(9/18)クラシックは生に限る・・・か?

昨日の台風は当地でもかなり激しく、築90年の母屋が倒れるのではないか?・・・と気になって夜中に何度も目が覚めるほどの猛威。幸い庭木の枝と盆栽の鉢に多少のダメージがあったものの何とか通過。会社も大丈夫・・・と思っていたらエアコンの室外機が転んでますよ、と連絡。やっぱり相当の勢いだったんだな、と。私が子供の頃、日本は温帯だと習ったけど、たぶん既に日本の気候は半亜熱帯。昨今の雨の降り方はまさにスコールのよう。これから先、地球の温暖化によって何が起こるのか・・・少し不安になった今回の台風。

そんな台風一過の今日、久しぶりにCDのご紹介。真空管アンプで音楽を聴く方の多くはジャズやクラシックを多少なりとも楽しまれる筈。ただクラシックはヤッパリ生の方が良い・・・という方も少なからずいらっしゃるかも。かの五味康祐先生が名著「オーディオ巡礼」の冒頭で、

”あのほそい針先で、そのフォルテを拾おうというのもどだい無理な話である。また、より高忠実度の再生音を念願するにせよ、音の発源体となるのがせいぜい一五インチ程度のスピーカーであってみれば、これまた多くを望むほうが無理だろう。結局、どこかで処理された、あるいは取捨選択された音を、生らしく聴くことで我々は我慢しなければならない”

と書き、後に菅野沖彦さんをして

”オーディオには上手に嘘をついて欲しい”

と言わしめた、その限界と寧ろ逆説的な意味での可能性に賭ける私たち音楽愛好家の性(さが)を以ってしてもクラシックを生々しく、ホールを彷彿させる雰囲気で愉しむのは経験と感性の両方を必要とするかも。そしてクラシックは録音も千差万別。トーンマイスターの誰々が録音したと喧伝される音源が必ずしも名録音と限らない。

そんななか、極めて自然な音場感と音色の素直さで全くと言って違和感なく、何度も聴き直したくなるCDと最近出会った。メジャーレーベルの量産CDではない。恐らく数百枚しか打たれていない、恐らくはホール自主制作のライブ録音。これが実にいい!
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名古屋の「宗次ホール」でのライブレコーディングで販売店のレビューによれば

”2017年4月15日。名古屋栄宗次ホールで画期的なコンサートが開かれた。モーツァルトのピアノ協奏曲第23,24,25,26番の連続演奏会。まあ、それならありえない話ではない。しかし今回の編成は、イグナツ・ラッハナー編曲による「弦楽四重奏とコントラバス」によるピアノ六重奏版。

(中略)


バックを務めるアンサンブルのリーダーは平光 真彌氏。第1回宗次ホール弦楽四重奏コンクール第1位。愛知室内オーケストラのコンマス、春日井交響楽団の客演コンマスを務める実力派。音楽のツボを絶対はずさない「泣き泣き」のソリストでもある。今回も五島 史誉のピアノにピッタリ寄り添いつつ、ときには「これはヴァイオリン・ソナタか!?」というような美しい見せ場も作ってくれる。


さてその4/15の演奏会のうち、今回23番と25番が宗次ホール・レーベルとしてCD化された。モーツァルトの音楽を奏でる五島 史誉の典雅なピアノに酔いしれるもいいだろう、平光軍団の絶妙なアンサンブルに心揺さぶられるのもいいだろう、ラッハナーの「モーツァルト愛」に貫かれた精妙且つ優雅な編曲に心奪われるのもいいだろう。
(後略)


このCDを聴いて特筆すべきはピアノと弦の(特に高域の)美しさ。全くデフォルメがなくクラシックCDにありがちな過装飾(オーバーレゾナンス)な感じが些かもない。少し大袈裟に言えば眼前にホールのステージが出来(しゅったい)する。恐らくはホール備え付けのコンデンサーマイク一本によるワンポイント録音。だからこそか、演奏者たちを斜め上から俯瞰するような極めて自然な音色と音場。そして録られた音そのままで変に弄られていないからか(実はこれがとても大事)、各楽器の質感が極めて生々しく、そして直接音のリアリズムと残響のバランスのニュートラルさが素晴らしい。

地元の若手演奏家が実力派ピアニストに寄り添って美しく音楽を描く・・・実に清々しく心地よい音楽体験が生演奏と同じレベルで・・・そして何度でも体験出来る。これはオーディオならではのマジックであるに違いない・・・そう心から思えた空気の澄んだ初秋のひと時だった。


# by audiokaleidoscope | 2017-09-18 22:03 | オーディオ | Comments(0)

(9/15)上野→世田谷→西麻布→川崎へ

東京三日目はお客さん宅と打ち合わせ。まずは上野のKさん宅へ。
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写真の機器+300BパラシングルでELACのスピーカーを鳴らすKさん。オーディオテクネのプリをSV-310に…検討中ということでデモ機を持って参上しました。ELACの極上の音場感にプラスして如何に実体感を引き寄せるか…そのポイントがプリです。その目的に最も合致するのがSV-310という訳です。

上野を出て世田谷へ。写真家平間さんのご自宅に向かいました。
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管球王国取材時とは設置場所が変わり、音も随分変わっていました。空間のノンリニア(定在波)が減り以前にも増して筋肉質で熱い音に。SV-P1616D/KT120が余裕綽々でB&W 805D3をドライブしている感じです。”更によく鳴ってるんじゃないです?”と伺うと、いくつかの秘密を教えて下さいました。
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まずはスピーカーケーブルのバイワイア。いずれもオヤイデで上は銀線、下はTUNAMI(津波)だそう。電源ケーブルもオヤイデ。テーブルタップは先日の収録で最高のパフォーマンスを発揮した光城精工製を新規採用。
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バイワイヤリングの状況

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そしてこちらは詳細不明の”仮想アース”。平間さんはタイプの異なる2台を同時に使用されていて”一つは上が伸びる、もう一つは下が伸びる”とか。これらの相乗効果で更に立体感と躍動感のあるニュー平間サウンドが生まれたという訳です。
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今回急に平間邸をお邪魔したのは昨日の収録で台風の目となったGold Lion ECC82の音を聴いていただきたかったから。低域の伸びがと弾む感じが更に増しゴキゲンな音になりました。
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平間邸に続いては西麻布のミキサーズラボへ。ここでは来月の真空管オーディオフェアのイベントタイム(10/8土曜日 17:30~)にレコーディングエンジニアのレジェンド、高田英男さんのデジタルオーディオ最前線に関する基調講演についての打ち合わせです。PCオーディオをこれからやってみたいと思っている方から筋金入りのマニアまで納得のスペシャルプレゼンテーションをお送りする予定です(詳細は後日発表します)。384kHz/32bit,11.2MHz/1bitサウンドの衝撃を是非味わって下さい。

そして最後は川崎のIさん宅へ。オートグラフを300Bでシングルで鳴らす達人ですが、納品後4年半ほどになるSV-91Bのご機嫌を伺いにお邪魔してきました。
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プリはマランツ7。300BはWE300B(1988)。Iさんのオートグラフは極めて小音量でも素晴らしい音場感と響きの奥行きがあり同じスピーカーを使っている私にとっても目標の音の一つ。短い時間でしたがタップリと素晴らしい音を満喫させて頂きました。

…そんな訳で来週から加速する真空管オーディオフェア準備から年末まで一気に突っ走る時期がやってきました。その前の少しの息抜き…とても充実して楽しい三日間の東京でした。




# by audiokaleidoscope | 2017-09-16 15:48 | オーディオ | Comments(0)

(9/14)徹底研究シリーズ SV-91B, SV-P1616D/多極管仕様

今日はMUSICBIRD収録。今回は”徹底研究シリーズ”としてパート1:SV-91B,パート2:SV-P1616D/多極管仕様を取り上げました。
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まずはSV-91Bの回(オンエア11/10)では真空管アンプの音を決定づける重要な要素として

・出力管の選択(三極管,多極管)
・回路形式の選択(シングル,プッシュプル)


以上で人間でいえば骨格が決まり、そのうえで音に重要な影響をおよぼすものとして配慮すべきは

・出力管の動作点の決定
・ゲイン配分
・十分な電源回路


が基本です。ここでアンプのキャラクターの約70%が決まり、特性的な部分はほぼ決まってくるということになります。一方で残り30%をどう追い込んでいくかが実は最も重要で楽器であれば”鳴り”に直接大きな影響を及ぼす”キモ”の部分と言い換えることもできます。料理でいえば立派な厨房設備と最高級の素材と完璧なレシピがあっても最後は人の手でいかに食べる方に美味しく食べて頂こうという”思いやり”があって初めて本当に美味しい料理が出来るのと一緒です。

オーディオでも同じで特性は素晴らしくても音に魅力がない…言い換えれば心に響いてこないものも沢山あります。今日はSV-91Bを素材に使い残り30%の味付けによって音がどう変わるかを実際にスタジオで検証実験を行いました。まずはNFBの変更による音の変化(無帰還,帰還量(小),帰還量(大)の比較)です。

NFBとは

増幅回路のなかで歪みが生じていると、出力側に歪んだ波形が現われます。歪んでいない入力波形と歪んだ波形とが比較され、引き算の結果である差分を入力に戻すことで出力波形に現れる歪み分をキャンセルしようというのがNFBの基本です。

①無帰還
②帰還1.7dB(Rnf=47k) 初期モデル標準
③帰還4.5dB(Rnf=15k) 現行モデル標準


理論上は帰還量が多ければ多いほど諸特性が改善する筈ですが、実際はそうならない訳でむしろ深すぎる帰還は音の鮮度が失われるだけでなく、最悪の場合アンプを破壊する極めてクリティカルな部分です。

続いて行ったのがカップリングコンデンサーの交換による音の変化をリアルタイムに聴く実験です。これは面白かった!

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標準DEL RITOMO

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グレードアップ JENSEN 0.1uF(銅箔)

カップリングコンデンサーとは

真空管同士を繋ぐコンデンサカップリングコンデンサーと言います。コンデンサーは交流電流は流しますが直流電流は流しません。音楽信号は交流なので次の真空管へ流れますが、真空管の出力電圧は直流なのでカップリングコンデンサでカットされる仕組みですが、ここが音質に与える影響は極めて大きなもので一般にパワーアンプではオイルコンを用いることが音質改善に与すると言われています。SV-91Bでは標準でもオイルコンが採用されていますが、更に音質を向上させるための決定打がJENSENです。

①標準(デル・リトモ オイルコン 0.1uF)
②JENSEN 0.1uF
錫箔
③JENSEN 0.1uF銅箔

を比較した訳ですが、錫泊と銅箔の比較はこの番組でも初の取り組みです。繊細感重視の場合は錫,エネルギー感重視の場合は銅になる訳ですが、その如実な音の違いがスタジオで確認できました。

以上を比較した結果、帰還量4.5dB(Rnf=15kΩ),カップリングJENSEN銅箔が最も好ましいという結果が出たので、これをデフォルトとして次に

真空管による音の変化を確認しています。

①標準(LM310A-Prime300Bver.4-GD274B)
②PSVANE WE仕様
③オールWE(刻印)

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標準仕様

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オールWE仕様(WE310Bメッシュ-WE337Aメッシュ-WE300B-WE274B)すべて刻印40’s

この部分に関してはオンエアでその差を感じて下さい、としか申し上げようがありません。あえて言葉で表現するとすれば標準,PSVANE WE,オールWE(刻印)と聴き較べていくなかで深み,懐の深さ,陰影といった部分において明示的な違いが現れていることを理解頂けると思います。

続いてはパート2(オンエア11/24)ではSV-P1616D/多極管仕様の最大の魅力であり特徴である様々な出力管の無調整差し替えを通じて真空管アンプの最大の魅力である豊かな楽器性を楽しんでいただきます。従来と異なるのは電圧増幅段(初段/ドライブ段)の差し替えを行ったこと。大変興味深い結果が出たことをお知らせしておきます。

1.電圧増幅管の変更
①GD12AT7/GD12AU7(標準)
②JJECC81/JJECC82
③JJECC81/Gold LionECC82
④TelefunkenECC81/Mullard CV4003

ここで素晴らしいパフォーマンスを発揮したのはGold LionECC82でした。正直あまりマークしていなかっただけに、その見事な力感とレンジ感にスタジオにいた全員が唸ったというのが正直なところです。

続いて行ったのが

2.出力管の変更
①Golden Dragon EL34/6CA7
②TUNG-SOL 6L6GC STR
③Gold Lion KT66
④Gold Lion KT88
⑤GD 6550C
⑥TUNG-SOL KT120
⑦TUNG-SOL KT150
⑧GEC KT88(オリジナル)

の比較。電圧増幅段は評価の高かったJJ ECC81/Gold LionECC82に固定して各種出力管の音を比較した訳ですが、同ブランドの強みかGold Lion KT88のパフォーマンスが非常に印象に残りました。その他TUNG SOL 6L6GC STR,GD 6550C,TUNG SOL KT150なども好表現であえるなかで、やはり別格だったのはオリジナルGEC KT88の音でした。

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TUNG SOL 6L6GC STR

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Golden Dragon 6550C

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Telefunken ECC81,Mullard CV4003,GEC KT88


…こんな感じの収録でした。私自身にとってもいくつかの気づきがあり、楽しい収録になりました。詳細は是非オンエアで!!現在コミコミLightが大好評ということでリスナーさんもドンドン増えているそう。出る側も更に頑張ります!!




# by audiokaleidoscope | 2017-09-15 08:26 | オーディオ | Comments(0)

(9/7_2)TU-8600のJENSEN化

(9/8 追記)
本日より予約受付開始しましたTU-8600ですが、おすすめオプションでご紹介したJENSEN 0.22uFに関して予想を大きく超えるご注文を頂いており、状況によってJENSENのみ後日発送となる可能性がございます。TU-8600と同時注文の場合は別送となりましても送料は当社にて負担致します。大変ご不便をお掛けしますが、予めご了承いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。


WE300Bの修復がナントカ終わって接着剤で再固定しているとJENSEN到着!早速作業再開です。
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写真の左側が標準のフィルムコンで右のデカいのがJENSEN。同容量でどうしてこんなにサイズが違うのかは今もって不明ですが音の良さは折り紙付き。海外ハイエンド真空管アンプにもJENSENはしばしば使われ、ある意味高音質オイルコンのスタンダードになりつつあるのは10数年これをお奨めしたきた私にとっても非常に嬉しいことです。
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標準のコンデンサーを外しJENSENに交換。バラシ作業よりも交換作業の方がはるかに短時間に終わる…ということは最初からやっておいた方が賢明ということでしょう。因みに前の投稿でJENSENの方向性について触れましたが、上の写真が正しい状態です。基板手前側がアンプ正面で外側(出力段)は黒線が下向き、内側(電圧段)は黒線が上向きと覚えると間違いありません。

そして先ほど修復したWE300Bを装着。オールJENSEN/WE300B仕様の最強バージョンです!
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JENSENは初期エージングに時間がかかります(サイズ的にみても納得)。本当は20~50時間鳴らし込みたいところですが、通電後わずか10分程度でフィルムコンとは明らかに肌合いの異なる”絹ずれサウンド”が片鱗を現し始めます。この感じ…決して半導体アンプからは聴こえてこないしっとりとした湿度感、そして音触感(音の表面のケバ。テクスチャーとでも言った方がいいでしょうか)が試聴室に満ちてきて「これぞ300B」という音にどんどん変わっていくのが分かります。

今回半日かけて色々と試してみたTU-8600ですが、出力管によっても音が大きく変化する反応の良さは勿論、使うパーツ類にもかなり敏感であることが分かりました。少々高いですがカップリングは是非ともオイルコンに!…というのが正直な印象です。そのうえで球の個性を活かす…それがTU⁻8600を最もよい形で使い切るコツのように感じました。実に良いアンプです!!





# by audiokaleidoscope | 2017-09-07 18:41 | オーディオ | Comments(0)

(9/7)TU-8600解體新書

明日の17時のTU-8600御開帳を前に多くのお問い合わせをいただいています。

Q1 サンバレーで扱うのか…もちろんYES
Q2 価格は?…当日発表
Q3 定番か?…NO【国内向け200台限定生産】
Q4 球つきの販売は?…YES【球なし,球つき(当社専売SVバージョン)の両方を販売】


といったところが主ですが、その他の音質面,発展面については下記レポートを参照頂ければと思います。

Q5 オススメの300Bは?

先日の収録時のファーストインプレッションにも書いた通り、基本的にTU-8600は従来のエレキットサウンドから脱皮した闊達さとパワフルさが基本的な持ち味であることを改めて押さえておきたいと思います。

私どもでは球つき別注バージョン「TU-8600SV」を用意している訳ですが300Bは最もニュートラルなPSVANE300Bを基本とし、Prime300Bver.4,Prime300Bver.5,PSVANE WE300Bへの差額アップグレード選択も出来るようにしています。

今回8600SV用に選べる300Bそれぞれの音質ですが…
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PSVANE 300B


中庸で繊細感があり、品質的にも安定している廉価帯No.1の300Bといえばこれ。音楽ジャンルを選ばず楽しめる良い球です。

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Prime300Bver.4


ぐっと重心が下がり、分厚く熱気のある音でジャズファンに特にお奨め。モノ盤の密集するエネルギー感は他の300Bの追従を許さない好表現。

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Prime300Bver.5


一転ver.5は音場的で拡がりのあるエレガントな表現。欧州系スピーカー(B&W,DALI,HARBETH等)とのマッチングの良さが際立つ球。クラシック,ヴォーカル系にぴったり。

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PSVANE WE300B


現行300Bの最高峰と言われるだけあって深々と沈み込む低域,キメ細やかに伸びる高域、更に言えばピークレベルでも音の荒れ(頭打ち)が全く見られない堂々たる表現は見事。

Q6 カップリングコンデンサーの交換は容易か?(おすすめは?)

デモ機のカップリングコンデンサーを替えようとしたところ、これが結構大変であることが分かりました。一度組みあがった後にカップリングを替えようと思うと一旦バラさないといけない感じです。以下その工程です。

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まずトップパネルとトランスカバーを外します。ここで基板の部品装着面が下向きであることが判明。ということは…
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コネクタを全部抜いてトランスASSYを外します。中央がRコアの電源トランスです。
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現れたエレキットならではの一枚基板。次に基板を外すためにフロントパネルも外します。
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やっと外れたメイン基板を裏返すと部品が姿を現しました。
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これが標準のカップリングコンデンサー。PP(ポリプロピレン)フィルムで4つとも0.22uF/400V耐圧です。交換する場合は同容量で耐圧400V以上である必要があります。優先順位としては両サイド(出力段カップリングC104/204)の2個、欲をいえば中央の2個(電圧段カップリングC103/203)も替えると更に音質向上が望めるでしょう。となれば当然最右翼はJENSEN銅箔0.22uFですね!!忘れていけないのはJENSENには推奨極性があること。え?と思われた方はこちらを読んでおいてください。

物流センターからJENSENが届く間にこんなことを…
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何をやっているか分かります?WE300B(1987)の修復です。ベースが緩んでこのまま使い続けると断線の恐れがあるのでリードとソケットのハンダ部分を慎重に溶かしたあと、ベースにガラスを結合させていた接着剤を除去。そして再接着、再ハンダ。一つ間違うと貴重なNOS球をダメにするリスクがあるので安易には決してお奨め出来ない職人ワザですが「こんなことも(まで)やってます!」という一つのネタとしてご紹介しました。

では続きは後ほど…。JENSENで音がどう変わるか楽しみですね!!



# by audiokaleidoscope | 2017-09-07 16:46 | オーディオ | Comments(0)

(9/5)真知亜さんの演奏会~ちょっとだけ動画あり~

思いがけず良いことがあると本当に嬉しいもの。昨日のLPに続き今日も嬉しいことが…。クラシックが好きな方は齋藤真知亜さんのことをきっとご存じの筈。日曜夜のEテレ「クラシック音楽館」でほぼ毎回お出ましの素敵なヴァイオリニストです。SV-722(マッキン)をお使いでパワーアンプは本家マッキンMC240…そうオーディオも大好きなお方。

その真知亜さんから今日戴いたDVD。6月の白寿ホール(東京)で行われた”Dialogue #5”のライブです。
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このDVDは非売品ですが、真知亜さんから外に出してもOKですよ!とお許しを頂いたので期間限定でちょっとだけご覧ください。美しく心に沁みる音色がとても素晴らしいです!

ダウンロードリンク

真知亜さんはハイレゾにも積極的に取り組んでおられ、私も番組で掛けさせて頂いたことがあります。この新譜はワンポイント録音で知られるマイスターミュージックからリリースされていて高音質盤として様々なメディアに取り上げられたので既にお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
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モーツァルト:レクイエム弦楽四重奏版/マティアス・ストリングス


またいつか、サンバレーの試聴会などで真知亜さんのミニリサイタル…なんて出来たら素敵ですね。音楽家とオーディオがこんなに近いのも真空管アンプならでは…なのかもしれません。本当に嬉しいことです。





# by audiokaleidoscope | 2017-09-05 21:07 | オーディオ | Comments(0)

(9/4)ミキサーズ・ラボ超絶の新譜を聴く!

今日届いたサンプル盤。最高の環境のなかで最高の匠によって生み出された…まさしく最高のサウンドと呼べる逸品。
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レジェンド内沼映二さん(ミキサーズ・ラボ会長)と北村 勝敏さん(ミキサーズ・ラボ カッティング エンジニア)が手掛けた「究極のアナログサウンド」と聞けば全てのオーディオファンの触手が動かない訳がありませんが、個人的にはもう一つ…7月の内覧会に伺ったMIXER'S LAB/WARNER MUSIC MATERING初の量産音源だったからです。あの夢のような環境から生まれた音をしっかり耳に刻み込みたい…そういう想いから早速針を下して聴いてみました。

再生環境は

ターンテーブル:試作
カートリッジ: Ortofon SPU #1
フォノEQ : SV-310EQ
プリアンプ:SV-310
パワーアンプ:SV-91B


音を聴いていると、もう居ても立ってもいられない!この音をどうしてもオーディオファンの皆さんと共有したい!…そこで「真空管・オーディオ大放談」と同じ手法で91Bの出力をダミーロード経由でPCMレコーダーに入力し音を録ってみました。


(注記:動画には著作権で保護されたコンテンツが使用されています。申立人はYouTube動画でのコンテンツの使用を許可していますが、広告が表示されることがあります。視聴制限なし)

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これはスペクトラムアナライザー画面は演奏が始まる前のリードイン部のF特をグラフ化したもの。この無音部を解析することで大体の音作りの肝が見えるものですが、なんとまあ美しいリニアリティ。取り込みレートは192kHz/24bitで行いましたが、グラフからも96kHzまでシームレスにレスポンスがあることが一目瞭然です。

このアルバムは2枚組で180g盤。ステレオサウンドオンラインで購入可能で9/7から出荷開始予定。ライナーノーツも公開されています。レコーディングに興味ある方にとっては必読の内容です。

内沼さんライナー
北村さんライナー

このパワー感。この情報量。アナログサウンドが今なぜ見直されているか…その答えがこの2枚組LPに凝縮されていると言っても決して過言ではありません。是非聴いてみて下さい!!







# by audiokaleidoscope | 2017-09-05 00:12 | オーディオ | Comments(0)

(9/2)久々の開放日

今日は久しぶりの開放日。先月下旬に告知したばかりなので閑古鳥だったらどうしよう?…と一縷の不安もありましたがいつも以上のお客さんでとても楽しい一日になりました。
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まずは朝イチのお客さんと「Voyage」を持って記念撮影。兵庫県加古川市の東播ジャズ倶楽部が発行するジャズ雑誌でフリーパーパーというのが信じられないクオリティです。

開放日はいつもノンテーマ。いらっしゃるお客さんの持ち込みソースだったり機材だったりをネタに皆で自由に意見を言いながら盛り上がる…それが開放日。今日も大いに盛り上がりました。例えば…
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お客さん持ち込みの6V6シングルで鳴らすLM755A in WE指定箱。モノラル再生ならではの味わいが…電源トランスの「山水」が泣かせます。
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このスピーカーは青森から参戦。Tang Bandの4インチ(10㎝)フルレンジでフロントバッフル革張りの自作品。300Bプッシュプルで鳴らすと芳醇な倍音とスケール感が出てとても良かったです。
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そして最近急激にプレゼンスが上がってきているカセットデッキが登場。アイワの高級機でオーバーホール済ということもあっていい音で鳴っていました。カセットの音を聴いているとデジタル特有のヒリヒリした高域の痛い倍音が全くなく、寛いで音楽そのものに浸れる楽しさがあることに改めて気づかされます。今更…を超えてこれから確実に「来る」一つのトレンドと言えるでしょう。
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こんな一幕も。SV-2(2007)販売当時に非常に流行った初段管のグレードアップの再現。2007をお持ちのIさんに6SN7系の最高峰RCA5692とMullard CV181の聴き較べて頂きました。写真は初段CV181,ドライブWE300B(1988)の組み合わせ。緻密で繊細なRCA5692に対してゆったりと厚みの出るCV181にIさんはノックアウト。いま市場で殆ど見かけなくなった希少なタマですが「この音を聴いたらもう戻れない」と仰って即お嫁入り決定になりました。こういう裏メニューも開放日ならではの面白さ。そのほかSV-S1628Dの211/845比較…女性ヴォーカルには211がいいね!というのが今日の皆さんの判定結果だったようです。

色々なお話をしながら気がつくと皆が仲良くなって、近々近場のカフェへJBLパラゴンを聴きに行こう!という話が急きょ決まったりりして、やっぱり同じ趣味の仲間はいいなあ!と思った一日でした。次回は10/28(土)を予定しています。「敷居が高い」とか「常連の集まりじゃ…」と思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くそんな事はありません。オーディオを通じて音楽をいい音で聴く歓びを共有し、仲間を増やす…それがキット屋流開放日の流儀です。



# by audiokaleidoscope | 2017-09-03 01:53 | オーディオ | Comments(0)

(9/1)解禁!SV-Pre1616Dのこと

9月に入り各社から新製品のリリースが続々と出始めました。まだ公式発表前でプレリリース段階の情報レベルですが、今年の傾向は例年に比べかなり高級モデルが多い気が…。そんな中、海外から”まさか!?”という情報(まだ噂レベル)が飛び込んできています。不正確なインフォメーションで市場に動揺を与えてはいけませんので、現在更にに情報を入手すべく動いているところですが、これまで何度も聞いては消え、また聞いては消え…という内容だけに半信半疑。ただ今回のソースはかなり信頼できる筋からインプットされていますので一縷の期待も捨てきれていません。仮に本当であった場合にはタマ業界にとっては10年に一度の大ニュースと言える内容です。もう少し冷静に状況を見極めつつ開示できる段階になったら改めてお知らせしたいと思います。

そんななか、私どもから今日第一報としてお届けしたいのは来年3月リリース予定の新製品(プリアンプ)です。
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まだ試作の真っ最中でデータ取得前ですが、設計レベルで想定しているスペックと特徴についてお知らせしておきます。正式版は真空管オーディオフェア前には出せる見込み。

SV-Pre1616Dキット

形式:ライン入力専用プリアンプ
調整機構: 音量,左右バランス
入力:4系統(うち1系統USB-オプション-に変更可)
出力:2系統(Rec Outなし)
配線仕様:手配線(電源部のみ基板)
真空管構成:12AX7(3) ※カソフォロ段12AU7に変更可
整流方式:ダイオードモジュール ※5AR4に変更可
ゲイン: 15dB
周波数特性:15Hz~70kHz
シャーシサイズmm:W250×D200×H136.5
予価:??,000円(税別・送料込)
発売:2018年3月(予定)


…という感じです。音を聴いて色々と弄ることは間違いありませんので、あくまで仮仕様ですが開発イメージとしては…

2015年12月にスタートした1616(イロイロ)シリーズは真空管アンプ市場に再びキットブームをもたらした製品として国内のみならず海外でも大きな評価を頂いています。 その1616にお客様からご要望の高かったプリアンプが新登場。しかし単なるプリのキットと思うと大間違い。数々の私どもの経験とアイディアが込められています。

・SV-722(マランツタイプ)のフラットアンプを移植してイチロクパッケージに凝縮
・入力4系統のうち1系統はUSBに変更可(オプション)
・当社初のバランス調整付
・カソフォロ段を標準12AX7→12AU7に変更可
・整流段を標準ダイオードモジュール→5AR4に変更可


終売となったSV-3とSV-722(マランツ)を足して2で割った感じを1616プラットフォームで製品化と思っていただくと分かりやすいかもしれません。ただ単に移植するだけでは面白くないのでイロイロ楽しめるプリにしようと知恵を絞りました。まずカソフォロ段の真空管を変えて音の違いを楽しむという考え方は今まで長い真空管プリの歴史の中でもなかったもの。12AX7のハイコントラストな音に対して重心の下がった12AU7の音は比較としては非常に興味の持たれるところです(SV-722では真空管変更は出来ませんので念のため)。次にS1616Dで多くの方がトライされた整流素子のコンバート。プリでここまでやる?…という意見もなかった訳ではありませんが、S1616D同様にここは音作りの大きなポイントでもありますので試作上がりの段階でしっかり検証してみようと思っています。

あとはデザイン。普通のプリは箱型でタマは見えないのが一般的ですが、Pre1616Dでは上位機種SV-310,SV-300LB同様、”主張する”デザインが面白いかと。タマの差し替えも容易ですし。

そしてもう一つ。真空管オーディオフェア前にお知らせしておきたいアナログ関連のお話につきましては、その後さまざまな出来事があり、今日現在も折衝中でまだ正式にお知らせ出来る段階ではありませんが、もう少しだけお待ち頂ければ幸いです。




# by audiokaleidoscope | 2017-09-02 02:28 | オーディオ | Comments(0)

(8/21)夏休みレポートと久々のショールーム開放日!

今日から全員そろっての業務再開。考えてみると西や東にこれだけ動いたお休みは久しぶりだったと思います。色々と大変ではありましたが無事終わったなあ、と。残念だったのが自分のモノづくりが殆ど進まなかったことで、組みたいアンプのパーツが3台分も家で待っているので、何とか時間を見つけて早く仕掛かりたいものです。

キットを購入いただいた皆さんからはこのお休みの成果をメールや電話でたくさん頂戴しています。初めてのキット製作で苦労するかと思ったけど意外とスンナリ行ったという方もおられれば、原因不明のノイズに悩まされて散々探した挙句アース配線を一つ忘れてることに気づいたとか、バイアス調整の方法がイマイチわからん!とか何百キロも離れた仲間と一緒にアンプを覗いているようなイリュージョンを味わった日々でありました。

そんな中でMさんから届いた一枚の写真。SV-P1616D/多極管仕様をベースにモディファイされている実例です。
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ざっと着手部分を伺うと…

【シャーシ】

信号伝送系と電圧増幅系シャーシ部に銅箔追加(非磁性化対策)。電圧増幅段が乗っている部分は表と裏全て銅箔で包み込んでみました

【信号伝送】

高性能Audioケーブルで配線(6N系で伝送方向指定ケーブル)

【入力信号処理】

470kシャント抵抗はAudio用リケノーム品に変更。入力抵抗は2.2kに変更の上、金属抵抗(誤差1%品)に変更

【Power段の結合】

0.47μ品のAudio品に変更(耐圧650V)

【カソード抵抗のシャント用コンデンサ】

今回はメタルクラットの代わりに高域改善用フィルム系コンデンサを並列挿入

【電圧増幅段のデカップ処理】

マロリー社製電解コンデンサ50μFを追加

【GNDラインの引き回し】

6N銅+金メッキ+絶縁スリーブ品の単線で処理。SP端子からのリターン線は6N線材を使用

【ヒータ配線系】

電圧増幅段のヒータ配線は非磁性化処理を施し、電力増幅段のヒータ配線は要所に非磁性化処理してシャーシに固定

【シャーシGND】

シャーシGNDポイントの位置を変更してみました。GND点の塗装は剝して菊ワッシャーを介して1点GND処理しました。電源ケーブルのGND端子も、当該GND点に配線してあります。非磁性化処理した銅箔フィルムはシャーシ本体と電気的には多点で接続されております。

【電源トランスの固定】

トランスとシャーシの間に干渉材を挿入し、シャーシ側は銅箔を追加

【出力トランスの固定】

トランスとシャーシの間に銅箔を追加。銅コアーリング材を追加。防振材を内部に追加


…という内容で車でいえばフルチューンに近い改変がなされているようです。フルチューンとはいっても車でエンジンだけチューンナップしても足回りがついてこなければ何の意味もないように、アンプもすべては極めて微妙なバランスの上に成立した適切なヴォイシングあってのもの。Mさんのように基本を押さえながら経験に裏付けられた様々な施策はなかなか出来ることではありません。キットというのは一つの素材であって皆さんそれぞれの「オレ流」を存分に発揮されるのも趣味ならでは。パーツを替えないまでも何年か前の自分の配線を見て、「よし!もう一度やり直してもっと美しく仕上げるぞ!」というのも立派なグレードアップであろうと思います。自分で責任が負えるというのが大前提ですからね。こういうガッツある仲間もいるんだ!という一つの事例としてご紹介させていただきました。たいへん光栄なことです。

ところで久しぶりのショールーム開放日を9/2(土)10時~17時に行うことになりました。たくさんの方から「次はいつ?」とお問い合わせをいただきながら殆ど土日なく動いていた数か月間でした。少し涼しくなって時期的にも良いタイミングですので一日多くの皆さんと交流させて頂きたいと思います。

いつものように道場破り大歓迎!キットの鳴き較べや自作機器の持ち込みも大いに楽しみです。ネタは皆さん次第!楽しくやりましょう!お待ちしています!!



# by audiokaleidoscope | 2017-08-21 14:09 | オーディオ | Comments(0)

(8/18)Y邸のJBLとラジオ組立教室(特別編)

収録明けで向かったの都内のY邸。はじめて伺ったのが約1年半前でしたが今回スピーカーをリニュアルされたと聞き、早速お邪魔させていただきました。
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JBL4320のエンクロージャーにウーハーD130,ツィーター075という構成でネットワークも別誂えのオリジナルシステム。ウーハーはスルー(フルレンジドライブ)でツィーターをハイパスフィルタで重ねるというJBLが最もJBL的であった頃の音を彷彿させるサウンド。プリアンプはSV-722(C22)。パワーアンプは2種類で…
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SV-91BとSV-275(SV-8800SEの前身)。Yさんの構想としてはパッシブバイアンプ(Lo:275,Hi:91B)か175DLHをミッドに加えた3ウェイマルチ化も…ということでしたがまずは現状の音を聴かせて頂くことにしました。まずは275。ローがD130であることを忘れさせるような量感。思わず075を2dBくらい上げたくなる音で、確かに275ベースであればミッドにホーンをもってきて更なる厚みと密度感が欲しくなるのも分かる音です。

次に聴いたのが91B。これ凄かった!D130がビシッと締まり、最低域の沈み込みも見事で更に言えば075とD130のシームレスな繋がりが見事で、まさに往年のジャズ喫茶の音。91Bを聴きながらYさんにこの音が出るならバイアンプも3ウェイも不要です。まさにこの音こそがジャズそのものです!と申し上げたらYさんも”91Bでしっかり聴き込んだことがなかったけど確かに上も下もしっかり出て締まった良い音ですね!”と喜んでおられました。
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特にシビれたマイルス。フォノEQは敢えてSV-722内蔵でなくSV-6(販売終了)。ガラード401+SME 3009+オーディオテクニカAT-MONO3/LPとのマッチングも秀逸で直ちにジャズ喫茶が開店できそうな、そんな素晴らしく男気あふれるカッコイイ音でした。

そのあと神奈川へ移動。先日のラジオ組立教室の特別編的な感じでAさん宅へお邪魔してきました。夏休みの自由研究の題材にしたいということで単なるモノづくりだけでなくラジオの仕組みについてお勉強してからハンダづけの練習。
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そして本番という流れです。熱の掛け過ぎでランドが剥離してしまうピンチもあって、もっとよく見ててあげればよかったな、と思いつつ二人ともFM横浜の良い音を自分の作ったラジオで聴けて良かったです。
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完成!よく頑張りました!…そろそろ夏休みもお終いです。私どもも秋に向けて今から色々と準備していく時期。ニューモデル(プリ)の試作も遅れなく進めて10月の真空管オーディオフェアにはしっかり間に合わせないといけません。



# by audiokaleidoscope | 2017-08-19 11:21 | オーディオ | Comments(0)

(8/17)エレキット新製品”TU-8600”とカートリッジ大会

今回のMUSIC BIRD収録。一本目(10/10オンエア)ではエレキットから9月末発売の新製品TU-8600(300Bシングル)を取り上げ、その音質と魅力を紹介しています。まずは旧モデルTU-8730とTU-8600の比較試聴。そしてTU-8600とサンバレーSV-S1616D,SV-501SEとの比較試聴という流れ。
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まずTU-8730(写真中央)とTU-8600(左上)との比較では回路的特徴がそのまま音質に反映する形になりました。以前から申し上げている通り”ゲインは音力”…電圧増幅段の利得をしっかりとって出力段をフルスイングすることこそが真空管アンプの魅力を最も表出させる眼目である訳ですが、TU-8600はまさにそのフィロソフィーに副った設計で初段12AX7でゲインを稼ぎ,ドライブ段12AU7(パラ)で強力に300Bをスイングするという、エレキットアンプでは嘗てない”攻めた”設計になっています。

その結果、従来の極めてニュートラルなエレキットサウンドから脱皮。非常にパワフルで音がグッと前に出る音調のアンプになっていることが最大の特徴であり、魅力でしょう。
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TU-8600は真空管レス。これも従来と異なる流れです。そこで最も標準的な300BであるPSVANE 300Bと私どものPrime 300B ver.4, Prime 300B ver.5で聴き較べしてみました。中庸のPSVANEに対し滑らかさと響きを加えるver.4そして明るさと張りを加えたver.5の比較は聴きモノです。

後半はTU-8600とSV-S1616D,SV-501SEの比較試聴。
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ここでは設計というよりもヴォイシングの差が出たような気がします。300Bの最大の魅力といえば豊かな響きと間接音成分。滑らかで聴き疲れのない音色が300B人気の源である訳ですが、サンバレー勢に対してTU-8600は力感を表に出すタイプの音でリファレンスソースに使用したビオラのソロでは音が一本の太い線として感じられるのに対してサンバレーアンプはその線が僅かに細身になり、その中に濃淡を感じる違いが現れました。恐らくこの感じはTU-8600のカップリングコンデンサーの交換でかなり変化することでしょう。そういう意味では出力管の選択、パーツのグレードアップで更に化ける可能性を秘めたアンプであることが想像できる大器であると申し上げて良いでしょう。

価格は108,000円(税別)ということで私どもでの販売形態は未定ですが、基本的にメーカー仕様そのままと球つきのSVバージョンの2種類を展開することになるのではないかと思います。10/8~9の真空管オーディオフェアでもTU-8600の音を聴いて頂く予定で、是非ご期待頂きたいと思います。この限定生産品によってエレキットアンプの音の評価が大きく変わっていくことは間違いない…そう感じた一本目の収録でした。

二本目(10/27オンエア)はディスクユニオン JAZZ Tokyo店長 生島昇さんをお迎えしてのスペシャル企画。いつもの真空管やアンプの音の違いから少し離れてカートリッジと音源の深い関係をジャズとアナログ再生のオーソリティである生島さんのナビゲートでお送りする2時間になりました。
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ヴィンテージから現行品まで数々のカートリッジとそのカートリッジにベストマッチの音源を生島さんがセレクト。それを聴かせて頂いて私とレギュラーゲストのTさんが嘆息を漏らす…図らずもそういう流れになりました。自宅でマッキンMC-275でパラゴンを鳴らす生島さんに敬意を表してこの回のリファレンスアンプはSV-P1616D/KT150仕様。
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SHURE V15 type3/4, GEバリレラ, Goldring 1042, オーディオテクニカ530EN/540ML等のMM/VM勢に加えてデノンDL⁻110(MC)も加え、さながらレコードコンサートのような2時間になりました。私が最も心震えたのがGEバリレラ(MONO)。
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ここでかけたレッドガーランドBirk's Worksの何という熱気,厚み,そしてMONO盤ならではの前後感…アナログでしか味わえない桃源郷に完全にKOされた感じです。更に印象的だったのがテディキングのMONO盤をSV-P1616DとSV-501SEで鳴らし分けた時の差。日ごろ多極管PP一辺倒の生島さんも”300Bで聴く女性ヴォーカルは絶品”と歓喜の声を挙げておられました。

オーディオマニアはMCの方が高級で音も良い…と思っておられる方も多い筈。実際私も常用カートリッジの殆どがMCです。しかし今回の収録を通じてMMならでは良さ、全体のまとめ上げ方の上手さ、そしてステージ全体に光を当てるのでなくソリストだったりヴォーカリストにポッとスポットを当てるような表現力の高さに舌を巻き、自らの考えを改める結果にもなった2時間でした。

この感じをもっと多くの方に伝えたい…そう思いましたので真空管オーディオフェア二日目(10/9)午後、生島さんのレコードコンサートをフェア会場でやりたい!とオファしたところご快諾を頂きました。是非続きは会場で皆で楽しみましょう!



# by audiokaleidoscope | 2017-08-18 08:59 | オーディオ | Comments(0)

(8/14)10月からの新番組(仮)

二日間の骨休めが終わり明日から活動再開。この時間を使って色々と内職をやっています。まだ解禁前なので詳細はお知らせできませんが、10月から始まる予定の三つ目の新番組の音源編集をコツコツと進めているところ。「真空管・オーディオ大放談」では真空管アンプを中心としたオーディオ機器にフォーカス、「FMジャズ喫茶」ではジャズの深さをリスナーの皆さんとシェアすることを目的としてきましたが、この新番組では私たちがなかなか耳にする機会がない、でも素晴らしい可能性を秘めたインディーズバンド(アーティスト)をピックアップしていきます。

私たちの周りでは無限ともいえる⾳楽が⽇々⽣まれています。 しかしその多くは⼀度も聴くこともなく通り過ぎていってしまいます。 特に⼤⼿レーベルに頼らないインディーズミュージシャンたちの活動は多くの⾳楽ファンでさえ知らずにいるのが現実。
しかし私たちが知らないところで⽇々ライブハウスでは数多くのミュージシャンが⾃らのメッセージを発信し、たくさんのファンがそのバイブレーションを共有しています。この番組では地元はもちろん全国的に活動している様々なインディーズミュージシャンのなかから次世代のヒーローとなるべき注目アーティストをスタジオに来ていただいて有り体のインタビューと音源を掛けるというスタイルでなく、私自身がライブ会場に足を運び、魅力と可能性を感じたアーティストをピックアップ。ライブ後にインタビューを録ってライブのテンションそのままにアーティストのメッセージを届けようという狙いなのです。

初回は8/11(金)名古屋で行われたライブイベントにお邪魔してきました。いわゆる対バン形式のライブで多くのアーティストが明日のスターダムを目指しライブを展開した訳ですが、そのなかで今回ピックアップしたバンドは三つ。
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DUB 4 REASON

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愛笑む

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ROOKiEZ is PUNK'D

という布陣。いずれも魅力と個性を秘めた素晴らしいバンドです。インディーズバンドならではのストレートなメッセージと音楽性を大いに楽しんで頂ける筈。音質にも勿論こだわってフルアナログプロセッシングでマイクプリもD/A,A/Dに至るまでフルチューブでファイナライズ。
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この番組はスタジオ収録を行わず自前で完パケを作って局に送るスタイルですので準備はとても大変ですが頑張ってやりたいと思っています。是非正式告知をお待ちいただきたいと思います。



# by audiokaleidoscope | 2017-08-14 23:35 | オーディオ | Comments(0)

(8/5)子供はみんな天才だ!

夏の恒例行事のひとつ。トヨタ産業技術記念館での”週末ワークショップ”。ラジオキットの組立を通じてモノづくりの感動と科学する心を養って欲しい、という想いと共に今回も参加させていただきました。
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今回も午前午後あわせて32組の親子が参加された訳ですが、記念館自体の来場者が増えていることもあって、今回も申し込みは大変な高倍率の抽選だったようです。それもあって今までで一番ハンダ未経験の方が多かった訳ですが、みんな真剣に取り組んでくれて無事全員がラジオを完成することが出来ました。
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まずはハンダづけの見本を見てもらってから練習基板でリハーサルして早速本番。
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最初は見よう見真似だった子供たちも段々とコツをつかんで脇目もふらず集中して組立に取り組んでいます。
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分からないとき、迷った時は”センセ~!”と声が掛かってサポートに回りながら一緒に作っていく感じ。いつも思うのは子供はみんな天才だ!ということ。海綿が水を吸い込むようにどんどん上手になっていきます。不安げで最初は落ち着かなかった眼差しに段々と自信が漲ってくる様子には毎回心打たれます。
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実にいい顔してますね!こういうことをきっかけにして”やればできる!”という自信を深めてもらえたら一番嬉しいです。

このワークショップは小学生対象な訳ですが、中高生向けの企画も今後検討されていかれるそうで、チャンスがあれば更に高度なキット製作のワークショップもやれたらいいなあ、と思っています。真空管ヘッドフォンアンプなんてどうかな…と思いながら、こういう形で自分の仕事が世の中への恩返しが出来るということに心から感謝した次第です。次回も頑張ります!

※写真は参加者同意のもとワークショップ事務局が撮影したものを転載させていただきました。





# by audiokaleidoscope | 2017-08-06 20:39 | オーディオ | Comments(0)

(7/30)AIには出来ない"過程を楽しむ"モノづくり

今まで第二に色々な方をお迎えしてきましたが、欧州からのお客さまは初。とはいうものの、目的は試聴ではなくてラジオキットの組立ワークショップ。
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高校時代のクラスメイト夫妻がホストファミリーとしてスイスの若者を受け入れていると聞いたのがきっかけで、"もし良かったらニッポン流モノづくりを体験してみない?"と声を掛けたところ、うまくタイミングが合って実現となりました。スイス君だけでなく同級生のご子息も一緒で、二人ともハンダは初体験。

唯一の懸案はスイス君と英語でコミュニケーションがとれるのか…ただそれだけ。言葉さえ伝わればモノづくりのスピリットには国境はありません。実際会ってみると190cmを越える長身でブロンドの好青年。19歳で9月から新学期を迎えるこのタイミングで日本をホームステイ先に選んだそうで、幸い英語も流暢で早速製作を始めることになりました。今回教材に選んだのはエレキットの新製品TK-739
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少し飛躍しますが、最近はAI(artificial intelligence:人工知能)が注目されてdeep learninng(深層学習)により囲碁や将棋でAIが人間を負かすことも少なくありません。人間よりも高速で複雑な判断を行うことは一つの大きなメリットである一方、これから先、何かの判断をAIに任せる時代が来たときに、その思考プロセスがブラックボックス化し"なぜその判断(結論)に導かれたのか?"が軽視されることがあってはなりません。

正しい判断をするためにはその前に試行錯誤や失敗による学習が不可欠であり、その点において自ら手を動かして苦労しながらもモノづくりする意味はとても大きいのでは・・・その過程すべてが自負と他者への感謝につながる…そんなことを考えながらいつも子供たちを見守っています。合理性だけが全てじゃないよ、と思いながら。
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写真は関係各位のご了解のもとアップさせていただきました

幸い二人はとてもクレバーで落ち着きがあり、多少は苦労しながらも立派なモノづくりをしてくれました。二人とも一発完成で静かに見守っていた大人たちも大きな感動を共有することが出来ました。生まれた国や育った環境は違ってもみんな一緒で皆仲間。とても楽しいひと時でした。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-31 17:50 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_2) KR2A3/300Bの音とは?…不思議な逆転現象

2本目(9/29オンエア)はレギュラー企画でTさんと私の二人で収録。
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2A3と300Bを無調整で差し替え可能な真空管プリメインとしてたくさんの方に使って頂いているJB-320LMSV-2300LMが登場。目的は現行の定番球といっても良いGoldenDragon2A3premiumPrime300Bver.4をベースとしていま密かに注目を集めているKR(チェコ)の高級2A3/300Bを聴き較べてみよう…それもシングル/PPで一気に総まくりテストして評価しよう、というテーマです。

KR真空管は高価格ながら家内制手工業的な丁寧なモノづくりで定評あるところですが、少し注意が必要なのは例えば211/845であれば通常の10V/3.25Aに対して10V/1Aだったり300BXLSのように通常5V/1.2Aであるべきところ5V/1.8Aだったりとフィラメント定格が独自仕様となっているものが散見され、いわゆる通常の211/845アンプや300Bアンプでは使えない(改造が必要な)球が存在することです。今回はそんなKR球から一般的な2A3/300Bと同定格なもの(そのまま差し替え可能な球)を選んで音質比較することにしました。

ずっと聴き慣れているGoldenDragon2A3やPrime300Bに対してKRがどんな音を聴かせるのか、私も非常に興味を持っておりましたが、たいへん面白い結果が出たことを先ずは報告しておきます。個々の音色についてはオンエアでその機微をご確認いただくのが一番ですが、特筆すべきは一般に「シングルは音色(ねいろ)」,「PPは響き」という言われることとは反対の傾向、すなわちシングルではクリーミーな円やかさ、逆にPPではトランジェント(音の立ち上がり)の良さと低域の締りが出たからです。これは長い私の真空管との戯れの中でも殆ど経験がないことでした。
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KR2A3。シングルにおける音の溶け合い方の美しさが際立つ表現。

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KR300B。大型化されたプレートに合わせて根本が太くなった存在感が際立ちます。私たちが聴き慣れている300Bよりも高精細な表現。
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今回最も注目していたKR300BBalloon。プレートはKR300Bとおそらく同一ですがサポートロッドが4本に増えてリジッドな構造になっています。300Bにしては異例に透明感のある輝かしい音でした。

合計11通りの音を出して比較した訳ですが、KRではどのパターンにおいてもPPの方がシングルよりも音が締まるという逆転現象に対して私もTさんも或る意味首を傾げつつ、球のスペックを見て合点がいった気がします。

KR球は独自の定格を持つ(ものが多い)ことは上記した通りですが、今回取り上げた三種類の直熱三極管は全てプレート損失(車のエンジンでいえば排気量)が全て通常球よりも10~20%程度上がっています。2A3であれば通常15Wに対してKRは20W。300Bであれば通常40Wに対して50W。驚くべきは300Bで何と最大プレート電圧550V,最大プレート電流120mA(!!)という凄さ。845ですら100mAな訳ですから如何にKR300Bがハイレギュレーションであるか分かります。

恐らくは通常設計のPPではKRの最も”美味しいところ”に届いてない…これが私の推論です。結果三極管ならではの解れや厚みがPPでは今一つ来なかった、ということかもしれません。一方シングルではそれぞれの球の良さが出て大変魅力ある存在であることも確認した次第です。裏を返せば”もっと低域を締めたい、更にパワーを出したい”という方には従来の2A3や300Bとは隔絶したパフォーマンスが期待できる訳で、ここがKRの使いこなしの要諦であろうと感じた次第です。

最近のトレンドの一つである「上位互換」球の流れ。KT150のように極めて短期間でスターダムに上った球もあります。2A3シングルで5W,300Bシングルで10数W…これがいつの日か常識になる日がひょっとしたら来るのかもしれませんね。”ところ変われば品変わる”…チェコの音を堪能できる2時間です。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-29 05:32 | オーディオ | Comments(0)

(7/27_1)懐疑派の陥落

今回のMUSIC BIRDは9月後半オンエア分の収録(2本録り)。まずは一本目。

告知によれば

「今回はケーブルに対して懐疑的な2人(大橋・高山)が「ケーブルで音が変わる派」と対決。「音が変わる派」代表はオーディオ実験工房でおなじみ、みじんこ荒川さん。みじんこさんが電源ケーブル、ラインケーブル、スピーカーケーブルなど各種ケーブルを持ち込んで音の変化を検証します。ケーブルで真空管アンプの音はどう変わるのか?写真家でベース弾き、オーディオファンで真空管アンプも使用している平間至さんも「変わる派」スペシャル・ゲストで参加。

ということですが、アンプ設計の立場から言えば能動系=アンプの音の変化の方が受動系=ケーブルの変化よりも大きいに決まってる!という刷り込みもあって、今まであまり(というよりも半ば意図的に)ケーブルについては意識しないようにしてきた部分が正直ありました。その一方でオーディオ実験工房のオンエアを聴いたり、今回のスペシャルゲスト平間さんの家や写真館でケーブルによる音のチューニングの様子を見させていただいているうちに”これはひょっとしてひょっとするんじゃないか!?”と思い始めたこの半年ほど。そこで荒川さんと平間さんにオンエアでリスナーの皆さんと一緒にケーブルによる音の変化を共有してみませんか?と提案させていただき、今回の収録が実現しました。

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増幅系は192PRO,192A/D,S1616D/KT150で統一。全ての比較においてゲイン等一切触わない状態で収録しました。

実は収録前日に搬入と前段取りをした後に食事でもと思い、局の近くの中華によったら偶然にもレギュラー収録を終えた荒川さんと炭山さんと遭遇!やあやあ!明日よろしくお願いします!!とお話していたら実験工房のゲストでいらっしゃっていたメーカー「光城精工」のTさんが同席されていて、オーディオ用電源タップをお持ちと伺い、初対面でしたがその場で出演オファ。収録ではまず通常のOAタップとの比較からスタートします。この比較の音の違いは私にとっても鮮烈なもので、オンエアを聴いて頂ければおそらく10人中10人がその音の明白な違いを認識頂けるほどの差。正直私が一番痺れた…かもしれませんが。
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この状態をデフォルトとし、以降はオヤイデ電気の電源ケーブル(パワーアンプに装着),ラインケーブル(プリ/パワー間で装着),スピーカーケーブル(パワーアンプ/ダミーロード間に装着)して比較試聴していくと、受動系と言えないほどの音の個性が明白に現れて懐疑派代表の大橋/高山陣営もタジタジ。電気的,測定的には説明が出来ない伝送系素材と構造による音の変化をも人間の聴覚は認識できることに改めて驚きと感動を覚えました。特に電源プラグのブレードのメッキ無/有りで音質が変わるなんて今までは”ホントかなあ~?”というのが正直なところでしたが、これもオンエアを聴いて頂ければ必ずや分かっていただける筈。たった2時間で懐疑派は白旗を挙げて陥落する結果になったと申し上げておきましょう。

最後の方で平間さんが仰っていたこと。”ケーブルで音を作るというよりも環境によって発生する様々な要因をケーブルで補うんです”…蓋し名言!真空管アンプの魅力をより引き立たせる為の重要なツールであることを教えて頂くことが出来た、個人的にも非常に有意義なひと時でした。




# by audiokaleidoscope | 2017-07-29 03:23 | オーディオ | Comments(0)

(7/24)若き挑戦者

今日は午前中試聴のお相手。午後は”FMジャズ喫茶”の収録という一日。
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今日の試聴のお客さまはショールームオープン(2003)以降、最年少では…?と思われるほどの若者。最近の若い人は(という時点で自分が如何に年齢を重ねたか分かりますね)、何か言葉のボールを投げても「…あ、はい」とか「いや、まあ、とりあえず…」的な曖昧で(良くいえば慎ましやかな)ハッキリしない方が多く、もっと自分をストレートに出せばいいのにな…と思うことが少なくない訳ですが、今日いらっしゃったMさんがオーディオが好き!というピュアな気持ちが伝わってきて、とても爽快で嬉しいひと時になりました。

MさんのターゲットはVintage S12。訊けばS12に搭載しているユニット(Sica/Z007360)をすでに所有しておられ、密閉,バスレフでエンクロージャーを自作されたものの満足な低域が出ずに困っておられるとのこと。このユニットは96dB以上/w/mという超高能率と指向性を絞った深鉢仕様のユニットの特性を生かすために、なるべく大きく響きの良い材料でエンクロージャーを作ることが非常に重要であることを説明し、ウチのユニットは高域側のサブコーンは独自のダンピング剤を塗布して高域の荒れを抑えていること、シナ合板ではこの響きは出ないので素材選びには十分気を付けてということも申し上げました。

それでアンプはどんなものを使っているんです?…と伺うとアンプも自作とのこと。この若さにして溢れるクラフトマンシップに感心していたら”アンプ持ってきてます”ということなので、じゃあそれでS12を聴きましょうよ!ということに。
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Mさんの自作アンプ(右)と音質比較用のSV-S1616D/300B。MさんのアンプはクラスD(デジタル)アンプで出力は確か400W(!)。対してS16は8W。試聴ソースはマイルスのKind of Blue。
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言わずとしれたJAZZの名盤中の名盤。おそらくこれまで数えきれないほどのリイシューを重ねてきて正直音質も玉石混交な訳ですが、これは安くて音質もGood!です。

私も球アンプ以外でS12を聴いたことはありませんでしたが、同じオーディオアンプでもクラスDと真空管では音の根っこからの差異をより明確に出す辺りは高能率ユニットならではかもしれませんが、特に高域の質感…独特の粒子感と時に感じる先鋭感がクラスDアンプの音質的特徴と言えるかもしれません。

一つのサンプルをお見せします。上のサイン波が或るクラスDアンプ(Mさんのアンプではありません) 。下がS1616D/300Bです。
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1W出力時(1kHz)の波形です。著しい差異はないと言って差支えありません。
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こちらは同じく1W出力時(10kHz)の波形です。クラスDアンプに僅かな波形の乱れが発生しているのを確認出来ます。もちろん全てのクラスDアンプがこうだとは言いませんし、被検アンプが偶々こうだった可能性もありますが、一般にクラスD増幅ではパルス幅変調(PWM)出力波形からオーディオ信号を抽出するためにローパスフィルタを外付けする必要があり、この設計で音質ならびに特性に大きな差異が出ます(最近のアプリケーションでは外部フィルタリングが不要なもものも多いようです)。

人間の耳はこの僅かな差異も鋭敏に感じる訳ですが、Mさんも”音の質感そのものが全然違うんですね”と仰りながら興味深そうに聴いておられます。最近はクラスDアンプを出力部に持つアンプでも電圧増幅段に真空管を用いるケースがかなり出てきており、Mさんのアンプもこうすることでアナログ的滑らかさを得られる余地が十分にあることをお伝えしました。若者のピュアオーディオ離れが懸念されるなかで、Mさんのような意欲ある若者にはこれからも大いに腕を磨いて頂いて再び道場破りに来ていただきたいものだと思いながら、Mさんには折角同じユニットを持っているんだからS12の寸法を測って自作されては?よかったらまた遊びにいらっしゃって!…と提案してお見送りしました。

収録が終わって会社に戻りメールチェックと共に受注データを確認するとMさんからS12のご注文が…。短い時間でしたが何かを感じて下さったんだな、ととても嬉しい気持ちになった一日でした。




# by audiokaleidoscope | 2017-07-25 00:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/21~22)オーディオの快感と音楽の感動と

東京から戻ってほとんど切れ目ない試聴対応。金曜は朝8時~夕方6時前までずっと試聴室に入り放しという状況。当然のことながら全ての方のニーズが異なり、レストランで云えば全てア・ラ・カルトメニュー。一期一会の対話から生まれる音の邂逅を楽しむ時間が続きました。

そんな中で印象深かったのが神奈川のUさんとのひと時。わざわざ前泊されてスピーカー持ち込みでの試聴でした。
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最近スタジオでよく見かける”ムジーク”(独:musikelectronic geithain)のスピーカー。スタジオ関係者のみならずミュージシャンからも”ムジークいいねえ!”とは聞いていたものの、スタジオではほとんどがパワード(アンプ内蔵)モデルであったこと、パッシブ(アンプレス)モデルを実際聴く機会がほとんどなく、その実力については寡聞にして存ぜず、というのが本音でした。

今回Uさんから試聴予約のメールで”ムジークをSV-9TSEで鳴らしているんですが他のモデルでも試聴したい”と伺った時から、この機会を逃してなるものか!と思い楽しみにお待ちしていたという訳です。
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これがUさんの愛機ME25。元々はレコーディング環境での近接モニタリング用途のモデルで音楽鑑賞用というよりも検聴用のスピーカーであることから実際音はどうなのかな?…と思って思いながらUさん標準のSV-9TSEで鳴らしてみると、無機質どころか太々として筋肉質な9Tサウンドそのものでちょっと安堵。ローがモリモリと出てきます。

SV-S1616Dの300B仕様やKT150仕様で鳴らしてみると音の傾向が通常のスピーカー以上に変化。Uさんも”やっぱりモニターですね。全く表現が変わる”と言いながら最後に鳴らしたSV-S1628Dで別世界が現れました。
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左が845,右が211。まずは845で鳴らすと高域のキレとスピード感が今まで鳴らした全てのアンプより増すだけでなく、ローの沈み込みがPP以上で且つ締まって低域の音階が情緒的にならずしっかりと聴こえてきます。少々手前味噌になります昨年暮れにデビューしたばかりの新製品でありながら、「サンバレーのSV-2は初代モデルからNewSV-2,SV-2(2003),SV-2(2007),SV-2(2011),SV-S1628Dまで全て使ってきましたが音は1628が一番良いです(札幌のMさん:原文ママ)」と言って下さる方が実は多く、海外を含めて好調に推移しているのは本当に有難いこと。特徴的なのは国内では7割が845,海外では7割(以上)が211という売れ方の違いです。211に替えるとしなやかな三極管サウンドに変化し温度感が上がります。出力は半分に下がりますがムジークではピークで歪むなどの問題は全く見られず、Uさんは「基本845で鳴らして気分とソースで211を使うことにします」という結論になった次第。硬派で知られるムジークが845/211でこんな風に鳴ることを知って私も大変参考になりました。

金曜最後の来客は翌日の本番を控えて前ノリされたN響のYさん(ヴァイオリン)。SNSのポストをトレースしてみたら試聴室は何と2年半ぶりのご来訪ということでネタには事欠くことなし。話が尽きずに一杯吞みながら大いに盛り上がりました。そして今日…。
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年に一度の地元定期。ベートーヴェン,チャイコスフキ,アンコールのモーツァルトというお手盛りプロながら透明感とアンサンブルのスケール感が最高レベルで同居したサスガ!国内最高峰!!の名演を満喫させて頂きました。この広大なダイナミックレンジは生でしか味わえない…のは事実かもしれない。でも私たちはオーディオならではの快感と音楽の感動の両方を見つめながら、これからも更なる高みを目指す!…そんな気持ちになった今日でした。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-22 23:20 | オーディオ | Comments(0)

(7/19_2)カッティングの違いを音で知る

昨日の鮮烈な体験を忘れないうちに備忘的に記録しておきたいと思います。
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昨日ミキサーズ・ラボでカッティングの実演を見させて頂いて、実際プレイバックを聴いて思ったことは「カッティングでこんなに音が変わるのか!」ということ。散々いろんなことを質問して帰りがけにいただいたデモLP。左がすでにリリースされているステレオサウンド盤。右が今回ミキサーズ・ラボで新たに切ったサンプル盤(非売品)。音源(マスター)は同一。これを比較しない手はありません。

聴感上はミキサーズ・ラボ盤の方がワイドレンジ。特に高域のキレが良い。一方ステサン盤は中低域がマッシブで音が前に来る感じです。ではこれを定量的(波形的)に較べてみることにしましょう。同じターンテーブル(pro-ject/RPM9.1),同じカートリッジ(DL103),同じフォノEQ(SV-192A/Dのフォノ入力)同じレコーダー(KORG/MR-1000‗44k/16bit),同じ録音レベル…つまりソース以外は全て同じにして頭出しを1/1000秒レベルで完全に合わせて録音。正確に比較するために特定の曲のRchだけを切り出して並べてみたのが下の画像です。
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赤丸部分を注視してみて下さい。ミキサーズ・ラボ盤の方がカッティングレベルが高い(約1.5dB)ことが分かります。単純にレベルを上げるのは難しくありませんが、その分ピークを歪ませないよう細心の注意とノウハウが必要な訳で、この差が両者を比較した時の情報量の違いとして感じられることに大きな意味があると考えます。
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そして何度か録音しているうちに面白いことに気づきました。曲の頭はドンピシャで合わせたにも関わらずタイムスタンプ約55秒のところでミキサーズ・ラボ盤の方が約0.03秒進みが早いようです。あるいはターンテーブル側のワウ・フラッターか?と思い何度かやり直しても結果は変わりませんでした。マスターがデジタルですのでスピードの差は当然ありません。ということはステサン盤のカッティングマシンとミキサーズ・ラボのカッティングマシンの僅かな回転数の違いがこの差になっている…のかもしれません。

その他音場感の違いをオシロのリザージュ波形で比較するとどうなるか?出力の高調波成分の分布はどう違うのか?…等々いろいろと調べてみたいことがあります。音は目に見えないから面白い!測定で取得できるパラメータは本質的な音の良し悪しとは直接的な相関を持たないことは真空管アンプの設計を通じてずっと感じてきていることですが、最近何とかして「音の見える化」が出来ないかと沸々と感じることが多くなってきました。

私たちは音をどこで聴き、何を感じているのでしょう?鼓膜の振動だけでなく皮膚を含めた体全体で私たちは音を感じているという研究も進んでいるそう。真空管アンプの音をどうして私たちは心地よいと感じるのか?…感覚的なだけでなく理論的に証明してその優位性が更に明らかになれば、この業界で頑張っている多くの先輩や仲間にとって大きな力になるのではないか…最近特にそう感じています。







# by audiokaleidoscope | 2017-07-19 22:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/19)ホテルのラウンジで聴く真空管アンプ

昨日泊まった都内のホテル。15年ほど前からお付き合いさせて頂いているTさんが館長をされていることを知り、今回初めてご厄介になりました。市ヶ谷駅から徒歩3分ということでロケも抜群。かなりハイクラスなビジネスホテルですが宿泊代金もお値打ちということで非常に人気のあるホテルのようですが、今回のお目当てはバーラウンジ。水~土の20時から営業されているそうですが、今回無理をお願いして中を見せて頂きました。何故かと言うと…
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カウンターとテーブル席のバーの先にある広々としたラウンジ。ここでウチの音が聴けるからです。テレフンケンPCL86仕様のSV-9Tと懐かしいkit LS3/5a(最終バージョン)。D/AはSV-192Sです。ラウンジのエアボリュームの効果も相まって実にたっぷりとスケール感豊かに鳴っています。
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それもそのはず。Tさんは極上の音でDECCA DECOLAを鳴らすオーディオの達人!オーディオの鳴らし方をよく分かっていらっしゃる!
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もう5年も前になりますが仲間うちでTさん宅にお邪魔した時の写真をFさんのブログから拝借しました。またあの妖艶な音を聴かせていただきたいものです。興味のある方は美味しいお酒とともにTさん肝いりの極上サウンドを体験しに市ヶ谷へ足を運んでみて下さい。

そのあとホテルのチャペルへ。年間300組の新郎新婦を送り出されるという人気の場所なんだそうです。
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手を叩くと残響が上に吸い込まれるていくような理想的な音響空間。
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本格的パイプオルガンも!思わずちょっとだけ弾かせて頂いて感動!素晴らしい響きと余韻。なんでも来年ホテルの改装工事が入る予定だそうで、その間隙を縫ってこんな場所で試聴会やコンサートなんてできたら素敵だろうなあ…そんなことを思わず夢想してしまったひと時でした。Tさんどうも有難うございました!
# by audiokaleidoscope | 2017-07-19 18:46 | オーディオ | Comments(2)

(7/18)ハイエンドクオリティのカッティングスタジオ

今日は都内スタジオの内覧会。多くの音楽関係者,技術者の方々で熱気ムンムン。
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3月に日本コロムビアのカッティングスタジオを訪問させて頂いて、このタイミングでミキサーズ・ラボがアナログカッティングに新規参入。アナログブームもいよいよ本格的になってきたことを肌で感じました。
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GEORG NEUMANN VMS 80。 当時82台しか製造されなかった大変希少なカッティングマシンです。 本機は、「ヒット・ファクトリー」,「マスターディスク」,「スターリング・サウンド」等でご活躍されたChris Muth氏によってチューンアップされたグレードの高いマシンだそう。
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コンソールで使用されているアナログ機材の多くはGrorge Marino氏が使用していたものという事。PYRAMIX(DAW)で最高384kHz/32bitまたは11.2MHz/1bitの音源をD/Aしコンソールを経由してカッティングアンプへ信号が流れます。
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そしてカッティングアンプで逆RIAAフィルターをかけてからラッカーを切るという工程になります。実際目の前でラッカーを切る工程を見させて頂いてディエッサー(歯擦音⁻しさつおん、シビランス-だけを狙ってコンプレッサー処理を施すこと)のかけ具合が大きく音質に影響することが分かりました。
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溝の拡大写真。溝のウロコにようにギザギザしている部分が高域成分。PYRAMIX直の音とラッカー盤の音を聴き較べてみると音の質感そのもの、特に中低域の滑らかさと温度感に大きな差異が出ることが一聴瞭然。
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ANTELOPEのA/D,D/A(中)とISOCHRONEのマスタークロック(下)。最新鋭のデジタル環境とヴィンテージアナログマシンが同居しているのはハイレゾを真空管アンプで鳴らす事に通じるものを感じます。ミキサーズ・ラボでは自社レコーディングの音源は勿論、持ち込み音源のカッティングも歓迎ということで、今後アナログの更なる高音質化が大いに期待されるところです。

先月末にはSONYがアナログのプレスに参入のニュースが駆け巡ったばかり。これからますますアナログが熱く燃えそうな予感に満ちた素晴らしい内覧会でした。ハイエンドな音楽制作環境を提供するミキサーズ・ラボがアナログカッティングで更に飛躍することを確信しました。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-19 06:31 | オーディオ | Comments(0)

(7/13)ハイエンド管球ブランドにみた共通点

今回の収録は私にとっても多くのオーディオファンにとっても特別な意味を持つことになるでしょう。

9/1オンエアの「ハイエンド真空管アンプブランドを聴く(フェーズメーション/オーディオノート)」。カタログや雑誌のレビューで見る(読む)ことは出来てもその音を聴く機会は稀。それが自宅に居ながら、自分のスピーカーで機器の音を体験出来、更には機器の開発者自身が語る音作りやポリシー、また製品の特長や強みなどを理解できるチャンスは今まで、そしてこれからもまずあり得ないからです。私自身にとってもこれほどエキサイティングなことはありませんでした。

スタジオ標準装備のSV-192PRO,SV-192A/Dは一旦撤収し、今回はカートリッジからパワーアンプまで全てゲストメーカー一色の音に染め上げてその”生音”をお届けします。
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フェーズメーション斎藤部長

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オーディオノート芦澤社長、マーケティング担当堀部さん


前半はフェーズメーション。
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カートリッジはPP-2000。フォノEQはEA-1000

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プリはCA-1000

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パワーはMA-2000(300Bパラシングル)。


フォノからパワーまで全てモノラル(×2)構成。更にフォノ,プリは電源別筐体という徹底ぶり。フルセットで約700万。増幅系すべての設計に携われる斎藤さんのポリシーは明快。直熱三極管がベスト。NFBは一切かけない。音のトランジェント(立ち上がり)と鮮度と音場こそが命。

そしてその言葉通り極めてリニアリティの高い音。極めてフラットレスポンスでありながら特に高域の情報量とスピード感は今まで体験したほどのない鮮烈さで、これはもう半導体だ真空管だの議論を全く超越したスーパープレゼンスというべき表現。何曲か聴かせて頂いてフェーズメーションサウンドの鍵を握っているのはCA-1000(プリ)ではないかと思いつつ、この尋常ではないSN比の高さを以てこの価格を妥当だというフェーズメーションファンが多数いらっしゃることが大いに納得できる結果となりました。日本刀でスパッと切ったような切れ味と広大な音場が極めて強い印象をとして残っています。

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後半はオーディオノート。

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カートリッジはIO-M。昇圧トランスはSFz。フォノEQはGE-1

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プリメイン Overture PM-2(EL34 ULプリメイン)。
機器間の接続はLS-41を使用。


オーディオノートの製品はまず市場で見ることがない幻のブランド。ケーブルは勿論、カートリッジからアンプの内部配線材、そして出力トランスの巻き線まで純銀の線材を使用。カップリングコンデンサーにまで銀箔を使用し、それらを全て内製(手作業)で一つ一つ作りあげる、まさに工芸品的モノづくりこそがオーディオノートのオーディオノートたる所以。最もシンプルなこの組み合わせで500数十万。

銀の音…それは今まではイマジネーションの世界。極めて繊細で、でも細身の音…そんな先入観がなかったといえば嘘になります。しかしその出音は意外なほどナチュラル。芦澤さんによれば目指すは”自然”で”響きの美しさ”があり”静かな音”。Overtureから紡ぎ出される音はEL34ppとは思えないほど弱音のニュアンスに富んだ静謐さが極めて印象的です。

Overtureがデビューする迄は全て直熱三極管を使ってきたオーディオノート社がEL34を使って三極管に迫るサウンドを目指した力作です。僅かにNFBを掛けることで音に落ち着きが出て活き活きとした感覚を損なわず安定性を確保したということでした。

続いて登場したのはセパレートシステム。

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プリはG-70。パワーはSOUGA(2A3パラシングル)。

オーディオノート社内では”プリティセット”と呼ばれるそうで、最上機種KAGURAの価格を以てすればプリ+パワーで約600万はプリティな価格と言えるかもしれませんが、その真意は音にあるとのこと。まずリファレンス曲を聴かせて頂いて私も膝を打ちました。


なんとチャーミングで豊かな響き!自然な倍音そして余韻、空気感…聴く側を寛ぎに導く音の魔法。芦澤さんによれば”側にいて欲しい彼女のような存在”なアンプになったとのこと。横で聴いておられたTさんも”これは素晴らしい。三極管の極致”と喜んでいらっしゃいました。因みに高級機で211を専ら採用するのは、そのリニアリティの高さと竹を割ったような鮮度感が欲しいからだそうで、こんどTさんと一緒に会社にお邪魔させて頂いて試聴させて頂こうという話になりました。スピーカーは現代ハイエンドが主流で、多くのオーディオノートユーザーがいわゆる真空管アンプでは鳴らし難いものを使い楽々ドライブしておられるとのこと。その制動力の高さも大きな魅力だろうと思います。

今回日ごろ滅多に聴くことが出来ない超高級セットで音を聴かせて頂いた訳で、フェーズメーションとオーディオノートの音はかなり傾向の異なる音でしたが、両社の音に共通するのは音の静けさ。”極めればSNに至る”というのが私にとっての今回の最大の収穫だったかもしれません。開発者自身の主張も併せて体験できた今回の収録で私にとっても忘れられない体験になりました。斎藤さん、芦澤さん、堀部さん、本当に有難うございました!




# by audiokaleidoscope | 2017-07-15 03:52 | オーディオ | Comments(0)

(7/12_2)MUSIC BIRDから国立劇場へ

今日から三日間東京。収録だったりお客さまサポートだったりその他諸々の案件をこなすタイトなスケジュールですが、今日はまず明日の収録のための機材準備から…。

明日の収録は今までと少し流れが違って今から早くもテンション高め。一本目はレギュラー物でゲストTさんと「ハイグレードアンプ特集」。私どもの製品の中で高価格帯でありながら人気モデルに育てて頂いた3機種(SV-8800SE/KT150,SV-91B/PSVANE WE,SV-284D)を同じ曲で聴き較べながらその個性を徹底研究しようという内容。いまのキット屋ラインナップのなかで最も自分がシンパシーを感じるSV-91B∔SV-284D(ブースターモード)の音も時間があれば聴いて頂きたいなと思っています。

明日のハイライトは何といっても二本目。巷間よく聞く”ハイエンドオーディオ”という言葉。90年代後半以降急激に高級化,高額化の一途を辿ったオーディオ。今や単品で100万,200万は当たり前。中には1000万を楽々超えるようなモデルがリリースされても驚かなくなった昨今。その一方で価格と品質(音質)がどこまでバランスしているのか…やはりウン百万の装置は10万,20万とは全く別モノなのか…そう訝る向きもあるという方もいらっしゃるかもしれません。

実は私もそんな一人。雑誌のカラー記事で麗々しいビジュアルを見ることはあっても実際じっくり聴き込んだ経験は殆どありません。そこで我が国を代表するハイエンド管球ブランド”フェーズメーション”さんと”オーディオノート”さんに無理を承知で「番組でその音を聴かせていただくことはできないでしょうか?」…とお願いしたところ、幸い良いお返事を頂くことが出来たのです。憧れのブランドの音を放送を通じて自分のスピーカーで聴けるなんてこと、今まで誰が予想したでしょうか?私自身もこういう形で収録に参加頂けるとは正直思っていませんでした。MUSIC BIRDでしか実現しない究極のメディアミックスと言えるかもしれません。早く音が聴いてみたい…もっと言えばその音を聴いて心底ノックアウトされたい…今はそんな気持ちでいっぱいです。
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そんな訳で明日の収録はいつものスタジオより少し広め。きっとゴージャズな一日になることでしょう!

搬入が終わって東京FMとなりの国立劇場へ。
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皆さんは長唄ってご存じでしょうか。唄と三味線,お囃子で構成される日本の伝統芸能の一つで動画サイトでもその素晴らしさを疑似体験することが出来ますが、大学の同級生のお父様が家元で本人も師範(但しそれを知ったのは卒業後25年近く経ってから)というご縁から今日伺った訳です。数年前に名古屋で彼女の舞台を見てとても感動し今回はちょうどタイミングが合ったので二度目のお席にお邪魔しました。

こうやって遺され、伝えられていく文化の奥深さと力強さにしばし陶然と…。楽器の上げ下げ、扇子の上げ下ろしなど一つ一つの所作の美しさを見ていると今の日本人がどこかに忘れてきた何かを思い出させてくれるようです。

清々しい気持ちで今から明日の進行と選曲を考えます。真空管アンプが長唄のように次の時代に受け継がれることを願いつつ…。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-12 20:28 | オーディオ | Comments(0)

(7/12_1)トライオード vs サンバレー

諸事情にて更新に間が空いてしまいましたが、無事戦線復帰しました!

今日は久しぶりのyoutubeアップです。直近のアップが「同じタマで一本勝負!①(Elekit+ADVANCE vs Sunvalley) 」(2/3オンエア)でしたので、今回はその続編「同じタマで一本勝負!②(Triode vs Sunvalley) 」(2/17オンエア)を追加アップ。
真空管アンプ界のトップランナーであるトライオードのアンプに対してサンバレーアンプはどこまで健闘できたのか?…是非ご自身の耳で判断いただければ幸いです!31:00前後の八木Dの伝説の超絶ツッコミ発言にも要注目ですよ!!

# by audiokaleidoscope | 2017-07-12 07:29 | オーディオ | Comments(0)

(6/30)都市と自然の共存

高原のキャンプ場…いやいやそうではありません。ここは名古屋の中心、栄(さかえ)。その名古屋のランドマークであるテレビ塔を中心に南北に走るグリーンベルトで都市と自然の共存を考えるイベントをやりたい…という話を伺ったのが3月か4月。経費はクラウドファウンディングで捻出することになるので成立するかどうかは分からないが協力して欲しい…そんなことから関わったこのイベント。今にも泣きだしそうな天気の中で準備が始まりました。
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100年後も都市の中で「森を感じられる街」…Connecting Greenをテーマに様々な準備が進んでいきます。
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こんなテントでゆったりとした時間を過ごせたら素敵だろうなあ。イベントテーマは「グラマラスキャンピング」。
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日本では余り見かけない北欧のキャンバステントの中にはハンドメイドのウッドチェアー、ベッド、ソファー、蒔きストーブ、アメニティが完備、お食事は本格的なフレンチを。
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会場中央部には星をイメージしたエレガントなデザインのビッグシェードが森を彩ります。贅沢な空間で寛ぐリビングスペースやバー、レストラン、ダイニングとして活用。
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テントのなか食事スペース本格的ジビエとアコースティックな音楽のコラボが始まろうとしています。だんだん辺りが暗くなってきて雰囲気が盛り上がってきました。
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私の今回のミッションは音楽でこのゴージャスなイベントをサポートすること。屋外で完全オープンな環境で真空管システムを稼働させた経験はさすがにほとんどなかったので機器の構成は結構悩みました。聴感上の指向性がシャープで抜けの良いサウンドを目指した結果…

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PCに環境音楽や自然音の生録音源を入れてSV-192PRO,SV-192A/D,SV-S1628D/845で鳴らしました。スピーカーはLM69で。鳥のさえずりを録った生録音源では「本当に鳥が啼いてるのかと思った」とたくさんの方から言われましたが、自然でうるさくなく、でもしっかりと浸透する音が出せたと思います。
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ディナータイムに入りアイリッシュバンドの生演奏が雰囲気を一層盛り上げました。100名あまりのエントラントは地元はもちろん東京はじめ各地から。盛装した大人たちのゴージャスなパーティ。都会の喧騒から逃れた静かな森という相反する魅力を併せ持った空間のなかで楽しむ「グランピング」(Gloulomous ∔ Camping の造語)がこれから一つのムーブメントになるのではないか、そんな気持ちになった、とても良いイベントでした。
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また来年もやりましょう!次回は9月くらいがいいかもね(笑)。



# by audiokaleidoscope | 2017-07-02 10:34 | オーディオ | Comments(0)

(6/22)小型,中型真空管アンプの魅力 & ターンテーブル2つのサンプルを聴く

MUSIC BIRD二本録り。一本目は7/21オンエアの「小型,中型真空管アンプの魅力に迫る」というテーマ。
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左からTEC-AMP 10B,TU-8150,SV-9T SE,SV-23D/6C6。いつも2台しか載らないテーブルに余裕で4台が並んでます。
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まずはTEC AMP 10B。132(幅)×96(奥行)×100(高さ)mm(真空管及び突起部含まず)というコンパクトさ。球はEi ElitesのECL805E(6GV8)です。Eiは旧テレフンケンの工場設備をユーゴスラビアに移設して稼働していた工場。操業を停止して何年にもなりセミヴィンテージ扱いされつつある状況です。出力は2.5W/chですが一聴して高域の伸びと明るさが際立つ爽快な音が印象的でした。

TU-8150は6AQ5シングル。6V6のMT管バージョンといっても良い球で、その昔五球スーパーラジオの低周波出力管として多用された極めてポピュラーな球です。製品に付属しているのは高信頼版のGE 6005W。TEC-AMPとの音色の差異は中域の解れ感に現れました。よりタマらしい寛いだ表現になったという感じです。

そしてTU-8150の最大の特徴は極めて簡単に出力管を6V6に交換できるところ。6V6はUS8ピンソケットですのでMT9ピンの6AQ5との差し替えは基本的に無理なのですが、そこはエレキット!出力管ソケットをユニット化して2本のネジだけでリプレイス可能にしたところが画期的です。その特徴を最大限に生かすべくJJ 6V6Sを標準装備(6AQ5もついて2種類の聴き較べができる)別注モデルがTU-8150SVです(参考記事はこちら)。せっかくの機会ですのでSV仕様の音も聴いていただくことにしました。
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シャーシサイズに比して出力管の存在感が少々寂しい感じの6AQ5仕様でしたが、6V6に替えるとグッとオーラが増す感じ…イッパシの真空管アンプの顔になりました。書き忘れましたが試聴はUL接続で行いました。6V6仕様にすることで音質…というよりアンプのグレードそのものが2ランクほどアップします。コスト対策としての6AQ5標準アンプにはなっていますが、このアンプは明らかに6V6においてその真価を発揮すると申し上げて良いでしょう。番組最後にゲストのTさんが印象に残ったアンプとしてTU-8150SVを挙げておられましたが、私も全く同感の好表現でした。
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後半戦は超小型プッシュプルとして10数年に亘り人気モデルとして一線を走り続けるSV-9T SEと2011年デビューのベストセラーモデルSV-23D。

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出力管は松下 6GW8で試聴。デビュー当時の「小さな巨人」というニックネームの通り、低能率の鳴らし難い小型ブックシェルフなどを楽々と制動するドライブ力の高さは今も健在で、プッシュプルアンプでしか聴けない厚みと倍音がこのサイズ、この価格で楽しめるところが9Tの最大の魅力です。
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そしてMUSIC BIRDでは恐らく初登場のSV-23D。今回は初段6C6バージョンで試聴。出力管はキット標準装備のRCA 807(1940年代)。ボンネットを外して写真を撮ると…このアンプが今の1616シリーズに繋がるモデルであったことが改めて分かります。本格的な手配線キットでありながら廉価で音質的にも徹底的にこだわったMADE IN JAPAN。サイズ的には16シリーズよりさらに2回りほどコンパクトですが音は本格派です。
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これが内部配線。これぞ原点!半世紀以上前から何も変わっていない真空管アンプの定番的スタイル。まるでエジプトのヒエログリフ(hieroglyph)を観るようですね。Tさんが23Dで使っていらっしゃるWE350Aも登場し、今回の中小型アンプ特集に華を添えてくれました。廉価=低品質ではないことをしっかりプレゼンできた収録になったと思います。

二本目は8/4オンエアの「ターンテーブル2つのサンプルを聴く」というテーマ。先日のアナログオーディオフェアのデモの完全再現版という感じでリファレンスソースもカートリッジも同じにしてA/B比較を行っています。
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前半はDENON103で4枚のLPを使用しサンプルA(上)→サンプルB(下)の順で比較試聴。それぞれの仕様はフェア会場で配付させて頂いたアンケート用紙を参照してください。違うのはターンテーブル本体だけで、その他の全ての環境は同一であるにも関わらず歴然とした音の違いにTさんも驚いておられる様子でした。Aは音像的なパワフルさ、Bは音場的な繊細さ。前にも書いたかもしれませんが不思議なのは聴感上の音量がBの方が1dB~1.5dBほど低いこと。これはオンエアを聴いていただいてもはっきり判る筈。Bの方がスピーカーの両側に展開する音場のステージが広いので積分的には同じエネルギーということかもしれませんが、改めて聴いても何とも不思議なことです。

後半はカートリッジをOrtofonSPU#1にチェンジ。オルトフォン=クラシック向きと考えている皆さんには是非オンエアを聴いて頂きたいと思います。カートリッジ本体重量30g,針圧4gの重量級カートリッジから極めてワイドレンジで情報量の多い再生をオンエアでも楽しめる筈。きっと考えを改めて頂けると思います。オルトフォンでもBの方が空間的表現においては優位で、女性ヴォーカルの間接音的ニュアンスや弦の倍音感は格別です。Aは音がグッと前に出る感じでパワー感溢れる描き出しです。ベルトドライブ,ユニバーサルアームという共通仕様の先にこれだけの差異(アナログの奥深さ)があることをリスナーの皆さんに知っていただく意味でも今回のオンエアは重要な意味を持つでしょう。
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2時間の収録が終わって”いやあ、今回の収録は楽しかったね!”と二人で振り返ることが出来たのは何より幸せなことでした。Tさんが”こりゃ、どっちが良いなんて言えないよね。両方良いもん”…っていたのがとても印象的でした。




# by audiokaleidoscope | 2017-06-24 06:50 | オーディオ | Comments(0)

(6/17)新旧のはざまで

アナログオーディオフェアが終わって今週は各地から試聴のお客さんが。大阪,福井,滋賀,千葉…。みんな目的はこれ。
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フェアと同じ試聴音源を使い、同じようにA/B比較をやるという流れ。改めてショールームで細かく聴き込んでいくと別の発見も。TypeA(黒)はワイドレンジで良い意味で音像的でガッツのある描き出しが特徴。Type(B)はハイファイ的で音場の広さと情報量の多さ。不思議なのはカートリッジも針圧も後続の増幅系も全く同じなのに聴感上の音量が1dB~1.5dBほどBの方が低く感じること。言い換えればBの方が静かに鳴る、というと分かりやすいのかな…敢えていえばAはMM向き,BはMC向きということかもしれません。

話は変わって今週の出来事。後ろを振り返る余裕もなく突っ走ってきたこの19年…。卸はいやだ、直接お客さんと一緒にモノづくりを…と思いながら気がつくと今になっていたという感じですが、ふと取った電話のお問い合わせは何と15年前のムック「おとなの工作読本」(誠文堂新光社)の広告について。
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”SV-7(五級スーパーラジオキット)が欲しいんですが”と仰る方はおそらく70代。IFT(中間周波トランス)の調達が出来なくなって泣く泣くディスコンということをご説明しながら、会社的には過去の製品がお客さんにとっては過去で何でもなく”いま”であることをちゃんと覚えておかなくてはならないと改めて感じました。SNSでこのことを報告すると”私もこのムックまだもってるよ”という方もちらほら。趣味の世界に新しいも旧いもないんだなあ、と。

そして同じ日。今度は球についてのお問い合わせ。機種名が曖昧ということで送っていただいた写真を見て驚愕。
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何と私の初代モデル”SV-1”(300Bシングル)。7044‐300B‐5AR4という構成で300Bは交流点火(ここはブレてない…笑)。おそらく総製造台数100台程度しかないスーパーレアモデル(1999)。まさかこのような形で再会できたことも驚きながら、現役で愛用頂けていることに心から感動しました。喉元まで”譲っていただけませんか?”と言いそうになるのを抑えながら、つい目先の事、先の事に心尾を奪われがちな仕事でありつつも自分の足跡(歴史)を忘れてはイカン!と強く感じました。

お客さんにとっては一台こそがすべて。そんなことを思い出させてくれた一週間でした。



# by audiokaleidoscope | 2017-06-17 10:22 | オーディオ | Comments(0)

(6/11)アナログオーディオフェア二日目

二日間のアナログオーディオフェアが終わり、都内での用事を消化して会社に戻ってきました。機材をショールームに復帰してホッとひと息。改めて二日目(というより今回のフェア全般)を振り返ってみたいと思います。

今まで初出展させていただいたアナログオーディオフェア、結論から先に言うと大正解だったと感じています。何より新しいお客さんとの出会い…おそらく全体の半数以上が私どもの事を名前は知っていても実態をご存じない方だったのではないでしょうか。プラスアルファ程度のつもりで持っていった16シリーズをご覧になって価格に驚きの声を上げられる方の実に多かったこと。いかに私どもがまだ知られていない存在であるかということを痛感しました。

二日目は時間をつくってなるべく他社のブースを覗かせていただきデモを聴かせて頂きました。たくさん写真も撮ってきましたので、そのなかで”おっ!”と思ったものをご紹介しておきます。
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今回何十という出展社のなかでその規模,展示,プレゼンテーション,集客…最高のパフォーマンスを示されたのはテクニクスだったのではないでしょうか。デモ中のお客さんの入りもダントツで特に初日は立錐の余地なそというほど。まあ会社の規模が違いますから…と言ってしまえばそれまでですが、それ以上の何か…それは伝えたいモノと気持ちがしっかりと来場者に届いたからでしょう。写真のSL-1200GRはもちろん、アンプもスピーカーもトータルで魅せるところはサスガです!

オフィシャルイベントでは…
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これはMJ(無線と実験)のデモ。柳沢正史さんがEimac 100THアンプでLPとSPをALTECのスピーカーで鳴らしていらっしゃいました。カートリッジはGEバリレラ。浸透力のあるスカッと抜けたサウンドが良かったです。
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これはMAYAさん(Vo.)のライブ。これも超満員で且つ物販はLPもCDもソールドアウトという盛り上がり。オーディオマニアの女性ヴォーカル好きはいつの時代も不変ですね。

もちろん出展社みな工夫を凝らした企画を展開。
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TOP WINGはピーター・バラカン氏を招いてトークショー…いやディスクジョッキーをやって大人気でした。製品関連で気になったブースをご紹介しますと…
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rega(UK)のターンテーブル。オーディオをポップに楽しもう!という感じが良いなあ、と。価格も実にリーズナブル。手軽にアナログを始めたい若者に勧めたくなりますね。
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TEACもリーズナブルなプライスで頑張っています。アナログ復興ブームも第二期に入りボリュームゾーンの製品をいかに投入してシェアを奪取するかというフェイズに入りつつあることを今回改めて感じました。
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こちらは6/1から輸入元がD&M(デノン/マランツ)に変わったpro-ject(オーストリア)の製品群。正式に導入が決まっている製品はまだ僅かなようですが、以前の国内価格の半額(以下)で急攻勢をかけて来そうな勢いです。これも一つの台風の目になりそうですね。

もちろんハイエンドゾーンも健在です。値段を見て音を聴いて溜息をつく…これもオーディオショーならではの楽しみです。
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巨大な211アンプが目を引くA&Mのブース。国内だけでなく海外でも人気の高いブランドですが、なかなかこうやって聴ける機会が多くないハイエンドブランドです。個人的にはもっと大型のスピーカーで朗々と鳴っている音を聴きたかったなあ、という気も…。
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これはTechDAS(テクダス)のAir Force III。テクダスの中ではエントリーモデルですが、それでもオプションやらを追加すると200万オーバーというもの。最上級機種のAir Force Iは1100万だそうです。スゴい!…欲しい!!
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増幅系ではPhasemation(フェーズメーション)が際立っていました。300Bのモノラルパラシングル300Bのバイアンプドライブ(計4台)で500万。その他オリジナルのカートリッジ,フォノ,プリまで入れると一軒家が建つという…。デザインもエレガントで素敵です。
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左に写っているアンプはオーロラサウンドのPADAというEL34三結パラPP。これも良い音していました。価格98万円と聞くとなんだかちょっとお値打ちに感じてしまう、オーディオショーの怖さ(笑)。

大きく言うとプレーヤーは価格が下がってきているなかで増幅系(特に真空管系)は高止まり感がある…そんな状況の中で奮闘している「中庸系」がトライオードと私どもという感じになるでしょうか。
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トライオードのいつもの見慣れたワインレッドのカラーリングの中に見慣れないアンプが…。ブラックとステンレスのコンビネーションでKT150のPP(右上)が今回初登場。その名は「武蔵」だそうです。主に海外での販売をイメージされているのでしょう。要注目ですね。

そして最後に私ども。今回の最大の目的であった2つの製品サンプルの比較試聴によるお客さまアンケート。
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二日間で約100件の貴重なご意見をいただくことができました。改めてご協力いただいた皆さんには心より御礼申し上げます。正確な集計はこれからですが、すでにハッキリした傾向が出ていて、おお!そうですか…フムフムという感じです。結果は10月の真空管オーディオフェアに何が出るかで決まり、ということにさせて下さい。もちろんこのまま製品化されるわけではなく、まだまだ改善,改良の余地があると思っていますので。

アナログ関連に限らず、オーディオ全般に言えることですが、極端に安いか、極端に高いか…ちょっと乱暴な言い方になるかもしれませんが、この”ふたコブ駱駝”の価格構成がこの業界の最大のクリアすべき課題ではないかと感じます。安いに越したことはない、でも安かろう…は要らない。もちろんお金に糸目はつけない…という方もたくさんおられる訳ですが、今回のアンケート結果に色濃く表れていたのは「価格は普通…でも品質に妥協のないモノが欲しい」というお客さまが如何に多いかということです。私どものアンプが球つきで大体10万~30万中心。今いちばん業界的に少ない”中くらいの価格で良いモノ”を目指して奮闘している訳ですが、今回展示させて頂いたアナログプレーヤーでも全く同じ傾向がフリー記入欄に書かれた皆さんの想いと共に伝わってきている気がします。
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並みいる大メーカー,大先輩たちに交じって今回久しぶりの合同展に出させて頂いた訳ですが色々なことを感じ学びました。実に世間は広く、そして多彩でありながら多くのお客さんが考え、望んでていることはそれほど大きく変わらないということ。少なくとも私どもに期待されていることが今回さらに明確になったような気がしています。
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ウチもひと目ぼれされるような魅力ある製品を作らないと…(笑)。そのためには周到かつ綿密な計画も必要ですが、自分の感覚(感性)を信じて突き抜けるパワーも同時に忘れないでいたい…今回とくにそう感じた気がします。

来年も是非出展させて頂きたい!…そう心から思えたアナログオーディオフェア2017でした。お世話になったすべての皆さん、有難うございました!!また来年会いましょう!!



# by audiokaleidoscope | 2017-06-12 19:24 | オーディオ | Comments(0)

(6/10)アナログオーディオフェア初日

初出展のアナログオーディオフェア初日。ぶじ終わりました。

まず感じたのは会場の熱気。今までいろんなイベントを見てきましたがブースによってお客様の入りにバラツキがあったり、デモ内容にもレベル差を感じたりすることが多かったのですが、今回どのブースを覗いても試聴席は満席どころか立見が出るような状況で、会場全体が非常にお客さんのパワーと情熱に満ちた非常に良いイベントだと感じました。

そしてもう一つ。正直今回大部屋出展で「ホントは個室が良かったなあ」という気持ちもあったのですが、一日終わってみると他のメーカーさんのデモをじっくり聴かせていただくことが出来て大部屋でよかったなあ、と感じています。確かにデモ時間は短い。一日2回、それも短時間のデモしか出来ないことは少々勿体ない部分もあるかもしれませんが、その分多くのお客さんと色々お話が出来たり、製品に対する質問や要望を直接伺うことが出来ることは大きな収穫でした。そして何より他のメーカーさんのデモを聴いていて本当にオーディオと音楽を好きな人たちがこの業界を支えているんだなあ、という嬉しさと誇らしさを感じることが出来て、とても満足しています。みんな最高!です。

会場の様子ですが…
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これが私どものブース(503号室)。お隣はD&M(デノン/マランツ)さんです。展示だけですが16シリーズも並べています。
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これは試聴席の前に並んだ各社のパワーアンプ。今回284Dと91Bを持ち込みました。私どものアンプだけがヒト桁安い価格帯で少々不釣り合いな感じもなくはありませんが頑張ってます。デモスピーカーはソナス・ファベールとB&W。私どものデモではB&W 804D3で行っています。
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これが今回の主役。サンプル2種(TypeA/TypeB)を並べて交互に音を聴いて頂いておりますが、試聴頂いたお客さんにアンケートをとらせて頂いてどちらが皆さんのニーズに近いのかを確認させて頂いています。ベルトドライブでユニバーサルアームという点では共通ですが、それぞれに特徴があり、私としてはそれぞれに想いもあり、どちらかに絞りこむことが出来ていません。今回のアンケート結果に基づいて更に音質と品質を高めつつ、皆さんのニーズによる近いものを作りこんでいきたいと思っています。一人でも多くの方にアンケートにご参加いただきたいと思っています。
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デモ中はこんな感じ。真空管オーディオフェアでいつもお見掛けする皆さんもデモを聴いて下さって百万の援軍を得た想いでしたが、新しいお客さんとの出会いも実に新鮮。二日目も完全燃焼したいと思います。少し時間をとって各社のアナログプレーヤー群の写真も撮らせて頂いてアップできたらなあ、と思っています。初日に来られなかった皆さんも是非ご来場ください。私のデモは12:20~/16:00~の二回です!!





# by audiokaleidoscope | 2017-06-11 06:17 | オーディオ | Comments(0)

本ブログ掲載内容は私人の見解であり、(株)サンバレー(ザ・キット屋)の立場,戦略,意見を代表するものではありません。


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