(12/21)D/Aコンバーター今昔物語 & SV-Pre1616D大研究

明けの木曜はMUSIC BIRD収録日でした。今回の収録自体は普通に終わったのですが、何となく呂律(ろれつ)が回り難いなあ…と思う瞬間があったりして、収録終わりで会社に戻ったあたりで急に調子が悪くなって更新がすっかり遅れてしまいました。いやちょっと強行軍だっただけで、もう大丈夫です。

早速ですが今回の収録は一本目「D/Aコンバーター今昔物語」(3/2オンエア)と題して今回は1990年代前半~最新機種まで6種類のD/Aコンバーターがスタジオに集結。日進月歩と言われるデジタルオーディオの進化の歴史をリスナーの皆さんと一緒に感じてみようという企画。果たしてオーディオは本当に進化したのか?…本当に新しいものが最高なのか?…このテーマに鋭く迫っていこうという内容です。先日のショールーム開放日でやった実験が面白くて、その拡大版をオンエアでやってみようと思った訳です。
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持ち込んだD/Aコンバーターは下記の通り。

・MUSICAL FIDELITY TUBALOG(光,同軸) 1993年 定価18万 チップSANYO/LC78835K
・MODEL2(光,同軸) 1999年~ 定価68,000円 チップBB/PCM1716
・SV-192S(光,同軸,USB,AES/EBU) 2008年 定価99,800円 チップBB/DSD1796
・SWD-DA20(光,同軸,USB) 2016年~ 定価85,000円 チップESS/ES9018K2M
・OPPO SONICA(光,同軸,USB) 2017年~ 定価オープン チップESS/ES9038PRO
・SV-192PRO(光,同軸,USB,AES/EBU) 2011年~ 定価140,000円 チップBB/PCM1792

発売年のあとに「~」がついているのは現行機種ですが、デジタルオーディオの25年間の一端を俯瞰するような内容になったのではないかと…。その音の違いはオンエアで詳らか(つまびらか)になる訳ですが、年代が下がるにつれて帯域が拡がり情報量が増える傾向は確実にあって静特性の進化は確実に起こっていることが確認できた一方で、音楽性というかFun To Listenの側面では必ずしも性能や特性と一致しないことも明らかになったのではないかと感じています。

各機種をソースを固定して横断的に聴いていった訳ですが、大きな違いはD/Aコンバーターチップのブランド(メーカー)と出力段が真空管かOPアンプかの2つの分岐にありました。デジタルデータをアナログ波形に変換するチップに関しては大きくBB(バーブラウン)とESS系がありますが、まずこのチップのブランドにとって音の雰囲気が大きく変わります。ESS系はスカッと抜けて明るい音色で極めてワイドレンジ。ハイもローもよく伸びている一方でやや薄い音。BB系は聴感上ESS系より若干カマボコ型ながら中域に密度感があり音触感(音の手触り)もリアルです。どちらが良いということは一概に言えませんが、どこのチップを使うかで表現自体が大きく変化することは間違いありません。

あとはファイナル(送り出し)に真空管を使うかOPアンプか…これも大きな分かれ目でしょう。開発者として一個人の立場を申し上げればデジタル=量子化された有限の概念を如何にアナログ=無限の拡がりの概念に近づけるかという目的において真空管がもつ高調波(倍音)生成能力によって「失われた高域」を補完する目的は極めて理に適っていると感じます。いずれにせよ音は人なり…結果は聴く人それぞれの心の中に自ずと現れる訳ですので、是非オンエアを聴いてデジタルオーディオの25年間の変化を感じて頂きたいと思います。

最後の30分では真空管バッファつきの機種でタマあそび。
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MODEL2はECC88/6DJ8系の球がついています。標準はロシア製6922を一時期大ヒットとなったTESLA ECC88などに替えて音の違いを楽しんだり…
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SV-192PROでは500人以上の方が実践されているMullard CV4003やゲストTさんのTelefunken 12AU7へのグレードアップも行いました。Mullard CV4003の音も是非聴いて頂きたいなあ、と思っています。

続いて2本目(3/16オンエア)は3/末新発売(予定)に合わせてSV-Pre1616D大研究。まだ正式発表前ですが、このプリは15年間に亘り君臨したSV-722(マランツタイプ)の回路を踏襲しながら1616(イロイロ)シリーズに相応しい特徴を備えています。通常の真空管プリでは決して考えられない(許容されない)増幅段/カソフォロ段の球の差し替えが可能になっているのです。
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パワーアンプで6L6GCをKT88に差し替えられる機種があるようにSV-Pre1616Dでは下記の組み合わせが可能です。

12AX7-12AX7-12AX7
12AX7-12AX7-12AU7
12AU7-12AU7-12AU7

最初の2本は増幅段(L/R)ですので異種混合は出来ませんが、増幅段もカソフォロ段も12AX7/12AU7に適合させているのです。少々くどいですが、これはSV-722はもとより他のプリでは禁忌です。Tさんが”こんなプリいままで絶対なかったよね”と仰っていますが、私もそう思います。少なくとも今まで見たことはありません。

音の傾向としてはオール12AX7が最もシャープでハイコントラスト。オリジナルSV-722(マランツタイプ)に最も近い表現です。カソフォロ段を12AU7に替えると下支えがしっかりし重心が下がる感じでSV-722(マッキンタイプ)に近づきます。骨格感がしっかりするといえば分かり易いでしょうか。そしてオール12AU7は更に円やかで響きを重視する方には大変好まれる音色と言えましょう。つまりオール12AX7がヴォイシングチャート上もっとも右上。カソフォロ段12AU7が中央。オール12AU7は右下の位置関係となります。自分で創っておいて言うのもナンですが実に面白い…更に製品に標準で付属するダイオードモジュールと整流管(5AR4)のリプレイスでも随分音が変化するのですから尚更です。
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少々結論めいた話になってしまいますが、Tさんも私も12AX7-12AX7-12AU7の組合わせが一番好きだという結論になりました。12AX7でしっかりした輪郭を作っておいてカソフォロ段12AU7がたっぷり電流を流し音に厚みと潤いを与える感じ。上の写真はTさんのオールMullard ECC83(2)-ECC82+5AR4の時のものですが、これ凄かったです!

そんな訳で今回も楽しく収録を終えることが出来ました。私の番組だけでなくMUSIC BIRDでは様々なオーディオ的コンテンツが日々オンエアされています。まだ加入してないんだよね…という方。ぜひコミコミLightをご検討下さい。オトクです。
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by audiokaleidoscope | 2017-12-22 14:04 | オーディオ | Comments(0)

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