(9/24)”真空管オーディオフェア”出展概要

10/9(土)~10(祝)に迫ってきた”第22回真空管オーディオフェア”への私どもの出展内容を発表しました。現在色々とネタを考えているところですが、一つの目玉はこのアンプになりそうです。
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久々の手配線メインの送信管シングル、それも211/845コンパチです。ここ数年で最大のヒットとなりました”1616シリーズ”の最終モデルとして設計開発を行いました。恐らく世界中でも類例のない送信管アンプキットの灯を消してはならないという強い想いのもとリリースするニューモデルです。まだ試評価中段階で現状では仮仕様なりますが、ざっと紹介しますと

SV-S1628D(キットのみ:日本製)
形式:845/211シングルパワーアンプ
入力:ライン1系統 ボリウム付き
配線仕様:手配線(電源部は基板)
SPインピーダンス:4/8/16Ωから製作時に1系統選択
使用真空管:845または211×2 12AU7×2 12BH7A×2 ※真空管別売
定格出力: 845:16W+16W以上, 211:7.5W+7.5W以上 (8Ω,THD:10%) 
周波数特性:15Hz~60kHz(1W/8Ω/-3dB)
ゲイン:845: 23dB, 211:26dB(8Ω)
サイズmm(突起部含む):W410×D275×H240
ボンネット:なし

予価129,000円(税別:真空管別売)

というところ。90年代終盤以降、一貫して送信管の狼煙(のろし)を上げてきた私どもが”価格よし、作って楽し、聴いてよし”の王道を目指しました。価格を抑えながらもトランス類を中心としたキーパーツにはしっかりと物量を投入したMADE IN JAPANモデルです。フェアではこのモデル専用のデモタイムを設け、しっかり聴いて頂く予定です。

なお今回の先着粗品は四家卯大さんの新譜”犬とたまねぎ”で決まりました(両日とも先着50名さま)。整理券のダウンロードはこちらから!もちろん四家さんのミニコンサートも行います(10日 14:30~15:00予定)。

…そんな訳で今回もサンバレーブースは熱く燃えます!今回も沢山の方と交流できるのを楽しみにしています!!

# by audiokaleidoscope | 2016-09-24 09:40 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(9/11~12)チェリストとヴォーカリストが選ぶナンバーワン真空管

今回の上京は弾丸一泊二日。まずはKさん宅へ納品からスタート。
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SV-91B(オールPSVANE/WE仕様)。最近91BはPSVANE指定がずいぶん多くなってきました。音のイメージとしてはノーコンプの音源に近い感じ。音の粒立ちが細やかでピークでも頭をぶつけないヘッドルームの高さが最大の魅力です。本家ウエスタン300Bが復刻(1997以降)で20万オーバー。オリジナル(1988以前)で軒並み30万オーバーという状況の中で現実的選択としてPSVANE/WEに需要が集中するのは或る意味当然なのかもしれません。

続いてはHさん宅。前回お邪魔してから約一ヶ月。今回は出力管をKT120→KT150に変更して且つプレート電圧を上げる”裏コマンド”発動が目的です。KT120のソリッドでハイコントラストな表現を一層スケールアップして中低域の量感を増すにはKT150がぴったり。短期間でビーム管の四番打者になりました。
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これが裏コマンド作業中のスナップ。SV-128Bは基本KT88/6550/KT120/KT150コンパチの固定バイアス(推奨バイアス電圧0.65V)でありますが、KT120/KT150専用のハイオペレーションモードが用意されています。出力管のプレート電圧が上がり、更に骨太でドライブ力がアップ。
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バイアス電圧の最終調整中。B&W805からフロアスピーカーのようなスケール感が出てHさんもご満悦でした。

二日目はMUSIC BIRD”大橋慎の真空管・オーディオ大放談”の収録。今回は2本録りでいずれもスペシャルゲストをお迎えして楽しい収録になりました。一本目はチェリスト四家卯大(しか・うだい)さん。
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テーマは”チェリストが選ぶナンバーワン出力管はこれだ!”。様々な出力管で四家さんの新譜「犬とたまねぎ」(10/10)発売をリファレンスソースとして使用し、最もチェロが良い音で歌う出力管とアンプの組み合わせを見つけていこうという企画です。使用アンプは

SV-S1616D/KT66,KT150
JB-320LM/2A3,300B
SV-P1616D/KT88,KT120
SV-2300LM/2A3,300B

の8パターン。いつものようにアンプの出力端子とミキサーを直結する方法でオンエアで比較試聴できるというゴキゲンな企画です。ソースは6月にレコーディングしてから三ヶ月、やっと出来上がったCDです。
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音の面からお手伝いをさせて頂いたこの作品。私のミッションはコンプ,EQ,ディレイは基本的に排除して、出来るだけ”生のチェロの音”をパッケージすること。その点では今までのチェロのアルバムとは少し音の景色が異なって聴こえるかもしれません。そして最も音が変化するA/Dプロセスにおいて真空管を使って音の質感を損なわないこと。となれば登場するのは当然SV-192A/Dを他においてありません。このCD、発売日は10/10。真空管オーディオフェア会場でレコ発記念のミニコンサートも予定しています。

チェロといえば直熱管。チェロといえば300B…というほど定着した組合せで、収録前は私も内心”きっと四家さんは300Bを選ぶんじゃないかな…お使いのアンプもJB-320LM/300Bだし”と思っていたのです。しかし!です。計8通りの比較試聴を終えて四家さんが選んだアンプ、選んだ球は私の予想を遥かに超えるもでした。ちょっとビックリして”どこが良かったですか?”とお尋ねすると”最も生のチェロの音に近いと思ったのがこの組み合わせだったから”という回答。オンエアは10/14(再放送10/21)。是非皆さんも自分の耳でスピーカーから出る百花繚乱の音の違いをチェックしてみて下さい!

そして二本目のスペシャルゲストは井筒香奈江さん。
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テーマは”真空管ブースターアンプの魅力を検証する”。ブースターアンプの本当の効果はパワーアップでなく増幅系のゲインの適正配分によるローレベルの解像度,聴感上のダイナミックレンジのエキスパンドであることを実際聴いて頂こうという企画です。リファレンスソースは井筒さんの新譜”リンデンバウムより”(9/14発売)。
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これまでの”時のまにまに”シリーズとはずいぶん変わってますから!と以前から伺っていたこの新譜。従来の”ささやき系”からライブネスを重視した音作りに変化しています。でも彼女の良さは失われていないナカナカの佳作。選んだアンプは

SV-S1616D/KT66
JB-320LM/2A3
SV-P1616D/KT120
SV-2300LM/300B

の4通り。そしてそれぞれでSV-284Dありとなしで計8通りの比較試聴です。結論から先に申し上げてしまうと、ここまで放送で違いが出るか!というほどの差異が現れました。ニュアンス,空気感,余韻…あらゆる音の要素が全く異次元にまだ高まることを皆さんの耳で感じて頂けることでしょう。これまで何種類もの845アンプを使ってこられたTさんも”ここまで変わるんですね!これは危険なアンプです!”と仰るほど。これまでいろいろなパターンでオンエア比較試聴をやってきましたが、変化の大きさでは三本の指に入る変化の大きさだったと言えるでしょう。
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これはSV-S1616D/KT66+SV-284Dの接続風景。SV-284Dは図体もデカいが効果もメガサイズです。香奈江さんが興味深いことを放送のなかで仰っています…”この変化はマイクの違いに似てる。良いマイクほどフッとした息遣いや楽器の僅かなニュアンスを良く出します。良いマイクほど歌い手は無理しないで声を出せるんですが、このブースターを繋ぐとまさにそんな感じに近い何かを感じます”と。

多極管シングルのクリアなエッジ。三極管シングルの繊細さ。多極管ブッシュプルの制動力。三極管プッシュプルの豊穣な響き…それらにSV-284Dを追加した時の差異とその美音を是非みなさんご自身の耳でお確かめ頂ければ幸いです。オンエアは10/28(再放送11/4)です!サンバレーのアンプは刈谷に行かないと試聴できないじゃないか!という方、是非放送で、自分の部屋で、自分のスピーカーでお楽しみ頂ければと思います。



# by audiokaleidoscope | 2016-09-13 13:44 | オーディオ | Trackback | Comments(2)

(9/10)foobar2000のバージョンにご注意を!(SV-192S/DSDをお使いの方にお知らせ)

PCオーディオをWindowsでやっている方にとって欠かせぬ存在、foobar2000。フリーウエアでありながら極めて高性能且つ高音質。プロ/アマ問わずfoobarが起動しない日はない、という方も多い筈。初期設定がやや複雑という側面はありますが、自分の使い勝手に合わせてカスタマイズも容易で私もコレなしでPCオーディオの運用は考えられません。私の現在の画面設定はこんな感じ。
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大変便利なfoobarですが、ちょっと注意したい点もあります。フリーウエアならではのアップデートが頻繁に行われることによって従来使えていたユーティリティが動かなくなったり機器が反応しなくなったりすることが時々起こるのです。これが有償ソフトであればメーカーサポートに助けを乞うなどの方法もありますが、フリーゆえ英語のフォーラムに参加して情報を得る事ぐらいしか出来ません。

今日はそんな一例をご紹介しましょう。今やfoobarではDSD512(22.4MHz/1bit)まで再生可能な時代になりましたが、その一方で音質重視の方から今なお多数愛用頂いているSV-192S/DSDオプション。単に量子化戦争だけでは語れない本質的な音の良さを追求し、2008年に技術的検証を既に終えながら4年間に亘りチューニングを行い2012年に発売。今でもDSDはこれ一本!という方が多くいらっしゃることは大変光栄なことです。

そんなDSDオプションですが最近こんなお問い合わせを頂きました。少々長くなりますがHさんからのご連絡を原文のままご紹介させて頂きます。

SV192S/DSDにてDSD再生を楽しんでいます。最近PCのFoobar2000をアップデートした後DSDファイルの再生ができなくなりました。
1.アップデートの内容
① Foobar2000をVer.1.3.8からVer.1.3.11にアップデート
② Super Audio Decorderを Ver.0.9.11にアップデート
2.不具合の内容
Playボタンを押すと「Unrecordable Playback Error : Sample Rate of 44100 Hz not supported by this device」が表示される。
3.トラブルシューティングの情報
取扱説明書p.9 2.6 の手順で設定を確認しました。
③ のSIC USB Audio Control Panelダイアログで取説の画面と若干違いがあります。
   ・PC画面では、「Latency: 20.0ms (56448 samples)」と表示される。(取説では882 Smples)
   ・PC画面では、左側の枠に「SV-192SUSB Audio DSD」と表示される。(取説では当該表示なし)
   ・PC画面では、 「Sampling Rate 」欄に2.8224 MHz と表示されている。(取説では44100Hz)

という内容です。私自身最近アップデートしていなかったのでこの不具合に気づいておりませんでした。アップデート直後はこういう問題が起こることがしばしばありますので、安定して動作している間は積極的にアップデートファイルをDLしないようにしていたこともありますが、早速ver1.3.11をDLしてみると確かにHさんと同じ状況でした。

詳細を確認してみるとv1.3.9以降、仕様が大きく変わっています。具体的にはfoobar2000 v1.3.8 + foo_input_sacd-0.8.4 以前はASIO Proxy driver をインストールする必要がありましたが(foo_input_sacd-0.8.4.zip に AsioProxyInstall-0.8.3.exeが同梱)、foobar2000 v1.3.9 + foo_input_sacd-0.9.0 以降はASIO Proxy driver が不要となっています(foo_input_sacd-0.9.0.zip に AsioProxyInstallは非同梱)。

試したところv1.3.9 + foo_input_sacd-0.9.xではfoo_input_sacd のバージョンによって再生できない場合がありましたので、SV-192S/DSDをお使いの皆さんには動作が安定しているfoobar2000 v1.3.8 + foo_input_sacd-0.8.4環境下での使用をお奨めします。

なお、foobar2000 v1.3.11 + foo_input_sacd-0.9.11 でも再生できることは確認済です。
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この画面のように「Playback」-「Output」の「Device」項目で「DSD:ASIO:SIC USB Audio」を選択して頂くと再生が可能です。少々細かい話なりましたがこの情報を知らずにcore(基本プログラム)をアップデートしてDSDが走らなくなっても自力で対策することは不可能に近いと思いますので、この場をお借りして共有させて頂います。バージョンダウンするというのは少々勇気が要るかもしれませんが、安定性こそ最重要ですのでお困りの皆さんは是非お試しください。Hさん、情報有難うございました!



# by audiokaleidoscope | 2016-09-10 21:52 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(9/3)9月の開放日レポート

先月の開放日にショールームでいつものように皆でお喋りしていた時、なんとなく”次回は第二で…”ということになり、その場にいらっしゃった有志で第二に集まることに。予想以上の人数になった関係もあって午前/午後/夜の三部制に分けて開催となりました。何枚か撮らせて頂いたスナップを交えながらレポートします。
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第一部の主役はSV-284DMIDVP-2500SEで鳴らすHさんが更なる高みを目指して284Dを加えたらどうなるか...の検証。まだまだブースターアンプの効果については十分認知いただけていないことを痛感しますが、以前申し上げた通り「パワーアンプ(たとえば300Bシングル)単体で5Wで出ていると仮定します。これに284Dを加えて同じ5Wを得たと仮定すると前置されている300Bシングルの出力は1W前後になるでしょう。つまり単体ドライブ時よりも遥かに歪みの低い(=言いかえればもっとも美味しい)領域で、三極管シングルの最大の特質である透明感が一層際立った音質で楽しむことが出来る」ことが最大の特長といえるでしょう。

更にいえば増幅系のゲインが上がることでローレベルの情報量と中低域の厚み(ドライブ力)の圧倒的差異は聴いて誰の耳にも明らか。2500SEが繊細感とクリアネスを狙ったヴォイシングでしたので、284D効果は更に明白で、Hさんと同席されたKさんからは「完全に次元が違いましたね」というメールも頂いたほど。
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ウ~ムと唸るHさんとKさん。次回は実際MIDで体験してみましょう!
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第二部はオフ会のノリ。フラメンコダンサーのTさん、ピアニストのSさんを交え、DVDを観たりyoutubeの気になる動画を観ながら音楽談義とオーディオ談義。今回の道場破りはYさんのFPGA方式のFMチューナー。以前いちど会社で見せて頂いた時はアンテナが仮のものであったので、その真価を確認するところまでいかなかったのですが、今回は環境的にも整っていますので、常用のバリコン方式のFMチューナーとの一騎打ちをとても楽しみにしていたのです。
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これがYさん自作のFPGAチューナー。FPGA=デジタルな訳でバリコン万歳!の私としては多少色メガネで見ていた部分もあったのですが、鳴らしてみてその自然な音色に大いに見識を改めたところです。デジタル臭は全くと言っていいほどなく、ダイナミックレンジがコンプレスされた感覚も皆無で逆に中低域は弾むような弾力があり大変好感を持ちました。アナログ出力とデジタル(optical)出力の両方を備え、デジタル出力は48k/96k/192kが選択できますので迷わず192kを選択してSV-192PROに接続して、いま”ようこそ!オーディオルーム”のOAを聴いていますが、正直私が今まで使ってきたアナログチューナー(ハードオフのジャンクを入手しコンデンサー等をフル交換したもの)よりも高域の荒れが少なく滑らかな音で、思わず暫くレンタルをお願いしてしまいました。市場で販売されている完成品もあるようで触手が動きます。

現在は第三部が進行中。時間的に自ずとお酒になり、ロック,ブルースのライブBD/DVDを観ながら大いに盛り上がっているところです。次回開放日は真空管オーディオフェア(10/9~10)明け。日程が決まりましたらホームページで告知致します。堅苦しいオーディオ薀蓄は皆無。音楽好きが集まって自分の好きな音を大いに語り合う、とても楽しい一日です。まだ参加されたことのない方も是非お立ち寄り下さい!



# by audiokaleidoscope | 2016-09-03 22:23 | オーディオ | Trackback | Comments(4)

(9/3)RVG(ルディ・ヴァン・ゲルダー)追悼特番

今夜の”ようこそ!オーディオルーム”は予定を変更して去る8月25日、91歳で逝去したジャズ史上最も有名なレコーディングエンジニアであるルディ・ヴァン・ゲルダーの追悼番組をお送りします。

ブルーノートをはじめ、プレスティッジ、インパルス!などにて数えきれないほどの名盤の録音を手掛けた、名手RVGの偉業とともに遺された音源をスペシャルゲストSさんのナビゲーションとともにお送りしていきます。是非お聴きください!PC,スマホで聴かれる方はこちらから。では22時にお会いしましょう!
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# by audiokaleidoscope | 2016-09-03 12:08 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/27)ラジオキットを組立てよう!

夏休み最後の週末はラジオ組立教室の講師。今回も200組強の申込者から抽選で選ばれた約30組の親子を対象にAMラジオキットを組立てました。
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先ずは、そもそもラジオって何だろう?というお話。私たちの周りを無数に飛んでいる電波の中から中波帯域を検波し、高周波増幅,低周波増幅して音として聴こえるようにするのがラジオなんだよ、ということからスタートしました。
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そして間違いが多い部分の説明。IC,電解コンデンサーには極性があることを説明。
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ハンダ付けが初めてという子供も多いのでまずは見本を見せます。大人でも”ハンダを溶かしてくっつける”と思っている方が少なからずいらっしゃいますが、ハンダの基本は

1.被ハンダ箇所(ランド,ラグ)をハンダコテでハンダの融点以上にまで熱する(3sec程度)
2.そのうえでハンダをあてがうと自然とスルっとハンダが溶けていく。
3.しっかりハンダが流れたことを確認してからコテを離して息を吹きかけ強制空冷。

この動作をしっかり見てから練習基板でコツを覚えてイザ本番へ!
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組立が始まって会場を巡回しながら気の付いた事をアドバイスしたりサポートしたり。
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”こんな風にやるとキレイに出来るよ”ということも見て覚えてもらいます。
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子供はみんな天才!どんどん吸収してどんどん上手になっていきます。
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組立時間はだいたい2時間。組み上がった子から各部を点検していきます。子供たちも俄かに緊張してチャンとなるかどうか心配顔。電池を入れ、ヴォリュームを上げ、同調して…やった!放送が聴こえる!!この時の子供の笑顔を見るのが嬉しくて毎回やっているような感じです。いまから45年前、私も初めて作ったゲルマラジオが鳴った感動があったから今この仕事をさせて頂いているようなもの。未来のアンプ職人が出てきてくれると更に嬉しいなあ…なんて(笑)。

今回も全員の方が無事完成。モノづくりの感動をシェアできて大変うれしい一日になりました。講師に呼んで下さったトヨタ産業技術記念館の皆さん、そして参加者の皆さんには心より感謝申し上げます。

※掲載写真は参加者の同意のもと主催者事務局が撮影し、転載許可を頂いたものをアップしています。

# by audiokaleidoscope | 2016-08-28 06:24 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/20)9月のお題は「高槻 vs PSVANE vsウエスタン」と「整流管のマジック!こんなに音が変わっていいの?」

今回の”大放談”収録は9月放送分の2本録り。

9/16(再放送9/23) 「高槻 vs PSVANE vsウエスタン」
9/30(再放送10/7) 「整流管のマジック!こんなに音が変わっていいの?」


というテーマで進行。いつものように台本,筋書きなしの本番勝負!答えは音のみぞ知る!に徹してガッチリ行いました。
因みに一本目の番宣ビデオはこちらでご覧いただけますが、オーディオ用出力管のなかで不動の人気ナンバー1を誇っている300Bの最高峰といえばWestern Electric(ウエスタン・エレクトリック)。しかし製造中止後はや10年が経過し、既に伝説の存在になろうとしているだけでなく、価格も非現実的に上昇しており、製造当時の価格の3倍近くまで跳ね上がってきていいるなか、近年ウエスタンに迫る品質,音質として幾つかの高級300Bが登場してきています。今回はその新興勢力の真価をSV-S1616D,SV-91B,LM91A三種類のアンプで総まくりテストしてみようという企画です。

登場したのは…
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本家Western Electric 300B(復刻&オールド)

の四種類。ともすると現行300Bは本家には敵わないという風潮が長く続いてきましたが、果たして結果は如何に!?…是非オンエアをお聴き逃しなく!!というところです。

二本目は整流管の比較試聴。これも実に興味深い結果が出ました。出力管の差し替えは真空管アンプユーザーのたしなみの一つですが、整流管まで差し替えて楽しむ剛の者は少数かもしれません。整流管は今でいえばダイオード。これがどれだけ音の変化に影響があるか、実際に聴いて驚いて頂こうじゃありませんか!というテーマです。整流管も出力管と同様、最近高額ゾーンの現行品が少しづつ出始めています。現行球の多くが数千円であるのに対して2万円~3万円ゾーンのニューカマーは本当に価格なりの音と品質なのか?相当際どいコメントも飛び出しつつ番組は進行していきます。5AR4/GZ34はSV-S1616Dで、5R4系,274B系は91B/91Aで恐らく合計10数種の整流管が登場しますので、”電源素子でホントに音が変わるのかな?”と思っていらっしゃる方は自分の耳でお確め頂く絶好のチャンスです。

以下はホンの一例。
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JJ/GZ34
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松下/5AR4
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STC/CV717
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…そして本家Western Electric WE274!さて現行整流管は全盛期のオールドに迫るのか?或いは凌駕するのか?…全ての真空管アンプファンに捧げる”生のオーディオレビュー”番組です。評論するのは皆さん自身です!!



# by audiokaleidoscope | 2016-08-21 23:22 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/16)詠み人知らず?

今日は”こんなこともあるんだ!?”というお話。ラジオ番組を担当させて頂くようになって毎回一番悩むのが選曲。せっかく多くの方に聴いていただくなら演奏も音質も良いモノを選びたいし、その昔…自分が中高生だった頃、すべての音楽情報をFMから得たように、番組を聴いて”こんな良い曲あったんだ!”と思ってもらえるように、こう見えて選曲にかなりに時間を割いています。

昨日が”ようこそ!オーディオルーム”(8/20のOA)の収録日で、その準備のため選曲していた時のことです。”ようこそ!”では毎回4つのコーナーを用意していますが、最初のコーナーが”クラシック リファレンス セレクション”です。皆さんがよくご存じのクラシックに名曲を異なる二人(二組)の演奏を聴いていただき、その解釈の幅広さを楽しんでいこうという狙いです。

次回のOAではバッハのゴルトベルク変奏曲にしようと思い、自分が持っているCDやハイレゾ音源から何を選ぼうかと悩んでいた時です。私がゴルトベルクでナンバーワン!と思っているのがピエール・アンタイ(仏)のチェンバロ独奏。試聴会のデモでも何度もリファレンス曲として聴いて頂き、沢山のお客さんがこのCDをお持ちの文字通りリファレンスディスクの一つ。
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何しろ音質,演奏が素晴らしい!元々ゴルトベルク変奏曲はチェンバロのための練習曲であり、全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の最終巻の別名。つまりチェンバロで聴くゴルトベルクこそがこの曲の本来の姿であり、その中でも珠玉の名演であり、名録音がこのアンタイの演奏だと個人的に思っています。

クラシックは楽譜という台本を演奏家がどう朗読するか…例えば速さ、例えば間合い、例えば情感の込め方によって受ける印象が大きく変わります。言い換えればクラシックの醍醐味はこの”人による揺らぎ”を楽しむ芸術ともいえる訳で、クラシック音楽が如何に雄弁であり、如何に多様であるかを知って頂きたい訳ですが、このアンタイの作品と対比するに相応しい演奏はないか...と思いながらハイレゾDLサイトを覗きつつ試聴トラックをチェックしながら良い演奏を探していた時、あるトラックを聴いていて、あれ?と思いました。アンタイの音と演奏にそっくり...演奏家の名はブランディーヌ・ヴェルレ
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アンタイは私と同じ’64年生まれの男性。ヴェルレは70代半ばの女性。フランス人という共通項はあるものの、こんなに演奏がそっくりなんてことはあるんだろうか...いやいやそもそも楽器が違う。アンタイはモダン(1985年製ブルース・ケネディ作)だし、ヴェルレはオールド(1751年製アンリ・エムシュ作)の筈。ここまで音色が似ていることは考え難い。

そこでヴェルレの音源(ハイレゾ)をDLして通して聴いてみることに。そして疑念は確信に変化しました。これは同じ音源であるに違いない。ゴルトベルクは32のバリエーションで構成されていますが、全てのトラックで1/1000秒まで演奏時間がドンピシャ。演奏途中で微かに聴こえる暗騒音の箇所も全く同じ。FFTで比較してみると
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上がアンタイ(CD音源)。下がヴェルレ(ハイレゾ)。画像を拡大して頂くと分かると思いますが、ヴェルレ版の方がピークレベルが僅かに上げられていますが、後は全く同じ。ヴェルレ版は44.1k/24bitで配信されていますが、恐らくマスターは同じものでしょう。

さてこれをどう理解するか?かれこれ15年、自分が愛聴してきたアンタイ版が実はヴェルレの演奏だったのか?...はたまた逆なのか?こうなると半ば意地になってヴェルレの他の音源を探してみます。幾つかのサイトを検索するうち、同タイトルと思しきCDの試聴ページにヒット。聴いてみるとハイレゾ版とは全然違う演奏が聴こえてきます。これで半ば謎が解けました。つまりハイレゾサイトで配信されているヴェルレの音源がアンタイ版と入れ替わってしまっている可能性がある(かもしれない)。

配信元の名誉のために補足しておきますと、配信サイドとしては提供された音源をそのままアップロードするだけで故意に音源を入れ替えたり加工することはありませんし契約上許されることではありません。つまりその前のどこかの段階で音源が入れ替わってしまったと考えられる訳で、このミステリーが解けることがあるか否か...。念のため配信元には連絡をしておこうと思います。

そんな訳で今週末のOAではアンタイの音源はやめてピアノ独奏と弦楽合奏の2つのバージョンでゴルトベルクを対比することにしました。ピアノはアンドラシュ・シフ。これも実に美しいです。お楽しみに!!



# by audiokaleidoscope | 2016-08-17 00:37 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/13)バッハ”平均律(Well-Tempered )”からジャーニー”Escape”へ

夏休みになって実家へ帰省したり、旅行に行かれたり、久しぶりに家でゆっくりレコードに針を下ろしたり…皆さん思い思いの方法で楽しんでいらっしゃる様子がメールやSNSから伝わってきます。キット製作に勤しんでおいでの方からのご連絡も沢山…私は今日は打ち合わせと納品でしたが、お休み後半には頼まれたキット製作をやる予定ですので、このブログでも製作記をアップ出来たらと思っています。

さて今日は土曜日。先週ご紹できなかった8月前半の”ようこそ!オーディオルーム”の内容を告知させて頂きます。今回から”クラシックリファレンセレクション”の内容が少し変わっていますので、是非お聴き逃しなく!!これまではいわゆるクラシックの名盤をピックアップしてお送りしてきたこのコーナーですが、今回から少し趣向を変えて、曲そのものに注目し、皆さんがよくご存じの名曲を異なる二人の演奏から、その解釈の幅広さを楽しんで頂きます。

クラシックは楽譜という台本を演奏家がどう朗読するか…例えば速さ、例えば間合い、例えば情感の込め方によって私たちが受ける印象は大きく変わります。言い換えればクラシックの醍醐味はこの”人による揺らぎ”を楽しむ芸術ともいえ、このコーナーを通じてクラシック音楽が如何に雄弁であり、如何に多様であるかをリスナーの皆さんと共有出来れば…というアイディア。このコーナーを通して“クラシックは退屈”ということが大きな誤解であることに気づいて頂けると確信しています。

・クラシックリファレンスセレクション
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セリーヌ・フリッシュ/J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

セリーヌ・フリッシュはカフェ・ツィマーマンでの活動のほか、ソロ活動でもフランスを代表するチェンバロ奏者で、中低域のふくよかさと高域の繊細感などチェンバロの魅力を活かしきった極めて清らかで気品に満ちた演奏を聴かせています。
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アブデル・ラーマン・エル=バシャ/J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

エル=バシャはレバノン出身のピアニストで78年、エリザベート国際コンクールで審査員全員一致による優勝、併せて聴衆賞を受賞しました。優れたテクニックに支えられた威厳に満ち、明快でしかも静けさに満ちたな演奏は世界中で絶賛を浴びています。さて皆さんはどちらがお好みでしょうか?

・ようこそオーディオルーム特選!”ジャズ名盤100”
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マイルス・デイビス/Kind of Blue

累計売上げが全世界で1000万枚を超える、もはや20世紀を代表する1枚となった「カインド・オブ・ブルー」。このアルバムだけで一冊の本が出るくらいの逸話と伝説に包まれ、マイルス、コルトレーン、エヴァンスという3人のジャズ・ジャイアンツを擁したメンバーによる、まさに神がかり的な歴史的瞬間を捉えた音楽の記録です。モダン・ジャズ屈指の傑作とされ、またモード・ジャズを代表する作品の一つ。そのコンセプトは、以後のジャズ界に大きな影響を与えた一枚を改めて聴いて頂きます。一曲目のソー・ホワットが最も知られている訳ですが、今日は個人的にこのアルバムの精神性を最も表出させているビル・エヴァンスをフィーチャーした2曲、”フラメンコ・スケッチ”と”ブルー・イン・グリーン”をプレイします。

クレジット上では全曲マイルス・デイヴィス作曲となっているカインド・オブ・ブルーですが、このアルバムにおけるビル・エヴァンスの存在は極めて重要です。録音当時、既にビル・エヴァンスはマイルスのバンドから脱退、新人のウィントン・ケリーがピアノの後任となっていましたが、マイルスは本作録音のため、モード手法への造詣が深いエヴァンスを一時的に招きカインドオブブルーを制作。エヴァンスは本アルバムのライナーノーツも執筆しており、彼は文中で日本の水墨画の筆遣いを例えにあげながら、バンドが取り組んだ新しいジャズの即興性について語っています。

・The Vocal
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ニコール・ヘンリーはアメリカ ペンシルベニア出身のジャズ歌手で、教会や学校のコーラス隊で歌い始め、イアミ大学芸術学部を卒業後、女優・モデルとして活躍する傍らクラブでR&B歌手としての活動を行ない、その後ジャズシンガーへ転身。。2004年発表のデビュー・アルバム、「The Nearness of You」が年間トップ・セラー・アルバムとなり、一躍脚光を浴びました。その後は2013年には「ソウル・トレイン・アワード」で「最優秀トラディショナル・ジャズ・パフォーマンス賞」を受賞し、そのダイナミックな歌唱力に人気が集まっています。ジャズと言うよりは、ソウルやゴスペル・シンガー的な歌唱テクニックを持つ人で、全盛期のホイットニー・ヒューストンを彷彿とさせる、スモーキーでセクシーなハスキー・ヴォイスが特徴のニコール・ヘンリーですが、ちょうどいま来日中で、或いはその美声に触れる方もおられるかもしれません。今日聴いて頂いているのは未発売のDSD5.6メガ音源という点も要チェックです。

・懐かしのあのアルバム
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ジャーニー初の全米第1位を獲得し、イギリスでも初のアルバム・チャート圏内入りを果たして全世界で1,200万枚以上を売り上げた大ヒット作となったエスケイプですが、この時期のジャーニーはキーボーディストのGregg Rolieがバンドから脱退、Jonathan Cainが加入。本作によって78年の”Infinity”から続く「ハードでありながらキャッチー」という路線を確立しました。”Don't Stop Believin'”や”Open Arms”等の代表曲が収録されたアルバムで、現在でも本作からライブのセットリストに組み込まれる楽曲が多いジャーニーの文字通り代表作です。今日は”Who's Crying Now”と”Mother, Father”の二曲を聴いて頂けます!

PCあるいはスマホの方はこちらからお聴き頂けます!!土曜の夜は”ようこそ!オーディオルーム”でお会いしましょう!



# by audiokaleidoscope | 2016-08-13 21:32 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/9)開放日レポート

月イチのショールーム開放日。始めてかれこれ3~4年になるんじゃないかと思いますが、元々のきっかけは土日でしか来られない方も沢山いらっしゃること、そして予約して試聴することに対しての敷居の高さを感じておられる方もおいでになるのではないか…というのが発端でした。最初の頃は試行錯誤でバタバタしたものですが、次第にお気に入りのソースを持ち寄って皆で聴いたり、自作のアンプやスピーカーのお披露目会をする感じに変化してきました。言うならば月例のオフ会的な感覚といいますか(笑)。

先週末の開放日もお馴染みさんから初参加の方まで沢山お越しになって盛り上がりましたが、毎回皆さんのネタであっという間に一日が終わってしまう感じです。例えば今回はこれ!
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確か今から4年くらい前?…雑誌の付録のワンボードデジタルアンプです。この写真をよ~く見るとヴォリュームの右後方にサブミチュア管と言われる鉛筆ほどの太さの真空管が見えます。もちろんこれは最初からついていたものではなく、これを持ち込まれたSさんがご自身で改造されたもの。これは二号機ですが一号機は当時、旧店主日記でも紹介して大きな反響がありましたので覚えていらっしゃる方も多いのでは?

Sさんによると一号機はソケットを使ったので引き回しが大変だったのを、二号機では直に配線したので見た目にもスッキリしたとのこと。一号機製作当時のSさんのブログはこちらですので、ご興味ある方は覗いてみて下さい。で、この二号機、ファイナルがクラスDで確か5W/ch程度の出力だったと記憶していますが、その出力段を真空管でドライブしようというもの。クラスD独特の高域の粉っぽい質感を感じさせつつも、真空管ならではの厚みがしっかり出ていてナカナカの味わいです。
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我が91Bと較べるとこんなに小さな外観ですが、しっかりとショールームのスピーカーをドライブしていました。そして次なる出し物は、もう一人のSさんによる精密切削のターンテーブル用スタビライザー。もちろんこれも自作です。
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一号機はショールームで絶賛活躍中ですが、今回の二号機はグレードアップしてドーナツ盤再生時にも対応するバージョンアップ版。この写真だと分かり難いですが…
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この画像を見ると構造が分かります。このコロンブスの卵的アイディアは今までありそうでなかったもの。昨今は45回転のシングル盤が密かなブームになりつつある状況ですので案外ニーズがあるかもしれません。Sさんは特級旋盤技術者。サスガです!!

開放日では毎回なぜかLPがかかるることが多い訳ですが、今回もご多分に漏れず色々な音源が…。
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ジューン・クリスティ/サムシング クール
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チェリビダッケ/展覧会の絵
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五輪真弓/恋人よ

…となればイコライザーは新作SV-396EQ。これを聴かれたデカチョーさんからムラードECC83/WE396A仕様のスペシャルバージョンで予約が入ったり。この時スピーカーはVintage S12でパワーアンプはSV-91Bだったのですが、この音を聴かれたNさんが当日のSNSで”Vintage S12と91B型300Bのコンビは最強。オケが朗々と鳴る”と感想を書かれています。

以前SV-310EQとSV-396EQの違いについて

…SV-396EQはSV-284Dシリーズのフロントエンドですので845の高域の鮮度感とリニアリティの高さにマッチしたクリアなサウンドを目指しています。対してSV-310EQはSV-91Bシリーズに属しますので、300B的な豊潤で密度感のあるサウンドを指向しています。MCトランスはいずれも橋本電気製ですし、CRイコライザー部の定数も全く同じであるにも関わらず大きく表現の異なる両者の個性…(6/25~26”東京試聴会レポート”から抜粋)

と書きました。両者の音の違いを私の稚拙な文章力で表現するのは至難の業ですが、これこそがアナログの魅力。デカチョーさんは既にSV-310EQ/オールウエスタン仕様を長くお使いですので、今後は二刀流で…どちらが正宗でどちらが村正か分かりませんが、切れ味の違いを大いに楽しまれることでしょう。

毎回こんな感じでやっている開放日。次回は少し先になるかもしれませんが、決まり次第ホームページで告知しますので、是非お気軽に遊びにいらっしゃって下さい!お待ちしております!!


# by audiokaleidoscope | 2016-08-09 15:04 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(8/5)Hさんの選択(続)

昨日,今日と東京。今回は収録ではなくプチ巡業と打ち合わせメイン。まずは浅草のKさん宅へ。現在はオートグラフとカンタベリー15を三極管アンプで楽しまれていますが、私が知るタンノイ党員のなかで最も大音量派で且つワイドレンジ派。
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左からSV-91B,SV-38T。音の鮮度感,聴感上のダイナミックレンジと音色の生々しさで選ぶならやはり三極管!という方が多いのは当社ならではの傾向かも。オーディオファンというよりも音楽そのものが好きという方が多いからかもしれません。
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カンタベリー15/GR。海外の別宅ではキングダム/Royalもお使いとか。スピーカーとアンプの価格ダイナミックレンジの大きさも凄いですが(笑)、様々なハイエンドオーディオを経て結局タンノイ+真空管アンプのマリアージュに目覚めたという方はKさんだけでなく、実は私どものお客さまの多くがもともと半導体アンプユーザー。真空管アンプは音が丸い、柔らかい…そんな誤った理解が元で真空管アンプとの出会いの機会を失ってしまった方がまだまだ多いことを痛感します。
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SV-2(2009)も。SV-38T,SV-2(2009)両方のフィロソフィーが今のSV-284Dに受け継がれています。トランスドライブでしか味わえない密度感と中域のコクは格別です。

Kさん宅を出て二週間ぶりにHさん宅へ。Hさんが我が国を代表するポートレイトカメラマンの一人であることは前回書いた通りですが、元々贅を尽くしたハイエンドオーディオを楽しんでおられたHさんが音に対峙するよりも音楽そのものを楽しみたいということでお邪魔して意気投合。前回のポストを読まれた方から”それでHさんはどっちのアンプを選んだの?”という質問をたくさん頂いていますので、今回はその続編レポートという感じでいきたいと思います。

前回はSV-8800SEとSV-284Dという敢えて性格の大きく異なるアンプを持ち込みHさんの反応を確認したかった訳ですが、SV-8800SEの熱気と音楽がグルーブする一体感とSV-284Dのクリアネスと音色の輝きのどちらにも興味を示されながら、真空管アンプでしか味わえない本質的な音色の瑞々しさにより反応されたように感じたので、今回はいずれも旧製品ですがSV-128B/KT120仕様SV-2(2010)を聴いていただくことに。いずれも”音の立った”アンプであることは共通していますが、表現そのものが全く違うので何か大きなヒントが得られるのではないか?…というも目論見です。
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SV-128B(左)は多極管シングルならではの音像的表現。別の言い方をすれば”近い音”。ギターのピックングハーモニクスやドラムのブラシが非常にリアル。思わずハッとして耳を奪われるリリシズム溢れる表現です。対してSV-2/2010(右)は845の最も得意とする音場感…スピーカーの外側に音場が広がって間接音的エアの大きさが最大の魅力です。Hさんが”音像”と”音場”の狭間で揺れ動いておられることが私にも伝わってきます。

Hさんは”こんなに音楽が違って聴こえるなんて…真空管アンプは懐かしい音がするなんて全くの間違いですね。じっさい私も今までそう思っていましたが、この出音の感覚を殆どの方が知らないことが最大の問題かもしれません”と仰います。音のディテールを際立たせるKT120シングルなのか、部屋全体が鳴るような感覚の845シングルなのか…真空管と出会ったことで再び始まったHさんの音への旅はまだまだ続いていくのでしょう。”写実”から”印象”へ。同じオーディオでも真空管アンプの描き出す世界は極めて人間的であり、音楽的であることをどう伝えるべきか…新しい宿題を頂いた気がします。



# by audiokaleidoscope | 2016-08-05 22:43 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/27)サマーセール経過速報

開催から一週間経ったサマーセール。当初機種ごとに○台限定ということでスタートさせて頂いた訳ですが、人気機種は即日ソールドという状況になってしまいました。その後スタッフと協議して、現在検討中のお客さまもおいでになるのにお断りするのも如何なものかということになり、暫くは継続販売とさせて頂くことに致しました。

きっと何が一番人気か…きっと興味を持たれる方もおいでになると思いますので、今日13時現在のトップ5をお知らせいたします。
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二位:SV-192PRO
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三位:SV-91B
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四位:SV-353
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五位:SV-2300LM
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五位(タイ):SV-192A/D


…今のところこんな状況です。順位は日々変化しておりますので私も今後の動向に注目していきたいと思っています。今回セール対象外ながらSV-P1616D/多極管仕様が同率五位に食い込んでいることも併せてお知らせします。現在”今年の夏休みの自由研究は何にしようかな~?”とお考えのの皆さんのご参考になれば幸いです!!



# by audiokaleidoscope | 2016-07-27 13:50 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/22)録られる側として…

二日目は西麻布のスタジオ。原稿もなくフリートークで進めるMUSIC BIRDのスタジオとは雰囲気を異にするどこか張りつめた空気感。それもその筈…今日は放送の収録ではなく、LPレコードのナレーションのお仕事だったからです。
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詳しいことは私からはまだ申し上げられませんが、先日リリースされたばかりで早くも大反響となっている超高音質LPの第二弾として、実はアナログシステム用のチェックLP(リファレンス曲を含め2枚組,あるいは3枚組の予定)が今秋出る予定なのです。そのチェック音源のナレーターをやってくれ、とオファを頂いたのが少し前。本当に自分に出来るだろうか?…という一縷の不安を抱えているうち、気がつけば当日になっていました。

今まではブースの中をガラス越しに見ながら装置のパラメータを触っているのが関の山の私が、今日は逆の立場…何でもそうですが、やってみなけりゃ分からないことが沢山あったものの、熟練の先輩方に色々とアドバイスを頂いて、自分でもあっけないほど順調にレコーディングが終了しました。果たして自分の声がどんな音でLPの溝に刻まれるのか…今からワクワクしていますが、ちょうど私どもも現在アナログプレーヤーを手掛けつつある訳で、そういう意味ではタイミング的にもベストと言えるかもしれません。
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今回のプロデューサーは日本を代表するレコーディングエンジニア内沼さん。録りが終わってホッとしているところです。晴れてリリースの暁には改めて正式にご案内させて頂きます。どうぞお楽しみに!!



# by audiokaleidoscope | 2016-07-22 22:05 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/21)記録と表現

今回の東京二日間はいつもと少し違う流れ…短い出張でしたが、途轍もなく大きな何かを自分の中に残した、そんな気がしています。

その一つ目の出来事はHさんとのひと時。Hさんは日本を代表する写真家の一人で、躍動感のあるポートレートや画面から音楽が聞こえてくるような作品により、多くのミュージシャン撮影を手掛けていらっしゃいます。皆さんは。「NO MUSIC, NO LIFE.」というコーポレイト・ボイスをご存じでしょう。これらの写真も全てHさんの手によるものですし、FM放送の音楽番組を担当されたり、震災で傷ついた故郷の復興を支えようとロック・フェスを主催されるなど、多方面で活躍されている芸術家です。

出会いは2月の東京試聴会。その時はふた言三言お話をさせて頂いただけでしたが、今回やっと念願なかってゆっくりお話を伺うことが出来ました。真空管アンプの音が聴いてみたい…その言葉に導かれるように訪ねたHさんのご自宅。
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真空管アンプの経験がないと仰るHさんに聴いて頂くアンプは何か…選定にはかなり悩みました。真空管アンプを聴いたことがない方のイメージが必ずしも芳しいもので無いだろうことは想像に難くありません。唯一分かっていたのはつい最近まで使われていたハイエンドシステムを解体され、Hさん曰く”だんだん音楽を聴くのが大袈裟になっていることに違和感を感じて、システムをミニマムにした”という情報のみ。そこでHさんの撮ったポートレイト写真を何度も何度も見て浮かび上がってくる音のイメージ…尖っていて、でもどこか優しくて儚い…そんな機微を伝えてくれるオーディオ組合せは何か、と考えて車に積んでいったのがSV-300LB/SV-8800SE/SV-284Dでした。

最初鳴らしたのは8800SE。写真にある”記録”と”表現”という二つの機能を極めて高い次元で両立されているHさんの鋭い感性に自分の手がけたアンプが果たして応え得るのか…正直なところ通電前の結線時から手汗びっしょり。気もそぞろ…何となくフワフワした気持ちを抑えながらいざ音出しをしてHさんの言葉を待ちます。Hさんと一緒に車でご自宅へ向かっている時、”写真にもアナログとデジタルがありますが、単に写実性が高いだけではいい写真とはいえない。被写体のその向こうにある何かを写せるか、その為には或る曖昧さも必要なんです”という言葉が何度も頭の中を行ったり来たり。全てに光を当てるのではなく、当てた光の向こうにある翳(かげ)にフォーカスする…オーディオも同じで単にすべての音を曝け出すだけでは単なる音の出る機械でしかありません。音でなく音楽が鳴るかどうかに賭けたのが今回のセットアップテーマです。

音楽のグルーブを伝え、ドライブする感覚を味わう8800SEか、はたまた音に輝きと光を加えて浮き立たせるような284Dか…その結果はHさんの心の中にどんな心象風景を呼び起こしたかどうかで決まるのでしょう。

Hさんは書いています。

”ポートレイト写真とは表情と姿勢を通して人物の魅力を写真に定着すること”

であるならば

”オーディオとはソースと装置を通して音楽の魅力を再生音に定着すること”

写真とオーディオが一見全く関連がないようで、実は一番根っこで大きく繋がっていることを改めて感じた、忘れられないひと時になりました。記録と表現の両方に繋がっている点で両者はとても近い存在であることをHさんは教えてくれました。



# by audiokaleidoscope | 2016-07-22 21:38 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/16)デカチョーさんのA5

久しぶりのオフ会。6041のSさん,第九のIさん,デカチョーさん,タケさん…私がこの仕事を始めて一対一の関係性だったのが次第にお客さん同士の交流に繋がっていく…その最初のカタチがこの五人組でした。演奏会に一緒に行ったり、お互いのリスニングルームを訪問し合ったり、お気に入りの音源の情報を交換しあったり。仕事も違えば聴く音楽ジャンルも異なる人たちがオーディオで繋がっていく…この楽しさを教えてくれた方々です。10年以上変わらずこういうお付き合いが出来るのも同好の士の誼(よしみ)。大切な先輩たちであり仲間です。

今回デカチョーさんがメインスピーカーとしてA5を導入されたと伺ったのは2ヶ月ほど前でしょうか。それまでてっきり英国党だと思っていた私たちには少々驚きでした。そして”これは聴かせて頂かないと!”ということになって久しぶりにデカチョーさんのリスニングルームにお邪魔させて頂いたという訳です。
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恐らく50年代後半の個体。エンクロージャーは米松製825。写真では分かり難いですが側面の”Voice Of The Theater”のロゴはステッカーでなく手書きです。ウーハーは515,ドライバーは288C,ホーンは1005B,ネットワークはN500CというA5の中でも最もヒエラルキー上位の組み合わせ。

私がお邪魔した時には既にタケさんがおられ、音が鳴っていたのですがいわゆるALTEC的なメタリックな高音は微塵も感じられず、極めて繋がりが良いだけでなく高域までスッキリ伸びた非常に癖のない音が印象的でした。ポイントは825エンクロージャーと1005Bホーンでしょう。後期のパーチクル製828では得られ難い自然な響きと、311B/511Bのようにピーキーなホーン鳴きがなく、ALTECにありがちの”元気は良いが聴き疲れがする”というネゲティブな面は殆どありません。左右で音色の違いや定位の偏移もなく非常によく調教されている個体であることが直ぐ分かりました。
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そしてこの高い天井。吹き抜けのエアボリュームの大きさがこの屈託のないスケール感に大きく寄与していることは間違いありません。

”どうしてステントリアンからALTECに宗旨替えしたんです?”と少々イジワルな質問を投げかけたところ、ステントリアンもALTECも中域的表現力が優れている点で違和感は全くなく、以前からALTECもターゲットに入っていたとのこと。確かに極上のミッドレンジを楽しむという点では両者は共通した個性を持っている訳で一同納得。というかこの音を聴かされれば納得せざるを得ないという説得力のある音です。

因みに増幅系の布陣は以下の通り。
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SV-91B(オールウエスタン仕様)。確かデカチョーさんが91Bを組んだのは2004年ごろだったと思います。当時お納めしたJAN 274Bも健在。A5の能率が100dB(以上)あるので入力VOLをつけゲインを適正化されていました。
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プリは91Bの純正組み合わせSV-310(オールウエスタン仕様)。ヴィンテージ系スピーカーには抜群の相性を示すペアというだけでなく、骨太でコクのある音を指向する方にとって唯一無二ともいえる最強の布陣の一つです。
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となればフォノイコは当然SV-310EQ。これもオールウエスタンで固められています。私どもの製品のなかでこのSV-310EQは例外中の例外ともいえる存在で、いわゆる海外製ハイエンドシステムと一緒に使われる方も多い異色のフォノイコ。この情報量と密度感は他のフォノイコからは得られません。
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ターンテーブルはSV-A2(改)。第一アームが替わっています。非常に滑らかでノイズフロアの低い再生音は健在でした。

色々と聴かせて頂いて感心したのはこの手の大型ホーンシステムにありがちな”ビッグマウス”になっていないこと。定位がシャープなだけなく音像の大きさも適切でA5/A7系ユーザーの皆さんが最も苦労されているこの点も見事に克服されていました。ピアノのトランジェント,ヴォーカルの温度感と湿度感,ブラスのキレが得意なのは勿論、ヴァイオリンの高域のニュアンスもよく出ており、フルオケも混濁せずにTuttiまで駆け上がる爽快感も大変印象に残っています。

人間は不思議なもの。一度こういう高みに触れてしまうと、”よし!いっちょ俺も!!”という気持ちになります。帰宅してから思わず同じ音源を自分のシステムで聴き直したりセッティングを弄ったり。きっと他のメンバーも家で同じ状態だったのではないかと(笑)。これだからオーディオは止めらない訳です。最高レベルのA5を聴かせて頂いただけでなく、懐かしいメンバーのとも再会できて素敵な週末になりました。



# by audiokaleidoscope | 2016-07-17 14:48 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/16)クライバー”こうもり”からマーヴィン・ゲイ”What's Going On”へ

今週末の”ようこそ!オーディオルーム”(オンエア7/16土曜22時~23日再放送)についてお知らせ。今回のプログラムは…

・クラシックリファレンスセレクション
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カルロス・クライバーは録音音源が少ないことでも知られる指揮者ですが、数少ない正規録音は全て名盤として知られ、多くのクラシックファンに愛されています。そのなかでもこの「こうもり」はひときわ芸術性が高いと言われている名盤中の名盤です。ヨハン・シュトラウス2世ならではの優雅で軽快なウィンナ・ワルツの旋律が全編を彩り、その親しみやすいメロディーは全世界で愛されています。ウィーンでは毎年大晦日に「こうもり」が演奏されるのが恒例行事となっています。

・ようこそオーディオルーム特選!”ジャズ名盤100”
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リーモーガン/The Gigolo

リー・モーガンは幼少期から神童と呼ばれたハード・バップの代表的トランペッターで、1956年にディジー・ガレスピーのバンドに参加し、その艶やかな音色からクリフォード・ブラウンの再来とも呼ばれました。The Gigoloはモーガンファンなら必ず好きな1枚にあげられる会心のアルバムで全編にわたりブリリアントなトランペットが素晴らしく、共演のウェイン・ショーターとはジャズ・メッセンジャーズでの盟友の間柄で非常に息のあったプレイが印象的な一枚です。

・The Vocal
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スイングジャーナル誌人気投票女性ヴォーカル部門で堂々13年連続(トータル15回)の第1位に輝く、人気・実力ともNo.1ジャズヴォーカリストとして国内外で人気を確立しているケイコ・リーが2011年にリリースしたアルバムがVOICESIII。ハンク・ジョーンズ,ケニー・バロン,デヴィッド・サンボーン,ジョージ・デューク,ギル・ゴールドスタインら現代のJAZZ GIANTS達との珠玉のセッションを収録したもので、個人的にケイコ・リーのナンバー1タイトルであると思っています。。

・懐かしのあのアルバム
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ベトナム戦争従軍兵だった弟から、その悲惨さを聞いたマーヴィン・ゲイはベトナム戦争をはじめとする社会の不条理に対する不満を込めWhat's Going Onをリリースしたと言われています。しかしモータウンレーベルのオーナー、ベリー・ゴーディはリリースに猛反対。あまりに反社会的なメッセージに染め上げられ過ぎていたからかもしれません。しかし結果的にこのアルバムが空前のヒットとなりWhat's Going Onはマーヴィン・ゲイ個人の成功だけでなくブラックミュージックの大きなターニングポイントになりました。革命的なアルバムとして今なお多くのファンから愛され続けています。

PCあるいはスマホの方はこちらからお聴き頂けます!!土曜の夜は”ようこそ!オーディオルーム”でお会いしましょう!


# by audiokaleidoscope | 2016-07-16 10:38 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/14)ポジティブフィードバック

無店舗で18年こんな仕事を続けてきた私。日頃メールや電話で一対一のコミュニケーションを”縦糸”とするならば、このブログやラジオ番組は一対多のコミュニケーションである”横糸”。皆さんの顔は見えないですが、ご感想のメールなどによってネットや電波でちゃんと繋がっている感覚をいただけているのは本当に有難いことです。

そんななか、ミュージックバードさんから今日不意に電話がかかってきました。なんだろうと思っていたら”大橋さん、ついに一位です”と仰られて最初なんの事か分からなかったのですが、伺うとリスナーアンケートのなかで”よく聴く番組は?”というのと”好きな番組出演者は?”的な質問があるようで、なんと両方の項目でポジティブフィードバックが一番だったとのこと。台本も何もなくゲストのTさんと真空管アンプの音について喋っていることが、こんなに沢山の方の共感に繋がるとは正直まったく思っていませんでした。

放送でオーディオ機器を(比較)試聴する”という奇天烈なアイディアを思いついて以降、この番組もいきおいオーディオ寄りに振れた訳ですが、こういうマニアックなテーマが本当に受け容れられるとは思っていなかった私にとって今回のお知らせが大きな驚きと喜びでした。これもリスナーの皆さんは勿論、こういう機会を与えて下った局の皆さん、そして毎回私をインスパイアしてくれるゲストの皆さんのおかげです。本当に有難うございます!

放送という新たなコミュニケーションツールを頂いて私の仕事の在り様も少しづつ変化してきました。音楽を再生する立場のプロとしての責任から音楽を演奏する方々や音源を制作する方々との密接な関係性によってオーディオ屋としての私に強いモチベーションとエネルギーを与えて頂いています。今日はそんな一つの具体例をご紹介します。

先日お邪魔した西麻布のスタジオ。我が国屈指の設備とクライアントを抱えるこのスタジオから生まれたLPが手許に届きました。
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早速聴いてみたところ、その音のみっちり詰まった密度感と情報量の凄さに驚愕。レジェンド内沼映二さんが録った角田健一ビッグバンドの演奏のリアリズムの凄さは私のオーディオ経験のなかで今まで味わったことのないものでした。昨今のLPブームが単なる懐古主義(趣味)に根ざしたものでなく、本当に良い音はアナログにあり!という真摯なマニア諸兄によって支えられていることは周知の通りですが、単に音質的優劣を超えた本質的感動がこのLPには詰まっています。

これだけスケールの大きな演奏をパッケージメディアに収める技術的難易度の高さは想像に難くありませんが、それぞれの楽器の質感はもちろん、マッスのエネルギー感が炸裂する広大なダイナミックレンジがLPの細い溝に刻み込まれていることに畏れすら感じました。きっと内沼さんには何をどうすればこういう音になるんだというマイキングや卓の設定が全て分かっているんでしょう。そうでもなければこんな音が録れる筈がありません。これからの番組の比較試聴にも大活躍間違いなしの一枚になりそうです。

先日の共同プロデュース作業も今回のLPもそうですが、単なる装置産業の枠を超えて音楽と関われる歓びを感じられる昨今。これらの経験から多くのことを学び、自分のモノづくりにどれだけポジティブフィードバックさせられるかが自分の大きな責任と恩返しであると感じています。



# by audiokaleidoscope | 2016-07-15 10:59 | オーディオ | Trackback | Comments(4)

(7/12)「ミュージシャンが選ぶナンバーワン出力管」と「シングルVSプッシュプル」

今回の真空管・オーディオ大放談は2本録り。一本目はスペシャルゲスト秋田慎治さん(ジャズピアニスト)をお迎えして「ミュージシャンが選ぶナンバーワン出力管はこれだ!」と題してSV-P1616D/多極管仕様と同300B仕様(7月末新発売)を使用し、計9種類の出力管を総まくり試聴しました。ゲストコメンテーターはいつものTさんです。
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今回試聴に使った出力管はEL34,6L6GC,KT66,Tung Sol 6550,KT88,KT120,KT150,300Bver.4,300Bver.5。秋田さんの新譜「time-10」からリファレンス曲を選び全ての出力管で比較試聴しました。7種の多極管と2種の300Bがもたらす音の変化は極めて大きなもので、日頃KT88プッシュプルをお使いの秋田さんも、ずいぶん変わるんですね!と非常に興味を持たれていました。さて秋田さんが選んだナンバーワンの出力管は何だったでしょうか…8/19(金)20時~22時のオンエアを是非お聴きください。
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ヒントはこちら。キャンペーンを活用して是非ご自身の耳でもナンバーワンを決めて下さい!

二本目は真空管アンプユーザー永遠のテーマの一つといえる「シングルVSプッシュプル、同じ球でもこんなに違う!」を掲げての比較試聴。シングルアンプの”音色”(ねいろ)をとるかプッシュプルの”響き”を取るか…自分の耳で確認できる絶好のチャンスです。アンプのゲインを全く同じにしてシングル→プッシュプルの順に二曲づつ同じ曲を掛けるという進行にしたのですが、収録前にTさんが”じっさいどの位、差が出ますかねえ?”と仰っていたのがフタを空けるとアタマの一小節で思わず声が漏れるほどの違いが現れています。9/2(金)20時~22時のオンエアを聴かれる方もきっとビックリされるのではないかと思います。

収録の中でTさんが仰っていたのが”多極管ってのはプッシュがこんなに良かったんですねえ!”というひと言。時代背景的に多極管は高効率化,大出力化のために三極管に続いて開発が始まった経緯がありますので、自ずと当時からプッシュプルでのい作例が大半でした。私たち自作派にとって多極管シングルは”はじめの一台”として回路的にも価格的にも極めて取り組みやすい大切なカテゴリーである訳ですが、今回改めてシングルとプッシュプルを比較してみて、その本質に迫ることが出来るのではないかと思っています。

先日の試聴会でも”はじめての真空管アンプ”と題したコマで真空管には三極管と多極管があり、回路にはシングルとプッシュプルという大きく4つの分類が出来る…その中から自分にとってのオンリーワンを見つけることこそが真空管アンプとの蜜月を約束するんです!と申し上げました。今回の収録も試聴会の時の皆さんのキラキラした目を思い出しながらアッという間に終わってしまいました。このオンエアも真空管アンプを知るうえで非常に重要なテーマを内包していると思います。是非お聴き頂ければ幸いです!!






# by audiokaleidoscope | 2016-07-13 10:31 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(7/9)久しぶりのオープン・ザ・カーテン

いま先日のレコーディングで録ったラフミックスを聴いているところ。良い音楽を創るという作業が如何に際限なく、深いものであるかを改めて感じています。これからまだまだ作業が続いていきます。仮タイトルは四家さん命名による”犬とたまねぎ”になる見込み。なんでも犬はたまねぎを食すると腰を抜かすとか(笑)。秋には皆さんに聴いて頂けると思いますのでお楽しみになさって下さい。

ところで昨日17時に御開帳と相成りましたVintage S12
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東京試聴会で初お目見えしてからまだ二週間。特段オープン・ザ・カーテンの告知もせずにHPアップを迎えた訳ですが、いざ受付が始まるとあっという間に初回ロットが完売。ショールームのメンバーも大いに色めきたった昨日の夕方でした。

現在大幅に売り越している状態となっておりますが、試聴会でお配りしたプレリリースにも書きました通り、Sicaのユニット供給が不安定で、初回ロット分はイタリアからエアで飛ばしてもらって確保したものの、次回入荷時期が今のところ見えていません。エンクロージャーは次回9月末納期で追加生産のオファを致しましたので、何とかユニットを入手してお待ちいただいている皆さんのお手元に少しでも早くお届けしたいところです。



# by audiokaleidoscope | 2016-07-09 19:08 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/30)カンターテドミノからYESへ

今週末の”ようこそ!オーディオルーム”(オンエア7/2土曜22時~9日再放送)についてお知らせ。今回も名盤揃いです!今回のプログラムは…

・クラシックリファレンスセレクション
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※一曲目は38/2トラ(アナログ),二曲目はDSD 5.6MHz/1bit

スウェーデンのプロプリウスレーベルによる有名なアナログ録音で1976年にストックホルムの教会で収録されたものです。当時からオーディオ・マニア必携のLPと言われ、オーディオ・チェック用として、あるいはオーディオ試聴のデモ用として盛んに使われたことからも極めて広く知られた音源です。現在もその魅力は褪せることなくアナログ・ディスクはもちろんCDやSACDでも何度も復刻されています。余談ですが、このアルバムはレコーディング時に教会の外を走る車の暗騒音が微かに入っており、それが聴こえるかどうかでオーディオのクオリティが分かるとしてシステムチェックにも多用されています。

・ようこそオーディオルーム特選!”ジャズ名盤100”
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Quiet Kenny[Rudy Van Gelder Remaster]/Kenny Dorham

無冠の帝王と呼ばれるケニー・ドーハム。しかし今なお多くのジャズファンに愛されているトランペッターであるのは独特の渋い音色とリズムに対する後ノリ感からくる素朴でリラックスした感覚が実に心地よいからでしょう。私どもの試聴会のデモでも必ず一度はかかるリファレンス盤の一つです。音質も最高です。

・The Vocal
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元「ペドロ&カプリシャス」のボーカルとして今なお不動の人気を誇る高橋真梨子が"昭和"をテーマに有名曲をカバーした「ClaChic」の第2弾アルバム。ミュージックシーンに限らず最近昭和という時代が見直されています。激動の戦後を経て復興を成し遂げた日本人が昭和という時代と共に生き、感じた喜びや苦しさを今なつかしく振り返る人たちが増えているのかもしれません。ジャジーでリラックスした大人のヴォーカルをお楽しみ下さい。

・懐かしのあのアルバム
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ミキサーズ・ラボ菊地さんによる渾身のリマスタリング!
サイケデリック的アプローチを経て徐々にプログレッシブ・ロック的アプローチを開始したイエス。超絶技巧を駆使し壮大な世界観によってプログレ全盛期を作り上げました。ハイトーン・ボーカルが魅力のジョン・アンダーソン、硬質なベースと美しいコーラスで脇を固めるクリス・スクワイヤー,華麗なキーボード・オーケストレーションを見せるリック・ウェイクマン、あらゆるジャンルのギターテクニックを駆使するギタリストのスティーブ・ハウ、ロックにジャズテストを持ち込んだビル・ブラッフォードという黄金期のメンバーが残したFragileはロックの歴史に燦然と輝く名盤中です。

PCあるいはスマホの方はこちらからお聴き頂けます!!土曜の夜は”ようこそ!オーディオルーム”でお会いしましょう!




# by audiokaleidoscope | 2016-06-30 16:56 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/25~26)東京試聴会レポート

今回の東京試聴会ぶじ終わりました!ご来場いただいた皆さんは勿論、陰で私たちを支えて下さったメーカー各位,物販でお世話になったディスクユニオンJazz Tokyoさん、番組PRで二日何フルでアテンドしてくれたミュージックバードさん、ゲスト参加して下さった高田英男さん(レコーディングエンジニア)、井筒香奈江さん(Vo)、四家卯大さん(Vc)、原田百恵実さん(Vn)などすべての関係者に心よりの感謝を捧げます。
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では2日間の試聴会を振り返ってみたいと思います。まずは初日から…。
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最初のテーマは”初めての真空管アンプ選び”。ひと口に真空管アンプといっても球の種別で言えば三極管と多極管があり、回路形式で言えばシングルとプッシュプルがある…大別して4つのカテゴリーに別れることから説明を始めました。そしてそれぞれのカテゴリー、三極管シングル,多極管シングル,三極管シングル,多極管プッシュプルにはそれぞれ音質的特徴があり、基本的に三極管はヴォイシングチャート的には左下、多極管は右上に位置し、シングルは球固有の個性(味わい)、対してプッシュプルは回路(ならびに動作条件)固有の個性を楽しむものであることを最初に理解していただいたうえで、具体的にそれぞれのアンプの音をリファレンス(共通)曲+アンプの持ち味をよく出してくれる曲の二曲で構成してデモを行いました。

理想的には4カテゴリー全てのアンプを1台づつ所有することで真空管アンプの最大の魅力である楽器性…鳴りの違いを120%楽しめる訳ですが、まずは最初に何を選んでいいのかよく分からないという方に向けて水先案内が出来たらいいな、と考えて今回もっとも準備に時間を掛けたのがこのコマでした。

敢えていえばクラシック向きの三極管、ジャズファンにユーザーの多い多極管である訳ですが、決してそれだけに止まらない百花繚乱の世界があることを一人でも多くの方に感じていただきたい…そして”この音が好きだな”というカテゴリーが何となく見つかることを目標としてなるべく電気用語や技術的タームを使わずにデモしたつもりです。

そしてウインズタイム。村瀬さんとコラボして満を持して投入したVintage S12の初お披露目です。
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1980年代に入りスピーカーの在り様はすっかり変わりました。箱鳴りを嫌いユニットのピストンモーションと周波数特性のリニアリティを優先することによって、スピーカーの能率が下がり、LCネットワークが複雑化して(負荷として重くなり)、軒並みドライブし難いスピーカーが増えたのがこの時代。それによってアンプは小型金庫なみに巨大化し、普通のアンプではとてもドライブ出来なくなって自ずとハイエンド化を突き進んだのが、この30年余のオーディオの流れではないかと自分では感じています。

そんな環境のなか恐らくメーカー製量産スピーカーとしては今後二度と生産されることはないであろう、響きが豊かで開放的で且つ屈託がなく、低出力の真空管アンプでも(敢えて言えば真空管アンプだから)美しい音で鳴る、1970年代(以前)の音を再現しようじゃないか、という狙いで生まれたS12。ヴォーカル,ピアノ,弦…あらゆるソースを実にたっぷりとした量感と音場とともに鳴らしてくれました。来場された方の関心も極めて高く、ペアで本当にこの値段なのか、ホーンツィーターは標準で付属するのかという問い合わせ多数。モチロンです!とお答えすると多くの方が驚いておられたのが印象に残っています。

そして初日2回目の私のデモテーマは”真空管+ハイレゾで至高の音を聴く”。デジタルとアナログは今や対極的な概念でなく、最先端のデジタルオーディオ技術は”如何にアナログライクな自然さとニュアンスを有するか”を指向していて、真空管アンプが持つ自然な倍音感こそがハイレゾ音源を最も有意に鳴らすソリューションであることを実際耳で感じていただくことを目標としました。ゲストはレジェンド高田英男さん。
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約1時間のプレゼンのなかで最新のレコーディング環境がデジタル機器の利便性,制作の効率化とアナログ機器(特に真空管EQ,コンプ,マイク等ヴィンテージ機器)による音質重視の両輪で回っていることを熱く語って下さいました。特に印象に残っているのが「レコーディングはオーディオ特性以上に”求める音”を明確にして臨むことが重要なんです。演奏者の感情・気・緊張感・・音で感じ取ることが出来るような録音こそがいま求められています」という言葉。40年余レコーディングの最前線を走り続けてこられた高田さんが数値(データ)で現れない質感やニュアンスを最も大切にされているという言葉は私どもにとっても非常に重く有難いエールでもありました。非常に熱心なオーディオ愛好家の皆さんが高田さんのプレゼンテーションの為に駆けつけられ、極めて熱気溢れるひと時になったと思います。通常私たちが決して聴くことが出来ないスタジオマスター音源、384k/32bit音源の凄まじさに多くの方が驚かれたようです。

そして初日のもう一人のゲストは井筒さん。
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彼女の音源(時のまにまにV)をハイレゾとアナログ両方の比較試聴をやったりして盛り上がりました。
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これがハイレゾ版の波形画面。全くコンプレッションのかかっていない、波形が極めて美しいフィッシュボーンシルエットになっていることで音の良さに改めて納得。
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そして始まったサイン会。新譜LPが飛ぶように売れてアナログ健在なり!と改めて感じました。

そして二日目。最初のデモは”新アナログプレーヤーを聴く”というテーマです。
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私どものお客さまのなかでアナログ実践率はだいたい35%~40%だと思っていますが、このコマに際して会場で伺うとほぼ全員の方がLPも聴いていらっしゃるということで、ニューモデルSV-A3に寄せる皆さんの期待の高さを感じた次第です。
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今回最大のテーマであったユニバーサルカートリッジ対応のアームの調達に関して、既存のものは単体で20万以上、いわゆる高級品だと軒並み数十万という世界のなかで、昨年メーカーにアーム試作を依頼したものの結局満足のいくものが出来ず、最終的に100%オリジナルのアームを作ろうと決意したのが今年に入ってから。その後約半年を経てやっと音が聴いて頂けるレベルにまでなったという状況です。幾つかの大きな課題が残っており、本当に製品として出せるのかは全く見えていない状況にあるなかで習作のご披露が先行した試聴会となりました。
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単にLPを掛け続けるのは芸がありませんので、幾つかのソースをピックアップしてCD/ハイレゾとLP同音源の比較を行うことにしました。写真はBest Audiophiles Voicesのマスタートラック(192kHz/24bit)とLPの比較のひとこま。質感を正しく評価いただくために音量も同じにしなくてはなりませんし、シーンと静まりかえった会場で緊張のひとこまです。このコマでは基本的に全てReferense35を使用し、よりモニター的な試聴を心がけました。

後半は誰もが持っている名盤大会。ここではフォノイコライザーによる音質の違いを感じてみましょう、ということでSV-396EQSV-310EQのみを入れ替えながらの比較試聴。音量も同じの設定しなくてはいけませんので思わず指先に力が入ります。SV-396EQはSV-284Dシリーズのフロントエンドですので845の高域の鮮度感とリニアリティの高さにマッチしたクリアなサウンドを目指しています。対してSV-310EQはSV-91Bシリーズに属しますので、300B的な豊潤で密度感のあるサウンドを指向しています。MCトランスはいずれも橋本電気製ですし、CRイコライザー部の定数も全く同じであるにも関わらず大きく表現の異なる両者の個性に関心が集まりました。

そして最後のデモは”サンバレー旗艦シリーズモデルを聴く”というテーマ。これまで私どもが手掛けてきた累計数十機種のなかで、フォノ/プリ/パワーをシリーズ化したモデルはSV-284DとSV-91Bの2ラインのみです。
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同じ直熱三極管でありながら出音が全くことなる両者。高域の輝かしさとシャープなエッジ。そして低域の締まった845とゆったりした倍音が極上の響きを醸し出す300B。真空管アンプに魅せられた者が最後に目指すと言われるこの2つの球の個性を100%引き出す為に作り上げたこのシリーズモデルを同音源で聴き較べてみようというテーマです。曲を聴かれたお客さまに伺うと”こんなに音が違うんですね!”と仰る方ばかり。従来の試聴会でもずっと球の個性を感じて頂こうと色々と策を講じてきた訳ですが、今回のパターンが一番分かり易かったのかもしれません。私は上手(かみて)のサイドでオフセンターどころかスピーカーのサービスエリア外にいる訳ですが、それでも845と300Bの決定的な違い…いいかえれば各楽器の存在が浮かび上がるように個別に立ち上がる845に対し、300Bは各楽器のハーモナイズした和声に陶然とする、その違いをしっかりと理解できた気がします。別の言い方をすれば845は近い音で直接音的、300Bは距離(空間)を感じる間接音的な表現と言えるかもしれません。こんなことをこれまで何百回とやってきた私自身にとっても印象に残る比較試聴が出来ました。

そしてお待ちかねの恒例生演奏コーナー。今回も四家さんと原田さんにミニコンサートをお願いしました。
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1700年代のオールドチェロの素晴らしい胴鳴りを披露下さった四家さん。
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そして桐朋学園大学音楽学部を首席卒業という輝かしいキャリアをお持ちになる原田さん。若き新星です。
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今回は演奏だけでなく、ちょっとしたクイズも。お二人とも数万,数十万,数百万という3本の弓をお持ちになり、どれが一番高級な弓でしょうか、という格付チェック的難問。隣で聴いていても明らかに弓によって楽器の鳴り方が異なって聴こえることが分かって非常に面白かったです。私のような楽器の素人でも安い弓はちょっと聴くと快活な表現のようでいて、聴き較べると高価な弓のような奥行感(あるいは陰影感)に乏しい側面があるのかな、という感じでした。オールドの弓は音は渋いが遠鳴りするのかもしれません。間近で聴く生音の素晴らしさからオーディオへの情熱を高めて欲しい、という想いから最初の東京試聴会から継続してお願いしているこのミニ試聴会。次回は誰にお願いしようか…今から考えなくては!

そんな訳で今回の東京試聴会、前回よりもかなり多くのご来場をいただき、楽しい二日間となりました。業界関係者,音楽関係者の方も沢山お越し下さって、あっと言う間に終わってしまった感じです。
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こちらはギタリスト、小馬崎達也さんと小馬崎さんが主宰される”パンゲア”というユニットで一緒に活動されている仲林利恵さん(篠笛・能管・箏)。小馬崎さんは大のヴィンテージオーディオマニアです。
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いつも温かいメッセージとともにお花を下さるNさん。いつも有難うございます!次回東京で音を出すのは10月の真空管オーディオフェア。今回のイメージを忘れず、次回もベストを尽くします。皆さん二日間本当に有難うございました!!



# by audiokaleidoscope | 2016-06-27 15:01 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/24)記録と表現

いよいよ試聴会搬入日。15年以上…累計50回以上デモをやってきましたが、毎回いろんな発見があり、反省があり、歓びのある、私にとっての晴れの日。今回は波乱の搬入日となり、日付変更線を越えて独り損保会館に残って作業を続けている、そんな本番前日です。

今日は会場入り前に都内の某スタジオへ。
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詳細は未だお話出来ないのですが、この秋に向けて或るプロジェクトが進行中で、今日はその打ち合わせ。今までは録る側サイドだったのが、今回は録られる側で少々緊張しておりますが、自分の仕事がカタチになって世に出るのは願ってもないことですのでベストを尽くしたいと思います。日本でも屈指のゴージャスなスタジオで聴かせて頂いたリムスキー=コルサコフ/シェヘラザードの鮮烈な音が今でも耳から離れません。

打ち合わせが終わり夕方から損保会館へ。搬入自体はいつも通りの流れで順調に進んでいきました。
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これが今回のスピーカーの布陣。5インチ(12㎝)から12インチ(30㎝)まで個性豊かなスピーカーたちが皆さんを待っています。
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パワーアンプ群も問題なく準備が進んでいます。今回は2A3,300B,KT120,KT150,845で計10台。それぞれの個性をどのように味わっていただくか、明日のデモの進行をしっかりと考えなければ!
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music birdさんからパネルが届きました。「真空管・オーディオ大放談」リスナーの方も回を追うごとに増えているのは私にとって大きな励みの一つになっています。
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ただ今回の試練はここからでした。今回はフォノイコ2台。プリアンプ3機種4台。D/Aコンバーターが2機種3台。そしてパワーアンプが10台にスピーカーが4台の順列組合せをSV-353で切り替える荒業だけでなく、各コマで全部テーマが違うデモを行うことになっていますので、鳴らしていても今何がどう繋がっていて、何から音が出ているのかが直ぐゴチャゴチャになってしまいます。音源もCD,LP,ハイレゾ(96k/PCM~11.2MHz/DSD)までありますから更に複雑。筋書をしっかり考えて脱線をしないように頭を整理しないといけません。

こんなに事前準備が大変だったことは過去経験がありませんが、演る側にとっては何十回分の一でも聴く皆さんにとっては一回が全て!と自分を戒めながら、まだ本番まで少し時間がありますので、もう少し頭を捻ってみようと思っているところです。自分の中で今回の試聴会のテーマを”記録と表現”に決めました。記録としての音源を如何に自分の世界に染め上げて音に託すか…それこそがオーディオの最大の使命であり、楽しさであるからです。今回は予約制ではありませんので、誰でも何時でも大歓迎。どうしようかな…と迷っておられる方も是非遊びにいらっしゃって下さい。毎回皆さんの声によって私たちの向かうべき道を示してくれる大切な試聴会、いよいよです!



# by audiokaleidoscope | 2016-06-25 02:05 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/20)Vintage S12来る!

いよいよ今週末に試聴会を控え、身辺が慌ただしくなってきました。今日はウインズ村瀬さんが今回の出品作を携えて長野から打ち合わせに来て下さいました。

6月の試聴会に向けて久々に12インチクラスのユニットを使ったスピーカーを作ってみない?と相談し様々机上で検討した結果、出来てきたのがこれ。村瀬さん=針葉樹合板(米松)のイメージが強いですが、今回はパイン集成材でオファさせていただき、響きと共にダンピングの良さも求めました。よく見ると小型のホーンツィーターが載っているのが見えると思います。
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これが現物。以前(といっても相当前のお話ですが)、私どもでWS912というスピーカーシステムを作っていたのをご記憶の方はいらっしゃるでしょうか。ALTEC CD912-8Cという12インチ同軸2ウェイユニットを搭載したスピーカーシステムだった訳ですが、イメージとしてはWS912の再来というだけでなく、村瀬さんらしい開放感のあるスカッとした味わいと量感の両立を目指したのがこのスピーカーです。サイズはW410×D290×H600(㎜)ですので6畳程度のお部屋でもバッチリです。

ALTECなき今、ユニットを何にするか…これが最大のテーマでありました。Reference35をヨーロッパトーンと呼ぶのであればこの新型モデルは往年のシアターサウンドを指向しつつも、クラシックも鳴らせる繊細さを持たなければならない…そういう意味でいろいろと検討した結果えらんだのがイタリアのSicaというブランドです。イタリアのユニットでシアターサウンド?…そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、Sicaはヴィンテージスピーカーファンなら誰でも知っているJENSENスピーカーの製造元でもあります。元々JENSENはウエスタンにユニット供給していた超筋金入りのブランド。音も往年のヴィンテージサウンドを今に伝える極めて貴重なメーカーなのです。
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この深鉢仕様の軽量振動板(能率なんと96.3dB/8Ω!)がシアターモデルの血統を受け継いでいる証拠。これをハイファイ用途として良い音で聴いていただくための仕掛けがこのニューモデルに込められています。サイズ,素材そして音色を家庭で使えるサイズに凝縮して今週末の初お目見えです。

今回音を追い込む途中までは完全フルレンジ(ユニット一発)で鳴らしこんでいました。レスポンス的にはもちろんこれで問題ない訳ですが、良く言えばザクザクとケバの生えた音である一方、僅かにキメを整える方法がないかな…と思いながら試しに使ってみたのが最初の写真に写っているホーンツィーターです。ツィーターというと高域方向のリニアリティを補完するものと思っておられる方も多いと思いますし、それはそれで間違っている訳ではありませんが、その一方でツィーターを追加することで低域の質感を改善することも極めて大きな効果の一つといえます。裏返せばサブウーハーの追加で高域方向の音場を整えることも古くから使われている改善方策の一つなのです。

そういえば最近、こんなメールを頂きました。Type 618Cをご愛用下さっているKさんからのお便りです。

久しぶりにメールします。発売されてすぐに購入した618Cですが、ほとんど毎日のように聴いて美しい音に感動しています。家にはスピーカーシステムが何組かありどのシステムも聴いていますが、618Cはそのうちの一番新しいセットになります。

618Cの独特な音は、私が好きで良く聴く過去のクラシック名演奏家の古い録音、LP以前の録音やLP初期頃の録音の再生音などには特に新しい命を吹き込んでくれるのです。他のシステムからはけっして聴くことのできない魅力的な音には本当にこころ打たれてしまいます。

今日は朝からプッチーニのオペラ全曲を1930年代~40年代の録音ですが、聴き続けてきました。凄い! という音が次から次へと自宅広間に響き渡って幸福感に浸っています。71歳の音楽好きな老人にとって最高に贅沢な時間を届けてくれるサンバレー618Cに感謝!しています。それで、感謝の気持ちをメールにしてみました。
(以上原文のまま)
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Kさんの618Cにもホーンツィーターが載っていますね。より美しい低域を楽しんでおられることでしょう。(※メール文面、画像はKさんのお許しを得て転載させていただきました。Kさん有難うございました!)

話は戻ってニューモデル、この変哲のない廉価なホーンツィーターの効果は絶大でした。クロスオーバー周波数,遮断特性,能率整合用抵抗の定数は内緒ですが、このツィーターを追加した瞬間から低域の粒立ちが細やかに変化し、クラシックも何の違和感なく聴くことができるようになりました。村瀬さんも”これは使わない手はないですね”と言ってくれて即採用が決定。当初はオプション設定もありかと考えていましたが、コストアップ分は極力吸収して標準装備とすることにしました。

ファーストロットの発送は7月末頃から。気になる価格はペアで10万円を切れないかと思っています。詳細は試聴会前後にお知らせ出来ると思いますので、是非お楽しみに!品番は”Vintage S12”を予定しています!


# by audiokaleidoscope | 2016-06-20 18:09 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/18)イ・ムジチからヴァン・ヘイレンへ

今晩の”ようこそ!オーディオルーム”(オンエア6/18土曜22時~25日再放送)についてお知らせします。今回もアナログからハイレゾまで様々な高音質音源でお届けする一時間です。

今回のプログラムは…

・大橋慎が選ぶクラシックリファレンスセレクション
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今日は四季から特に印象的な「春」と「冬」を聴いて頂きます。今日聴いていただくのは初代コンサートマスター、フェリックス・アーヨのソロをフィーチャーした1959年録音版。さまざま四季を聴いた人が最後に辿りつく演奏がアーヨ盤であると言われ、音質の良さからデジタル時代になってからも何度も再発売されています。

・ようこそオーディオルーム特選!”ジャズ名盤100”
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驚愕の発掘音源として話題沸騰の本音源。当時ビル・エヴァンスはVerveと契約があったため発売の権利を得ることなく、
ひっそりと約半世紀もの間お蔵入りしていたマスター音源が現在大きな話題となっているSome Other Timeをご紹介します。

メンバーは、ビル・エヴァンスのほかエディ・ゴメス,ジャック・ディジョネットというトリオ。グラミー賞を受賞したジャズ史上の名盤”モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス”のパーソネルです。ライナーに掲載された情報によれば、1980年エヴァンスが亡くなったその年、共同制作者、ヨアヒム・E. ベーレントがMPSレーベルの代表者ハンス・ゲオルグ・ブルナー・シュワーにかけ合い、82年のリリースを目指しながら、実現されなかった音源のようです。

・The Vocal
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以前ハイレゾ音源で聴いていただきました井筒香奈江の”時のまにまに5”が先月末、LPで再発売されましたので、改めてその素晴らしい音質を含め紹介させて頂きます。井筒さんはオーディオファンに特に人気のある女性ヴォーカリストで、音源の音の良さでも大注目のアーティストです。

LP化にあたりカッティングを担当したのが日本コロムビア。以前この番組でもご紹介したORT(オーバートーン リコンストラクティング テクノロジー)の制作メンバーが参画し音質的にも万全を期しています。来週の試聴会でもこの音源を使わせていただく予定です。

・懐かしのあのアルバム
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この作品が発表された1978年という時期はプログレブームが終焉を迎え、レッドツェッペリン,ディープパープルに続く新たなロックスター出現が渇望されていた時期。そのタイミングで衝撃のデビューを果たしたのがヴァン・ヘイレンでした。ライトハンド奏法引っさげて華々しく登場したエディ・ヴァン・ヘイレンはたちまち世界中のギターキッズのヒーローになりました。

ではOAでお会いしましょう!!PCあるいはスマホの方はこちらからお聴き頂けます!!



# by audiokaleidoscope | 2016-06-18 21:48 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/17)レコーディング2日目

スタジオ2日目。録音そのものは極めて順調に進んでいます。私はSV-192A/Dアウトを直接モニターしている訳ですが、この音そのままに完パケが出来れば相当のクオリティが期待できる筈です。
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今回はチェロのソロアルバムな訳ですが、いわゆるバッハ無伴奏的な一本で一曲を弾き通して終わり…という内容ではありません。もう少し詳しく言いますと…。
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曲によっては7トラック…言い換えれば7回弾いて後でミックスという非常に手の込んだプロセスを敢えて選んでいます。単純計算で通常の何倍もの時間と手間がかかる訳で、皆で楽譜を見ながら時には”こんな感じの方がいいんじゃない?”というアイディアも飛び出しつつレコーディングが進行しています。

元々は2日間で6曲録れる予定でしたが詰め込んでやっても良いものは出来ませんし、アーティストのコンディションがキープできてこその演奏ですので一部次回に持ち越すことにしました。アンプの開発でも同じことが言えますが、一気呵成に突っ込む部分と一端クールダウンして客観的に観ることの両方が必要です。
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これはちょっとオフザケな写真ですが…。ある曲でSE的に指パッチンを入れていて、録りの時のスナップです。今回の音源が陽の目を見るのは早くて9月終わり。まだまだこれからやることが沢山ありますが、先ずは良いスタートが切れたのではないかと思います。そんな訳で2日間のレコーディング報告でした。



# by audiokaleidoscope | 2016-06-17 21:39 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/16)レコーディング初日

昨日から都内に入り、今日から某所でレコーディング。初のCo-Producerとして臨む現場ですので自ずと緊張感も高まります。今回は6曲の録りが予定されていて2日間に分けて3曲づつというスケジュールです。
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ブースのなかはこんな感じ。まずはマイクセッティングから。私のリクエストはなるべく近い音でリアリズムのある倍音が録れていて且つ適切な倍音が聴こえること。
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マイクは全てノイマンでKM184,U47,U87,SM69等を用意して試した結果、基本的にU47メインでKM184を足す感じでバランスを取ることになりました。
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Neveのマイクプリからアナログ卓のアウトがSV-192A/Dに入ります。私はヘッドフォンでモニターしながら音の確認。マスターは192kHz/24bitでファイルします。
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アーティストさんとエンジニアがコミュニケーションを取りながら、だんだん息があってくるというかお互いに目指すものが見えてくる感じ。スコアを見ながら”ここはチョットこんな風に変えてみよう”という部分もありつつ、少しづつ音楽が見えてくるような雰囲気…音楽が生まれる過程を固唾を呑みながら見守っています。続報はまた後ほど…。

という訳でスタジオ入りして約10時間、初日のレコーディングは無事終了!明日も頑張ります!!
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# by audiokaleidoscope | 2016-06-16 16:06 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(6/9)シュミとシゴトの境界線

中国から帰ってきて仕事も疲れも溜まっていたのが漸くひと段落。気持ち的にも少し余裕が出来てきた感じです。

閑話休題。こういう仕事をやっていると”会社以外でアンプ見るのも厭になるでしょ”とか”本当の趣味は何なの?”とか言われたり訊かれたりすることが結構あります。確かに仕事は仕事…趣味は趣味である訳ですが、オーディオは私にとって仕事でもあるし趣味でもあって共にかけがえのないもの。会社で”次はこんなアンプが良いんじゃないか”とか”こんな球の構成が面白いんじゃないか”と徒然に考えるワクワク感はかけがえのないものですし、家で試作アンプの音を聴いたりパーツを入れ替えながら音のチューニングに勤しむのも日常的な営み。言い換えればどこからどこまでが仕事で、どこからどこまでが趣味…の境目がはっきりしないところが楽しさでもあり、同時に大変なところでもあります。

以前、業界の方とお話していた時のこと。”オーディオは仕事。だから家で音楽を聴くことはない”と仰るのを聞いてハッとしたことがあります。ビジネスはビジネス。お客さんはお友達ではない…確かに四六時中仕事を出来る人は居ないわけですから仕事と趣味を分け、その代り仕事をしている間はしっかり打ち込むのは立派な見識であろうと思います。しかしそれが私にはできずに18年経ってしまいました。或る意味で強み、或る意味で弱点なのかもしれませんが、私は私なりのやり方で売り買いを超えた同志のような関係性を一人でも多くの方と紡いでいけたらと毎日考えています。だから特に垣根(境い目)を意識することもないんじゃないか…というのが今の心境です。

そんなメランジな私ですが、最近こんな中国アンプ(キット)をゲット。もちろん仕事ではありません。
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6P3P(=6L6)のULシングルで仕様上の公称出力7.5W+7.5W。整流管は5Z4Pですから電気的には274A相当。実体図なし(回路図のみ)で、電源電圧は110V仕様のためステップアップトランスが別に要りますが、そういう事とは関係なく、この値段(送料入れて約2万円)には脱帽ですし、とにかく”作って(弄って)みたい”というムシが自分の中で蠢いていてそれが顔を出して時々収まりがつかなくなるのです。

ヘンな言い方ですが、自社のキットを組み立てる時の息詰まるような緊張感がなく大らかに愉しめる歓びを提供してくれる…これは私にとっての宝箱。気になるところは自分で変更するのも自由…良くも悪くもその結果は自己責任であるところも趣味の醍醐味です。

子供のころ訳も分からずにゲルマラジオのキットを作ってアンテナ線の先のミノムシクリップをダイヤル電話の爪に繋ぐとクリスタルイヤホンから雑音に交じって微かに聴こえたAM放送。このフシギ体験と感動がなければ電気工作が趣味になることはなかった筈ですし、ましてや仕事になることはありませんでした。言い換えればたった一度のこういう巡り合わせによって分岐点が訪れる人生の不可思議を禁じ得ません。
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これは今週聴かせて頂いたお客さん自作のRCA 2A3シングル。56-56-2A3-5Z3という構成です。交流点火ならではのザックリした音を聴きながら、自分が作ってきた2A3アンプとの音の違いから受けるインスピレーションが次なるアンプのイメージの源泉になります。自社製品のショールームで私どものアンプの音を聴いていただくのではなく、お客さんのアンプを聴かせて頂くことが仕事か趣味かと言われれば、これは公私を超えた”創造”のための欠かせないプロセスであるとお答えするしかありません。

そういえば先日の出張時の検討の結果、次期アナログプレーヤーの構造検討図が届きました。
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元々アンプ屋としてこの仕事を始めた私がアナログプレーヤー(それも2機種目)を手掛けることになるとは私自身も全く想像していなかったこと。もしオーディオが単なる仕事であったらこういうモノが生まれてくることは決してなかったでしょう。電気の不思議に魅せられた私のオーディオへの尽きない興味が此処へ導いたといえば少々恰好つけ過ぎですが、仕事でもあり趣味でもあるオーディオ塗れ(まみれ)の日々を少しだけ誇らしくも思う、今日この頃です。


# by audiokaleidoscope | 2016-06-10 00:11 | オーディオ | Trackback | Comments(4)

(6/4)アンセルメからChicagoへ

今晩の”ようこそ!オーディオルーム”(オンエア6/4土曜22時~11日再放送)について告知させて下さい。SV-722EQ(マランツ)のサウンドチェックにも最適かもしれません。今回は4枚の音源を取り上げましたが半分がアナログ。

今回のプログラムは…

・大橋慎が選ぶクラシックリファレンスセレクション
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「バレエ音楽の神様」と呼ばれたアンセルメの豊富な経験に裏付けられた巧みな演奏は、華やかな舞台を彷彿とさせる楽しさに満ちています。レコーディングは恐らく1950年年代の終わり頃と思われますが、音質的にもすばらしくダイナミックレンジが広くオーディオ的にも魅力充分!

・ようこそオーディオルーム特選!”ジャズ名盤100”
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ジャズ・ヴォーカル史上最高の女性歌手といわれたビリー・ホリディのピアノ伴奏をきわめたマル・ウオルドロンが、ホリディの死後に捧げた追悼アルバムがレフト・アローン。孤独感に苛まれていたウォルドロンの気持ちがアルバムタイトルにも現れています。生前ホリディが歌っていたパートを、アルトサックスのジャッキー・マクリーンが切々と吹き、悲劇の主人公といわれたホリディの哀調を帯びた歌声の雰囲気がリアルに再現されています!

・The Vocal
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アコースティックギターのシャープな立ち上がりと美しい余韻、ヴォーカルの生々しい質感、息づかい、口の動きまでリアルに感じられる素晴らしい録音。このアルバム、池田さんというオーディオマニアのリスニングルームで一発録りされた音源というところまではあまり知られていません。ルームアコースティックがもちろん、電源周りまでチューニングされた非常にSN比の優れた録音もこのLPの魅力のひとつです。

・懐かしのあのアルバム
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プロデューサー、ディビッド・フォスターによってそれまでのシカゴのサウンドを根本からリファインし当時最新の機材と技術を導入してスタジオ・ミュージシャンをセッションに参加させるという、重要な変更を行ったことで大ヒットとなったアルバム。TOTOのメンバー4人も参加しており、当時のAORブームを更に盛り上げた1枚です。
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ではOAでお会いしましょう!!PCあるいはスマホの方はこちらからお聴き頂けます!!



# by audiokaleidoscope | 2016-06-04 20:58 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(5/31~6/1)佛山から珠海、そして帰国

中国三日目は佛山の工場で打ち合わせからスタート。試聴室に関して前回伺った時にちょっと低域の残響が長めで、これではモニタリング目的では使い難いよね…という話をしていたのですが、今回はバッチリ対策されていて反射や回折が抑えられ音がずいぶん良くなっていました。
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開発方針も少しづつ変化してきていて、先代が元々WE機器のメインテナンスを生業としていたこともあり、数年前まではWEアンプ,スピーカーの完全復刻を大きな柱にしていたのですが(その集大成がLM91A,LM86Bであった訳です)、代が替わって現在はヴィンテージテイストを枕にしながらオリジナルのアンプやスピーカーを作り上げていこうという方針に変わりつつあります。
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相変わらずオール手配線による一台づつのハンドメイド的手法に何ら変わりはありませんが、デザイン,回路とも新開発のモデルが数多く並んでいました。
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そんななかでちょっと面白いなと思ったのがこのバッファアンプ。プリ/パワー間に入れることを想定している訳ですが、設計意図を確認するとパッシブバイ(トライ)アンプをした時にプリに複数の負荷(パワー)がぶら下がることで合成インピーダンスが下がって音が鈍ることが懸念される訳ですが、それを回避するためのインピーダンス整合用バッファとのことでした。少々規模が大きくて日本のユーザーには敷居が高いところもありますが、考え方的には大いに共感できるところであり、今後も意見交流をしていずれ再びコラボモデルを作り上げられる日が来ることでしょう。
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別室には先代が作り上げた大作が並んでいます。今でこそ中国には沢山の真空管アンプメーカーがありますが、実は礎(いしずえ)を築きあげたのが先代でした。いまから20年…あるいはもう少し前だったでしょうか。日本に初めて入ってきたと言ってもいい中国量産真空管アンプSpark530を手掛けたのも先代でありました。
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今回私が話をしたかったのはこれ。ALTEC系のホーンが入手出来難くなってきているなか、現行品のセクトラルホーンを作っているのは此処ぐらい。これはALTECで言えば805を少し小型にした感じのホーン。例えば802系のコンプレッションドライバーと416系ウーハーを作ることが出来ればオールドアメリカン的スピーカーを手掛けることが出来るかもしれません。
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あと今回の”めっけモン”はこれ。よ~く見ると分かる人には分かるCD歴代ドライブで最も音が良いと言われる某ブランドのCDメカです。経緯は不明ですが何故か20年余の期間を経てこのドライブがゲットできたということで現物を見せて頂きました。今やCD専用ドライブは絶滅危惧種と言ってもよく、カーオーディオ用かPC用は入手出来てもピュアオーディオ用のメカ(特に良いもの)はなかなか手に入りません。まさかこの時期にこのドライブが多量に出回ることは予想だにしておりませんでしたが、もしこれが有効利用できて製品として陽の目を見る日が来るのであれば大センセーションになることでしょう。あるところにはある…ということですね。

打ち合わせを終えて客家(はっか)料理のレストランへ。去年はなかった野菜コーナー。これを食べたい!というとすぐに料理してくれます。美味しかった!
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佛山を出て高速道路で約2時間の珠海へ向かいます。
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順徳(じゅんとく)SAにて。ブルース・リーの出身地です。
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スタバもあります。私が初めて中国に来た10年前は高速道路網も十分整備されておらず、一般道も逆送する車はいるし、信号機は意味がないのも同然という状態でしたが、あの頃と思うと道もキレイになって走り易くなりました。

珠海では今回の渡航目的のなかでスピーカーの検品と同じくらい大きなテーマであった新アナログプレーヤーの試作に関する評価。今月の試聴会に間に合わせることが至上命題ですので、懸案事項を今回の打ち合わせで全て共有したうえで量産移行する必要があります。詳細はここでは述べませんが去年の5月にスタートしたこのプロジェクト、一年経ってやっと形が見えてきた気がします。
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9インチのアーム。長年の希望であったユニバーサルタイプがやっと出来つつあります。
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これはベースのサンプル。ホワイトオークのツキ板です。インシュレータはアルミの無垢。今回プラッターもアルミにする予定で当然ベルトドライブです!欧州製のACモーターを採用する予定で、モーターは今回外付けでなくベース内蔵タイプで設計しています。

打ち合わせは極めて長時間に及び、やっと食事に出られたのはかなり深い時間になってから。今回中国最後の晩餐は”潮州料理”のレストランでとることになりました。二次会が終わったのは朝の4時過ぎ。
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不夜城ともいうべき中国。こんな時間でも道沿いには屋台がいくつも軒を並べて商売しています。ホテルに戻ってシャワーを浴びて仮眠しようという頃にはすっかり朝になっていました。

少しだけ寝て香港経由で帰国します。香港国際空港は今日も大勢の人で賑わっていました。
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機中で膨大な議事録を読み返しながら今回の成果、反省点、宿題をもういちど頭の中で反芻して優先順位をつけて明日からの業務のなかで展開していかなくてはなりません。東京三日間、中国四日間でまるまる一週間会社を留守にしましたので半分浦島状態ですが、明日から現場復帰して様々な案件に対し速やかに対応していきます。
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機中からの眺め。今回の中国は主目的であった受入検査が出来ただけでなく、将来への展望に関しても具体的に拡がりを持てたという点で非常に大きな成果があったと思います。この写真のようにスカッとした感覚で帰国できて本当に良かったなと感じています。



# by audiokaleidoscope | 2016-06-01 23:25 | オーディオ | Trackback | Comments(0)

(5/30)深センから佛山へ

中国2日目は今回のメインテーマの一つ、Reference35の受入れ検査。日本にシップする前に数十項目に亘りチェックし、要求仕様に合致しているかを確認する重要な作業です。一旦船に載せてしまったが最後、あとで困るのはお客さんな訳ですから、万一不具合があればこの段階で全て是正しておかなくてはなりません。
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会議室に持ちこまれた抜き取りサンプル。外観はもちろん測定データ,ネットワーク,機構部品,表示関係も全て確認します。この工場は欧米の名だたるハイエンドブランドの製品を一気に引き受けている信頼できる相手であることは重々理解しながらも私にとっては初めてモノづくりを託する相手。先方の社長から”どうしてそこまで訊くんですか?”と言われるほど突っ込んだ内容にまで踏み込みました。
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Referense35用にリファインした社名の銘版。エンクロージャー,サランネットとのマッチングもよく、イメージ通りで気に入りました。
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ソフトドームのツィーター,ポリプロピレンのウーハーも要求仕様通りに量産されていてひと安心。
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背面ターミナル部。太いスピーカーケーブルもガッチリ受け止める大型タイプ。容易にパッシブバイアンプに発展出来るようにバイワイヤリング仕様になっています。シリアルナンバーと測定データを一対一で紐付けて販売後のサポートにも万全を期しています。
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これがネットワーク。能率は決して高くないユニットですが、ネットワークをなるべくシンプルにして真空管アンプでもドライブし易く工夫しています。

製品検品が終わり、続いては工程確認。モノづくりがどのように行われたかを丹念に見て回ります。機密的に問題ない部分のみご紹介していきます。
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ユニット組付ライン。この工場月産10万個という製造規模を誇り、各国のOEMを受託しているだけあってラインもスタッフの動きも整然としています。
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これは某ブランドのウーハー製造工程。人によるバラツキを如何に抑えながらも最終的に人の感覚で厳しくチェックする両輪が重要と説明を受けました。
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目ざとい人はこのノンプレスコーンを見ればどこのブランドか分かるかもしれませんね。5㎝のフルレンジから53㎝のサブウーハーまであらゆるユニットが日々生産されています。
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これは組み上がったユニットの検査工程。予め決められた閾値に収まっているか全数チェックしています。
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画面にGOODが出れば合格。かなり長い間見ていたのですがBADは一度も出ませんでした。
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出荷を待つReference35。様々なプロセスを経て一年がかりで出来上がった文字通り私どもの小型リファレンスモデルです。6月下旬には発送が出来る見込み。

かなり張りつめた雰囲気のなかで行われた検品作業が終わり出荷承認を出して工場の関係者と昼食。連れていって頂いたのが上島珈琲って…(笑)。ブランドはなぜかUBCという。中国版高級カフェという雰囲気。
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昼食を終えチャーターした車で一行は深センから佛山へ。高速道路網が整備されて車での移動も10年前と比べて非常に便利になりました。
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佛山は歴史ある街。旧き良き中国の佇まいがそこかしこに残っている個人的にも好きな街のひとつです。高速道路から見える風景もどこか懐かしさがあります。
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これはSAのコンビニでゲットした謎のスナック。味はビミョー(笑)。
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車が広州市街に差し掛かるとこんな建物が。金色に燦然と輝く”銭形”の巨大なビル。ドライバーさんによれば中国大手の投資会社の建物だとか。分かりやすい(笑)。
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3時間強の移動のすえ、佛山の常宿へ到着したのは陽も落ちかける頃。
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ちょっと中国伝統工芸のお店を見学。木彫りの調度品は見事という他ない素晴らしさ。佛山は繊細な木工製品の産地でもあります。こういうモノを眺めていると合理的大量生産の一方でこういう伝統的な技術もしっかりと残してほしいものだと強く感じます。
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長い一日が終わって今日の夕食。中国は巨大な国家だけあって地域によって味付けにバリエーションがあります。今回は中国東北料理のお店をチョイス。4人でたらふく食べて飲んで約4000円という安さでした。

明日は午前中佛山の工場で打ち合わせをして午後、最後の目的地である珠海へ向かいます。珠海ではJB-320LMの製品検査が今まさに進んでいるところ。今回の出張もいよいよ佳境にさしかかってきました。気を抜かずに最後までやるべきことをやり遂げてこようと思っています。



# by audiokaleidoscope | 2016-05-31 02:01 | オーディオ | Trackback | Comments(0)