(10/20)スピーカーの聖地へ

立ち位置は開発主体のメーカー的立場でありながら暇さえあればお客さんの音を聴かせて頂いていただくことが何よりの楽しみ…そんななかでここ数年、或るスピーカーブランドの名前をしばしば聞くようになりました。例えば千葉のFさん。例えば東京のYさん。そういえば昨日のアンソニーさんも…。海外のビッグなブランドではありません。主にJBLのレストアを中心にしながらカスタマイズなども手掛けるそのビルダーが30代の若者と聞いて一度会ってみたいなあ、とずっと思っていたのですが、今回縁あって工房をお邪魔させていただけることになりました。
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その名はケンリックサウンド。業界の大先輩であるS社長が一緒にいかない!?と誘って下さって訪問が実現しました。
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Sさん(右)とSさんがメーカー勤務時代の先輩Kさん(左)。Kさんはケンリックの縁の下の力持ちとして現役バリバリで活躍中。こういう重鎮の皆さんが活躍されるのは私たち後輩としても一番嬉しいこと。

早速音を聴かせていただきました。最初の写真のシステムは一見JBL4343のようでいて中身は全く別物です。ウーハーが替わっているだけでなく、ネットワークも全くの新設計。まず驚いたのが位相特性の良さ。オリジナル4343は良くも悪くも独特の音でウーハーのF0が低いことからサブウーハー的に重く鳴り響きが残る感じ。ミッドバスとの間に聴感上おおきなデイップがあってピアノの左手などは音像が動く鳴り方が個性的です。あとはミッドバスとミッドハイの音色がかなり異なり、多くの場合金属的な尖鋭感が気になるのですが、このオリジナルシステムはユニット間の位相の揺らぎが全くなく、まるで巨大なフルレンジのように2つのスピーカーの間にポッカリと音像が浮かぶような鳴り方。音量を上げるとまさにそこにドラムがいるような、ピアノがあるようなリアリズムが展開しました。
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これが専用ネットワーク。Kさんの力作です。感心したのがミッドバス/ミッドハイの繋がりの良さ。ダイレクトラジエーターとコンプレッションドライバーの発音方式の違いからなかなか上手くいかないものですが、このネットワークではコンデンサー,コイルのヴォイシングを重ね完璧なまでにシームレスに整合しています。システム価格285万(ペア)も納得のサウンドでした。
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左のシステムはオリジナルでしょう。4355のレイアウトを縦型に替えた感じなのかもしれません。15インチのダブルウーハーはオーデイオマニアの憧れですね。
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試聴室にはパラゴンが3セット。レプリカも手掛けられるそうですがこれはオリジナルをカスタマイズしたもので、ネットワークは上の4343改と同じくイチから設計し直しされたとか。ユニットも完全リビルドで着磁からやり直して完璧を目指したもの。価格は驚きの800万オーバーとのことですが既に売約済で納品待ちとか。凄いです!
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そのほか試聴室に現行ハイエンドからヴィンテージまで銘機が勢揃い。そんななかにウチのSV-192Sも並んでいました。

私が今回一番感銘を受けたのはバックヤード。つまり現場です。中古ショップでのスピーカーの売られ方にも色々あって中には買い取って音を出して鳴ればOKという店も現実にありますし、パーツ類を替えて元の音とすっかり変わってしまっているものも少なくありません。正直ケンリックという店がどんなプロセスでモノづくりをしているか全く知らなかったのですが、現場を見て単なるメインテナンス屋ではなく、揺るぎないポリシーと妥協の一切ないオンリーワンのモノづくりをしていることが分かって非常に心打たれました。
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ユニットのメインテナンスは単なるエッジの張替えにとどまらず完全バラバラの状態からスタートする徹底ぶり。
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塗装は塗る前に剥がす…当たり前のようでいて、ここまでやるところはそうはありません。
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これはKさんのワークベンチで撮ったネットワークのバラック。出来上がるまでに気の遠くなるような時間と工数がかかっていることをどのくらいの人が知っているのか分かりませんが、それはお客さんの為であると同時に自分たちの志(こころざし)でもある訳で、こういう光景を見られるのは本当に嬉しいものなのです。

社長のHさんといろいろとお喋りしながら感じたことは、この人は自分に対して全くブレと妥協がない人なんだな、ということ。物事をやっていると”まあ、こんなもんでしょう…”という妥協点が誰にでもあります。そのレベル感こそが人としての生き様に現れるのだと思いますが、Hさんの静かな語り口、真っ直ぐな視線、そしてHさんの真摯な想いを受け止めて真剣に、でも楽しそうに働くスタッフの皆さん…ケンリックサウンドは会社という形をとりながらオーディオが大好きな人たちの夢を結集した、素晴らしいチームなんだと思います。

HさんとKさんから”タマでウチのスピーカーを完璧にドライブできる物がないですか?”とオファを頂いたので、近いうちにまたお邪魔させていただくことになりそうです!楽しみでなりません!!




by audiokaleidoscope | 2017-10-21 10:19 | オーディオ | Comments(0)

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