(4/4_1) MUSIC BIRDスタジオライブレコーディング
2015年 04月 05日
6月放送の大放談は「レーベル&エンジニア月間」と決め、第一回(6/12放送)はマシュマロレコードの上不さん,そして二回目(6/26放送)は、私の番組では準レギュラーとも申し上げたいレコーディングエンジニア界の大御所、高田英男さんにご登場願いました。高田さんの回はいつもリスナーさんからの反響がダントツに多く、話は面白い、選曲も音も良い!と大好評。そんな訳で今回もお会いできるのをとても楽しみしていたのです!
今回高田さんからご提案頂いたのは苫米地義久さん(愛称TOMAさん)スペシャル。「ハイレゾしばり」の頃からe-onkyoのTさんから「これは素晴らしいから是非聴いてみて下さい」と進めていただいて番組でも何度かかけたことのある苫米地さんのBallads 3とBallads 4。演奏はもちろん、その録音の素晴らしさに感銘をうけ、昨年10月に初めて高田さんにお目にかかりました。その時の収録の様子はこちらをご覧ください。
そう考えると高田さんのような素晴らしい方に巡り合えたのもTOMAさんのお陰ともいえる訳ですし、Ballads3と4の音(録音)の違いについて機会あれば高田さんに直接伺ってみたいと思っておりましたので、おお!是非!!ということでテーマが決まりました(補足:Ballads 3は2013年・第20回日本プロ音楽録音賞ジャズフュージョン部門優秀録音賞を受賞されています)。
前半はTOMAさんの魅力や音楽活動の紹介。TOMAさんのブログ「TOMAのSAX日記」から引用をして、その人となりの素晴らしさやオーディオへの想いをご紹介しました(TOMAさんはビクターでエンジニアをされていたんです)。
音源紹介ではBallads 3の深々として柔らかく包み込むような音とBallads 4の生々しくライブネス溢れるダイレクトカッティングサウンドを対比しながら自らフェーダーを握られた高田さんにサウンド解説をしていただきました。オーディオファンには堪らない話題です。
そのあとは未発表音源。NHK技術交流会/日本音楽スタジオ協会主催の「デジタルフォーマットによる音質把握セミナー」の話題。TOMAさんと石塚まみさんの生演奏をスタジオで高田さんがミックス。そのアナログアウトを48k/16bit,96k/24bit, 192k/24bit, 384k/32bit, 2.8MHz/1bit, 5.6MHz, 11.2MHz/1bitのレコーダー6台を同時に回してで用意ドン!で一発録音。そしてその音をプロの耳で改めて評価してみようという我々にも興味津々のテーマです。レートの変化とともに音も変わる訳で、PCMとDSDの音の違い,サンプリング周波数によるニュアンスの差異など貴重な情報も放送のなかで展開されますのでお楽しみに!
後半はTOMAさんご本人がスタジオの登場されてインタビュー。そして何と現場でスタジオライブ&レコーディングをやってみようということになりました。フェーダーを握るのはほかならぬ高田さんご本人です!!興奮を抑えられませんでしたが、全てを見逃すまい!とマイキング,機器のセッティングを息をころして見守りました。
で、いよいよ本番。今回はTOMAさんのソロと事前に用意されたベーストラックにTOMAさんが載せて吹く2パターン。
Danny Boy(ソロ)
Amazing Grace(ソロ)
安曇野の朝(オケあり)
愛しき星(オケあり)
Don't Get Around Much Anymore(オケあり)
What a Wonderful World(オケあり)
というちょっとしたライブセット並みのロングプレイ。私の視線は高田さんのフェーダーを持つ2本の手に釘づけです。
演奏に合わせて指の皮一枚というと少々大袈裟ですが、高田さんが極めて微妙にフェーダーを上下されているのが分かります。更に驚いたのがTOMAさんのSAX以外なにも聞こえないスタジオのなかで、演奏と高田さんの息遣いがシンクロ(同期)していること。まさにTOMAさんと高田さんが一つになってこの演奏,この音を生み出す、その瞬間を垣間見させて頂いた感動でいっぱいになりました。
もちろんノンEQ,ノーコンプの一発テイクですから高田さんも真剣そのもの。完パケの音を聴いて更に感動。あと2~3曲やれば1枚アルバムが出来てしまいますね!なんて冗談を言いながらもプロの匠(たくみ)に圧倒されっぱなしのひとときでした。
MUSIC BIRDで番組をいただいて半年余り。急速に自分の世界が拡がっているのをひしひしと感じる今日このごろです。すべての皆さんに感謝!!