(7/27_2) KR2A3/300Bの音とは?…不思議な逆転現象

2本目(9/29オンエア)はレギュラー企画でTさんと私の二人で収録。
b0350085_04344818.jpg
2A3と300Bを無調整で差し替え可能な真空管プリメインとしてたくさんの方に使って頂いているJB-320LMSV-2300LMが登場。目的は現行の定番球といっても良いGoldenDragon2A3premiumPrime300Bver.4をベースとしていま密かに注目を集めているKR(チェコ)の高級2A3/300Bを聴き較べてみよう…それもシングル/PPで一気に総まくりテストして評価しよう、というテーマです。

KR真空管は高価格ながら家内制手工業的な丁寧なモノづくりで定評あるところですが、少し注意が必要なのは例えば211/845であれば通常の10V/3.25Aに対して10V/1Aだったり300BXLSのように通常5V/1.2Aであるべきところ5V/1.8Aだったりとフィラメント定格が独自仕様となっているものが散見され、いわゆる通常の211/845アンプや300Bアンプでは使えない(改造が必要な)球が存在することです。今回はそんなKR球から一般的な2A3/300Bと同定格なもの(そのまま差し替え可能な球)を選んで音質比較することにしました。

ずっと聴き慣れているGoldenDragon2A3やPrime300Bに対してKRがどんな音を聴かせるのか、私も非常に興味を持っておりましたが、たいへん面白い結果が出たことを先ずは報告しておきます。個々の音色についてはオンエアでその機微をご確認いただくのが一番ですが、特筆すべきは一般に「シングルは音色(ねいろ)」,「PPは響き」という言われることとは反対の傾向、すなわちシングルではクリーミーな円やかさ、逆にPPではトランジェント(音の立ち上がり)の良さと低域の締りが出たからです。これは長い私の真空管との戯れの中でも殆ど経験がないことでした。
b0350085_04313990.jpg

KR2A3。シングルにおける音の溶け合い方の美しさが際立つ表現。

b0350085_04315134.jpg
b0350085_04332600.jpg
KR300B。大型化されたプレートに合わせて根本が太くなった存在感が際立ちます。私たちが聴き慣れている300Bよりも高精細な表現。
b0350085_04315797.jpg
今回最も注目していたKR300BBalloon。プレートはKR300Bとおそらく同一ですがサポートロッドが4本に増えてリジッドな構造になっています。300Bにしては異例に透明感のある輝かしい音でした。

合計11通りの音を出して比較した訳ですが、KRではどのパターンにおいてもPPの方がシングルよりも音が締まるという逆転現象に対して私もTさんも或る意味首を傾げつつ、球のスペックを見て合点がいった気がします。

KR球は独自の定格を持つ(ものが多い)ことは上記した通りですが、今回取り上げた三種類の直熱三極管は全てプレート損失(車のエンジンでいえば排気量)が全て通常球よりも10~20%程度上がっています。2A3であれば通常15Wに対してKRは20W。300Bであれば通常40Wに対して50W。驚くべきは300Bで何と最大プレート電圧550V,最大プレート電流120mA(!!)という凄さ。845ですら100mAな訳ですから如何にKR300Bがハイレギュレーションであるか分かります。

恐らくは通常設計のPPではKRの最も”美味しいところ”に届いてない…これが私の推論です。結果三極管ならではの解れや厚みがPPでは今一つ来なかった、ということかもしれません。一方シングルではそれぞれの球の良さが出て大変魅力ある存在であることも確認した次第です。裏を返せば”もっと低域を締めたい、更にパワーを出したい”という方には従来の2A3や300Bとは隔絶したパフォーマンスが期待できる訳で、ここがKRの使いこなしの要諦であろうと感じた次第です。

最近のトレンドの一つである「上位互換」球の流れ。KT150のように極めて短期間でスターダムに上った球もあります。2A3シングルで5W,300Bシングルで10数W…これがいつの日か常識になる日がひょっとしたら来るのかもしれませんね。”ところ変われば品変わる”…チェコの音を堪能できる2時間です。



by audiokaleidoscope | 2017-07-29 05:32 | オーディオ | Comments(0)

本ブログ掲載内容は私人の見解であり、(株)サンバレー(ザ・キット屋)の立場,戦略,意見を代表するものではありません。


by Ohashi
プロフィールを見る
画像一覧