二日間のアナログオーディオフェアが終わり、都内での用事を消化して会社に戻ってきました。機材をショールームに復帰してホッとひと息。改めて二日目(というより今回のフェア全般)を振り返ってみたいと思います。
今まで初出展させていただいたアナログオーディオフェア、結論から先に言うと大正解だったと感じています。何より新しいお客さんとの出会い…おそらく全体の半数以上が私どもの事を名前は知っていても実態をご存じない方だったのではないでしょうか。プラスアルファ程度のつもりで持っていった16シリーズをご覧になって価格に驚きの声を上げられる方の実に多かったこと。いかに私どもがまだ知られていない存在であるかということを痛感しました。
二日目は時間をつくってなるべく他社のブースを覗かせていただきデモを聴かせて頂きました。たくさん写真も撮ってきましたので、そのなかで”おっ!”と思ったものをご紹介しておきます。
今回何十という出展社のなかでその規模,展示,プレゼンテーション,集客…最高のパフォーマンスを示されたのはテクニクスだったのではないでしょうか。デモ中のお客さんの入りもダントツで特に初日は立錐の余地なそというほど。まあ会社の規模が違いますから…と言ってしまえばそれまでですが、それ以上の何か…それは伝えたいモノと気持ちがしっかりと来場者に届いたからでしょう。写真のSL-1200GRはもちろん、アンプもスピーカーもトータルで魅せるところはサスガです!
オフィシャルイベントでは…
これはMJ(無線と実験)のデモ。柳沢正史さんがEimac 100THアンプでLPとSPをALTECのスピーカーで鳴らしていらっしゃいました。カートリッジはGEバリレラ。浸透力のあるスカッと抜けたサウンドが良かったです。
これはMAYAさん(Vo.)のライブ。これも超満員で且つ物販はLPもCDもソールドアウトという盛り上がり。オーディオマニアの女性ヴォーカル好きはいつの時代も不変ですね。
もちろん出展社みな工夫を凝らした企画を展開。
TOP WINGはピーター・バラカン氏を招いてトークショー…いやディスクジョッキーをやって大人気でした。製品関連で気になったブースをご紹介しますと…
rega(UK)のターンテーブル。オーディオをポップに楽しもう!という感じが良いなあ、と。価格も実にリーズナブル。手軽にアナログを始めたい若者に勧めたくなりますね。
TEACもリーズナブルなプライスで頑張っています。アナログ復興ブームも第二期に入りボリュームゾーンの製品をいかに投入してシェアを奪取するかというフェイズに入りつつあることを今回改めて感じました。
こちらは6/1から輸入元がD&M(デノン/マランツ)に変わったpro-ject(オーストリア)の製品群。正式に導入が決まっている製品はまだ僅かなようですが、以前の国内価格の半額(以下)で急攻勢をかけて来そうな勢いです。これも一つの台風の目になりそうですね。
もちろんハイエンドゾーンも健在です。値段を見て音を聴いて溜息をつく…これもオーディオショーならではの楽しみです。
巨大な211アンプが目を引くA&Mのブース。国内だけでなく海外でも人気の高いブランドですが、なかなかこうやって聴ける機会が多くないハイエンドブランドです。個人的にはもっと大型のスピーカーで朗々と鳴っている音を聴きたかったなあ、という気も…。
これはTechDAS(テクダス)のAir Force III。テクダスの中ではエントリーモデルですが、それでもオプションやらを追加すると200万オーバーというもの。最上級機種のAir Force Iは1100万だそうです。スゴい!…欲しい!!
増幅系ではPhasemation(フェーズメーション)が際立っていました。300Bのモノラルパラシングル300Bのバイアンプドライブ(計4台)で500万。その他オリジナルのカートリッジ,フォノ,プリまで入れると一軒家が建つという…。デザインもエレガントで素敵です。
左に写っているアンプはオーロラサウンドのPADAというEL34三結パラPP。これも良い音していました。価格98万円と聞くとなんだかちょっとお値打ちに感じてしまう、オーディオショーの怖さ(笑)。
大きく言うとプレーヤーは価格が下がってきているなかで増幅系(特に真空管系)は高止まり感がある…そんな状況の中で奮闘している「中庸系」がトライオードと私どもという感じになるでしょうか。
トライオードのいつもの見慣れたワインレッドのカラーリングの中に見慣れないアンプが…。ブラックとステンレスのコンビネーションでKT150のPP(右上)が今回初登場。その名は「武蔵」だそうです。主に海外での販売をイメージされているのでしょう。要注目ですね。
そして最後に私ども。今回の最大の目的であった2つの製品サンプルの比較試聴によるお客さまアンケート。
二日間で約100件の貴重なご意見をいただくことができました。改めてご協力いただいた皆さんには心より御礼申し上げます。正確な集計はこれからですが、すでにハッキリした傾向が出ていて、おお!そうですか…フムフムという感じです。結果は10月の真空管オーディオフェアに何が出るかで決まり、ということにさせて下さい。もちろんこのまま製品化されるわけではなく、まだまだ改善,改良の余地があると思っていますので。
アナログ関連に限らず、オーディオ全般に言えることですが、極端に安いか、極端に高いか…ちょっと乱暴な言い方になるかもしれませんが、この”ふたコブ駱駝”の価格構成がこの業界の最大のクリアすべき課題ではないかと感じます。安いに越したことはない、でも安かろう…は要らない。もちろんお金に糸目はつけない…という方もたくさんおられる訳ですが、今回のアンケート結果に色濃く表れていたのは「価格は普通…でも品質に妥協のないモノが欲しい」というお客さまが如何に多いかということです。私どものアンプが球つきで大体10万~30万中心。今いちばん業界的に少ない”中くらいの価格で良いモノ”を目指して奮闘している訳ですが、今回展示させて頂いたアナログプレーヤーでも全く同じ傾向がフリー記入欄に書かれた皆さんの想いと共に伝わってきている気がします。
並みいる大メーカー,大先輩たちに交じって今回久しぶりの合同展に出させて頂いた訳ですが色々なことを感じ学びました。実に世間は広く、そして多彩でありながら多くのお客さんが考え、望んでていることはそれほど大きく変わらないということ。少なくとも私どもに期待されていることが今回さらに明確になったような気がしています。
ウチもひと目ぼれされるような魅力ある製品を作らないと…(笑)。そのためには周到かつ綿密な計画も必要ですが、自分の感覚(感性)を信じて突き抜けるパワーも同時に忘れないでいたい…今回とくにそう感じた気がします。
来年も是非出展させて頂きたい!…そう心から思えたアナログオーディオフェア2017でした。お世話になったすべての皆さん、有難うございました!!また来年会いましょう!!