300Bアンプでは使えない(改造が必要な)球が存在することです。今回はそんなKR球から一般的な2A3/300Bと同定格なもの(そのまま差し替え可能な球)を選んで音質比較することにしました。

ずっと聴き慣れているGoldenDragon2A3やPrime300Bに対してKRがどんな音を聴かせるのか、私も非常に興味を持っておりましたが、たいへん面白い結果が出たことを先ずは報告しておきます。個々の音色についてはオンエアでその機微をご確認いただくのが一番ですが、特筆すべきは一般に「シングルは音色(ねいろ)」,「PPは響き」という言われることとは反対の傾向、すなわちシングルではクリーミーな円やかさ、逆にPPではトランジェント(音の立ち上がり)の良さと低域の締りが出たからです。これは長い私の真空管との戯れの中でも殆ど経験がないことでした。
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KR2A3。シングルにおける音の溶け合い方の美しさが際立つ表現。

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KR300B。大型化されたプレートに合わせて根本が太くなった存在感が際立ちます。私たちが聴き慣れている300Bよりも高精細な表現。
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今回最も注目していたKR300BBalloon。プレートはKR300Bとおそらく同一ですがサポートロッドが4本に増えてリジッドな構造になっています。300Bにしては異例に透明感のある輝かしい音でした。

合計11通りの音を出して比較した訳ですが、KRではどのパターンにおいてもPPの方がシングルよりも音が締まるという逆転現象に対して私もTさんも或る意味首を傾げつつ、球のスペックを見て合点がいった気がします。

KR球は独自の定格を持つ(ものが多い)ことは上記した通りですが、今回取り上げた三種類の直熱三極管は全てプレート損失(車のエンジンでいえば排気量)が全て通常球よりも10~20%程度上がっています。2A3であれば通常15Wに対してKRは20W。300Bであれば通常40Wに対して50W。驚くべきは300Bで何と最大プレート電圧550V,最大プレート電流120mA(!!)という凄さ。845ですら100mAな訳ですから如何にKR300Bがハイレギュレーションであるか分かります。

恐らくは通常設計のPPではKRの最も”美味しいところ”に届いてない…これが私の推論です。結果三極管ならではの解れや厚みがPPでは今一つ来なかった、ということかもしれません。一方シングルではそれぞれの球の良さが出て大変魅力ある存在であることも確認した次第です。裏を返せば”もっと低域を締めたい、更にパワーを出したい”という方には従来の2A3や300Bとは隔絶したパフォーマンスが期待できる訳で、ここがKRの使いこなしの要諦であろうと感じた次第です。

最近のトレンドの一つである「上位互換」球の流れ。KT150のように極めて短期間でスターダムに上った球もあります。2A3シングルで5W,300Bシングルで10数W…これがいつの日か常識になる日がひょっとしたら来るのかもしれませんね。”ところ変われば品変わる”…チェコの音を堪能できる2時間です。



by audiokaleidoscope | 2017-07-29 05:32 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_1)懐疑派の陥落

今回のMUSIC BIRDは9月後半オンエア分の収録(2本録り)。まずは一本目。

告知によれば

「今回はケーブルに対して懐疑的な2人(大橋・高山)が「ケーブルで音が変わる派」と対決。「音が変わる派」代表はオーディオ実験工房でおなじみ、みじんこ荒川さん。みじんこさんが電源ケーブル、ラインケーブル、スピーカーケーブルなど各種ケーブルを持ち込んで音の変化を検証します。ケーブルで真空管アンプの音はどう変わるのか?写真家でベース弾き、オーディオファンで真空管アンプも使用している平間至さんも「変わる派」スペシャル・ゲストで参加。

ということですが、アンプ設計の立場から言えば能動系=アンプの音の変化の方が受動系=ケーブルの変化よりも大きいに決まってる!という刷り込みもあって、今まであまり(というよりも半ば意図的に)ケーブルについては意識しないようにしてきた部分が正直ありました。その一方でオーディオ実験工房のオンエアを聴いたり、今回のスペシャルゲスト平間さんの家や写真館でケーブルによる音のチューニングの様子を見させていただいているうちに”これはひょっとしてひょっとするんじゃないか!?”と思い始めたこの半年ほど。そこで荒川さんと平間さんにオンエアでリスナーの皆さんと一緒にケーブルによる音の変化を共有してみませんか?と提案させていただき、今回の収録が実現しました。

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増幅系は192PRO,192A/D,S1616D/KT150で統一。全ての比較においてゲイン等一切触わない状態で収録しました。

実は収録前日に搬入と前段取りをした後に食事でもと思い、局の近くの中華によったら偶然にもレギュラー収録を終えた荒川さんと炭山さんと遭遇!やあやあ!明日よろしくお願いします!!とお話していたら実験工房のゲストでいらっしゃっていたメーカー「光城精工」のTさんが同席されていて、オーディオ用電源タップをお持ちと伺い、初対面でしたがその場で出演オファ。収録ではまず通常のOAタップとの比較からスタートします。この比較の音の違いは私にとっても鮮烈なもので、オンエアを聴いて頂ければおそらく10人中10人がその音の明白な違いを認識頂けるほどの差。正直私が一番痺れた…かもしれませんが。
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この状態をデフォルトとし、以降はオヤイデ電気の電源ケーブル(パワーアンプに装着),ラインケーブル(プリ/パワー間で装着),スピーカーケーブル(パワーアンプ/ダミーロード間に装着)して比較試聴していくと、受動系と言えないほどの音の個性が明白に現れて懐疑派代表の大橋/高山陣営もタジタジ。電気的,測定的には説明が出来ない伝送系素材と構造による音の変化をも人間の聴覚は認識できることに改めて驚きと感動を覚えました。特に電源プラグのブレードのメッキ無/有りで音質が変わるなんて今までは”ホントかなあ~?”というのが正直なところでしたが、これもオンエアを聴いて頂ければ必ずや分かっていただける筈。たった2時間で懐疑派は白旗を挙げて陥落する結果になったと申し上げておきましょう。

最後の方で平間さんが仰っていたこと。”ケーブルで音を作るというよりも環境によって発生する様々な要因をケーブルで補うんです”…蓋し名言!真空管アンプの魅力をより引き立たせる為の重要なツールであることを教えて頂くことが出来た、個人的にも非常に有意義なひと時でした。




by audiokaleidoscope | 2017-07-29 03:23 | オーディオ | Comments(0)

(7/24)若き挑戦者

今日は午前中試聴のお相手。午後は”FMジャズ喫茶”の収録という一日。
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今日の試聴のお客さまはショールームオープン(2003)以降、最年少では…?と思われるほどの若者。最近の若い人は(という時点で自分が如何に年齢を重ねたか分かりますね)、何か言葉のボールを投げても「…あ、はい」とか「いや、まあ、とりあえず…」的な曖昧で(良くいえば慎ましやかな)ハッキリしない方が多く、もっと自分をストレートに出せばいいのにな…と思うことが少なくない訳ですが、今日いらっしゃったMさんがオーディオが好き!というピュアな気持ちが伝わってきて、とても爽快で嬉しいひと時になりました。

MさんのターゲットはVintage S12。訊けばS12に搭載しているユニット(Sica/Z007360)をすでに所有しておられ、密閉,バスレフでエンクロージャーを自作されたものの満足な低域が出ずに困っておられるとのこと。このユニットは96dB以上/w/mという超高能率と指向性を絞った深鉢仕様のユニットの特性を生かすために、なるべく大きく響きの良い材料でエンクロージャーを作ることが非常に重要であることを説明し、ウチのユニットは高域側のサブコーンは独自のダンピング剤を塗布して高域の荒れを抑えていること、シナ合板ではこの響きは出ないので素材選びには十分気を付けてということも申し上げました。

それでアンプはどんなものを使っているんです?…と伺うとアンプも自作とのこと。この若さにして溢れるクラフトマンシップに感心していたら”アンプ持ってきてます”ということなので、じゃあそれでS12を聴きましょうよ!ということに。
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Mさんの自作アンプ(右)と音質比較用のSV-S1616D/300B。MさんのアンプはクラスD(デジタル)アンプで出力は確か400W(!)。対してS16は8W。試聴ソースはマイルスのKind of Blue。
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言わずとしれたJAZZの名盤中の名盤。おそらくこれまで数えきれないほどのリイシューを重ねてきて正直音質も玉石混交な訳ですが、これは安くて音質もGood!です。

私も球アンプ以外でS12を聴いたことはありませんでしたが、同じオーディオアンプでもクラスDと真空管では音の根っこからの差異をより明確に出す辺りは高能率ユニットならではかもしれませんが、特に高域の質感…独特の粒子感と時に感じる先鋭感がクラスDアンプの音質的特徴と言えるかもしれません。

一つのサンプルをお見せします。上のサイン波が或るクラスDアンプ(Mさんのアンプではありません) 。下がS1616D/300Bです。
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1W出力時(1kHz)の波形です。著しい差異はないと言って差支えありません。
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こちらは同じく1W出力時(10kHz)の波形です。クラスDアンプに僅かな波形の乱れが発生しているのを確認出来ます。もちろん全てのクラスDアンプがこうだとは言いませんし、被検アンプが偶々こうだった可能性もありますが、一般にクラスD増幅ではパルス幅変調(PWM)出力波形からオーディオ信号を抽出するためにローパスフィルタを外付けする必要があり、この設計で音質ならびに特性に大きな差異が出ます(最近のアプリケーションでは外部フィルタリングが不要なもものも多いようです)。

人間の耳はこの僅かな差異も鋭敏に感じる訳ですが、Mさんも”音の質感そのものが全然違うんですね”と仰りながら興味深そうに聴いておられます。最近はクラスDアンプを出力部に持つアンプでも電圧増幅段に真空管を用いるケースがかなり出てきており、Mさんのアンプもこうすることでアナログ的滑らかさを得られる余地が十分にあることをお伝えしました。若者のピュアオーディオ離れが懸念されるなかで、Mさんのような意欲ある若者にはこれからも大いに腕を磨いて頂いて再び道場破りに来ていただきたいものだと思いながら、Mさんには折角同じユニットを持っているんだからS12の寸法を測って自作されては?よかったらまた遊びにいらっしゃって!…と提案してお見送りしました。

収録が終わって会社に戻りメールチェックと共に受注データを確認するとMさんからS12のご注文が…。短い時間でしたが何かを感じて下さったんだな、ととても嬉しい気持ちになった一日でした。




by audiokaleidoscope | 2017-07-25 00:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/21~22)オーディオの快感と音楽の感動と

東京から戻ってほとんど切れ目ない試聴対応。金曜は朝8時~夕方6時前までずっと試聴室に入り放しという状況。当然のことながら全ての方のニーズが異なり、レストランで云えば全てア・ラ・カルトメニュー。一期一会の対話から生まれる音の邂逅を楽しむ時間が続きました。

そんな中で印象深かったのが神奈川のUさんとのひと時。わざわざ前泊されてスピーカー持ち込みでの試聴でした。
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最近スタジオでよく見かける”ムジーク”(独:musikelectronic geithain)のスピーカー。スタジオ関係者のみならずミュージシャンからも”ムジークいいねえ!”とは聞いていたものの、スタジオではほとんどがパワード(アンプ内蔵)モデルであったこと、パッシブ(アンプレス)モデルを実際聴く機会がほとんどなく、その実力については寡聞にして存ぜず、というのが本音でした。

今回Uさんから試聴予約のメールで”ムジークをSV-9TSEで鳴らしているんですが他のモデルでも試聴したい”と伺った時から、この機会を逃してなるものか!と思い楽しみにお待ちしていたという訳です。
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これがUさんの愛機ME25。元々はレコーディング環境での近接モニタリング用途のモデルで音楽鑑賞用というよりも検聴用のスピーカーであることから実際音はどうなのかな?…と思って思いながらUさん標準のSV-9TSEで鳴らしてみると、無機質どころか太々として筋肉質な9Tサウンドそのものでちょっと安堵。ローがモリモリと出てきます。

SV-S1616Dの300B仕様やKT150仕様で鳴らしてみると音の傾向が通常のスピーカー以上に変化。Uさんも”やっぱりモニターですね。全く表現が変わる”と言いながら最後に鳴らしたSV-S1628Dで別世界が現れました。
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左が845,右が211。まずは845で鳴らすと高域のキレとスピード感が今まで鳴らした全てのアンプより増すだけでなく、ローの沈み込みがPP以上で且つ締まって低域の音階が情緒的にならずしっかりと聴こえてきます。少々手前味噌になります昨年暮れにデビューしたばかりの新製品でありながら、「サンバレーのSV-2は初代モデルからNewSV-2,SV-2(2003),SV-2(2007),SV-2(2011),SV-S1628Dまで全て使ってきましたが音は1628が一番良いです(札幌のMさん:原文ママ)」と言って下さる方が実は多く、海外を含めて好調に推移しているのは本当に有難いこと。特徴的なのは国内では7割が845,海外では7割(以上)が211という売れ方の違いです。211に替えるとしなやかな三極管サウンドに変化し温度感が上がります。出力は半分に下がりますがムジークではピークで歪むなどの問題は全く見られず、Uさんは「基本845で鳴らして気分とソースで211を使うことにします」という結論になった次第。硬派で知られるムジークが845/211でこんな風に鳴ることを知って私も大変参考になりました。

金曜最後の来客は翌日の本番を控えて前ノリされたN響のYさん(ヴァイオリン)。SNSのポストをトレースしてみたら試聴室は何と2年半ぶりのご来訪ということでネタには事欠くことなし。話が尽きずに一杯吞みながら大いに盛り上がりました。そして今日…。
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年に一度の地元定期。ベートーヴェン,チャイコスフキ,アンコールのモーツァルトというお手盛りプロながら透明感とアンサンブルのスケール感が最高レベルで同居したサスガ!国内最高峰!!の名演を満喫させて頂きました。この広大なダイナミックレンジは生でしか味わえない…のは事実かもしれない。でも私たちはオーディオならではの快感と音楽の感動の両方を見つめながら、これからも更なる高みを目指す!…そんな気持ちになった今日でした。



by audiokaleidoscope | 2017-07-22 23:20 | オーディオ | Comments(0)

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