(4/29_2)現行ナンバーワン300Bはこれだ!

という訳で、収録2本目。今回は現行300Bの比較試聴です。アンプはSV-P1616D/300B仕様の登場です。このアンプについて情報を出すのが今回が初めてだと思います。6月末に多極管仕様が先行発売される訳ですが、この300B仕様は7月末~8月初めのラインオフを目指して現在既に生産に入っているニューモデルです。

昨年暮れに登場して現在ダントツのナンバー1ヒットになっているSV-S1616Dは300B仕様,2A3仕様,多極管仕様の3パターンが用意されています。対してSV-P1616Dは多極管仕様(前回のブログで登場)と今回の300B仕様の2パターンになります。今回初出しの300B仕様は無調整で差し替えが出来る自己バイアスのプッシュプルで出力は18W+18W程度。約10WまでA級動作の手配線キット(完成品なし)で価格は真空管別売で10万円を切りたいと思っています。まだ試聴会でもお見せしていない製品ですが、今回は300Bの比較試聴ということで折角なので少し早めですがプレビュー的にご紹介出来たらと考え、収録に使用しました。

では早速いきます。今回は価格順ということで最初はElecro Harmonix 300Bです。私どもでも以前扱っていた球でロシア製300Bとしては最も廉価帯に属します。写真を撮り忘れましたが、300Bというカテゴリーの中では明るく快活な表現が特徴的です。300Bの最大の魅力である内声部の倍音の厚み、ふくよかさ、ザックリとした音のケバが十分に表現出来ており、300B入門用の球としては良いチョイスだと思います。

二番手はPSVANE 300B。現在私どもの定番300Bです。まず作りが素晴らしい。価格も妥当。且つ300Bらしさが十分に発揮されています。迷ったらPSVANE…それほどの信頼感を寄せている300Bの新種です。
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今から15年ほど前の中国,ロシア製の真空管の中にはお世辞にも良いとはいえないものが混ざっていました。歩留りが悪く(選別落ちする個体が多い)だけでなく、印刷の向き,電極の向きにもかなりバラツキがあったのですが、最近は随分精度があがり不良率も極めて低くなっています。そういう新世代の現行真空管の際たるものの一つがこのPSVANE 300Bである訳です。エレハモ300Bと比較すると、重心が下がり、音の粒立ちが細やかで、音圧感はエレハモよりも下がりますが、しっとりとした質感が大変好印象でした。この価格でこのクオリティは大いに賞賛に値すると思います。

続いて登場するのはGold Lion PX300Bです。元々イギリスでGold Lionブランド下で300Bは生産されていませんでした(少なくとも私は知りません)。そしてPXというプリフィックスは恐らくPX4,PX25などから引用されてものでしょう。つまりこのGold Lion PX300Bはニューセンサー社(NY)がアメリカでGold Lionブランドの商標権を入手し独自に命名したもので、最初に出てきたエレハモ300Bの上位球という位置づけと考えると理解しやすいかもしれません。

音質的にはエレハモよりも密度感、音圧感があり、闊達さが身の上の300Bであることが分かります。300Bと言うとクラシック向きで嫌いな方は茫洋としていてメリハリがない、というような事を伺うことも稀にありますが、このPX300Bはそういう要素は全くないと申し上げて良いでしょう。ジャズやロックにも好適な表現でした。

続いては当社オリジナル300Bの登場です。Prime300B ver.4が現行300Bのなかでどんな個性を見せるのか、私自身も興味を持って試聴に臨みました。
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過去手がけてきた300Bのそれぞれの個性を踏まえ、集大成として企画した300B(当社専売品)がこのver.4。メッシュプレートが特徴的な一品ですが、恐らく現行300Bのなかで最も太い音のする300Bといえましょう。

課題曲:ANIMA ETERNAモーツァルト41番第一楽章は重厚にしてスケール感の大きさが際立つ表現。弦のTuttiが実によくハモる感じを楽しめます。自分のなかではそれぞれの300Bの特質を理解したうえでこのPrime300B ver.4の音を評価してきたつもりですが、改めて自分の感覚が音での確認出来、Tさんの意見も全く同じでちょっと安心しました。最も300Bらしい300Bとしてこれからもご提供出来ればと思っています。

続いて登場するのは今回唯一の東欧製300B、JJ300Bです。
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この300Bは外見的にも従来の300Bとは異なり写真でも分かる通りひと回り大きくガラスも厚く、どっしりとした重量感のある球です。フィラメント定格が通常の300B=5V/1.2AのところJJ300Bは5V/1.4Aと少し大きめですが、この程度であれば電源トランスの過負荷になることは少ないでしょう。

SV-P1616D/300Bで聴くJJ300Bは独特な表現の球でした。言葉で申し上げるのは難しいですが、濾過された倍音とでもいいましょうか、聴感上の偶数次の倍音が多めで非常にシルキーなタッチで見通しの良い音と感じました。恐らくこれはガラスの厚みから来る振動のフィードバックによる影響かもしれませんが、他の300Bとは一線を画す表現であることは間違いありません。

続いては当社オリジナルの限定バージョンPrime300B ver.5です。
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これは先ほど出てきたver.4と同じメッシュプレートを持ちますがフィラメントの固定をウエスタン300Bと同じフック(吊り)形状としていると同時にガラス形状をベルシェイプ(洋梨型)とし、ガラスを薄くすることに成功。結果として300Bでは異例ともいえる高域の抜け,伸びがあり、音場的表現に長けている私どものスペシャル300Bです。価格的にはかなり高級ゾーンに入ってきますが私どもでは最も人気のある300Bで特に中,高級モデルで使って下さっている方が多い球です。

ver.4と比較すると端正で輝かしい音がする訳ですが、特に弦セクションの高域がスーっと拡がって抜けていく感覚と小音量時の再現性の高さが特筆に値します。TさんはSV-91B,SV-501SEに使って下さっているとのことでした。

そしていよいよ最後に登場するのが現行最上級の300Bとして異彩を放っているPSVANE WE300Bです。これは本家ウエスタン300Bの完全復刻を目指して製品化されたもので、ペア約90000円という現行300Bのなかで破格のプライシングですが、では実際音はどうなんだろう?ということでTさんも私も固唾をのんで音に集中しました。

結果は…正直言葉を失ったというのが正直なところ。ちょっと他の300Bとはレベルが違う…全く混濁した感じがなく倍音が解れていて実に響きが自然。世界がガラッと変わってしまいました。よくよく考えてみると本家ウエスタン300Bの最後の売価がペア定価88000円だったことを考えると中国製真空管もここまで高くなったかというのが偽らざる印象ですが、この音を聴くと認めざるを得ない何かがあることも事実。この球の開発時(2011年ごろ)、現地でその過程を見守っていた者としては”よくぞここまで仕上げた!”という賞賛を送りたいと思います。素晴らしい音でした。

…という訳で今回の”現行300Bナンバーワンはこれだ!”の一位,二位の発表はオンエアを待ちたいと思いますが(文面から透けて見えますけどね)、今回の2回シリーズはぜひオンエアを録音していただいて皆さんのリファレンスにして頂ければと思います。実はまだMUSIC BIRDの契約をされていない方にスペシャルなオファが出来ることになりました。詳細は5月下旬のお知らせになると思いますが、私の番組を一人でも多くの方に聴いて頂けるよう頑張りましたので、もう少しだけお待ち頂ければと思います。


by audiokaleidoscope | 2016-05-01 14:29 | オーディオ | Comments(0)

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