(5/17)現代ハイエンドスピーカーを真空管アンプで鳴らす
2015年 05月 17日
どちらか言うと以前からキット屋のお客さまはヴィンテージ指向の方が多く、高能率のスピーカーを三極管アンプで雰囲気満点の麗しい音で鳴らす…という方が多い訳ですが、SV-8800SEがデビューして約4年…いわゆる現代ハイエンド系スピーカーを球で鳴らしたいという方とのお付き合いが急激に増えました。
例えばBowers & Wilkins(B&W),例えばSonus Faber,例えばDALI,例えばKEFなど…一般的には大出力の半導体アンプで鳴らす方が大多数であろうこれらのスピーカーから量感と潤いを引き出そうとする音楽ファンからのオファがこのアンプの登場とともに私どもの新たな潮流となりつつあるのです。
Nさんもそんな一人。Focal(仏)のScala Utopiaのユーザーです。
そういえばつい先日もDD67000を半導体からSV-8800SEのバイアンプドライブに替えて”餅のような粘りが出た”と喜んで下さったお客さまも…絶命危惧種と思われている真空管アンプにもこんな活路が残されているという訳です。
偶々私がお邪魔した時もイギリスの半導体アンプで鳴らされていたのですが、”どうも細身でギスギスした音になって聴き疲れがするんです…”と仰っていたので早速8800SEのバイアスとDCバランスの再調整を行いました。一次(AC)側が104V近く出ていたのでアンプ側のバイアスもやや絞り気味に。皆さんも固定バイアスアンプをお使いでしたら半年に一度程度はバイアスチェックをお奨めします。
一つ申し上げておきますと基本的にメーカー指示のバイアス調整電圧は”最大値”と考えて下さい。言い換えれば季節,時間帯によって一次側が変動するのに引っ張られて二次(アンプ)側の電圧も常時変動しますから、バイアス電圧の指示値は「いかなる状態においてもこれを超えない値」と考えていただくと良いと思います。
その後、15分ほどエージングして値が安定したのを見計らってからアンプを8800SEに繋ぎ替えて…パッとピアノの音が立ち上がった瞬間、Nさんが「…ああ良い音だなあ」と呟かれたを伺えたのがとても嬉しく、改めてアンプの下方リニア,上方リニアとスピーカーのマッチングの重要性を確認した次第です。
今日は素晴らしい伊豆の景観と美しい音を聴かせて頂いて、とてもリッチな気分の一日になりました!