(11/18)D/Aコンバーター新旧聴き較べ

今日はショールーム開放日。様々な音源と機器と人が集い出会う不定期行事です。
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今回はいつものメンバーに加え、兵庫からはKさんご夫妻やカーオーディオマニアの若者たちの参戦もあり、お客さんが入りきれずに大変バタバタしたタイミングもありましたが楽しい一日になりました。面白かったのがHさんがお持ちになったMusical Fidelity TUBALOG(D/Aコンバーター)を使っての新旧真空管D/A比較試聴。
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写真中段がHさんのTUBALOG。1994年頃の製品でDACチップはサンヨーのLC78835Kのようです。バッファ段の真空管は6922/ECC88。ややモノクロ的な表現で聴感上の帯域もナローですが独特の味を感じる音でした。日進月歩のデジタルですが何も新しいものがすべて善ではない…後世に残すべき一つのヒストリカルな逸品の一つであろうと思います。
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続いて登場はmodel2。デビューは1999年頃だったでしょうか。キット化して私どもで販売を開始したのが2003年から。たいへんな数が出たベストセラー機となり、今でもたくさんの方が現用機としてお使いと伺っています。DACチップはバーブラウンPCM1716でバッファ段の真空管はTUBALOGと同じ6922/ECC88でした。TUBALOGとmodel2の間の5年間の時間の隔たりは音質的に大きなもので、同じソースを同じ条件で比較していくと先ず中高域の情報量の差が歴然とするほか、音そのものの色彩感にかなりの差があることに気づきます。TUBALOGの音に対してモノクロ的と評したのは決してネガティブなイメージではないですが、決定的な情報量の差があることは事実で、この期間のデジタルオーディオの進歩が如何に目覚ましかったかが伺われます。
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続いてはSV-192Sです。2008年、まだハイレゾという言葉すらなかった当時にCD(44.1k/16bit)を内部で192k/24bitにアップサンプリングできる真空管DACとしてデビューし私どもの一時代を築いた製品です。DACチップはバーブラウンDSD1796。バッファ段の真空管は12AU7/ECC82を採用しました。この頃から私どもの機器がプロ用途に使用されるようになり、CDの復刻にあたりリマスターを行う際にSV-192Sが使われるようになりました。
LIVE IN JAPAN!! Live オリヴィエ・アントゥネス・トリオ

Blues,Ballads,Bebop And A Blue Girl ダグ・レイニー・トリオ
などが記憶に新しいところです。また標準真空管をMullard CV4003に交換するのも大流行しましたね。

SV-192Sとmodel2の違いをひと言で言うと音場の広さ。同条件でD/Aリプレイスしただけで再生音がスピーカーの外側にまで拡がるさまにTUBALOGを持ち込まれたHさんも驚いておられる様子でした。この音場こそがオーディオ再生のキモ…スピーカーは音の出る映写機のようなものであり、その2つのスピーカーから放射されたエネルギーが空間で合成されて像を結びポッカリと浮かび上がる…どちらか言えば音像リアリズム寄りの再生をする方の方が多い真空管機器ユーザーですが、SV-192Sの登場によって音場再生の面白さをに気付いた方も多かったと伺います。今聴いても全く旧さはありません。

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そして最後に登場したのがSV-192PRO。いまや11.2MHz/1bit,768k/32bitの時代ですが特にプロフィールドにおいて量子化レートよりも本質的な高音質を求める方にとってのバリバリの現役です。192Sとの外観の差異がフロントパネルの色だけですが中身は一新されておりDACチップはPCM1972に変更。その他コンデンサー類のグレードアップ,水晶発振子の選別精度アップ,電源部の強化等によってスタジオ環境やハイエンド環境で更に快適に使用頂けるようになりました。

192PROに替えて何が変わるのか…ずばり奥行感でした。192Sで開いた音場に前後感が現れるところが最大の違いです。これは上から下まですべての帯域に均質に倍音が分布していないと現れない現象でDSD1796とPCM1792の音質差は、この倍音バランスの差と言ってもいいかもしれません。192Sを長くご愛用いただいているKさんも”PROの音を聴いて心動いた”とコメントを下さいました。

色彩感→音場感→奥行き…これだけ変化してきたデジタルオーディオの世界。究極のデジタルはアナログであるというテーマは不変で、これからも様々なブレークスルーが待っていることと思いますが正直現在の一部のハイレゾはその名目通りの音質とはいえず、単純にソフトウェア上でリライトされただけのものも存在します。いくら茶碗だけ大きくしても盛り付けられているご飯の量が変わらなければ満腹感は得られません。ソフトとハードは両輪であることも同時に強く感じたD/A比較試聴でした。



by audiokaleidoscope | 2017-11-19 02:24 | オーディオ | Comments(0)

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