(5/31)伝説の「ちぐさ」へ
2015年 06月 01日
6/1~2の日程で「大橋慎の真空管・オーディオ大放談!」の収録があるのですが、今日は事前にお話を伺おうと思い、横浜・野毛のジャズ喫茶「ちぐさ」の島店長をお訪ねしました。
皆さんはちぐさの事はご存じでしょうか。昭和8年開店の現存する日本最古の(というのは適切でないかもしれませんね…歴史の長い)ジャズ喫茶です。戦前の日本ジャズ黎明期から60年代のモダンジャズ全盛期を経ていまなおその灯を守っている一つの”文化”です。
創業者である吉田衛(まもる)さんが確立した”音を聴くための店づくり”というスタイルが今な維持されているのは奇跡的とも言える訳ですが、空爆によって焼け落ちた店舗をバラックから再開、そして一旦2007年に閉店後、地元の皆さんやちぐさファンの人たちの手によって再び2012年に現在の場所で営業を再開するという奇跡のようなお店です。
昔からジャズ喫茶には”私語厳禁”という不文律がありました。お喋りの為でなく、音楽を聴く為の場所として店とお客さんの間の”捺印なき契約”です。島店長にインタビューする為にお邪魔した訳ですので、”どこか場所を変えましょうか”というと”じゃあ二階へ”と仰るので促されるまま急な階段を上がったところ、何ともう一つのちぐさが現れたのです。
島店長に尋ねました。店がなくなるという話は幾らでもあります。なのにレコードや機材,看板,テーブル,椅子まで…誰が何のためにとっておいたんでしょうね?、と。
島店長は「確かにそうですね。みんな口では残念だ、勿体ない…そう言いながらもこんな風に何かを遺そうということはありません。”ちぐさ会”(常連のお客さん達の親睦会)や地元商店街の皆さん達の想いがあったからこそ残ってこれた訳ですが、なにより吉田衛という”人”が居たから…ということかもしれません。ここは単なる”店ではない何か”を持っていたんでしょう」と仰ったのが大変印象的でした。
※写真はすべてお店のご了承のもと掲載しています。