アナログオーディオフェアが終わって今週は各地から試聴のお客さんが。大阪,福井,滋賀,千葉…。みんな目的はこれ。
フェアと同じ試聴音源を使い、同じようにA/B比較をやるという流れ。改めてショールームで細かく聴き込んでいくと別の発見も。TypeA(黒)はワイドレンジで良い意味で音像的でガッツのある描き出しが特徴。Type(B)はハイファイ的で音場の広さと情報量の多さ。不思議なのはカートリッジも針圧も後続の増幅系も全く同じなのに聴感上の音量が1dB~1.5dBほどBの方が低く感じること。言い換えればBの方が静かに鳴る、というと分かりやすいのかな…敢えていえばAはMM向き,BはMC向きということかもしれません。
話は変わって今週の出来事。後ろを振り返る余裕もなく突っ走ってきたこの19年…。卸はいやだ、直接お客さんと一緒にモノづくりを…と思いながら気がつくと今になっていたという感じですが、ふと取った電話のお問い合わせは何と15年前のムック「
おとなの工作読本」(誠文堂新光社)の広告について。
”SV-7(五級スーパーラジオキット)が欲しいんですが”と仰る方はおそらく70代。IFT(中間周波トランス)の調達が出来なくなって泣く泣くディスコンということをご説明しながら、会社的には過去の製品がお客さんにとっては過去で何でもなく”いま”であることをちゃんと覚えておかなくてはならないと改めて感じました。SNSでこのことを報告すると”私もこのムックまだもってるよ”という方もちらほら。趣味の世界に新しいも旧いもないんだなあ、と。
そして同じ日。今度は球についてのお問い合わせ。機種名が曖昧ということで送っていただいた写真を見て驚愕。
何と私の初代モデル”SV-1”(300Bシングル)。7044‐300B‐5AR4という構成で300Bは交流点火(ここはブレてない…笑)。おそらく総製造台数100台程度しかないスーパーレアモデル(1999)。まさかこのような形で再会できたことも驚きながら、現役で愛用頂けていることに心から感動しました。喉元まで”譲っていただけませんか?”と言いそうになるのを抑えながら、つい目先の事、先の事に心尾を奪われがちな仕事でありつつも自分の足跡(歴史)を忘れてはイカン!と強く感じました。
お客さんにとっては一台こそがすべて。そんなことを思い出させてくれた一週間でした。