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突然のJBL 4344とチューニングノウハウ

今日は久々に”オーディオ熱”を感じた一日でした。今月のはじめ…H邸でJBL 4343BとALTEC A5を聴く集いがあって有志が集まりました。

そこに参加されたSさん。元々はオーディオファンというより音楽それもクラシックファンでTannoy DC10でアナログ中心に鳴らされていた方なのですが、H邸で聴いた4343Bの音に大いに感じるものがあったようで、なんと集いから僅か10日余りでJBL 4344をお求めになったと伺った時は正直驚きました。あまりに唐突でしたから…。
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そして今日、仕事終わりでS邸へ。噂を聞きつけてNさんもいらっしゃっています。既にセッティングも終わって音も出ています。
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事前に訊かれてベタ置きは厳禁…制振効果のあるスピーカーベースの一例としてTAOC 400DH-Bあたりを使って下さいとお願いしましたが、こちらも準備万端。
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Sさんとの出会いは恐らく15年ほど前。初期型のSV-310EQ,SV-310,SV-91B(すべてオールWestern仕様)を愛用下さっています。通常JBLの15インチを300Bシングルで鳴らすというのは有り得ないことですが91Bだけは別。しっかりと15インチウーハーをグリップしてくれます。これぞMLF(Multi-Loop Feedback)の成せる業。これでSV-284Dをブースターモードで足せば完璧です。
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91Bに使っておられる300B。ちらっと見ると何の変哲もありませんが。3月程前に大事故が…。
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このショッキングな写真をご記憶の方もおられることでしょう。最初見た時は絶望的…と思ったのですが何とか修復できて今でも元気に鳴っていて安心しました。

ただ最初に聴かせて頂いた音には少なからず問題がありました。これはSさんに限った話ではありません。今まで数えきれない程の4343/4344をお使いの方の音を聴かせて頂いてきましたが、正しいバランスで鳴っているケースはあまりありません。正直大物過ぎて”こんなもんなのかなあ?”と思いながら使っておられる方が大半なのでしょう。

ダイレクトラジーター×2,ホーンドライバー×2という混成で且つ4ウェイという規模。15インチ(38㎝)ウーハーのエネルギーとルームアコースティック(部屋の残響,定在波)との折り合いをどうつけるかが大きな難問であるだけでなく、実際どの帯域を基準にして帯域バランスを決めていいかも分からず、ただ鳴っている…という4344をどれだけ見てきたことか分かりません。少なくともミッドバス以上のアッテネーションが全てゼロ位置ということは絶対にあり得ないスピーカーです。

JBL43系のチューニングについては改めて書いても良いですが、基本は320Hz以下を受け持つウーハー帯域にしっかりとした制動とスピード感があることが第一関門で、あとは低域の量感にバランスする高域のリニアリティと音場感を如何に引き出すかというのが腕の見せどころ。上手く鳴らすと40年前のスピーカーとは思えないPhase-Coherent(帯域の位相が揃って完全な音場再生が出来ている状態)が現れます。

イメージとしては”やじろべえ”。ウーハー帯域とスーパーツィーターのバランスを決めてからミッドバスとその上のドライバー帯域をシームレスに埋めていきます。あとは様々な曲を聴きながら1/4dBレベルでバランスを追い込んでいく…その繰り返しです。4344を”らしく”鳴らすためにはスーパーツィーター(2405H)を通常のバランスよりも0.5dBくらい上げることがミソ。こうすることで低域に大いに効いてキレとスピード感が出ます。最初聴いたSさんの音は50年代のモノクロ映画のような雰囲気であったのがみるみる色彩感と鮮度感が出てSさんもNさんもその変化に驚いておられたようです。
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ポップス,ロック,ヴォーカル…出来るだけ多くの音を聴いてその都度ベストバランスを作っていく訳ですが段々部屋とシステムの呼吸があってきて、そのうちアッテネータを動かす必要がなくなってきます。これこそが求める音である訳で最初とは見違えるような音の世界が出来(しゅったい)します。これぞオーディオのマジック!これぞオーディオの快感です。

最後はSさんのリファレンス盤で指の皮一枚レベルで追い込み。S邸は低域が長めでかなり難しかったですが良い音が出たと思います。4344で聴くピアノコンチェルトもこれまたオツなものです!
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お付き合い下さったSさん(左)とNさん(右)、今日はどうも有難うございました!また続きをやりましょう。



by audiokaleidoscope | 2018-12-21 23:59 | オーディオ

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