2017年 11月 10日 ( 2 )

(11/9_2)MCトランス比較試聴大会

2本目は永世ゲストTさんのリクエストで各種MCトランスの聴き較べ。オンエアは1/19です。MMカートリッジの2~3mVの出力に対してMCカートリッジは一桁低いコンマ2mV~3Vですので利得を揃えるためには20dB(10倍)程度のステップアップが必要となります。そこで必要なのがMCトランスです。汎用機やプリメインアンプにはMCトランスにかえてヘッドアンプを入れていることが多いのですが、高級機ではMCトランスを内蔵していたり、マニアックな方は外付けのMCトランスを自分で用意して音作りのツールにします。単なるトランスですがそれだけ音づくりに大きな影響を与える世界だからです。

今回現行の廉価帯からヴィンテージまで網羅出来たら、と思っていたのですが探してみると現行品が実に少ないことを再発見。MCカートリッジは作っていてもトランスは製造中止というメーカーもあったりで少々残念ではありましたが、色々なところに声を掛けさせて頂いて中古市場で手軽に入手できるものからスーパーヴィンテージまで8種類のトランスの音を聴くことが出来ました。
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登場したトランスは以下の通り。

1 DENON AU-300LC(ハイファイ堂さんからレンタル)
2 Bayer Dynamics KTR710(スタジオ常設)
3 パートリッジ TK-2220
3 ALTEC(PEERLESS) 4722
4 アントレー ET100
5 オルトフォン STM-72
7 SV-310EQ標準(橋本電気特注)
8 WE618C

という布陣。中古価格で約2万円~80万というダイナミックレンジの広さです。
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MCトランスの出力をSV-310EQのMM入力に入れて試聴します。パワーアンプはSV-91B(PSVANE WE仕様)です。

ところでMCトランスを使いたいけど気になるのはカートリッジとMCトランス一次側のインピーダンスマッチングについてです。アンプとスピーカーのインピーダンスは僅か数Ωの差でも気になるのに、カートリッジは低いもので数Ω、片やトランスは高いもので数百Ωにもなります。これらを普通につないで大丈夫なのか(まともに鳴るのか)に不安を感じる方もおられるのではないでしょうか。

実はこれに関しては”あまり気にしないでも大丈夫”というのが回答になります。カートリッジ/MCトランス間は電圧しか伝送されませんので、仮に差があってもトランス二次側の見かけ上のインピーダンスが変化するだけ。例えば20Ωのカートリッジを200Ω:50kのMCトランスに接続して場合、トランス二次側が見かけ上5kになるだけ…という考え方です。

ではなぜトランスそれぞれに一次:二次の表示がされているのか?これはトランスを設計した際の想定負荷あるいは最も変換効率(周波数特性,利得)が良い値を表示していると考えればよいでしょう。アンプ対スピーカーのように電力を伝送する場合はマッチングは比較的シビアですが、電圧伝送に関してはあまり神経質になることはないのです。ただ注意すべきは、そうはいってもマッチングが取れていることに越したことはないということ。ずれた分だけ特性的にも偏移するでしょうから。それを逆手にとってオルトフォンのSPUをWesternのトランスに繋いで絶品!と仰っている方にお会いしたことがあります。カートリッジ7Ω,トランス500Ωですが良い結果が出る場合もあるということですね。

今回は8種のMCトランスを聴き較べするのにカートリッジは14ΩのDENON DL-103SAを使いました。結果はオンエアを聴いて感じて頂きたい訳ですが、これぞまさに優劣を超えた嗜好の世界。むしろ廉価帯の方がフラットバランスでクリアに鳴る傾向でしたし、一方でヴィンテージ系は個性豊かで好みには合えば無敵!という音が出ることも分かりました。個人的には103系にはパートリッジTK-2220のパワー感は相互補完的で素晴らしかったと思いますし、少々口幅ったいですがSV-310EQ標準トランスの音に自信を深めることが出来ました。

後半はカートリッジをオルトフォンSPUに替えて再試聴。ここで前半の結果とは大きく異なる結果が出始め、私自身も正直戸惑ったというのが本音です。例えばDL-103SAでは僅かに高域のレスポンスが落ちて聴こえたオルトフォンSTM-72がSPUではプリップリの鮮度感とレンジ感。同ブランドの純正組み合わせだから良いに決まってるじゃないかと言われそうですが、私が思ったのはトランス単体での評価ではなく、あくまでカートリッジ+トランスの複合的表現において評価する必要があるな、ということ。必ずしも高いものが音が良いという訳ではないMCトランスの世界。ある意味タマの差し替え以上に奥の深い(逆に言えば難しく深遠な)世界であることがよく分かりました。まさに十人十色、音は人なりを体現するMCトランス比較試聴、とても楽しかったです。


by audiokaleidoscope | 2017-11-10 04:35 | オーディオ | Comments(0)

(11/9_1)無人島レコード

東京~長野の5日間巡業。東京2日めはMUSIC BIRD収録。2018年1月分の2本録りでした。1本目(1/5オンエア)は新春特番。
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ゲストはジャズ・ベーシスト小林真人さん。オーディオにも精通され、特にSPレコードの蒐集家としても知る人ぞ知る方。前回のオンエアが大好評で、やっと再登場いただくことが出来ました。今回もテーマは”無人島レコード”。小林さんが無人島に1枚(タイトル)だけ持っていくとしたら何?…に対する回答としてお持ちになられたのがこれ。
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6枚組のジャズSP盤でタイトルは”the jazz scene"。小林さんから事前に”6枚組のセットがあるので裏表全部12曲ぜんぶ掛けたいんです”と伺っていたのですが、このjazz scene…調べれば調べるほど如何に貴重で価値のあるものであるかが分かってきました。特に注目したのがこのサイト。いきなり”Most important Album You’ve Never Heard”なんて書いてあって読んでいくとヴァーヴとパブロという二つのレコードレーベルを創設し、JATP(Jazz at the Philharmonic)の興行で一世を風靡した稀代のプロデューサー、ノーマングランツが1940年代のジャズのあらゆるエッセンスを網羅すべく編纂したセットもので5000セットの限定品。一番上の写真で小林さんが中を開いてみせてくれていますが、雑誌「Life」の写真家Gjon Milliが撮影した美しい写真32枚と数々のジャズアルバムのジャケットアートワークで知られるデヴィッド・ストーン・マーティンの美しいイラスト。
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全てにシリアルナンバーとノーマン・グランツ直筆のサインが入っています。如何にこのセットものが贅を尽くされ、ノーマン・グランツ自身が意気込んで製作されたものであるかが分かって実際どんな曲が入っているのか、どんな音なのか楽しみにしていたのです。
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今回の再生装置はこんな感じ。前回同様プリはマッキンC8を使い、パワーは前回の2A3から今回は300B(SV-91B)。そして今回は…
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MCトランスにWE618C(オリジナル)を使用。コラムでお世話になっているY下さんからお借りしました。トラックによっては殆ど針が下ろされてないのではないか…SP盤特有のピリパチ音が殆ど感じられない歴史的名盤のオンエアは恐らく空前絶後のことで今後もまずあり得ないことだろうと思います。そして2時間かけて小林さんの解説つきで全曲制覇。これは何が何でもオンエアを聴いて頂いて、出来れば録音もして頂いて永久保存して頂きたいと思います。いずれMUSIC BIRDの番宣で曲目紹介されると思いますが、当時のジャズ・スター達がきら星の如く登場しソロ(アドリブ)からビッグバンドまで当時のジャズの全てを聴かせてくれる2時間になるでしょう。どうぞお楽しみに!!



by audiokaleidoscope | 2017-11-10 02:11 | オーディオ | Comments(0)

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